そう考えると、なぜか意識がはっきりしてきた。銃を握る手にも力が入る。
この部屋は、この建物の一室だ。そしてこの建物に入る為には、この部屋の入口から見て右側奥にある、建物の入り口から入らなければならない。つまり敵の侵入路は、一つに限られている。敵の侵入路が確定しているなど、待ち伏せする立場としては、これほど伏撃しやすいことは無い。
俺はその場に伏せ、部屋の入口まで這っていくと、銃を左手に構えて身を部屋の入口の右の壁に隠した。そして、その部屋の入口から出した銃の照準を、建物の入り口に合わせる。愛用の光学照準器、ELCAN LDSが、綺麗に対象を映し出した。
俺は、建物の入り口を注視しながら右手で鋼管を軽く引き、左手で排莢口から指を入れて、薬室に弾が装填されていることを確認した。そして安全装置をセミオートに入れ、引き金に軽く左手の指を当てる。いつでも弾が発射できる状態だ。
敵の銃声は止み、建物の入り口に、人の影かいくつも映し出される。その影は、忙しなく動いては止まり、消えて行く。敵の人数の把握が難しい。
だが話し声からして、10人は優に超えている。喋らない敵も考慮すると、15人以上は覚悟していた方が良さそうだ。だがいずれにしても、斃し切れるような人数ではないが。
敵はいずれ突入してくるだろう。チャンスはその時だが、手榴弾を投げ入れられたらフェイタルファンネルを初め狙えなくなる。
――――敵はどうする。どう動く。
俺は今か今かと、じっと建物の入り口を狙っていた。
敵の声が止む。寸刻後、黒い塊が、安全レバーが外れる音と共に投げ込まれた。俺は瞬時に右へ転がって部屋の中に隠れ、遮蔽を取る。塊は音を立てて壁に数回ぶつかり、地面を転がる音と共に、俺が待ち伏せしている部屋の近くまで転がって来た。
俺は口を軽く開き、声を出して目、耳、肺を保護する。
刹那、激しい爆音と共に、爆風が一瞬で部屋に流れ込んだ。耳は爆音で、まるで蓋をされたように音が聞こえ辛くなり、部屋は舞い上がった土で、視界が悪くなる。
だがここで引き下がれば死を待つだけだ。俺は傷ついた体に鞭を打ち、部屋の入口まで駆け込んだ。そして素早く銃を部屋の入口から出し、ELCAN LDSの上部ドットサイトで狙いを付ける。サイトに映し出された赤い点が、ぞろぞろと突入して来る敵の胸に合わさった。先頭の敵が俺に気が付いたが、もう遅い。俺は銃の引き金を連続で引いた。
――――耳元で銃声が爆発した。
痛みを覚えるほど鼓膜が振動し、反動でサイトが何度もぶれる。だが俺は負けじと何度も銃の引き金を引き、弾を敵に発射した。
敵も負けじと銃を射撃してきたが、俺には当たらなかった。ただ次々にバタバタと地面にもんどりうって倒れて行き、血が少しずつ身体から流れ出て来ている。
俺は突入してきた敵の全員が倒れたことを確認すると、一度身を隠し、マガジンを変えようとマガジンポーチに手を伸ばした。が、突然左腕に激痛が走る。