We are Always Searching Happy Goal   作:Redemptor

77 / 83
We are Always Searching Happy Goal - 68.5

SIDE - I |カリムとアンティリーネの子供――リオンの存在を、アルベドとシャルティアが知った後。

 

 

 ついに、起きてはならないことが起きてしまった。

 

 永遠に隠し通せるとは思っていなかった。

 

 いつかは彼女たちの耳にも入るだろう。

 

 そう覚悟はしていた。

 

 ――だが。

 

 まさか、こんなにも呆気なく知られることになるとは。

 

 

「アインズ様! あ、あの二人にさえ後継ぎがいるというのに……!」

 

 

 いつものように、アルベドはエ・ランテルの街へ出向いていた。

 

 魔導国の民の安寧を確かめ、慈悲深き統治者の側近として、その姿を民衆へ示すためである。

 

 正直なところ、退屈ではあった。

 

 人間たちを相手にしていると、時には蔑みの念すら湧いてくる。

 

 それでも日を追うごとに、人々が魔導王への賛美を口にし、その偉大さを少しずつ理解していく様子を見れば――ほんの僅かではあるが、誇らしい気分にもなった。

 

 

「……ん?」

 

 

 今日も、いつも通りに終わる。

 

 そう思っていた、その時だった。

 

 全身に粟立つような感覚と共に、ひどく異質な気配を感じ取った。

 

 

「あれは……あの混血女と、あの男ですか」

 

 アルベドの視線の先。

 

 エ・ランテルの街中で、何の変哲もなくデートを楽しんでいるカリムとアンティリーネの姿があった。

 

 そして――。

 

 そこには、アルベドが見てはならないものまで存在していた。

 

 

「……待ちなさい。もう一つ、気配が……?」

 

 

 目を凝らす。

 

 そして気づいた。

 

 

「子供……? では、あの子は……あの二人の?」

 

 

 そういえば以前、エ・ランテル――特に冒険者たちの間で、大きな話題になっていたことがあった。

 

 アダマンタイト級冒険者夫婦に、子供が生まれた。

 

 ならば、その子供は一体どれほどの素質を秘めているのか。

 

 そんな噂だ。

 

 アルベドも耳にはしていた。

 

 だが、その子供が具体的に誰の子なのかまでは把握していなかった。

 

 仕事が多忙だったこともある。

 

 何より今は、ワールドエネミーという大問題を抱えている。

 

 その程度の些事にまで意識を割く余裕がなかったのだ。

 

 

「こ、このままでは……いけません……!」

 

 

 カリムとアンティリーネ。

 

 そして、その二人の子供。

 

 三人が並んで歩く姿を目にした瞬間――。

 

 アルベドの中で、何かが切れた。

 

 

 理性が吹き飛んだ。

 

 

 そして次の瞬間には、彼女はアインズのもとへ全力で向かっていた。

 

 

「おお、アルベドか。何か用――うわああっ!?」

 

「アインズ様! このままでは、このままではなりませぬ! 今すぐお世継ぎを……!」

 

「アインズ様! ご無事でありん――アルベド! わたくしも加勢するでありんす!」

 

 

 その頃。

 

 アインズはいつものように執務室で仕事をしていた。

 

 だが、突然飛び込んできたアルベドによって、普段なら決して上げないような悲鳴を上げ、そのまま椅子ごとひっくり返ることになった。

 

 

 そしてその悲鳴を聞きつけたのか。

 

 『偶然』にも執務室の近くを通りかかっていたシャルティアまで乱入してくる。

 

 

「アインズ様! どうか、このアルベドに!」

 

「抜け駆けは許さないでありんす! わたくしこそアインズ様の御子を――!」

 

「ま、待て! 二人とも落ち着け! まずは話を――!」

 

 

 突然始まった二人からの猛烈な愛情攻勢によって、執務室は一瞬にして大混乱へと陥った。

 

 

 アインズには、とても耐えられそうになかった。

 

 ある程度、いつかこうなるのではないかとは予想していた。

 

 だが。

 

 まさか帰ってきたその日に、いきなりこうなるとは。

 

 

 ――一時間前。

 

 パンドラズ・アクターから、

 

 『本日の執務を代わりましょうか』

 

 と申し出られたのを断った自分が、今になって恨めしくて仕方がなかった。

 

 

「アインズ様! 一体何が――……はぁ。また貴女方ですか」

 

「一体。何ノ。騒ギ――……アア」

 

 

 そんな愛情攻勢に苦しめられていた、その時。

 

 本当に。

 

 本当に幸運なことに。

 

 

 ワールドエネミーについて調査へ向かっていたデミウルゴスとコキュートスが戻ってきた。

 

 

 二人は室内の惨状を見るや否や、状況を理解した。

 

 そして、半ば必死になりながらアルベドとシャルティアをアインズから引き剥がしたことで――。

 

 ひとまず、騒動は収束することとなった。

 

 

 そして当然ながら。

 

 後ほどアルベドとシャルティアは、セバスから厳しい叱責を受け――。

 

 

 揃って謹慎処分を言い渡されることになった。




本日もお読みいただき、誠にありがとうございます。
明日もまたお越しいただけますと幸いです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。