「誰が座敷わらしか、俺はただの人間だよ!」全員「んなわけあるかッ!!」 作:ティファールは邪道
上層部との異例の手打ちを終えた神原一家は、この後の予定を聞かれ、不動産に行って転居先を見ようかと思ってることを話すと、それを事前に聞いていた外務部長の唐沢が爽やかな笑みを浮かべながら話しかけてくる……
恐らく、彼の頭ではこの流れを想定していたのだろう、資料も既に手元にあった
「それでは、お仕事や住まいの件につきましては、私の車で移動しながら詳しくご案内いたします」
「あ、宜しいですか?」
「ありがとうございます」
両親がその言葉に感謝しながら、玉狛への挨拶用の菓子折りを勝に渡しておく
「勝、これからお父さん達は引っ越しとかで話をするから遅くなるかもしれん」
「多分、迅さんがこのまま案内してくれるだろうから、菓子折りお願いね?……失礼のないようにするのよ?」
わかった、っと勝が菓子折りを受け取ったのを確認した二人はそのまま唐沢のあとを着いていった……
「じゃあ、迅さん、突然で悪いんですが」
「ちょっと待て!!」
二人を見送った勝が、迅に玉狛支部への案内を頼もうとした瞬間、今度は開発室長・鬼怒田が声を上げた
「?えっと……?」
「開発室長の鬼怒田だ、貴様は一度ワシについて来い!!」
「へ?」
突然の申し出に頭に?を浮かべる勝……
迅が、鬼怒田の言葉に補足をいれる
「あぁ……多分、念について聞きたいことがあるんだと思うよ?」
ーま、減るもんじゃないし付き合ってあげなよ
迅の言葉に納得した勝は、そう言うことなら……
っと鬼怒田の後を着いていくことにした……
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「で!? 一体どういう原理なんだ!?」
案内された、ずらりと並ぶ最先端の計測器やモニターの前で、鬼怒田がデスクをバシバシと叩いて迫ってくる
周りには、他の開発員達が勝の一挙一動を血眼になって見ていた……
「トリオン反応が一切出ない! なのにモールモッドの装甲を粉砕し、瓦礫を浮かせ、瞬間移動のような挙動を見せる! ボーダーの計測器をバグらせたその力の仕組みを吐け!今すぐに!」
目をギラ付かせながら問いかける鬼怒田室長に、勝は困ったように頭を掻きながら、丁寧に説明を始めた
「ええと……まず、俺が使う技術……『念』っていうのは、前提としてみんなが言うトリオンっていうものを必要としません、もっと根本的なもの……
人間を含めたすべての生き物が持っている生命エネルギー……オーラや気功、プラーナとも呼ばれるもののことなんです。それを自在に操る技術のことを念能力といいます」
勝は手のひらを広げ、ごく微量のオーラを凝縮させて見せたが、念は同じ念を操るものしか見えないので、意味がないことを思いだし、それをといた
「これにより体を強くして身を守ったり、物にオーラを込めて武器として使ったり、人によりますけど超能力のような事を行うことができます。誰でも持っている命の力を理解して、鍛えて使っているだけなので、そちらの言うトリオン技術とは根本的に仕組みが違うんですよ…地方や国によっては仙人とか超能力者……もしくは魔女とか陰陽師等と呼ばれていたそうです」
「生命エネルギー……? トリオン器官ではなく、寿命をそのままエネルギー変換しているというのか……!?」
「いえ!?寿命をそのまま使うなんて事はしてませんよ!?……何て言ったら良いのかな?アニメとかで良く見る魔力や気、霊力みたいなものだと思ってくれれば」
ーこの後の予定がなければ、もっと詳しく説明できるのですが……
そう言う勝に、鬼怒田は頭を抱えた
自身がいつも触れているトリオンとは根本的に違うのなら反応がないのは当然である…
「なるほどねぇ。トリオン器官から生成されるエネルギーじゃなくて、生命そのものの力か。だからトリオンセンサーに引っかからないわけだ……おまけにさっきの話を聞いた感じ、結構昔からあるみたいだね?」
ー仙人や超能力者なんて呼ばれてた、って言われてたんでしょ?
迅も興味深そうに納得の表情を見せながら言う
「教えてくれた人の受け売りなので、実際そうなのかわかりませんが、この話しはまた今度……」
一通り説明を終えた勝は、以前から気になっていた疑問を口にした
「あの……鬼怒田さん。ついでに聞きたいんですけど、『トリオン』ってなんなんです?……今まで相手を狩る事しか考えてなかったので、良ければ教えて欲しいのですが……?」
「ぬ? ああ、そういえばそうだったな……?計測ついでに説明してやろう」
ーおい、測定器を用意しろ!
話を聞いていた開発員に指示を出した後、鬼怒田が説明をしてくれた
簡潔にすると、以下の通り
1、トリオンとは、人間なら誰にでもある心臓の隣に位置している見えない臓器"トリオン器官"から生成されるエネルギーを指し、トリガーを動かす際の動力源である
2、地球ではトリオンの概念はこちら側の世界では一般人には秘匿されており、B級隊員以上にしか公表されておらず、C級隊員はなんとなく話に聞いている程度である
3、トリオン器官の性能は筋力や運動神経と同様に個人差が大きく、心肺機能や筋肉と同様にある程度鍛えることは可能だが年齢が若いうち(20歳くらいまで)しか成長しないという性質がある
4、歳をとると緩やかに衰えるがしっかり使っていればある程度維持はできる
「そして、トリオン器官の性能を数値化するのが、この測定器という事だ」
運ばれてきた計測器に延びているコードの先に付いている器具を、勝の腕に巻き付けながら言う鬼怒田とそれを見ないようにする勝……
「?いや、なんで目を背けるの?」
「あ、注射とかされるとき見ないようにしてるからつい……」
「注射なんて使わんわい!男の癖にビビりおって……」
血は平気なんですけどねぇ……っと鬼怒田のあきれ声に返しながら言い訳染みたことを言う勝……
装着が終わると、機械が作動し、静かな機械音が室内に響くと数秒後にメインモニターへ数値が表示された……
良くわからないグラフや数値等が表示され、結果を示す最後の項目が表情された
――【トリオン器官測定結果:トリオン値 4】
「……ふむ」
鬼怒田が画面を覗き込み、腕を組んだ
「数値は『4』か。一般人の平均(0~2)よりは高いが、ボーダーの隊員としてはごく平均的……という数値だな。うちの隊員でもこれくらいの数値の奴はゴロゴロおる」
「4……普通なんだ」
勝は自分の数値を見つめた
念能力の影響で、変質とかはしていないようだった
「まあ、トリオン値が4なら、ボーダーの隊員として正式に登録して、標準的なトリガーを使うには十分な量だよ」
迅がポンと勝の肩を叩いた
「トリオン値4の平々凡々な少年が、トリオンとは全く別の『念』という力でトリオン兵をなぎ倒しておる……くっくっく、意味がわからん! だが面白い! ますます研究し甲斐があるぞ!」
「気安く実験台にしないでくださいね……」
「わかっとるわい!!トリオン体状態での念の使用状況とか知りたいしな!!」
勝は引き気味に苦笑いを浮かべ、鬼怒田はそれにたいして言い返した
「よし、測定も終わったことだし、そろそろ本題にいこうか」
迅がパンと手を叩いた
「それじゃあ勝くん、いよいよ僕たちの『玉狛支部』へご案内と行こうか!」