あなたがトリニティでやってはいけない事リスト 作:装甲アッサム春雨
『あなた』と先輩の派閥について
二人共、各派閥には所属せず、ティーパーティー所属となるが、強いて言えば
先輩はフィリウス
『あなた』はパテル
になります。
こう、ナギちゃんがやだやだ『あなた』もフィリウスに入れるんだもん!ってして、セイアがいや、『あなた』はサンクトゥスこそ相応しいとかしてる隙に、ミカが蒲郡達を使ってパテルに引き込んだみたいな。
錠前サオリは自身の至らなさ、不甲斐なさを恥じていた。
「大丈夫ですか? サオリさん」
「あ、ああ、大丈夫だ」
合流してからずっとこちらを気遣ってくれるサクラコに頷き、もう一度正面を見据える。
至らない、不甲斐ない自分でも下を向いて止まる事だけはもうしたくない。
ベアトリーチェが現れる少し前に姿を現したあれ、アラサカを見て、まだ幼いサオリでさえ一目で奴は尋常の者ではないと理解し、あれ以上の狂人はこの世に存在しないと、ベアトリーチェの恐怖すらアラサカを塗り変える事はなかった。
だから、ベアトリーチェに服従する振りをしながらも、アズサを和解の象徴として送り出し、こうして反ベアトリーチェ戦力としてトリニティとゲヘナを引き込めた。
「姉さん……」
「……リーダー」
だが、こうなる前に何か出来たのではないか。
アラサカの恐怖に染まり、ベアトリーチェに面従腹背を選べたのなら、こうなる前に何か行動を起こし、アリウスを変えられたのではないか。
自らの至らなさ、不甲斐なさ、愚かさを抱きながら、寄り添う二人の肩をそっと抱き寄せる。これから何が起ころうとも、アツコとアズサ。お前達だけは手離すまいと。
そう、これから何が起ころうとも、だ。
ベアトリーチェは変化に気付いた。
元より期待していなかったが、まさかここまで不甲斐ないとは思っていなかった。
しかし、それももうすぐ訪れる崇高に至れば全て無かった事になる。
だから、努めて平静に穏やかに、報告に来た洗脳済みの生徒に問うた。
「何が起きているのですか?」
「は、はい! 現在、アリウス自治区は高速で走り爆発するドラム缶の襲撃を受けています!」
「そうですか。では、ここに近付けぬ様……。はい? ドラム缶?」
「はい! 両端に車輪を付けたドラム缶があちこちで跳ね回り、ところ構わず爆発しています!」
「一体何を……」
「報告! 現在、北地区で先遣隊を引き連れた作業着の二人組による破壊活動と、胡散臭いシスター集団がアリウススクワッドを人質に進行中!」
「南地区、聖園ミカが石柱を振り回しつつ、盾を構えたゴリラの集団を率いてこちらに向かっています!」
「東地区、ゲヘナの空崎ヒナがビームを乱射して、剣先ツルギが奇声を挙げて暴れ、救護騎士団が拉致しています……!!」
「西地区、正義実現委員会とトリニティの砲兵隊とゲヘナ戦車隊に隠れ、毒蛇を首に巻いた狂人集団がこちらも仲間を次々に拉致しています……!」
「一体何が起きているのですか!?」
ベアトリーチェは絶叫したが、何が起きているのかはこちらが聞きたい。
とりあえず今解る事は、ベアトリーチェは絶対に手を出してはいけない相手に対し、最悪な手段で接触してしまったという事だけだ。
先程までの余裕が崩れ、狼狽するベアトリーチェ。それを神秘を吸い上げられ、気を失ったまま磔にされたアツコの顔は仮面の奥で笑っていた。
「壊す時は計画的に壊せ! 後で直す時に手間だぞ!」
「はい! 隊長!!」
「撃ちなさい。的確に、速やかに無力化するのです!」
保全部とシスターフッド、そして、ハスミ率いる正義実現委員会別動隊による打ち壊しと戦闘を眺めて、二人を抱き寄せたサオリは遠い目をしていた。
――どうしてこうなった?
