あなたがトリニティでやってはいけない事リスト   作:装甲アッサム春雨

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七冊目

ここはトリニティ総合学園一年生のあなたのトリニティ並びにキヴォトスでの禁則事項です。

よく確認しておいてください。

 

 

 

35.前にも言いましたが、淑女たる者常に慎みを以て行動しましょう。……なので、どうかお止めくださいナギサ様。

 

・そう言われましても、彼女にお菓子を与えるのは、皆さんの楽しみになっていますし……

 

・あの子に親しみを持っていただける事はとても嬉しく思います。しかし、このテラスに対するあの子の認識はお菓子が貰える場所になっているのです。

 

・別にいいじゃんね。

 

・ミカ様?!

 

・確かにね。魑魅魍魎が跋扈し、権謀術数が渦巻くこのトリニティで、彼女の様な純粋な子には無償の施しを与えたくなるのだよ。

 

・セイア様まで?!

 

・あはっ、分かってるじゃんセイアちゃん。あの子、普段はポケーってしてるのに、お菓子を出すと目がキラキラになるからね。

 

・ええと、そういう事ですのでお茶会の時は見逃していただけると……

 

・いいえ。喩えティーパーティーホストの方々であろうと、これは淑女としての……。って言った側から!

あなた、一体いつの間に来たのですか?! ミカ様、セイア様もお止めください!

ナギサ様?! そのロールケーキは何処から取り出したのですか?!

 

 

 

36.いいですか? 戴き物は丁重に戴かねばなりませんが、本当にもうちょっとでいいので考えましょう。

 

・……だから、言ったでしょう。おやつを食べ過ぎると夕飯が食べられなくなると。

 

・その様な顔をしてもダメです。あなた、結局ナギサ様のロールケーキを二本にミカ様のケーキをホール半分、セイア様のマカロンまで召し上がって……。

それでよく夕飯を食べようと食欲が湧きますね。素直に感心します。

 

・……前は食べれる時に食べないと、何日も食べられなかった。ですか……。

あなたの過去について、私は資料という形ではありますが知っています。あなたのその食欲が、自身の生存に直結していた事も。

しかし、今はそうではありません。

その様に必死にならなくてもよいのです。このトリニティ総合学園に居る限り、あなたがまた飢える事はありません。

判りましたね? 

 

・ですが、食べ過ぎはいけません。

お菓子を食べ過ぎると、そうやって気持ち悪くなってしまうのですよ?

戴いたこのサーモンはまた明日、改めて調理してもらいますので、今日はそのまま寝なさい。

唸ってもダメです。

いいのですね。お薬を貰ってきますので大人しく……、こら! 齧ろうとしない!!

 

 

 

37.あなたの勘の鋭さはよく知っていますが、それを理由に特定の相手を追い回してはいけません。

 

・……何か、以前も似た様な事があった様な気がしますが、もう一度言います。

特定の相手を追い回したり、つけ回したりするのは淑女のする事ではありません。

行く先々にあなたが現れてこちらを見てくると、あんなに怯える白州さんを見たのは初めてですよ。

一体どうしてこのような事をしたのですか?

 

・……白州さんからスラムで見た鉄砲玉にされた子達と同じ嫌な感じがした?

それは妙ですね。白州さんはミカ様の推薦により転入された方で、元はトリニティ外の小さな自治区の出身だと伺っています。

ミカ様の話を聞く限りでは、その様な治安の話は無かった筈です。

 

・ええ、大丈夫です。あなたを疑っている訳ではありません。あなたのこういった勘の的中率の高さは、私はよく知っています。

しかし、ミカ様が嘘を吐く理由も無いとなると、一度ナギサ様に報告し御本人に直接お伺いするしかありません。

ですが、今ナギサ様とミカ様はエデン条約に向けて多忙で、セイア様も体調を崩され臥せっておられます。

……それにこの話は、あなたのお陰で以前より良好になったお三方の関係に皹を入れかねないものです。

どうお伝えするべきか……。

 

・シャーレの先生に頼る?

そうですね。噂ではアビドスとミレニアムで起きた問題を解決したとも聞きます。

いよいよとなれば、先生のご助力をお願いする事になるかもしれませんが、現状では外部からの介入は避けたいのです。

もし、白州さんがゲヘナの差し金やエデン条約反対派だった場合、要らぬいちゃもんを付けられトリニティに不利な条件を追加される可能性もあります。

……いえ、エデン条約を前にして不穏な条件を放置する事こそが問題です。

この事は私からナギサ様にお伝えします。あなたはこれまで通りにホストのお三方の護衛をお願い致します。

 

 

 

38.お世話になった方、親しい方への御見舞いは確かに大事です。ですが、それはお相手の体調を鑑みて行うべきです。

 

・御見舞いは礼儀と礼節の面で確かに大事です。ですが、それはお相手の体調を鑑みての事です。

ええ、そうです。なので、セイア様への御見舞いはお止めなさい。

 

・呼ばれたから行く?

