あなたがトリニティでやってはいけない事リスト   作:装甲アッサム春雨

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壁ドン反応
先輩¦まるで表情を変えず、何があった問うてくる。
『あなた』¦壁ドンした瞬間に尾鰭が顔面の目の前にあって、完全な無表情で見てくる。


三十八冊目

ここはトリニティ総合学園一年生のあなたのトリニティ並びにキヴォトスでの禁則事項です。

よく確認しておいてください。

 

 

67.必要資材は明確に記入しましょう。

 

・今回は注意喚起となります。

なにやら、使途不明な資材の購入がありましたが、申請書の記入漏れと判明しました。

復帰早々、というのは置いておきます。

現在はアリウス自治区復興と古聖堂修繕の最中、慣れない者による手続きが原因でしょう。

 

・しかし、この様な木材を使う予定が古聖堂にありましたか。

足場としてはあまりに上等な材木の様な気もしますが……。

申請者が、セイア様?

 

・…………何か嫌な予感はしますが、セイア様もトリニティが首長の一人。

何か考えがあっての事でしょう。

なので、あなたも申請書を出す時は再度確認してから提出する様に。

 

 

68.常に慎みをと申していましたが、慎みの為であれば何をしてもいいという訳ではありません。

 

・……本日のテーブルマナーのお稽古は見事でした。

しかし、一体どうしたのですか?

本日はあなたの好きなサーモンのムニエル、何時もならおかわりを望んでいた筈です。

 

・そうですね。コース料理の場合はおかわりが可能なものは限られますが、今回は日常でのマナーのお稽古でした。

なので、調理部の皆様には少々余分に用意してもらっていたのですが……。

 

・どうしました?

その様に焦らずとも、サーモンは本日の夕食の方に回す様に手配していますよ。

………そういえば、あなた。本日はお稽古前にどちらに居ましたか?

 

・いえ、少し気になったもので。

ええ、淑女であるあなたが、昼食を兼ねたテーブルマナーのお稽古前に、何処かで暴飲暴食を働いていた等と、私は思っていませんよ?

 

・どうしました? 何故、私を見ないのですか?

……正直に申しなさい。鴨下さんより、あなたが最近セイア様の秘密のキッチンに出入りしているという情報は得ています。

 

・逃げても無駄です。この部屋の抜け道は全て塞ぎ、外には蒲郡隊長が待機しています。

さあ、正直に申しなさい。内容次第ではお説教は勘弁してあげます。

 

・やあ、突然だがFOXの時間だ。

 

・セイア様……? 一体どうされたのですか?

FOX……?

 

・なに、気にする事はない。少々、君達の手を借りたくてね。

 

 

 

 

 

 

 

「よう、来たぞー」

 

よく晴れた休日のある日、トリニティ市街にあるメインターミナルで角のある姿が数人、翼を持つ少女達に手を振っていた。

 

「ちょっと遅くない?」

「ごめんって。なんか馬鹿が騒いで遅れたんだ」

「あー、温泉?」

「いや、また便利屋がなんかやったみたい」

 

ほら、と携帯でネットニュースを見せると、

〝便利屋68 今度は密輸業者を〆る〟

とあった。

 

「あの人達、ホントに話題が尽きないよね」

「先週は悪徳金融更地にして、DUの商店街を救ったとかニュースなってたのに」

「便利屋調べたら相手が法で裁けない悪人ばっかりで、治安局も頭抱えてるって」

「キヴォトスで今一番自由な奴らだろ。こいつら」

 

陸八魔アルからすれば、ただ人助けと恩返しをしたら原因が依頼主やそういう相手だっただけで、特にこれと言って目的があった訳ではない。

ただ、己の心に従ったまでだ。

だが、結果的に陸八魔アル達便利屋68は、キヴォトスで力無き弱き民達の味方、法で救いたくても救えない者達が頼る最後の拠り所となりつつあった。

アウトローとしてそれでいいのか。この疑問については本人達が満足そうなので、先生も何も言わないでいる。

 

「で、今日はなんだっけ?」

「モモトで言ったでしょ? うちのティーパーティー主催の喫茶店がオープンしたから行こうって」

「ああ、そうだったそうだった。でも、なんで? ティーパーティーって、うちで言うと万魔殿だよな?」

「そうだけど、ほら、アリウスの子達」

 

時は大体一ヶ月程前に遡る。

アリウス生の社会復帰を目指し、教育と療養を続けていたが学園内だけではやはり限界がある。

なので、学園外で社会を経験出来る場所を、と。ついでにそろそろ爆発しそうなナギサ(不発弾)のガス抜きも兼ねて、トリニティ総合学園の正門前広場にオープンしたのが喫茶ティーパーティーである。

 

「やっぱり学校の中だけだとね」

「まあ、そりゃそうか」

「でも、大丈夫だったん? アリウスの子達、結構ヤバめな感じだったじゃん」

「まあ、私達はノビてたけどなんか原因はボンバーしたとかで、今は大丈夫よ」

「あ、そうだ。尻尾は? 久々に会えると思ったんだけど」

「あー、イタズラがバレてママ先輩に連行されたみたい」

「そっか。……ママ先輩?」

「あ、ほら。あそこ」

 

ゲヘナ生の疑問を無視して、指差した先にはトリニティらしいレトロな造りで新築だろう筈なのに、何処か歴史と赴きを感じさせてくる。

 

「すごいな。如何にもトリニティって感じのオシャレなやつだ」

「うちの保全部が一日で仕上げました」

「保全部って、あの保全部?」

「え? ゲヘナでも有名なの?」

「うん。トリニティで建物壊したら、ハンマーとレンチ担いだ二人が来てボコボコにされた挙げ句、簀巻きにされて爆破されるって」

「あ、そっちでもやってんだ」

「ああ、こっちでも……え?」

「ほら、行こ。〝今日〟は当たりの日だから」

「お、おう。……当たり?」

 