先遣隊が嬉々としてアリウスの町を破壊している。
痩せて骨と皮ばかりだった姿は見る影も無く、ヒヨリばりにふっくら健康体になり、各々がハンマーやら斧やら振るって、容赦なくアリウスの町を打ち壊している。
いや、健康体になっているのは良い。問題なのは何故、そこまで迷い無く打ち壊せるかだ。
サオリが戸惑っていると、答えはすぐに来た。
「隊長! 私、ここにカフェって建物建てたいです!」
「カフェってあれでしょ? お茶とかお菓子食べれるんですよね?!」
「嘘、そんな楽園があるの?!」
「おうおう、建てろ建てろ! アタシらが教えてやる!」
「いいね、思いきって古木使ったレトロで可愛いのにしちゃおうよ!」
ハンマーを担いだ塵塚がビーフジャーキーを噛み、御手洗が発破を仕掛けながら呵呵大笑する。
お前らか原因は。
アズサからの情報で、トリニティの器物保全部は最優先確保対象の一つに指定されていたが、ただの環境保全要員、何故そこまで重要視していたのかサオリは疑問に思っていたが、その理由はまさかこれか。
「サオリ、二人も。ホントに大丈夫?」
「あ、ああ、大丈夫だ。先生」
「い、一応故郷なのに、なんであんなにイキイキ壊してるんですかぁ……?」
「わ、分かんないよ……」
サオリは先程よりひっしとしがみついてくるヒヨリとミサキを抱き締め、自分達が何に手を出そうとしていたか理解した。
つまり、手を出した時点で負けていた。関わるべきではなかったのだ。
だが、それでもここまで……
「なにがVanitas vanitatumだ! それならバニラアイス倍盛りの方がいい!!」
「私クッキー&クリーム!」
「チョコチップ!」
「メロン!」
「大納言小豆!!」
「よっしゃ、セイアさんが業務用アイスクリームメーカー仕入れてるからな! 腹壊す寸前まで食わしてやる!!」
「やったぜ! 隊長アイスクリームケーキも作ろう!」
「「がはははははははははははははははははははははははは!!」」
やっぱり原因お前らか。
サオリでさえ、ヒヨリが拾ってくる雑誌でしか知らない食べ物で餌付けしていやがった。
横で涎を垂らすヒヨリ程ではないが、ちょっと羨ましい。
「サオリ」
「なんだ?」
「君達も望んでいいんだよ」
「私が? 何故? 私は、何も守れず、みっともなく誰かに縋るしか出来なかったのにか?」
「当たり前の事だよ。……いや、これは当たり前じゃないけど、今あの子達が言ってる事はサオリも望んでいいんだ。いや、望まなきゃダメだ」
「そう、なのか?」
「おう、先生。あと、錠前と鎚永に戒野、だったか? バシリカとかいうのまでの道、出来たぞ」
「わあ、相変わらず早いね」
「保全部は迅速確実がモットーでな。ついでにほれ」
「な、なんだこれは?」
駆け寄ってきた塵塚がサオリに渡したのは、一抱え程はある風呂敷の包みだった。
「握り飯。中身は唐揚げ、テキカツ、卵焼きに鮭とおかかと昆布だ。行きながら食え。ああ、漬物と茶もあるぞ」
「あ、じゃあそれは私が持つよ」
人数分の水筒とラップで包んだ漬物を先生が受け取るが、サオリは現状を理解出来ず、ミサキはあからさまに塵塚を疑い、ヒヨリは握り飯に滝の様な涎を垂らしている。コートに涎が染みるので止めてほしい。
「だが、これはお前達の……」
「あぁ? 飯も食わねえ奴が何か出来ると思ってんのか? 人間、飯食わねえと死ぬんだよ。ほれ、捕まってるなんとかって奴の分だ。さっさと連れて来い」
サオリが抱える風呂敷の上に、更に一回り小さな包みを乗せる。見れば、先生が全身に抱える水筒と漬物もアツコの分がある。
