星のカービィ ヤンデレもの   作:星の作者

2 / 2
またカービィのヤンデレです
他のキャラは評価をもらってその気になったら書きます


カービィ「コピー能力:○○○」

 

 おれはプププランドで暮らしている、元旅人の異星人だ。種族的な見た目はあのアドレーヌっていう女の子に近い。顔が小さく、胴体を持ち、長さのある手足を持っている。まあ宇宙にはいろんな見た目のやつがいるし、だからどうしたってわけでもないんだが。

 

「キャンド!ウィスピーウッズからリンゴもらってきたよー!いっしょにたべよ?」

 

 こいつはおれと同じく元旅人で同居人のカービィ。ピンク色の丸っこい体をした可愛いやつだが、いざ戦うとなればものすごく強い。何度もこの国を救ってきた英雄ってやつだな。

 そんなカービィとおれが一緒に暮らしているのにはわけがある。といっても、住民から食べ物を奪っていったデデデ大王を倒したカービィが住む場所がなくて困っていたところを拾ってあげたってだけだが。

 実際おれもこの国の一住民としてカービィには助けられてるからな。一人で暮らすには微妙に広い家を貸すくらい軽いもんだ。

 

「ああ、食べようぜ。あいつらがくれる果物は美味いからな」

 

 カービィがカゴいっぱいにもらってきたリンゴを受け取ると、その皮をナイフで剥いていき……あっ。

 

「やべ、手ぇ切った……」

「ええ!?だいじょうぶ?」

「ああ、別に大した怪我じゃない」

 

 旅をしている最中に負った無数の怪我と比べれば、この程度本当に些細なものだ。どうせすぐに治るだろうしな。

 

「それよりほら、リンゴ食べるんだろ?」

 

 皮を剥いていい具合のサイズに切り分けたリンゴをカービィに手渡す。しかしいつもなら喜んで食い付くカービィは、俺の指に視線を向けたまま動かなかった。ヨダレまで垂らしてるのにおれの心配をしてくれるなんて、本当に優しいやつだな。

 

「これくらい大丈夫だって。もう痛くもなんともないしさ」

「うー、でも……えーいっ!」

「うおっ!?」

 

 何やら唸っていたカービィが、いきなりが俺の手にかぶりついてきた。いや本当に何事!?

 

「ちょっ!?カービィ!?一旦離れろって!」

「んん!んー……!んんん……プハッ!」

 

 カービィが口を大きく開いて俺の手を解放する。幸いなことにというべきか俺の手がヨダレまみれとかそういうことにはならず、それどころか……

 

「……あれ?傷がない?」

 

 さっき確かに自らの手で付けたはずの赤い線が消えている。違う場所だったかと色んな角度から覗き込んでみるが、どこにも傷は見当たらなかった。

 

「キャンドの傷ならぼくが食べちゃった!」

「傷を……食べた?」

「そうだよ。もう痛くないし血も出てないでしょ?」

 

 そう、だな。実際に傷は綺麗さっぱりなくなってるんだし、本当にカービィが吸い込んで食べてしまったのだろう。

 

「にしても傷なんてもの食べて、そっちこそ大丈夫なのか?」

「平気だよ!それにいつもやってることだし」

「いつも?」

「あっ……み、みんながけがしちゃったら治してあげてるってこと!」

 

 ああ、なるほど。まあ住民同士のちょっとした喧嘩で怪我をすることくらいならよくあることだ。優しいカービィはそんな怪我による痛みをなくしてあげているのだろう。

 

「よし、じゃあ気を取り直してリンゴパーティーといくか!せっかくだしリンゴづくしのデザートでも作ってやるよ!」

「ほんと!?わーい!ぼく、キャンドの作る料理だいすき!」

「嬉しいこと言ってくれるな!じゃあとりあえず何から作るかな……」

 

 頭の中がリンゴのデザートのレシピで埋め尽くされていく。その時にはもう、さっきの出来事の記憶なんて頭の片隅に追いやられていた。

 

 

 

