HACHIMAN vs カプ厨龍園(転生者)   作:地霊殿の壁

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第2話

―――寮の自室に『ピーン…ポーン』とやけに丁寧なチャイムの音が響く。

 現在は土曜日の朝っぱら、当然ながらこんな時間に来客の予定なんてのは入ってねぇ。

 

 警戒を滲ませながらも俺は躊躇いなくドアを開ける。

 

 

「おはようございます。龍園くん」

 

「……何でテメェが此処にいやがる。ひより」

 

「?誰の目にもつかない場所で……といったのは龍園くんでは?あの発言は単に目立たない場所で……ということではなく、監視カメラすらない場所でという意味だと受け取ったのですが……」

 

 

 ……男子寮で護衛の一つもつけずにコレとはな。

 男に対する警戒心の欠片もねぇのかコイツは……いや、単に意識してねぇだけか。めんどくせぇ。

 

 

「……チッそういう意図で間違いはねぇ……が、だからといって休日朝六時に男子寮に入ってくるな。せめて信頼できるクラスメイトの一人でも護衛につけろ」

 

 

俺は苦言を呈しながらも、ひよりを部屋に招き入れる。

 

 

「適当にソファにでも座れ―――今茶を出す」

 

 

 冷蔵庫の下段に突っ込んである新品未開封のペットボトルを取り出し、ひよりに投げ渡してから、別の椅子に腰を掛ける。

 

 

「それで、だ―――入学初日のことならテメェの勝手な妄想……与太話だと言ったはずだが?」

 

 

 俺はひよりを試すよう、そう威圧する。

 

 

「ふふふ、果たして本当にそうでしょうか?龍園くんが認めないのならば、此処は敢えて一つずつ紐解いていきましょう」

 

 

 心底楽しそう、または嬉しそうな表情を隠しもせず、自分の行った推理について語り出す。

 まずは、と言わんばかりにひよりは二本の指を立て―――

 

 

「当初……私が、龍園くんに対して事前にこの学校の仕組みを知っていたのでは?と疑った理由は大まかに二つ―――それに加えて一つ。合わせて三つあります」

 

 

 追加で一本、立てる指を増やした後、全てを折りたたむと人差し指を改めてピンと上げる。

 

 

「一つは初日のHR後……私の名前、椎名ひよりという名前をひと目見ただけで言い当てたことです」

 

「ハッ、教室の入口に名前込みの席順表があっただろうが。それを見ただけだ。それだけじゃ証拠どころか、お話にすらならねぇな」

 

 

「ふふふ、どうやら聞くところによると人は興味がないことはわりとすぐに忘れてしまうそうですよ?他にも、実際の視野角の割に人が見ている範囲は幾分か狭い、とも言いますし……その時点では、ただの文字の羅列で―――さらに龍園くんとは真反対の廊下側に接した私の名前に、そこまでの興味を抱くものでしょうか?とはいえ、最初からクラス毎による闘争がある―――と、予期していたのだとすれば納得も出来ます」

 

「ただし、これだけでは仰られている通り、違和感を抱く材料にはなったにしても根拠にはならないでしょう。続いて二つ目の根拠―――」

 

 

 二つ目……と言うのに合わせてひよりは人差し指に加え、中指を立てる。

 

 

「龍園くんが先生に向けて質問があると言った時、あのとき龍園くんが内容を伝えるまでに明確な間がありましたよね?質問の数まで先に伝えるくらいですから、あの時間で質問の内容を考えていたわけでもない筈です」

 

「では何が龍園くんにとって予想外だったのでしょう? 恐らく正解は―――タメ口に対して注意されなかったことに対して、です」

 

 

 自信満々といった様子で真実(核心)に容易く触れていく椎名ひより。

―――ククッ、面白ぇ。

 

 

「最後に龍園くんが警告として口にした言葉だけでも、龍園くんの考えが読み取れます」

 

 

☆☆☆

 

『―――話は終わりだ、この一ヶ月間。たとえ教師が注意しなかったにしろ、素行不良なんて起こすんじゃねえ。良いな?』

 

☆☆☆

 

 

「―――あの時、龍園くんはこの一ヶ月の間、たとえ教師が注意しなかったにしても素行不良は起こすな、と言っていました」

 

「即ち、この学校の先生方は敢えて生徒に対しての忠告を行わず、知らぬ内に減点が積まれていく―――そういったシステムが組まれている、と龍園くんは予測……いえ確信していたわけです」

 

「では、何よりも明確なタメ口という素行に問題がある行為に対して忠告を受けなかった―――イコールで結べば、それが減点に繋がる行為だと考えが至ったからではないでしょうか?」

 

「ですが、減点になる範囲を最初から知っていたのであれば先生に対しタメ口を聞くなんて行動には最初から出ないはず―――ですので、この時点での私はシステムの全貌ではなく、学校の仕組みを知っていた……と表現しました」

 

 

 

 

 

「では……最後の一つ、です。―――何故、龍園くんは私がミステリーを好むことを知っていたのでしょうか?」

 

 

―――ひよりは三つ目の指をゆっくりと上げる。

 僅かに、だがトーンとテンションが一段階上がったのを感じる。

 

 

「私との会話の後半における、龍園くんの発言―――『小説家にでもなったらどうか?』という言葉(セリフ)。仮にミステリー好きでなくとも知っているくらいには有名ですよね。『刑事コロンボ』や推理ドラマの『相棒』における……犯人役が使う言葉のテンプレートです。余りにも出来すぎている推理に対しての皮肉……そして何より〝自身の行った犯行を否定するため〟に用いられる言葉です。あの場面でその言葉(ネタ)が出てくる時点で白状しているようなものですが、問題はそこではなく―――何故、龍園くんは他でもない私に対して、そのセリフを持ちかけたのか?」

 

 

 

「―――私は普段、本にブックカバーをつけています。本を保護すると同時に背表紙や表紙などが周囲から見えないようにするという機能も有しています―――つまり、貴方は私の読んでいる本の内容・ジャンルどころか、タイトルすらも知りようがありません」

 

「そこで、一つ目の証拠に戻ります。私の名前を思い出す素振りすら見せずにきっちりと言い当てた件……貴方はこの学校のシステムの概要だけではなく、私のことや他のクラスメイトのこと……敷いては他学年の生徒や同学年の生徒達のことを含め最初から―――そう、全てを最初から知っていたのではないでしょうか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――ククッ正解だ、ひより。テメェの言うことに誤りは一切ねぇ、その上で俺が思っていた数段上の答えを叩き出してやがる。嗚呼、文句無しの合格だ」

 

HACHIMAN墜ち回避アンケート必要?

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