立花響が財団神拳を習得するようです。   作:Achoo!

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4話でようやく原作主人公がでるシンフォギア二次があるらしい。







邂逅、瞬間冷凍、宣戦布告

数日後。私こと特別災害対策機動部二課所属エージェント・立花は、その任務に似つかぬまでに晴れ晴れとした春の青空の下でリディアン音楽院の門前の通りの清掃をしていた。

 

「おはようございまーす!」

 

右手には帚、左手には取っ手付きのちり取り。服装はよくあるグレーの配色で長袖長ズボンの作業服だ。胸元のポケットの表側には、『私立リディアン音楽院用務員』と全くもってその通りすぎる文字列が刺繍されている。

風に帽子が取られないよう、軽く手で押さえると道行く生徒の一人から威勢のいい声を掛けられる。

 

「おはようございます、朝から元気ですね」

 

振り向いてそう愛想よさそうに挨拶を返す。声の元は、ツインテールでこの学校の制服を着た生徒だった。

 

「ムフフ、聞いてくれます?今夜、ヒロインが遂に主人公に告白するかもしれないんですよー!先週からもうドキドキが止まらなくて!」

 

何の話だろうか?期待に沿えず申し訳ないが、あまりピンとこない。

 

「ええと……」

 

首を傾げる。

興奮しているのか鼻息の音がこっちまで聞こえるが、その熱意と裏腹に理解ができないので当惑するしかない。どう反応するべきなのか分からない私を見かねたのか、隣にいたショートの生徒がツインテールの生徒の頭を上から下げさせる。

 

「ごめんなさい、お仕事の最中なのに邪魔しちゃって……ほら、行くよ弓実」

「ああ、待って!こんなとき、アニメだったら……」

「アニメアニメって、用務員さんに言ったって分かる訳ないでしょー?」

 

そう言いながら、ロングの髪型の子が二人に追随する形で歩き去っていく。ああ、アニメの話だったのか。それは納得だ。恋愛モノだかバトルモノかは知らないが、高校生が深夜アニメを見るというのは中々にマニアックだな、と思いつつ引っ張られて連れていかれる彼女を見送る。

 

「しっかし、なんで私がこんな仕事をしなきゃいけないんですかね……」

 

再び視点を地面へと戻し、プラスチック製の箒でそこら辺に落ちている落ち葉をちり取りに入れながらボヤくと、ゾゾゾー、と背筋が凍るような感触が突然に背中に訪れた。

 

「そりゃ、いつも地下に機動部隊がいたら暇でしかないからやろ」

 

京都弁のセリフとともに脇腹から背骨、そこからやがて二次関数の曲線を描くように右の肩甲骨、そしてついに右肩の頂上まで何かが蠢く感覚が、脳内のシナプスを通して眩いまでに感じられる。

 

「ひゃあっ!?」

 

その余りに突然の衝撃に思わず少し遅れる形で声が出てしまう。周りの通学生から一瞬怪奇の目で見られるが、失礼しました、と一礼すると数秒もしないうちにその視線は元の門前へと戻される。何の感触だろうか、その感覚からして今、彼は肩あたりに座っているのだろうが……

 

「カナヘビさん、何驚かせるんですか……普通に出てきてください」

 

視線を肩のほうにやると、やはり予定調和的にエージェント・カナヘビがそこには鎮座していた。小声で文句を訴えると、彼からはまるで悪気のなかったかのように言い訳を述べる。

 

「すまんのぉ。ボクも眠かったねん、寝ぼけてたみたいや。たまたま君の腰ポケットで寝落ちしてもうたんや、驚かせんようにスニーキングしたんやけど。逆効果やったわ」

 

肩でそう彼は笑いながら供述するが、正直いつも通りに事実と虚偽を入り交じらせて発言しているせいか掴みどころが無く逆に苦しむ。

 

「……本当にスニーキングが効果的だと思ったんですか?」

 

結果論から基づいた逆説的な質問に過ぎないが。

 

「さあ?知らんわ、行動に一々思案を巡らせたらキリないやろ?君も散々分かっとるはずや」

「……遺憾の意くらいは示させてもらいますよ」

 

小言のようで正論な答えに、私は小声で返すしかない。彼の返答はその通りすぎて、当たり前すぎて、何も言い返せない。何なのだろう、この、私が正しいはずなのにうまくいなされてしまって行き場のない悲しき衝動らしきものは……。

 

「あ、あの~用務員さん?」

 

その時、背後から再び女子生徒と思わしき声がかけられる。不味い!彼との会話を見られていたか!?