 

 

 

「じゃあそろそろ寝るか」

「そうだね~……ふわぁ……」

 

 大きくあくびをするカービィを寝室まで誘導する。最近はカービィが「クリーン」のコピー能力で掃除をしてくれていることもあり、うちの寝室はすこぶる清潔で快適な空間と化している。

 

「ほら、カービィのベッドはそっちじゃないぞ」

「うぅん……きゃんどぉ……いっしょにねよ?」

 

 トロンとした目にふわふわしたしゃべり方でこう頼まれてしまうと、つい甘やかしたくなる衝動に駆られてしまう。たまにはこういうのもいいか。

 

「よし、一緒に寝るか」

「きゃんど、と……ぇへへ……」

 

 その言葉を待っていたかのような勢いでおれの胸の中に飛び込んでくるカービィ。そんなぽよぽよの体を抱きしめながら、ベッドの上に寝っ転がる。

 

「……おやすみ、カービィ」

「おやすみ〜……ぐぅ」

 

 速攻で聞こえてきたカービィの寝息につられるように、おれも段々と本格的に眠くなってきた。あ、これ、めぇつむったらもう……

 

 

 

「……もうねたかな?」

 

 眠ったフリをしていたカービィがパッチリと目を開けキャンドの顔色を窺う。彼がぐっすり眠っていることを確認すると、カービィは名残惜しそうに彼の腕の中から抜け出した。

 

「んー……今日は()()を食べようかな……」

 

 まずはケーキのどの部分から食べるかを話すようなテンションで、カービィはキャンドの寝姿を見つめた。

 

「それにしても、さっき食べたキャンドの手と血……おいしかったなぁ……!」

 

 そう、先程カービィがキャンドの手を口に入れたのは、何も傷を癒やすためだけではない。彼の一部を食らうこと。それこそが最近のカービィが最も執心していることだ。

 

 何故そんなことをし始めたのかを説明するには、まず少し前に起きたカービィの心境の変化について語らなくてはならない。

 

 カービィは基本的にみんなのことが好きだった。デデデ大王のことも、メタナイトのことも、ワドルディたちのことも、プププランドの住民たちも、マホロアのようなこの星の外からやってきたものたちも、みんなのことが好きだった。だがその中でもキャンドに向ける感情は、みんなに向けるそれと少し違うものであることにカービィは気がついていた。

 この気持ちはなんだろう。滅多に悩まないカービィはそのことで頭を悩ませていた。

 そんなことを考えながら散歩をしていたある日のこと。たまたま困っていたワドルディをコピー能力を使って助けた時、そのワドルディはこう言ったのだ。

 

「カービィはどんなことでもできるから、好きなものになれるんだね!」

 

 そのワドルディにとっては思ったことをそのまま口に出しただけのこと。しかしカービィにとっては衝撃的な一言だったのだ。

 

 好きなものになれる。じゃあ、ぼくのなりたい好きなものってなんだろう。一番の大好物なマキシムトマト?ううん、あれは食べるためのもので、自分がそうなったら食べられなくなっちゃう。

 他にもいろんな好きなものを頭に浮かべるが、自分がなりたいものと言われるとどれも違った。そもそもカービィはコピー能力のことを便利な力くらいにしか考えていなかったので、好きなものになれると言われてもいまいちピンとこなかった。それでも、ぼくには何かなりたいものがあるという確信がカービィにはあった。

 

「あ、おかえり。カービィ」

 

 そんな風に考えながら家に帰ると、いつものようにキャンドが出迎えてくれた。その時、カービィは気がついた。

 

 ああ、ぼくはキャンドみたいになりたいんだ。

 

 大好きなキャンドとおんなじ姿になって、おんなじものを見たい。そのままずっといっしょにいたい。例えみんながいなくなっても、キャンドにだけは永遠に隣にいてほしい。

 そんなドロドロとした気持ちが、無意識に封じ込められていたカービィの恋愛感情が、キャンドの顔を見ただけで溢れ出してきた。

 その日から、カービィはキャンドになろうとするようになった。

 

