魔法の才能ゼロの令嬢に最強ジジイが科学を教えたら?→A.めっちゃ無双する:【才無し侯爵令嬢と魔法ジジイの科学革命】 作:Koh_novel
家に帰ってきた。
玄関を開けて、靴を脱いで、いつもの居間に戻る。——さっきまでドラゴンを殺していたとは思えない日常感だった。
グリモワルドが、唐突に言った。
「そうじゃ。ついでにゴミ箱の使い方も見せておくかの」
「……ゴミ箱?」
ピリカは首をかしげた。——なぜ今、ゴミ箱の話なのか。
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居間の端に置いてある、ピカピカの丸いゴミ箱。引っ越してきた時からそういえば少し気になっていた。やけに綺麗で、内側が鏡のように光っている。蓋つき。
「ほれ、ついでに家のゴミも全部入れてしまえ」
ピリカは言われるままに、台所の生ゴミや、書斎の紙屑、割れた陶器の欠片なんかを集めてゴミ箱に放り込んだ。
グリモワルドが蓋を閉めた。
「よし。外に出るぞ」
「え、外?」
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二人で玄関を出た。
グリモワルドが空を見上げて右手を翳した。——その動作を、ピリカはつい数時間前にも見ていた。ドラゴンの前で、右手を翳した時と全く同じ動作。
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——光の柱が、家の煙突に向かって落ちた。
さっきの、あれだ。あの光だ。間違いなく——ドラゴンを灼き殺したあの光が、自分の住んでいる家の煙突に向かって照射されている。
「え、え、え、ええぇえええ!?」
ピリカの声が裏返った。
「それ、ドラゴンに向かって撃ったやつですよね!?」
「そうじゃよ」
「なにやってるんですか!? 家が火事に——」
言いかけて、止まった。——燃えていない。煙突から煙も出ていない。家は何事もなく建っている。
「——ならない……?」
「ならんよ。あのゴミ箱、内側が全部鏡面じゃろ。光を中に閉じ込めて、中身だけ燃やす仕組みじゃ」
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十秒ほどで、光が消えた。
「ほい、中に戻るぞ」
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居間に戻って、ゴミ箱の蓋を開けた。
——中は、完全に空だった。
紙屑も果物の皮も、何もかも消えている。跡形もない。灰すら残っていない。鏡面の内壁にピリカ自身の顔が映っている。
「……これ、こんな使い方だったんですね」
「便利じゃろ?」
「なんか色々と間違っているような……」
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〜〜【回想——数十年前】〜〜
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森の中。魔物が五、六匹、群れをなしている。
グリモワルドとボルトランが、並んで立っていた。まだ二人とも若い。
「そういえば、ソーラーレイを改良したんじゃよ」
「改良? あれ以上何を改良するんだ」
「まぁ見ておれ」
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グリモワルドが両手を広げた。
魔物たちの周囲に——鏡面の球体が出現した。ガガガッと、地面から光る壁がせり上がるように、魔物たちを完全に包み込んでいく。
球体が閉じた。中の魔物たちの姿が見えなくなった。
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グリモワルドが、球体に向かってソーラーレイを照射した。
光が鏡面の球体に吸い込まれていく。外には何も漏れない。音も、熱も、光も。ただ、球体の表面がうっすらと白く光っているだけだった。
三十秒ほど経った。
「もうよかろう」
グリモワルドが手を下ろして、球体を解除した。
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中には——何もなかった。
骨も、肉も、鱗も、何一つ残っていない。完全に蒸発していた。地面すら無傷だった。——全てのエネルギーが鏡の中に閉じ込められていたのだ。
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ボルトランが、数歩後ずさった。
「な、なんだこの威力……」
「太陽のエネルギーが鏡の中で逃げないから、これくらいにはなるみたいじゃの」
「なんという……。いや待て」
ボルトランの顔が、戦慄から怒りに変わった。
「魔物の素材まで全部焼き尽くして消えてるじゃないか!!」
「ふむ? ダメじゃったか?」
「ダメに決まっているだろう!! こんなことができるやつはおらんから考えてもなかったが、魔物の素材には色々な活用法があるんだ! 残してくれ!!」
「じゃあこの技は封印か……」
「そもそも普通のソーラーレイで十分すぎるだろう。別にこんな高威力は要らんだろ……」
「それはそう。ちょっと思いついて試したくなっちゃった」
ボルトランが額に手を当てた。
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〜〜【さらにその数年後】〜〜
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グリモワルドの家。一人で何かを考え込んでいる。
「思いついたっ!!!————ゴミを燃やせばいいんじゃ!!」
がたっと立ち上がった。
「全部消える!! 家に設置せねば!!!」
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——こうして、世界最強の魔法の最終系は、家の丸いゴミ箱になった。
【作者の裏話】
実は14話にさりげなくこの焼却炉出てきてたりします笑
一番最初らへんから、ソーラーレイをゴミ箱に転用する話は用意してました笑
↓14話↓
https://syosetu.org/novel/415370/15.html
そしてナカタカさん、金属の水瓶と羊さん、栞奈さんより高評価いただきましたっ!!(*>∇<)ノ