佳境の際でさ   作:かつよ


オリジナル現代/日常
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マッジで俺個人に関する独白だから。エンターテイメント要素はないぜ。

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人生の山

もし、人生に大きな壁があるとするのなら、今この時期のことを言うのだろう。

 

「ふぅ。」

 

俺は大きな息を吸って、吐いた。

 

パソコンのブルーライトが俺を照らしている。

 

いつもとは違う、自分の体。膝が曲がらないというのは、中々に辛いものだ。

 

半月板断裂に、前十字靭帯損傷。これが俺が負った怪我らしい。

 

「何してんだろうな、俺。」

 

今、俺は高校三年生である。つまり、受験生というやつだ。

 

自慢ではあるのだが、自分はそこそこレベルの高い環境に身を置いていると思う。

 

周りには帰国子女とか、数学がめっちゃできるやつとか、なんなら全国模試で一位を取ったやつもいる。

 

ただ、それは周りの話。俺は、そいつらより遥かに見劣りしているだろう。

 

「ふぅー。」

 

ブルアカだの、アークナイツだの、原神だの。自分がどれだけのソシャゲに手を出してきたなんかなんて覚えていない。

 

ただ無邪気に、目に映ったものに飛びついて、友達と遊びに行って、あぁ、楽しかったとも。

 

今は、それで苦しんではいるのだが。

 

早稲田、慶應、東京科学大学、それをとっても最高峰の大学であり、どこも難易度がおかしいもの。

 

俺が目指そうとしているのは、そこだ。

 

勉強というのは、本当のクソゲーだと思う。

 

目にみえるカラフルなカードなんて手元になくて、真っ白な紙に黒を刺して、小難しい解説を読む。

 

解いて、わかんなくて、理解して、また分かんなくて、萎える。そしてたまに、常識的な基本のことも間違えたりして、さらに落ち込む。

 

遊び方の説明なんて、ない。自分が使うカードは、自分で調達しなきゃいけないくて、スキルなんか何百個付けたって全然足らない。

 

本当に、クソゲーだ。もし俺が設計者なら、カラフルな彩りをつけて、バカでもわかるように遊び方の説明を何個も付け足しているだろう。

 

初見殺しに、クソ簡単なトラップに、どれをとっても最悪だ。

 

でも、俺はそれをやり切るしかないらしい。

 

敵なんて、殴ったって倒せないし、経験値が数字で増えるわけじゃない。

 

俺に美人な幼馴染がいて、問題を解くことでそいつを救えるなんてことは当然ないし、人類を救うために向き合っているはずがない。

 

少年漫画とかで、構造決定とか、小難しい漸化式を理解しないと物語が楽しめません!って、そう言う感じのって全く描写されないよな。よく仲間を失って挫折って言うけど、俺からしたらこっちの方がよっぽど辛いと思うのに。

 

いきなり現実の話に戻るけどさ。バスケとか、サッカーとか、人外みたいに努力している人いるじゃん。

 

ファンタジーな世界より、現実離れしている人々。貧困から脱却するためにプロになったんです!って、おとぎ話かよ。

 

俺は、自分がそこまで特別ではないことは理解している。痛いほどに。

 

朝はずっと寝てたいし、戦いで腕を失うとかそう言う前に、指をドアに挟んだだけでもクソ痛いの。この世の終わりくらい。

 

「やっぱ、ツレェわ。」

 

でもさ、やるしかないんだよ。俺が生きてるのは現実だから。剣と魔法なんて、どこにもないんだから。

 

たまに逃げたりするかもしれないけどさ、それでも俺頑張るよ。

 

俺に主人公のような、スーパーヒーローはいない、俺はどこまでも怠惰で、凡人だ。

 

でも、それでも。成功したいことだって、ある。

 

俺は、どうなりたい?

 

世界を救うなんてそんなことはできない。現実はもっと小さい。

 

だから、その小ささを受け止めてさ、前に進めよ。

 

問題を一つ解けるだけで、十分だ。周りと、比較するな。いつだって、敵は自分だ。

 

お前は、昔の俺より強いか?それが、一番重要だ。

 

「そろそろ、寝るか。」

 

俺は眠くなって目を瞬いて、そのままパソコンを閉じた。

 

 

なってやるよ。理想の主人公に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




浪人したくないな

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