ゲヘナ生の疑問を再び無視して手を引く。

喫茶店の看板は青い鳥。つまり、今日の担当はナギサだ。

ナギサが担当する日は古式ゆかしいオーソドックスな紅茶と軽食、ケーキが楽しめる日。

この日の為に担当のパターンを研究して割り出したのだ。

きっと、ゲヘナ生も気に入る。

そう思い、軽快なベルを鳴らしてドアをくぐった。

 

「へい、らっしゃい!!」

「クソが! サプライズFOXデイだ!!」

 

なんたる事か。一番避けたかった百合園セイアが担当の日に当たってしまった。

トリニティ儀仗隊はゲヘナ儀仗隊を連れて逃げ出そうとしたが、背後のテラス席周辺はクラシックメイド姿のアリウス生に囲まれている。

クソッタレ。お得意の連携をこんな事に使うなよ。

分かったよ。こうなったら人身御供にでもなってやる。

今だ状況が飲み込めないゲヘナ儀仗隊を連れて、トリニティ儀仗隊は空いている。というより、半ば強制的に通されたカウンター席に座った。

この喫茶ティーパーティー、前述した様にティーパーティーホストの三人が持ち回りで店長をしており、看板が青い鳥がナギサ、何故かゴリラがミカで、ナギサの時はオーソドックスな喫茶店、ミカは流行りを取り入れた最先端カフェとなっている。

この企画はアリウス生の社会復帰の為であり、多忙を極めて正気が怪しくなり始めたナギサを宥める羽沼マコトの為でもあった。

とりあえず、今マコトに倒れられては自分達がナギちゃんの相手をせねばならなくなる。

それは御免蒙る。だから、ケーキ作りが趣味のナギサのガス抜きも兼ねて、トリニティ生徒と学園関係者限定の喫茶店としてオープンした。

だが、事実は多少異なる。

 

「やあ ようこそ、喫茶ティーパーティーへ。

このカフェオレはサービスだから、まず飲んで落ち着いて欲しい。うん、「また」なんだ。済まない。仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていないとも。でも、このメニューを見たとき、君達は、きっと言葉では言い表せない「ときめき」みたいなものを感じてくれるだろう。殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい。そう思って、私はこのメニューを作ったんだ。じゃあ、注文を聞こうか」

 

そう、事実はティーパーティーのわんぱくFOXこと、百合園セイアが自身の考えたメニューを合法的かつ確実に提供出来る場を作る為であったのだ。

トリニティ儀仗隊は絶望した。

この事実が判明してから二週間、ゲヘナ儀仗隊にトリニティの紅茶を味わってもらおうと、セイアのFOXデイを避ける為にパターンを割り出し、ナギサとミカに回る仕事を極力減らす様に努力してきた。

なのにこのFOXはそれを易々と飛び越えて、目の前でカフェオレを名乗る糖分の化身を差し出してきやがった。

ステンレスジョッキ(970ml)に並々と注がれたカフェオレの上にこれでもかと浮かぶソフトクリーム。ソフトクリームに突き刺さるクッキーとブラウニー、そして駄目押しの滝の様なチョコレートソースにカラースプレー。

 

「カフェ、オレ……?」

「しっ! 疑問しちゃダメよ。また何か飛んでくる……」

 

疑問したゲヘナ生と制止したトリニティ生のカフェオレに更にチョコレートブラウニーが追加された。

なんだこのカロリーの権化は。サービスで出していいものではないし、普通のメニューとしても出していいものではない。

なんらかのテロ行為である。

 

「さあ、注文は何かな?」

 

メニュー表におかしな点は見当たらない。

だが、セイアの背後にあるガスコンロに鎮座する圧力鍋と、奥のキッチンにあるピザ窯とタンドールがそれを否定するし、何処からか本格的なカレーの匂いまでしてくる。

あと、そのシンクに並ぶ土鍋と擂り鉢はなんだ。

 

「ふむ。久々の番に少々急いてしまった様だね。カフェオレを堪能しながらゆっくり決めるといい」

 

そう言って奥のキッチンに引っ込むセイア。

カウンター席では事情を知るトリニティ組がメニュー表を睨み、中に潜む地雷を見つけ出そうと必死になる。

 

「なあ、この店長の気紛れワンプレートとか……」

「やめなさい。FOXされるわよ」

「FOXされるってなんだよ……?」

「前にそれやった奴は1kgのカレーに厚切りカツが五枚、エビフライ十本、あんたの顔くらいあるハンバーグが載ってきたわ」

「……トリニティってなんだっけ?」

「ようこそ、これがトリニティよ」

 

とりあえず、カフェオレという名の液体糖分を摂取しながら誰が地雷を引くかのデスゲームが始まった。




先輩
資材関係はなんとかなったが、現在少し頭を抱えている。

『あなた』
イタズラがバレたし、セイアクッキングの味見という名の暴飲暴食までバレた。
現在無の表情。

保全部
保全部が一日でやってくれました。

鴨下
またやらかして、司法取引をしようとしたが淑女にそんなものは通じなかった。
今年度1○回目の投獄

ナギサ
ぽゆえ~

ミカ
ナギちゃん限界じゃんね。
何か手は……。あ

セイア
サプライズFOXタイムだ!

エデン条約締結後、宇宙怪獣ヒナゴンと大怪獣ツルギラスが出現する様になってから暇になったので、一人でトリニティ視察に来た羽沼マコト
え?

一日ルーティン

  • 先輩
  • 『あなた』
  • 保全部
  • ナギサ
  • ミカ
  • セイア
  • 蒲郡
  • 鴨下
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