あなたがトリニティでやってはいけない事リスト   作:装甲アッサム春雨

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はい、決着は次回持ち越しになります。
下手! 話の展開が下手!!

また、コメント返信は体調が芳しくない為、後日纏めて行わせていただきます。


三十五冊目

「姫……!!」

 

崩落し、無惨な姿となったバシリカでサオリは懸命にアツコに呼び掛ける。

だが、アツコに反応は無い。

まるで、磔刑に処された聖者の如く、棘の群れに掲げられたまま動かず、ヘイローも見えない。

 

「姫……、アツコ……」

 

力無く項垂れるアツコに、サオリの脳裏に最悪の想像が過る。

 

「しっかりしろ、騎士殿。見たところ、姫君の血色自体に問題は無い」

「だが……!!」

「貴殿が狼狽えてどうする。今はあの見えない壁を破る方法を考えるべきだ」

 

背後の戦闘音と蒲郡の言葉に、サオリは詰まった息を吐き出し、ズレた帽子の位置を正す。

バシリカの外では先生が便利屋とパテル隊を指揮し、ミメシスを食い止めている。

余裕はありそうだが、ミメシスは尽きる事が無い。

ならば早急に目的を果たすべきだ。

 

「……すまない」

「気にする必要は無い」

「有難う。だが、どうする? あの壁はヒヨリの銃でも撃ち抜けなかった。ミサキのミサイルを使う手もあるが……」

「強度が判らんか。ふむ……」

 

見えない壁の強度が判らず、アツコの現状が判別し辛い今、下手な火力で破るのは危険が伴う。

どうするべきか。サオリ達が悩む横で二人がひょっこり姿を見せた。

 

「隊長。あれさ、足場崩したらいけない?」

「どうだろうな。下手に崩して棘に巻き込まれて~があるかもな」

「じゃあ、どうしよっか」

「どうすっかねえ」

 

保全部の二人だ。

いつの間にか戦場を抜けて、バシリカの祭壇の周りをうろうろしている。

 

「……お前ら、いつの間に来た」

「お? お前らの後ろついてっただけだぞ」

「そうそう。やっぱりアリウス独自の建築が気になってさ」

 

こいつらは本当に……。

作戦も何も無い火力と物量で押し潰すローラー作戦中なのだが、もうちょっと団体行動というものが出来ないのか。

だが、光明は見えた。

 

「塵塚」

「どうしたよガマ」

「あれを崩せるか?」

「おん」

 

蒲郡の問いに塵塚は左目を閉じて、右目だけでアツコが捕らえられている祭壇の観察を始めた。

指で枠を作ったり、御手洗にハンドシグナルで指示し、祭壇だけでなくバシリカ全体を調べる二人にサオリ達は一抹の不安を覚える。

 

「……安心してほしい。あの二人はあれだが、仕事はきっちりとこなす」

「あれで……?」

「ああ。あれで、だ」

 

ミサキの疑念の視線に、蒲郡は若干苦い顔をしながらも頷く。

 

「あの二人は、トリニティの建築や物品の保全。その全てを背に負う者達。故に対構造物に関しては右に出る者は居ない」

 

手帳になにやら小難しい数式と図形を書き、御手洗と頷き合う。

 

「とりあえず火器は無しだ。下手すると祭壇が崩れて巻き込まれる」

「なら、どうする」

「こっち、横から見ると分かりやすいけど、下から上に段々薄くなってんの。だから……」

「上からなら破れる。そういう事だな」

「ああ。だが、火器はオススメしねえ。もし破片が出るなら、最悪はお姫さんに降ってくる事になる」

「え、じゃあどうすれば……」

 

ヒヨリが困り、御手洗がもう少し突破口がないかと先程より祭壇に近付いた瞬間だった。

 

「ショウコ!?」

 

棘が御手洗目掛けて、槍の様に伸びてきたのだ。

寸でのところで、塵塚が襟を掴んで引き倒し、サオリが撃ち落としたが、もし当たっていればショウコでは重傷は免れない。そんな速度だった。

 

「さっきまで反応なかったのにぃ」

「奴さん、本腰入れてきたって事か。どうする?」

「火器、先程撃ち落としたが、今の火力では上に上がる前にやられる」

「リーダー、どうしましょう……」

 

ヒヨリ達の縋る様な目に、脳裏でベアトリーチェの嘲笑が響く。

どうすればいい。先生に頼るにも、先生は指揮中だ。もし、指揮が途切れたらミメシスの大群が押し寄せるかもしれない。

いや、先生が来た事で棘が急に動きを変えて、アツコを襲う可能性もある。

どうすればいい。どうすれば……。

 

「ふむ、成程。私が来て正解だったか。これを頼む」

「……いいけど、なにする気?」

「なに、姫君を救う騎士の道を開くだけだ」

 