 カービィのコピー能力は他者や力を持ったものを吸い込むことでそれが持つ能力を得られるというもの。とはいえキャンドを一息に飲み込んでしまえば、それで彼はいなくなってしまう。もう一度現れる保証もない。

 ならばどうするか。彼の一部を少しずつ食べればいいんだ。カービィはそう結論づけた。

 

 部屋に落ちた髪の毛。伸びたから切った爪。転んだりしてできた傷から流れる血液。そんな彼を構成していたものを、彼にバレないようにしながらカービィは口にしていった。

 カービィにとって嬉しい誤算だったのは、それらがほっぺたが落ちそうになるくらい美味しかったこと。大好きな人は美味しいと気付いてしまった食いしん坊のカービィは、自身の食欲を抑えきれなかった。

 

 だからこうやって夜な夜な眠る彼のところにやってきては、彼を食らうのだ。

 

「……いただきます」

 

 食らうといっても、その行為はあくまでこれまでやってきたことの延長線だ。髪の毛を少し切ってみてそれをパクっとする。刃物で肌に傷をつけ、そこからカービィの持つ吸引力でもって血を吸い上げる。ペロペロと彼の肌を舐めてみたり、唇を重ねて唾液をピチャピチャと飲み込んだり、彼の大事なところであるという股ぐらに生えた()()()を舐めると出てくる液体をしゃぶったり。……まあとにかく、見る人が見れば変態的と称されるであろう行為を、カービィは毎夜繰り返し行っていた。

 

「……ごちそうさま。今日もおいしかったよ、キャンド」

 

 食事を締める挨拶をすると、カービィは再び彼の腕の中に戻っていく。今夜この部屋では何も起きなかった。そんな嘘を残してカービィもまた眠りに就くのだ。もちろん、この出来事についてキャンドが気付くことはない。

 

「ふわぁ……おはよう、カービィ」

「……うん、おはよう、キャンド」

 

 何事もなかったかのように二人は目覚め、そしてまた一日が始まる。

 

 だがもちろん、こんな変わらない日常がいつまでも続くことなどない。

 

「……あれ?カービィ、なんか背が伸びたか?」

「そう見える?」

「いや、気のせいかもしれないけどなんか微妙に縦に伸びてるというか……そういえば手もちょっと長くなってる?」

「またまた。見間違いだよ。ぼく、今まで生まれてからずっとこの姿だったもん」

「そう、か。そうだよな。錯覚か。……よし、朝ごはんにするか。カービィは何がいい?」

「うーんとね、ぼくは……」

 

 カービィは少しずつ、だが着実に、「なりたいもの」になっていく。真にその姿になることができた時、カービィがキャンドをどうするのか。それはまだ、誰にもわからない。

 

「……ん?どうした?」

「……()()()()()、おいしそうだなぁって」

「お前はいつもそう言ってるよな。そんなに美味いか?」

「うん!今まで食べた中で、一番おいしい!」

 

 食らい、喰らい、変わる者。それが行き着く先はきっと、(病み)に満ちた世界に違いない。

 

 

 

 

 

 

「コピー能力:あなた」




キャンド

名前の由来は「灯火の星」→「灯火」→「キャンド(ル)」
カービィの同居人にして人間に近しい姿をした異星人
戦闘力はあんまりない(プププランド基準)
カービィに食欲と性欲とその他諸々が混ざった病みきった感情を向けられているが、それに気付いていない


カービィ

この世界線ではキャンドに重い感情を向けている
精神性が子供っぽいため、まだその理由にも正体にも気付いていない
大好きな「あなた」になろうとしている
ねえカービィ、君は彼とおんなじ姿になれたら、今度は何をしようとするんだろうね?



カービィのヤンデレはカービィ自身の特性と合わせるといい感じに重くなる(持論)
面白い、他のキャラのも見たいと思ったら、高評価・感想よろしくお願いします!(二度打ち)
特に感想だけでもいいので是非……!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。