【てえてえ注意!】ホロライブ怪文書短編集です。   作:夏目陽光

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【美術】美大卒が限界突破して語る『鳥獣戯画』の沼。完璧すぎて脳が焼ける。【儒烏風亭らでん】

さぁさぁお立ち会い! 寄ってらっしゃい見てらっしゃい!

そもそも、この日の下、我らが愛してやまない「日本の漫画・アニメカルチャー」の源流をずーーーっと遡ればさぁ……古《いにしえ》より伝わるお化け国宝、あの『鳥獣人物戯画』に辿り着くわけですよ! [机をバシバシ叩く音]

 

見てよこの墨線一本! これ、色を一切使わずに墨の線だけで描く「白描画(はくびょうが)」っていう技法なんだけど、現代の神絵師が千人束になってかかっても敵わないくらい、ビチビチに躍動してるじゃん!? 絵師の筆先ひとつでさ、ただのカエルやウサギの絵に「命」がドバドバ吹き込まれてるわけ。人呼んで「日本最古の漫画」、あるいは「モノクロ線画の最高峰」!

 

……ところがギッチョン、世間の常識ってのは恐ろしいもんでさ。

みんなこれ「ウサギちゃんカエルちゃんおもしろおかしく遊んでて可愛い〜癒やされる〜」とか思ってるでしょ? 甘い甘い!

千年の時を経て、この絵巻の真の姿がさぁ、そんなヌルい遊び心だけの枠に収まらなくなっちゃったの! なんでかって?

この歴史の裏に隠された、当時の生活や世相をゴリゴリに反映したドス黒い「皮肉(風刺)」が暴かれちゃったからなんだよねぇ!

 

見なせえ! 画面狭しと暴れ回る獣どもがさ、ただ遊んでるだけかと思いきや、気付けば人間の生々しいパロディに化けおおせてるこの不思議! [扇子をパァン!と開く音]

 

しかもこれ、普通の絵巻物にあるはずのストーリー説明──いわゆる「詞書(ことばがき)」が一切ないの! テキストなし、完全なる「絵だけの力」で展開していくわけ。

だからこそ! 「見る人の視点(バイアス)によって、解釈がガラリと変わる」のが、この鳥獣戯画の最大の面白さであり、沼なわけですよ! 文字による「正解」がないから、立場によって全く違う世界が見えてくるの!

 

例えばさ、【風刺画として見る社会批判の目】。

「これは当時の腐敗した僧侶や貴族をバカにしてるんだ」っていうバイアスで見ると、カエルのくせに偉いお坊さんのフリをしてサルの本尊の前で「なむなむ…」ってお経を唱えてるあのシーンが、「形だけの信仰への強烈な皮肉」に見えるわけ。さらにおべっかを使うウサギの姿も、権力社会の滑稽さの表現に見えてくる。

 

でも一方で、【娯楽・漫画として見るエンタメの目】。

「ただ面白いものを描こうとしたんだ」っていうバイアスで見れば、あのウサギとカエルの超有名な相撲シーンだって、当時の流行り遊びの純粋なスケッチや、ただのユーモアとして映るんだよね。

 

というかさぁ! 娯楽と言えば、この絵巻の「丙巻(へいかん)」や「丁巻(ていかん)」を開いた瞬間、私はもう親近感で脳汁がドバドバ出ちゃったわけ!

だって見てよこれ、双六(すごろく)やら囲碁やらの「博打(ギャンブル)」にガチで熱中してるお坊さんや庶民の姿が、めちゃくちゃ生々しく描かれてるの!

おいおいおい待て待て待て! 1000年前の人間も私と全く同じことしてんじゃん! お坊さんのくせにサイコロの出目に一喜一憂して、生活費だかお寺の金だか知らんけど、絶対なんか賭けて人生狂わせてんだよこれ! 最高すぎるだろ!!