「お前らの状態聞いたゲヘナのなんとか研究会ってのが、自分とこの給食部拉致ってこっちに超特急で来てるらしいし、アタシらも馴染みの定食屋のオヤジに話は通してる。全部終わったら山程食わしてやる」
「……食べれるん、ですか?」
「あぁ?! 鎚永、お前ら全員風船みたいに膨れるまで食わしてやる! だから、とっとと行ってこい!!」
塵塚に背中を蹴り飛ばすかの如く押され、サオリ達は走り出した。
「あ! アリウススクワッドだ!」
「ホントだ! ほら、走れ走れ! ちんたらしてると隊長きれるよ!」
「隊長キレたらホント怖いんだから!」
そんな事言う仲間達の顔に恐怖は無かった。
ただ、今が本当に楽しいと、それ一色だ。
「……本当にこれでよかったのかな?」
「分からない。分からないが、多分これでアリウスは変わるんだ。ミサキ」
「な、なんか凄い事になりそうですよぅ」
「そうだな、ヒヨリ」
何がどうなるのか、サオリにはもう分からない。
だが、確実に言える事がある。
「……旨いな」
「お、美味しいです。こんなの初めて食べました」
「ちょっとヒヨリ、溢さないで」
両手に握り飯をしっかりと持ち、頰を膨らませるヒヨリとヒヨリの頰をマフラーで拭うミサキに笑みを溢し、サオリはもう一口握り飯を齧る。
かなり分厚い肉、これがテキカツというものか。
ヒヨリと同じく初めて食べた。
「よっし、皆行こう!!」
先生の号令に、アリウススクワッドは力を籠めて大地を蹴った。
あちこちで情け容赦の無い破壊の音が鳴り響き、大砲による揺れも伝わってくる。
だが、何故かここには銃弾の一発も届かない。
何故だろうか。
「ギィィィヒヒヒヒヒヒヒヒャヒャヒャヒャ!! ……む、錠前か」
「貴女のそれ、もしかしてギャグか何かなの?」
最早廃墟と化したアリウスの町並みを吹き飛ばし、ミメシスの残骸を踏みつけ、ツルギとヒナがトリニティとゲヘナ両高最強の暴力を撒き散らしながら現れた。
「あ、ヒナ! ツルギも有り難うね!」
「せ、先生?! いや、私は当然の……、ギヒィッ!!」
「大丈夫よ、先生。あのマコトが大人しくなるなんて、なかなか無いもの。ほら、行って。待ってるんでしょう?」
「……ああ、頼んだ」
「頼まれたわ」
「二人共、また後でね!」
「ヒヒッ! ヒヒィィヤァァァァァ!! はい、また後程」
「いや、ホントにネタとかじゃないわよね?」
「違う」
「そう、なら早く終わらせましょう。後で先生に褒めてもらわなくちゃ」
「褒めるよ! 二人共めっちゃ褒めるからね!」
背後でテンションが上がり、ヘイローが高速回転し始めたヒナのビームと、更なる奇声を挙げるツルギの散弾が町とミメシスを砕き散るのを見届け、サオリは笑った。
「リーダー?」
「いや、済まん。おかしくてな。……私達があれだけ固執したものが、こんなに簡単に崩れるとは、笑い話にしかならんだろう」
アラサカが残した恐怖も、ベアトリーチェの支配も、全て水の泡と消えていく。
全ては虚しい。だが、今だけは愉快で仕方がない。
全部、何もかもこんなに簡単に引っくり返る事でしかなかったのだ。
みっともなく、不甲斐なく、至らなくても足掻いてみるものだ。
「アズサにも礼を言わないとな」
「私も欲しいな。サオリからの礼」
「聖園ミカ……」
バシリカの直前、そこにパテル隊を率いたミカが原型を失くした石柱を担いでサオリ達を待ち構えていた。
「どうしたの? サオリ。止まってる暇は無いよね?」
「ああ、だが、お前には言わなければならない事がある。……すまなかった。お前を騙す様な真似をした」
ミカと接触したのはアズサだが、アズサを和解の象徴として送り出したのはサオリだ。
そして、セイア暗殺指示を伝えたのもサオリ。
だから、意思は違えど結果的にアリウスとの和解を信じたミカを騙した形になる。
