"第一節"
*第弐章*
「霊夢」
――――――――人が立っている。いや、あれは本当に人なのだろうか。
どこか
明らかに不自然な様子であるが、俺の意識はぼやけていて体を動かすことが出来ない。俺は視線も動かせず、ただただそれを見ていた。
「――――――――――――――――
何を言っているんだ、この人は。頭がぼんやりとしているせいか、声もぼんやりとして聞こえる。だがどこかその声は鮮明で、言葉を聞き取ることに支障は無かった。
「っ――――――――――――」
声が、出せない?
「………………ここは決して広くはない。だが人を超える者にとっては、必要不可欠な世である………………。どうかこの幻想郷を守るための協力を、汝にしてもらいたい………………。これは幻想郷の神々、全ての意思である。………………汝は人であるが、同時に
俺は眉を顰めた。相手が言っている言葉の真意が分からない。
「今は汝の力が頼りとなる。よろしく頼んだぞ、峯野之威」
そう言うと、相手はまた滑るように、少しずつ後ろに下がり始めた。光もだんだんと強くなってきて、影が見えなくなってくる。どうか待って欲しい。俺の質問に、答えて貰いたい。俺は追いかけようと前に出ようとするが、肝心の体は動こうとはしなかった。いや違う。俺の意識が、追うことは不埒だと警鐘を鳴らしているのだ。
俺の視界はやがて白一色に染まった。もう何も見ることは出来ない。ただただ白い世界だった。だが世界はそこに浸ることを許さず、やがて意識が急速に現実に復帰した。
✿ ✿ ✿
おかしい、天井が見える。それも立派な木の天井だ。俺はアフガンに居た筈なんだが、どうして木造建築なんだ?
あぁ、そうか。
俺の体には毛布が掛けられていた。さらに周りを見渡すと、点滴のようなものを見つけた。点滴の袋から出た薬液は、俺の体にまで伸びているらしい。チューブが毛布の中にまで伸びている。試しに毛布の中を見てみようと右腕を動かそうとしたとき、右腕を中心に激痛が走った。