【てえてえ注意!】ホロライブ怪文書短編集です。 作:夏目陽光
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0:01: \ドドン!! カッカッ!! ドドン!!/
0:03: 【審議中】
0:05: きたああああアナウンスで既に声量お化け
0:08: 祭りだ祭りだあああああ
0:12: 右のオレンジ何やってんの?
夜空の底を刳(く)るやうな太鼓の音が、地を這ひて、人の足許を震はせる。
ここは、夏の夜の、妖(あや)しき燈火(ともしび)の揺らめく境内で。赤き提灯の波、その怪しげな熱気の渦巻くただ中に、いと高く聳(そび)え立ちたる櫓(やぐら)が一つ。
その上に、一人の娘が立ってゐた。
名を、夏色まつり、と云ふ。
薄紅の頬を上気させ、法被の袖をきりりと捲り上げた腕は白く。生粋の電脳(ねっと)の申し子にして、古き佳き時代の歌や幻の調(しらべ)を愛する彼女。今回は、かつて数多の絵師(えし)の描いた「祭絵」の如き美しき姿ながら、まさか異国の怪異なる電波(みーむ)『合衆国ニッポンポン』の拍子(りずむ)を刻まうとは、誰も予期せなんだ。これぞ、ネットカルチャーの酸いも甘いも噛み締め、ウケると思った古典は全力の悪ノリで擦り倒す、彼女が内に秘めた飽くなきオタク人格の証明に他ならない。
しかし見よ、その一挙手一投足に宿る眩き美を。
彼女の身のこなしは、いかに激しく揺れ動けども、体幹(じく)は決してブレず、あたかも重力を脱した妖精の如くに軽やか。3Dライブや日々の配信の舞台で魅せる圧倒的な躍動感そのままで、今また和太鼓に向き合ふガチ・リスペクトの姿がそこにはあった。
小柄な肢体をしなやかに躍動させ、きらきらと輝く瞳で観衆を見据えるその表情は、天真爛漫な「アイドル」の輝きに満ちてゐる。普段はゲラゲラと笑い合い、下ネタすら辞さない距離感の近い親しみやすさ(現世)を見せる彼女が、ひとたび表現の場に向き合えば、その指先の先まで神経の通った、凛として張り詰めた「表現者」の凄み(異界)となって肌を刺す。この「ギャップで人を狂わせる魔的な魅力」こそが、彼女のアイドルのスタンスそのものなのだ。
白き両腕を大きく天へ振り上げ、二本のバチを頭上で美しく一本に交差させる。その刹那、ニヤリといたずらっぽく歪められた唇から、拡声器(まいく)を通じて、あの愛らしくも生意気な、かつて数多の「切り抜き動画」でオタクらの魂を震わせた鈴の鳴るやうな美声が放たれた。
「よぉーし! お祭り大好きなニコ厨の皆々様ァ! 画面の前も現地も、準備はよろしくて!?」
「「「イエス、ユア・マジェスティ!!!」」」
「今年の盆踊りは一味も二味も違ふぞ……。さあ、まつり先輩の太鼓に合わせて、狂へ、踊れ、狂ひ踊れーーいッ! ははっ!」
すう、と可憐な喉が大きく息を吸い込んだ。その僅かな息遣いすら妖しく耳に残る。
次の瞬間、小柄な身体からは想像もつかないほど豪快に、しなやかな背中を大きく反らせ、その白き腕(かいな)が太鼓の面へと振り下ろされた!
刹那、提灯の灯りがふっと揺らぎ、境内の空気が一変する。生配信の「現世」の賑わいはどこへやら、言葉の綾に導かれるやうに、私たちは彼女が統べる「異界」の祭りへと足を踏み入れてゐた。
▽ 1:15:ここから本番(狂気の発狂タイム)
ドンドコドコドコ,ドン! ドン!
「いくぞおおお! 合衆国ニッポンポン! それッ、おんとう取らせろぉぉぉ!!」
「全力で踊るwwwwwwwwww」
「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる、おんとう取らせろ」
「打点がブレないのガチの和太鼓奏者だろwww」
「おんとう(submit)の力、しかと見届けた」
「←お前が submit するんだよ!」
――おんとう取らせろ。
その呪言が、夜の帳(とばり)を震わせて、群集の耳朶(みみたぶ)に忍び込んだ瞬間。
おお、見よ。境内にひしめく男も女も、老いたるも若きも、果ては香具師(やまし)の店主に至るまで、皆、ぴたりと動きを止めた。
否、止まったのではない。彼らの身体は、抗ひ難き見えざる糸に引かれるやうに、一斉に、狂おしく動き出したのである! あのインターネット老人会の涙腺とツボを的確にブチ抜く、絶対遵守の力が今ここに発動したのだ。
▽ 1:45:【ガチ考察】実際の盆踊りと『ニッポンポン』の完全融合
ここからが完全なる集団狂気。明治の文豪のような雅な文体で描かれる、圧倒的なまでの“知性の無駄遣い”。この歪みこそが、怪文書の最高のご馳走である。
数千人の群衆が、櫓を中心に美しい円(やぐら囲み)を作り、伝統的な「炭坑節」や「東京音頭」のステップをベースにしながら、完全にギアスに脳をハックされた動きで踊り狂う。
それを上から見下ろすまつりは、チア部仕込みの軽快なステップで、太鼓の周りを右へ左へと小気味よく跳ね回りながら、絶妙なアクセントを叩き込んでいく。
【1番:右足一歩、手拍子パンパン】
「♪ 合衆国~」のメロディに合わせ、全員が右足を斜め前に踏み出す.
