リゼロガチ勢がリゼロ世界に転生してしまう話 作:愉悦希望者/らるす
連載を始めたこの小説ですが、書きダメなどはなく
見切り発車での連載になりますので更新に時間がかかってしまうのを
広い心で待って頂けると幸いです。
感想も早速いただけて大変嬉しいです!!
全て読んでいますのでぜひ感想いただけると嬉しいです!!!
あの衝撃の出来事から三年がたった。
この三年で把握できたことはとても多く、とくに夕弦――アトラスには、とても見過ごすことのできないことがあった。
それは、転生したこの世界が愛してやまないリゼロの世界だということだ。
(生まれたのがルグニカの貴族だと知った時は、本当に驚いたな~)
今でこそある程度落ち着いているが、転生当初は慌てふためき、かなり取り乱していた。赤子の身では泣くことでしか激情を表すことができず、見知らぬ両親の前で何度も泣いてしまったものだ。
そんなこんなで数か月がたった時だった。
少しずつ状況を理解しつつ、周りの話になんとなく耳を傾けているとき、ふいに入ってきた情報を聞き、再度慌てふためくことになった。
ルグニカ、剣聖、剣鬼、竜、魔女――いくつもの聞き覚えしかない単語たち。
その日、アトラスはリゼロの世界に転生したことを理解したのだった。
(まさかリゼロの世界に転生するとは、さすがに予想外すぎるよ~。でも! リゼロの世界に来たってことは会えるんだ!!)
「ナツキ・スバル君に――」
起きた出来事を理解し、早くも楽しみ始めていたアトラスは胸を高鳴らせていた。
分かったことは、もちろん他にもたくさんある。
その一つが自らの出自だ。
彼はこの世界でアトラス・エルカディアとして名を受けた。
エルカディア家とはルグニカの由緒正しき家系であり、立場としてはあのアストレア家と同等のものである。
(こんな家系の貴族は原作にはなかった……なんか違和感がないわけでもないけど。まぁ、あまり気にしなくても大丈夫かな?)
小説やアニメですべてが描かれているわけではないし、そういう家系もあったのだろう。
それに――
「――アトラス。この世界でも星の名前なんて、最高すぎる!!」
リゼロの世界で星の名前とは、大変意味のあることである。
前世ではスバルに共感した要因の一つでもあるので、星の名前を引き継げたことは嬉しい誤算でもあった。
コン、コン。
嬉しさで少しはにかんでいたところ、部屋にノックの音と可憐な女性の声が響く。
「アトラス。入りますよ」
ドアが開かれ、入ってきたのはアトラスの母、エレノア・エルカディアであった。
当代のエルカディア家当主、ジェラルド・ヴァン・エルカディアの妻であり、黒髪黒目という、この世界では珍しい見た目をした若く可憐な女性である。
両親ともに美しく、転生した当初はひどく慣れないものであった。
その容姿の良さはアトラスにもしっかりと引き継がれ、女の子のような顔立ちに、きめ細かい白い肌。ショートカットの黒髪は艶やかで、その美しさをいっそう際立たせていた。
入ってきた母のほうを向き、前世の自分とは似ても似つかない今の容姿を思い浮かべつつ声を返す。
「お母さま、おはようございます! こんな早朝にいらっしゃるなんて珍しいですね。なにかご用が?」
「おはようございます、アトラス」
そんな年齢に見合わない台詞に若干の呆れを滲ませつつ、挨拶を返すエレノア。
ため息をついたエレノアは言葉を続けた。
「なにかご用って、前々から言ってあったでしょう! 今日はテレシアさんのところに行く日だって。もう、この子ったら……はぁ」
「ああ! そうでした! 今日はお母さまのご友人であるテレシアさまのところへ遊びに行く日でしたね! いつもは連れて行ってもらえませんでしたので、すっかり忘れていました!」
テレシア・ヴァン・アストレア。
エレノアの友人であり、当代の『剣聖』でもある。
今日の予定を思い出したアトラスは、一気にテンションが上がる。
なんといっても原作のキャラに会えるのだ。
当代の剣聖に、近衛騎士団団長、剣鬼ヴィルヘルム。
そして何より――
「本日は僕と同い年のご令息にも会えるのですよね!! すごく楽しみです!!」
アトラスは興奮を抑えつつも、やはり取り繕うことができず、足をじたばたさせながらそう返していた。
(ラインハルト!! あの原作者公認の世界最強についに会える!! この時点だとまだ剣聖ではないはずだけど。その圧倒的な存在感、力、加護……興味しかない!!!!)