宮中行事の「賭弓(のりゆみ)」とかさ、現代の運動会みたいな年中行事の裏でも、きっと当時の連中は「どっちが勝つか」で盛大に賭け合ってたに違いないわけ。あ〜〜〜混ざりたい! 私もこの時代に生まれて、お坊さんたちと一晩中サイコロ振ってどんちゃん騒ぎしたかったなぁ!! ──はっ、いけないいけない。お酒も入ってないのにギャンブル欲が暴走しちゃった。

 

話を戻すよ? プロの視点、【修行・手本として見る画家の目】。

「これ、若手の絵師が筆運びを練習したスクラップブックなんじゃね?」っていうバイアスで見ると、全4巻で時代も画風もバラバラ、場面転換に一貫性がないのも「デッサンの練習ノートだから」ってめちゃくちゃ納得がいっちゃうわけ!

 

そして【歴史資料として見る研究者の目】。

「当時の風俗を知るための記録だ」として見れば、動物たちの仕草や道具の使い方一つひとつが、平安末期の人々の身のこなしを忠実に再現した、超一級のドキュメンタリーに見えてくる。

 

これ、現代を生きるオタクどもが、これを見逃すはずがございません! [机を激しく連打]

 

「おい待ておい待て! 1つの画面の中に同じキャラが時間をズラして何度も登場する『異時同図法(いじどうずほう)』とか、カエルの口から出てるあのブクブクした『現在の漫画のスピード線』みたいな表現……これ完全に現代の漫画的手法じゃねえか! 800年前にこれ発明したやつ天才すぎるだろ!!」と、限界突破して勇み立つは、美大卒の私、儒烏風亭らでん!

 

「いや待て、そもそもこれ誰が何の目的で描いたんだよ!? 長らく『鳥羽僧正覚猷』の仕業だって言われてたけど今じゃ確証ナシ、作者不明! いろんな説が飛び交って今も大激論が続いてるじゃん!」と、不敵に画面に齧り付くのはリスナーのテマエラ!

 

そう! 結局のところ、誰が何の目的で描いたかは謎のまま。

結論を言っちゃえばね、描かれた時の意図すら「謎」だからこそ、「現代の私たちがどう解釈しても絶対に間違いではない」っていう、めちゃくちゃ自由度の高い究極のアートなわけですよ!

 

だけどさ、唯一、プロの目利きが「ん?」って立ち止まる可能性があるとすれば、それは描かれた内容の不自然さなんかじゃない。「人間としての完成度が高すぎる」っていう、逆説的な違和感なんだよね。

 

普通さ、人間がこれだけの熱量でべらんめえ調にまくしたてると、どこかで話が脱線したり、さっきみたいに急に自分のギャンブル趣味を語り出したり、感情が先走って構成がめちゃくちゃに崩壊したりするわけよ。現に私の生配信だって、いつもはもっとグダグダのバタバタじゃん!?

 

なのに見てよ、この絵巻!

1ミリの無駄もない完璧な構成! 興奮の渦に巻き込んでいるように見えてさ、全体の文字数、専門知識の配置、4つの視点の鮮やかな対比、配置された博打の描写、そして最後のオチへの収束までが、まるで「プロの構成作家が1週間徹夜で推敲したレベル」で死ぬほど緻密なわけ! 脳が焼けるような「パッション」と、鳥肌が立つほど冷徹な「ロジック」が完璧に両立しすぎちゃってる。ここだけがさ、この絵巻の唯一の、人間離れした恐ろしいほどの美しさなんだよねぇ……。

 

そこへ墨の濃淡、かすれの妙、筆圧のコントロールというガチのアート技術まで加わって、我こそはと名画の証明を突きつける!

走る筆の勢いと、1000年間受け継がれてきたカルチャーのDNAがガチッと混ざり合って、世はまさに大・興・奮の極み!

 

さぁみんな、準備はいい?

もう逃げられないからね。この墨一色《ひといろ》が無限の命を宿す、時空を超えた超絶技巧の絵巻の沼へ……真っ逆さまに突っ込んでいくよぉ!!

 

──最後にひとつ聞かせておくれ。

手前(テマエ)たちの目には、あの動物たちの騒ぎが「平和な遊び」に見えるかい?

それとも……「人間社会へのドス黒い毒」に見えるかい? [扇子をパシッと閉じる音]

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