 

「右肩に……」

 

だが、それ以上にもっと不都合な現実がそこには待ち構えていた。振り向いた先にいたのは……

 

「カナヘビ?が座ってますよ……えっ?」

 

やや黄色気のかかった栗毛にショートの髪型、何よりも見覚えのある瞳。立花響、その人である。

私の、私に対する、私のためであり、かつ彼女のための最大にして最難関な戦いは、今まさにこのような思わぬ形でゴングを鳴らされたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私、立花響は今春、遂に花の女子高校生をデビューしました!

それも、リディアン音楽院高等科という超がつくほどのエリート校にですよ!?今は4月の中旬!もう皆さん各々、交友関係を築いているらしいです。素晴らしいですね、うん。全くもってそれは歓迎されるべきことです。

 

でも、私は少しばかり込み入った事情がありまして。手放しで歓迎できない、言い換えると高校生活をエンジョイできないんですよね。世間一般のJK?とはちょっとかけ離れた存在になっているのです。

ボッチとかそういう意味ではないですよ?その事情というのは過去の遺恨のことでもあり、また今私が置かれているこの立場でもあります。

 

表の顔は女子高生!しかし、裏の顔は日々世の中を照らすため暗躍する秘密組織、二課の切り札!

 

うーん、文字面だけみたら中々出来た設定でしょう。ただ、そう言っても設定には深みが不可欠です。私がシンフォギア奏者になったのはつい先日のことですし、武道経験はゼロです。正直、現状では翼さんの足手まといでしかないというのが客観的かつ現実的な評価になるでしょう。

さらに、だからかどうかは知りませんし、当てつけのようにつけられたのならば怒る権利もあると思いますが、私には悲しき過去、というのがあるのです。黒歴史、といっても差し支えないですね。

 

今は幼馴染の小日向未来という存在のお陰で、私が私でいれていますが、トラウマは薄まっても消えたりはしません。何時何が切っ掛けで私が私で無くなる(アイデンティティクライシス)か、そんなことは私自身にすら分からない、そんな予断を許さない状況となっています。

 

そう、そしてそんな一寸先は闇の状況を揺るがす人物が、今、この私、立花響の目の前にいるのです。

 

「育子……お姉ちゃん?」

 

私の従姉です。立花育子といいます。先ほど驚愕の声を上げていたので、つられて視線を動かしてみたら肩にカナヘビが載っていたもので。気になって声をかけたら、その人はお姉ちゃんでした。

二年前、最後に会った時と変わらない、黒髪を肩の長さまでで切りそろえられた髪型。正直、顔はあまり似ていません……が、そんなことはどうでもいいんです。この再会、たまたまとは思えません。運命的な何かすら感じます。

 

「………」

 

目が点になっていますね、ドンピシャだったようです。それもそうです、だって私も今とっても驚いているんですから。見間違えるわけないじゃないですか。

肩に乗っているカナヘビさんも連動するかのように微動だもしません。どうしましょう?私がした行動とはいえ、気まずいです。知らないふりして立ち去るには間が悪すぎますよね。さらに悪いことに、私は先ほど育子、お姉ちゃんとまで言ってしまいました。

 

「……あ」

 

心にまで留めるならいくらでも取返しが付きますが、残念かつ残酷なことに言ったことはその人の記憶から消えるまで記録として残り続けます。変な空気が流れてきましたね。

 

「……ああ、久しぶりだな、h──」「響ー?どうしたの?早くしないと、学校遅れちゃうよ?」

 

ナイスタイミング!ジャストです、何という素晴らしいところでしょう。育子お姉ちゃんが私に返答しようとする前に、何の悪びれもなくセリフが割り込んできたではありませんか。未来が会話を打ち切ってくれました、変な空気を一瞬で浄化しきってしまいました。さすがは私の未来ですね、頼りになります。

 

「う、うん!ごめんね、未来!」

 

とはいえ、言葉は動揺を隠せていませんね。実もなにも私も予期していた訳ではありません。それはお姉ちゃんも同様でしょう。私の心臓は突如として急激にビートアップを始めたのですから、心ではこう平静を装えても言動にはやっぱり滲み出ちゃいます。

とはいえ、育子お姉ちゃんにこのまま逃げさせる訳には行きません。私は短いながらも再会の誓いを押し付けてから未来を追いかけ走ります。

 

「そ、それじゃ用務員さん、また放課後!」

 

要するに、放課後までに心の自分が言いたいこと、話したい、聞きたい事を整理してから、話し合おう、というのが私とお姉ちゃんの間で唐突に決定した予定なのでした。







響の心情描写が撫公すぎる。
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