悩むサオリ達を横に蒲郡は盾をミサキに預け、祭壇から距離を取る。

そして、軽いストレッチをして片膝を曲げ、低く下げた上半身を支える様に指を軽く立てる様に両手を地に着ける。

陸上競技のクラウチングスタート、その体勢となった蒲郡は塵塚に呼び掛ける。

 

「合わせろ!」

「は? おま……!?」

 

塵塚の返事を待たず、全身の全筋力を総動員した加速。

それに合わせ、塵塚はバレーのトスの様に加速した蒲郡の巨体を強引に打ち上げた。

宙を舞い、真っ直ぐに祭壇へ落ちていく蒲郡。

狙いは正確に、保全部二人が割り出した壁の最も薄い場所へと向かう。

だが、それを許す棘ではない。

 

「蒲郡!!」

 

ヒナの弾幕の如く伸びた棘の群れは、蒲郡を飲み込んだ。

僅かに残った天井を貫き止まった棘の群れに、サオリ達は絶望する。

だが、その絶望を踏み潰す哄笑が響いた。

何処からか。蒲郡を飲み込んだ棘の群れからだ。

 

「ふはははははははは! 痒し!」

 

棘の群れからモストマスキュラーのポーズで粉砕して飛び出し、そのまま棘の群れの上を駆け抜ける。

 

「こんな爪楊枝で私を貫けるかぁっ!!」

 

次々に押し寄せる棘の槍を正面から踏み砕き、殴り弾き、蒲郡はアツコを捕らえる祭壇へ向けて駆ける。

 

「我らパテル隊はトリニティの不破の盾! 我ら砕けるは我が首長聖園ミカ様の拳のみ! ならば!」

 

蒲郡は跳んだ。

そして、不可視の檻に頭突き、両手足でしがみつく様に貼り付き、滑り落ちていく。

 

「蒲郡!?」

 

瞬間、蒲郡の全身を不可視の檻を走る雷が打つ。

制服の裾や襟が焼け焦げるが、そんな事は知らぬと蒲郡は眼前の檻に両手を掛ける。

 

「ならばその盾たる我らに破れぬ壁などあるものか……!!」

 

渾身の力で檻を押し破り、サオリに向けて叫ぶ。

 

「騎士よ!」

「感謝する!」

 

サオリは駆けた。真っ直ぐにひたすらに、作戦とは言え一度は手放してしまった手をもう一度取る為に。

 

「リーダー!」

 

蒲郡が抉じ開けた穴から、棘が山の様にサオリに向かい、その道を塞ぐ。

だが、それはヒヨリとミサキによって砕かれる。

 

「行って!」

「ああ!」

 

決して長い距離ではない。

走れば数秒、歩いても十数秒の距離。

手を伸ばせば届きそうな、すぐ目の前に居るのにそれが果てしなく遠い。

 

「邪魔すんじゃねえ!」

「行け行けナイト様!」

 

床から刺の様に飛び出してきた棘をハンマーとパイプレンチで薙ぎ倒す保全部を背後に、サオリは異様にゆっくりと進む世界を駆けた。

そして遂に祭壇、蒲郡が抉じ開ける穴へと足を掛ける。

 

「行けぃ!」

「ああ!」

 

最後の抵抗と、アツコを捕らえる棘の十字架が襲い掛かるが、それすら蒲郡に阻まれる。

 

「アツコ……!」

 

砕け散る棘が雪や雨の様に降り、その中を物言わぬ仮面の姫が降りる時、騎士の手は遂に届いた。

 

「アツコ、しっかりしろ! ……アツコ?」

 

全ての棘が砕け、不可視の檻も消えた。

サオリは膝を折り、アツコを横抱きに抱え呼び掛けるが、仮面を取ったアツコは目を閉じたまま動かない。

 

「姫ちゃん……」

「姫、嘘だよね?」

「頼む、目を、目を開けてくれ……!」

 

ヒヨリとミサキも側で呆然と立ち尽くす。

アツコの手はただ力無く、サオリの手から溢れ落ちた。

 

「姫……。嫌だ! 起きろ! アツコ!」

「どけ! パテル式心肺蘇生法で!」

「バカ! お前の力でやったら姫さん真っ二つだ! 兎に角寝かせて気道確保!」

 

蒲郡と塵塚が心肺蘇生をと、アツコに駆け寄る。

その時だった。

一際大きい打撃音が響き、変化が起きた。

ミメシスが消えていく。

そして続く歓声の中で、アツコの手が動いた。

 

「姫?!」

「……サッちゃん。こわーい竜に追い返されちゃった」

「……良かった。本当に良かった……」

 

漸く揃ったアリウススクワッド。全員がお互いを抱き締め、命の温もりを確かめている。

その横で、蒲郡は無線を手に取る。

 

「蒲郡より指令部。騎士の手は姫君に届いた。繰り返す。騎士の手は姫君に届いた」

 

それは実質的な勝利宣言だった。

そして、その勝利宣言を確実なものとする為、竜が再び咆哮を挙げる。

 

「わーお、一方的じゃんね」

「その様で」

「やっぱり筋がいいわね」

 