「はいはい、楽しみなのは分かりましたから、早く準備なさい! 終わったら玄関口のほうへ来なさい。竜車で待っていますから」
「かしこまりました! すぐに行きます♪」
エレノアは呆れながらそう指示し、部屋から退出した。
そしてアトラスは急いで身支度を整えるのだった。
※※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「お待たせしました、お母さま! さあ行きましょう! すぐ行きましょう!」
「アトラス、テレシアさんたちのところではそのような態度はいけませんよ。あなた、言葉遣いは三歳にして完璧なのに……変な子よね~」
そう言いながら竜車に乗り込んだアトラスは、やはり興奮を隠せずにいた。
というか、完全に舞い上がっていた。
そんな我が子の様子を見つつ、エレノアはため息をついた。
本日何度目のため息であろうか。幸せが逃げてしまいそうである。
「仕方ないではありませんか! 楽しみなものは楽しみなのですから!! 伝え聞く剣聖の勇姿! そして剣鬼ヴィルヘルムとの甘いラブロマンス……それを前にして楽しむなというのは、酷なことではないでしょうか!!」
「はいはい、分かりました。はぁ~……なんでこんな変な子になっちゃったのかしら。赤ん坊のころはあんなに可愛らしかったのに……」
アトラスが生まれてから、このようなやり取りにも慣れているのか、自分の息子に向かって割と辛辣である。
エレノアの苦労も垣間見えるようであった。
それに、赤子の頃も仮に喋れたのであれば、大体こんな感じである。
アトラスは無事に残念美少年と化していたのである。
そんなこんなとしているうちに、走り続けていた竜車はその歩みを止めた。
「着きましたね。ほらアトラス、シャキッとしなさい。降りますよ」
「はい! お母さま!」
こんな言葉遣いでも、体は正真正銘の三歳児である。
エレノアに手を引かれ竜車を降りたアトラスは、その光景を目にして瞳を輝かせる。
「待ってたわよ、エレノアちゃん! 今日の懇親会、すごく楽しみにしてたわよ」
「こちらこそ楽しみにしておりました! テレシアさんにはいつもお世話になっておりますので」
テレシアはエレノアとの旧交を深めつつ、初対面であるアトラスに話しかける。
「初めましてね? 私はテレシア・ヴァン・アストレア。あなたのお母さん、エレノアちゃんとは昔からの友達なの。今日はよろしくね!」
「お初にお目にかかります、アトラス・エルカディアと申します。テレシアさまのことは母より伺っております。此度の懇親会、僕も心よりお待ちしておりました」
アトラスはその小さな体を使って礼をし、今回テレシアの計らいで行うことになった懇親会への挨拶を述べた。
まるで三歳とは思えないようなその挨拶に、テレシアは驚いたように口を開く。
「話には聞いていたけど、本当に礼儀作法がしっかりしてるのね! とても三歳には見えないわ」
「この子ったら、礼儀だけは本当に文句ないのですが、もう少し子供らしくしてくれてもいいと思うんですよね~」
「お母さま! その言い草はひどいと思います!」
そう我が子について話す顔には、いささか困った様子を見せながらも、エレノアの想いがとても詰まっているように見える。
若干の気恥ずかしさを覚えつつ、アトラスも軽口を返す。
「ふふっ、立ち話もなんだし、屋敷の中に入りましょう。中であの人も孫も待っているわ」
なんのかんのと幸せそうな二人を見つめたテレシアは、わずかに笑みを漏らしつつ屋敷の中へと案内していく。
「ご令孫、ラインハルトさまですね! 普段、僕と同じ年頃の人とは接する機会が少ないので、とても――そう、とても楽しみにしております!!」
先ほどの完璧な礼儀作法を披露したのがまるで嘘のように体を震わせ、はしゃぎ出したアトラス。
テレシアは急に子供らしくなったアトラスに驚きつつ、楽しそうな顔で答える。
「ええ! あの子もすごく楽しみにしてたから、仲良くしてくれると嬉しいわ!」
(今は小さな剣聖、見たい! すごく見たい!! ショタラインハルト、仲良くなってヨシヨシしたい!)
孫との邂逅を楽しみに待ち望むアトラスを微笑ましく見るテレシアの心とは裏腹に、なかなかに変態的なことを考えているアトラスなのである。
(待っていろ、ショタハルト!! 僕が力の限り可愛がってやるーー!!!!!!)