東方死謎狂 -巫女と男の運命-   作:Veruhu

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"第二節"

「くっ…………。痛ってぇぇぇぇぇ」

 

 俺の体の傷は、死んでも治らないのだろうか。身体は死んだ筈なのに、やけにリアルな常世(とこよ)だな。

 

 そう思った時、左奥の方にあった(ふすま)が、木を擦る昔懐かしい音を立てながら開いた。そして部屋に入って来た人と目が合う。

 

「…………あっ! 峯野さん、気づかれましたかっ?」

 

 その人はそう言うと、薬品のようなものをいくつか載せた綺麗な木の盆を持ちながら、近づいてきた。その人は嬉しそうに笑っているが、俺は今自分が見ているものが( ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)信じられない。

 

「峯野さん、私が分かりますか? 喋れますか?」

 

 その人は両ひざを付き、俺に顔を近づけながら聞いてきた。しかし信じられない物( ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)が、垂れ下がってきて( ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)俺の顔の近くまで接近する。端正で可愛い顔だ。だが、やっぱりなにかおかしい。

 

「は、はい大丈夫です。分かります」

 

「あぁ、良かったです! 今お師匠様を呼んできますから、少し待ってて下さいね」

 

 そういうと踵を返し、俺の下から離れて行こうとする。だが俺はこの異常な事態に疑問を呈さないほど、無頓着な人間ではなかった。

 

「あ、あのちょっと待って貰えませんか?」

 

「あ、はい。どうかされましたか?」

 

 その人は足を止めると、こちらを振り返った。

 

「えーとー、すみません。あのー、――――――――――――――――ここは風俗か何か( ・ ・ ・ ・ ・)ですかね?」

 

「はい?」

 

 その人は首を傾げた。

 

「あぁいや、風俗という言い方は不躾でしたね! ここはそういうプレイ( ・ ・ ・)をするところなんですね。いやはや、死んだ直後にまさかバニーガール( ・ ・ ・ ・ ・ ・)の看護師さんに下のお世話をしてもらえるなんて、むしろ死んで良かったなー、なんて!」

 

「ふうぞく? バニーガール? プレイ?」

 

「そんなとぼけなくてもいいじゃないですか、バニーガールさん! 肉体労働ばかりで女に縁の無かった俺を、いろいろと慰めるために考えてくれたシチュエーションなんですよね! いやー、そこまで欲求不満なつもりは無かったんですけど、天国とはいいところですね! 私、感激しました!」

 

「いやっ、あのーあなたが何を言っているのかさっぱり分からないんですが…………」

 

「大丈夫です! 看護師さん! 私の体はボロボロのようですが、私の息子はきっと元気です! さぁ、お願いします。バニーガールさん!」

 

「は、はぁ…………」

 

 バニーガールさんはなぜか無表情で、仰向けの俺の左横に近づいてきた。そして先ほどのように両ひざを付き膝立ちの状態になると、なぜか右腕を振り上げた。いやまさかね。

 

「あの、ちょっとぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」

 

 バニーガールさんは何を思ったのか、そのまま右腕を勢いよく振り下ろし、俺の息子を思いっきり殴ってきやがった。

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