消えていくミメシスを見送り、蒲郡からの通信を受け取った三人の視線の先では、彼女がベアトリーチェの首を尾で絞め上げ、一方的に拳を振り抜いていた。

最早銃を使う意味すら無い。

一方的な原初の暴力で、残った右の蛇首は原型を失くし、強固な鱗に覆われた筈のベアトリーチェの頭は歪み、牙は折れて、六眼は半分が潰れていた。

 

「あ、か……」

 

もう言葉すら発せない。

その力すら奪われ、宝杖は放り捨てられ地に突き立っているだけだ。

 

「……そこまで」

 

少女の制止に彼女は即座に拳を止め、絞め上げていた尾を離した。

ベアトリーチェからは何も無い。反撃も、逃げる事すら出来ずに、弱々しく微かに呼吸を繰り返す以外何も出来なかった。

生徒ではないベアトリーチェなら死ぬか、呼吸すら儘ならない状態だが、それでもベアトリーチェは死ぬ事すら出来ずに理解出来ない苦痛と苦悩に苛まれていた。

 

「今、蒲郡隊長より救出成功の報せが入りました。これ以上は無意味です」

「…………」

 

少女の言葉、その意味が理解出来ないベアトリーチェはどうにか言葉を作ろうとするが、声すらまともな形にならず、掠れた音として喉から漏れ出るだけだった。

次第に意識が薄れ、霞む視界の中でベアトリーチェはある事に気付いた。

 

「後は救護騎士団とシスターフッドの皆様に……。あなた、どうしました?」

 

少女の隣に立つ彼女が、戦闘継続の意思を崩さず、少女ですら背筋が冷たくなる程の冷悧な目をベアトリーチェに向けていた。

一体、どうしたのか。目上、一際少女の言う事は絶対の彼女が何故。と、その場の彼女を知る全員が疑問する中、彼女が口を開いた。

 

「……安い芝居はいい。面を見せろ」

 

先程までの少女から説教を食らうだろう口調とも違う。更に深く、冷たく、絶対的な敵意を孕んだ声音。

それは間違い無く、絶対強者が獲物ではなく敵対者に向けるものだった。

 

「先輩から何故かお前の臭いがして、その小物からはオレと知らない匂いに隠れてたが、お前の臭いは鼻につく」

 

彼女が何を言っているのか。誰も、言葉を向けられているベアトリーチェですら理解出来なかった。

だが、彼女以外で奴に面識がある少女には解った。

 

「まさか……」

「なぁ、アラサカ」

 

彼女の言葉の意味を理解出来ないベアトリーチェだが、それだけは理解出来た。

そして、何故その名が出てくるのか。疑問する前に、ベアトリーチェに変化が起きる。

 

「おーい、皆。どうしたの……って、なに?」

 

先生と便利屋、パテル隊にサオリ達が合流した時、襤褸雑巾の様なベアトリーチェの躯が跳ねた。

まるで体内で何かが蠢き回るかの様に、蛇となった下半身と血塗れの上半身を矢鱈滅多に痙攣させ、苦悶の声が転げ回る。

そしてそれらが止まり、糸に吊られた人形の様にベアトリーチェの躯が起き上がった。

そして、蛇の顔は先程よりも竜に近付き傷が塞がり、千切れた筈の蛇首すら再生を始め、より禍々しい姿となり鎌首をもたげる。

その姿はまさに神話の怪物というのに他ならなかった。

 

「は、ぁ……。いやはや、しぶとくて嫌になる。舞台装置なら舞台装置らしく、潔く退場してほしいものだ。……お前も、そうは思わないか?」

 

唸る彼女の目の前でベアトリーチェの意識を押し退け、悪意の破片が姿を現した。

 




『あなた』
凄まじく機嫌が悪いし、お前に聞いてない

先輩
HP1 
しかし、淑女は狼狽えないし、『あなた』の様子から慌てる展開ではないと理解

蒲郡
笑っている時にCV稲田徹が出た。ついでに髪型は金髪のオールバックである

パテル式心肺蘇生法
ゴリラによるとにかく全力心臓マッサージ
相手は甦る

保全部
バシリカの現状に流石にちょっとやり過ぎたかとちょっと反省

サオリ
騎士の手は姫君に届いた

アツコ
いや、助けてもらったしサッちゃんの顔がいいからよかったけど、すごい好き勝手したの知ってるからね?

先生
合流したらバイオハザードみたいな再生するベアトリーチェ見て引いてる

便利屋
以下同文

ナギちゃんズ
やっとこさ合流したら、なんか変なの湧いてきた

『あなた』神秘ズ
とりあえずお姫様追い出したし、これで気兼ね無く本体のとこ帰れ……。おい、くそ野郎。何してやがる?

一日ルーティン

  • 先輩
  • 『あなた』
  • 保全部
  • ナギサ
  • ミカ
  • セイア
  • 蒲郡
  • 鴨下
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