「私はベアトリーチェの意思に従い、お前の和解の意思を、アズサの事も踏みにじった。だから、私は報いを受けなければならない」
サオリのその言葉に、ミカはきょとんとした顔でプロテインバーを齧っていた蒲郡を見る。
「えっと、イコちゃん。今のどういう事?」
「ミカ様、錠前は仮にとはいえ貴女の意思を反故にした事に負い目を感じている様です」
「えっ!? そんな事考えてたの?! うわー、サオリったら真面目ー。羽ちゃんと気が合いそう」
「確かに。補佐殿と意気投合しそうですな」
ミカと蒲郡、そしてパテル隊全員がサオリの言葉を笑い飛ばす。
それにサオリが混乱していると、ミカは石柱をこちらを伺っていたミメシス達へと投げ捨て、サオリに鯖折りの様な体勢で抱き着いた。
「なっ?!」
「サオリ、判る? 私は生きてるし、貴女も生きてる。だから、やり直せる。それに、この程度の裏切りなんてトリニティの政争では裏切りって言わないの」
ミカの体は暖かく、確かな鼓動が感じられ、先程の石柱を持ち上げていたとは思えないものだった。
「そう、なのか?」
「そうだぞ、錠前。以前のトリニティなら、もっと酷かった」
「そ、だからさ。行きなよ。悪~い魔女に拐われたお姫様を助けるのは王子様って、昔から決まってるんだからさ。報いって言うならそれで返してね」
「……ああ、任せてくれ」
「しかし、ミカ様。お伽噺では王子には供回りが要りますぞ」
「じゃ、私達が騎士様って事?」
「然り。まさしくそうで御座いましょう」
「えー、私お姫様が良かったなー」
「ふはっ! そこは先生か錠前に頼みましょうぞ」
「いいよ。ばっちこい」
「わ、私か?! って、ミサキ。何をするんだ?」
「……なんでも」
何故かミサキに肘で脇腹を小突かれ、それに戸惑うサオリ。
そして、各方面の制圧を終えて続々と集まる面々。
役者は二人を除き揃い、そして時を戻し、サオリが保全部の暴挙に呆然としていた頃、トリニティの救護騎士団治療室にて、
「…………」
「起きたかね?」
「鴨下さん」
少女は目覚め、上体を起こした。
『あなた』
先輩より先に起きて、先輩のベッドサイドでしゃがんで早く起きないかなって見てた。
行動が賢いレトリバーとかの大型犬
先輩
淑女メーター臨界突破による強制再起動
カッ!と目覚めてバッ!と起き上がり、鴨下が用意した着替えを迷い無く手に取る。
保全部・暫定アリウス復興委員会
塵塚&御手洗による食育、ガテン系高カロリーがっつり飯を毎日三食しっかり食べて過ごした為、まん丸プクプクになっている。
鴨下
なんか企んでる。
なので、そこら辺をウロウロしていた挙動不審なゲヘナ生四人グループを治療室前に待機させている。
ミネ
救護!
連続救護!
連続超救護!!
ヒナ&ツルギ
なんか仲良くなった。
先生の褒めを得るため大ハッスル
ナギサ&マコト
榴弾砲と戦車による火力でアリウスを焼け野原にしている。
因みにナギちゃんはキャッキャッしてる。
ミカ&パテル隊
疲れた? 全身打撲? ゴリラはそんな事言い訳にしない。
フウカ
拉致られた
美食研究会
拉致った
もう一回 二人の名前情報
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要る
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要らない
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要る様な気がする
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要らない気がする