"第一節"
プロローグ
青天の
奇態な様相の女の手を、取った
この世は実に不可思議だ。己の人生がどうなるのかなど、やはり人が予想するべきものではない。現に俺の人生など、誰に予想出来るのだろうか。
――――血に染まった人間の手。手を差し伸べた、
俺は死地を脱し、なぜか今、
現世とは
そしてその世界を守る、
――――彼女と、共に。
俺は……………………、生きている。
✽ ✽ ✽
第壱章
「死の直前」
畜生! 味方は何処だ! どこから脱出すれば生き残れる!
俺はAR-15を手に、背中を部屋の壁に預けた。部屋の中には、砂漠の土に塗れた衣服や布が、かつて此処に人が暮らしていたことを誇示するかのように、置かれている。
この建物は、砂漠の土を塗り固められて作られたものだ。天井近くに造られた光を入れる為の小さな窓が、部屋の中と舞っている埃を、薄く照らしている。
銃声は未だ止まない。敵はしきりにこの建物に対し、射撃を続けて来ていた。敵の発射するAK-47の7.62mmの弾丸が、時折建物の壁を貫通し、粉砕した土を部屋の中に撒き散らしながら、小さな風穴を開けている。穴があくたびに、また新たな光がそこから入ってきて、薄暗い部屋の中に、小さな光を与えていく。俺はまるで蜂の巣のようだなと思いながら、身を低く保った。
どうやら死期は近いらしい。いつもならば、まだ死にはしないだろうと落ち着きを取り戻し、また新たな解決策を見つけて来ては生き残って来たのだが、今回ばかりはもう打つ手が無さそうだ。
俺の緊張は、敵がこの建物に近づいてくる気配と共に、張りつめていく。心臓が早鐘を打ち、血の気も失せ、脳は眩暈を覚えた。視界が揺らぎ、眉根には力が入り、銃を握る手には汗が滲む。
――――己が考えずとも、
どうする。最後まで戦い撃たれて死ぬか、降伏して捕虜となり虐殺されて死ぬか、この場で己の頭を撃ちぬき、死ぬか。
俺は、これでも元軍人だ。捕虜となり、脱出できるチャンスがありそうならば捕虜となるが、脱出できるチャンスが無さそうな相手ならば、最後まで戦って死んでやる。もともと覚悟していたことだ。今更後悔は無い。