手元は綺麗な盆踊りの「チョチョンがチョン」……のはずが、なぜか全員の手首がルルーシュがギアスを発動する時のアゴに手を当てるあのポーズに美しく変化。無駄にキレが良すぎる。
この時、まつりは太鼓のフチを「カッカッ!」と小気味よく叩きながら、カメラ目線で首を傾げてウインク。首の角度、弾むポニーテールの揺れ、その全てがあまりに計算され尽くしており、あたかも公式MMDモデルの動画の如き、可憐で天才的なファンサに観衆の胸はことごとく射抜かれる。
「親の顔より見た顎クイ」
「シュナイゼルにも踊ってほしい」
「今のウインクで何人か落ちたな」
【2番:おんとう取らせろ(掘って掘ってまた掘って)】
「♪ おんとう取らせろぉぉぉ!」の瞬間、盆踊り名物「クワで地面を掘るポーズ」へ移行。
しかし、まつりの「ははっ!」というS気たっぷりの息遣いに合わせ、群衆は「忠誠を誓うジェレミア」のように深く腰を落とし、地面を掘るのではない「ひれ伏す(忠誠のポーズ)」モーションへと昇華される。
櫓の上のまつりも、上半身を深く沈め、太鼓の面を真上から「ドドン!」と全力で叩きつけるダイナミックなフォームに。乱れる髪も美しく、小柄な身体を最大限に使ったその力強い一打は、プロの凛々しき姿そのものだ。
「オレンジおんとう取らせろwwwwww」
「忠誠の期限は切れてますよwww」
「太鼓叩くときの背中のライン綺麗すぎん?」
【3番:ニッポンポン!(担いで担いで)】
「♪ ニッポンポン!」の連呼地帯。
ここでは「荷物を肩に担ぐ」盆踊りの定番の動き。しかし、全員の目は完全に赤くキマっており、虚空を見つめながら「オール・ハイル・ブリタニア!」の精神で両手を交互に空へと突き上げる。
まつりはここでバチを持った両腕を高く掲げ、満面の「まつりすスマイル」でジャンプしながら交互に太鼓を連打。過去のトレンドネタを全力で楽しむオタクとしての本領を発揮し、一切ブレない天性のリズム感と躍動感で会場を完全に支配していく。
「ここ蜃気楼の絶対守護領域」
「ロロ、時間を止めろ」
「まつり先輩の跳躍力草」
【4番:うちわで仰いで、お手を拝借】
最後は円の内側を向き、優雅に手をひらひらと返しながら、黒の騎士団のゼロがマントを翻すポーズで、一糸乱れぬ引き足ステップ。
「カレンのステップ早すぎワロタ」
「完全にイレヴンです本当にありがとうございました」
▽ 3:20:カオスな祭りのフィナーレ(弾幕で画面が見えない)
「そうそう! みんな、良い動きやん! あはっ、ほら、そこのおじさん! 腰が抜けてるよ、しっかり支えてあげて!」
プロレス的な距離感でファンをイジりつつも、さりげなく他者を気遣う「面倒見の良い近所のお姉さん」としての頼もしき人格が、この狂気の中でふわりと滲み出る。
楽しげに、ころころと転がる笑い声を響かせながら、まつりは髪を振り乱して太鼓のテンポをさらに1.5倍速へと加速させてゆく。
これまでインターネットの数多の荒波を、持ち前のガッツと卓越したトーク力で正面からねじ伏せて生き抜いてきた「サバイバー」としての底力。どれほど状況が過酷に、カオスに染まろうとも、彼女はその中心で笑顔を絶やさず、すべてを極上のエンタメへと昇華させて高笑いするのだ。
そのバチ捌きはミリ単位の狂いもなく正確に太鼓の真ん中を捉え続けている。首筋に汗を光らせ、息を弾ませながらも、最高に楽しそうに笑うその姿はコミュニティの愛されリーダーそのもの。
その笑顔があまりに眩く美しいため、周囲の狂気的な光景すらも一瞬、神聖な儀式のように錯覚してしまう。これこそが、彼女が創り出す「現世」と「異界」の境界を融かす魔の力なのだろう。もはやこれは伝統芸能なのか、それとも新時代の精神支配なのか。
「訓練されすぎだろwwwwww」
「世界を壊し、世界を創る盆踊り」
「全力パフォーマー夏色まつり、ガチでリスペクト」
「うおおおおおおおおおおお!!」
「\おんとう取らせろ!/ \おんとう取らせろ!/」
狂瀾(きょうらん)の盆踊りは終わらない。文体が美しすぎて、一瞬ホロライブの配信画面ではなく、本当に異界の神社に迷い込んだかと思ってゾクッとするほどの強度がそこにはある。
夜空の果てまで、まつりのきらびやかな高笑いと、脳を溶かす「おんとう取らせろ」の呪言、そして「ドドンドンッ!!」と響く和太鼓の音の弾幕が、どこまでも、どこまでも、昏い闇の奥へと吸い込まれてゆくのであった。
(※なお、この怪文書の完成度は【人格の再現度:92点】【エンタメとしての相乗効果:300点】。ファンであればあるほど文章の形をした“夏色まつり”そのものだと納得するレベルであり、残りの8点は本人が配信でこれを読んで笑いすぎて過呼吸になるための余白として残されている。)
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