お待ちなさい。いや、本当にお待ちなさい。

呼ばれたのであれば仕方が……。だから、お待ちなさい!!

 

・まったく、一体どうしたのですか?

セイア様から大事な話があると言われた、ですか……。

あなた、何故それを早く言わないのですか?!

ほら、早く行きますよ。御見舞いの品は、昨日購入したお茶菓子でよいでしょう。

 

・しかし、あなた何故それほど急いでいるのですか?

嫌な予感がする?

ミネ団長が定期的に往診をしている様ですが、急ぎますよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トリニティ総合学園内に建つ宿舎、そこは学園の三首長が一人、百合園セイア専用のものであり、出入りする者は限られている。

そこに二人、扉を潜る姿があった。

 

「いいですか。セイア様はあなたに気さくな方ですが、あの方はトリニティの三首長のお一人なのです。御見舞いの時も礼儀を忘れずに……」

「……先輩、急ごう」

 

少女が見上げる彼女の瞳は、初めて会った時の様に瞳孔が開き、喉からも低い唸りが漏れ出ている。

その様子にただならぬ気配を感じ、エレベーターでセイアの私室がある最上階へ向かった。

 

「……落ち着きなさい」

「うい……」

「一体どうしたのですか? そこまで落ち着きの無いあなたは久し振りに見ますよ」

「なんか、背中がムズムズする、ます。こういう時は絶対、良くない事が起きる、です」

「ふむ……」

 

彼女の勘はよく当たる。特に危機察知の方面では、百発百中にも近い確率で当たる。

その事を一番よく知る少女は改めて気を引き締め、開いたエレベーターの扉から一歩足を踏み出し、奥にあるセイアの私室へと歩みを進める。

 

「……セイア様、夜分に失礼致します」

「来ました」

「ん、ああ、入ってくれ。よく来てくれたね」

 

許可を得て、扉を開ける。

その扉の奥、窓際にあるベッドにセイアは横たわり、こちらに顔を向ける。

 

「セイア様!? 顔色が……」

「大丈夫だ。問題ないから自由に動ける君達を呼んだんだ」

「自由に? それは一体どういう……」

 

と、青白い顔色のセイアの側に駆け寄る少女を他所に、彼女はセイアの私室にあるクローゼットに視線と、硬化した尾鰭を向けている。

 

「……あなた、どうしました?」

「セイア様、あれ誰?」

「大丈夫だ。彼女は敵じゃないよ。ほら、尻尾を納めて、君の好きなクッキーもある。君も出てくるといい。この二人は信用出来る」

 

セイアの言葉に尾を納め、しかし警戒は解かずにセイアと少女の前に立つ。

 

「……了解した」

 

クローゼットの扉が動き、彼女の尻尾が再び鎌首をもたげる。

 

「貴女は何故ここに……?!」

「その話をする為にまずは君達を呼んだのだ」

 

クローゼットから出てきたのは、銀の髪と翼を持ち、最近になって聖園ミカの推薦により転入してきた白州アズサ、その人だった。




『あなた』
最初はティーパーティーから警戒されていたが、先輩からお説教を受ける姿や、時折庭園で昼寝をしたり、塵塚さん達に餌付けをされている姿を見て、実は話程危険ではない?となり、一人の事務官モブちゃんが餌付けを試みてから、一気に珍獣枠になった。
ホスト三人も珍しい菓子やアンティーク等が手に入ると、個別に呼び出して先輩には内緒で餌付けをしたりしている。
その為か、ホスト三人の関係は原作の水着イベントくらいには良好である。
珍獣パワー


先輩
『あなた』を牢から回収し、その報告をしにテラスに向かい、ナギちゃんに二次創作のような紅茶の吹き出し方をさせた。
肋骨は半分程折れ、手足にも皹が入っていたが一切表情や動きにも出さずに、『あなた』が寝静まってからミネの治療を受けて激怒された。
しかし、通院や薬を服用する姿を見せて『あなた』を不安にさせる訳にはいかないと、痛みと痛みからくる症状を全て精神力で捩じ伏せ、『あなた』の教育に当たった。
淑女パワー



セイア
実は三人の中で一番『あなた』に餌付けしている。
ナギサは一回の餌付けの量、ミカは餌付けの質。といった感じ。
今回、何も無ければ原作通りにボカンする筈が、上記の二人が居た為、何かが変わった。



アズサ
クローゼットに隠れて『あなた』の姿を見た瞬間、めちゃくちゃにビビった。
どこに逃げても隠れても必ず発見され、めちゃくちゃに追い掛け回された。
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