情景を書き綴り、野生と見紛う輩から賞金を取る。そんな危険な旅路。

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絵描きのドーブル

 

 私はドーブル。転生者だ。

理由あって、今はしがない画家をやっている。

 

「店員さん、これを40枚」

「え、えーと15000円になります」

「これで」

「ちょうどですね。領収書はいりますか?」

「頂戴します」

 

 といっても、これでお金を稼いでいる訳では無い。

主力というほどでなく、副業に近いのだろう。

そもそもキャンバスが重すぎるため、スケッチブックを複数枚背負っての

旅先でのスケッチ。

 色鉛筆や通常の鉛筆の濃淡を使って、いろんな情景を描いているにすぎない。

これが芸術的な価値を生むとは到底思えないが、

この世界で独りな私にとってこの作業こそ心に余裕を生む。

 

 今日はこのトキワシティで、閉まっているジムの前でうなだれている

トレーナー諸兄をスケッチしていこう。

 悲しみ、怒り、憤り、憤怒、激情、涙、諦観、焦燥。

いろんな表情をしている。

ヒトは面白い。人間観察や心理学の発達といろいろとあるが、

それぞれに人生があっていろんな想いでここに来ている。

 

 ああ、今日もトキワシティのジムの前で黄昏れて……おっと、たそがれていない

男の子がいる。これは珍しい。最後のジムバッジに指定して、この場を立ち去るようだ。

 

「あ、珍しいポケモンがいる!」

 

 これは立ち去った男の子とは違う、背後からの声だ。

 

「いけ、モンスターボール!」

 

 全く。節操がないヒトだ。

町中にいるポケモンを捕獲、拉致しようなんて考えるとは。

他人の所持品と思ったりしないんだろう。

 私は削る前の鉛筆でモンスターボールを弾いた。

ボールは全く反応しないまま、真っ二つに壊れてしまう。

脆いなあ。ぼんぐりで作ったボールは固いが、

現代技術で作られているボールはその限りではないようだ。

 

「くう! じゃあ、バトルだ! 行けっ、フシギバナ!」

 

 バトルか。バトルは苦手だ。

 

「フシギバナ、ハードプラント!」

 

 なにせ、手加減ができないんだから。

 

【ゆびをふる】

 

 

 

 さて、声をかけてきた青年とフシギバナは、深い闇の穴に沈められて昏睡してしまった。

これもバトルの流儀だ。しっかりと賞金をいただいていこう。

たしか、ポケモン協会が、ここらへんの規定をしっかりしていた気がする。

 地面に置いている大きなバッグパックから、協会の仕様書を取り出す。

そして真ん中くらいのページに、それらの規定を参照して大体5000円と策定。

青年の財布から5000円をいただいて、この場を立ち去ることにした。

 

 次はどこへ向かおうか。次はニビシティへ行ってみよう。あそこには、子沢山のジムリーダーがいると聞いている。

彼らの幸せな表情を、このスケッチブックに収めさせてもらおう。

 

 

 ポケモン協会規定:合意のない戦闘、1体のみ → 5000円

 

 上記の文言をスケッチブックにある紙切れを使って、書き置きして去る。

明日もいい天気でありますように。

 

 

:選定技【ダークホール】

 

 


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