機動戦士ガンダム DoubT ~少年のウソが戦争となる~   作:NageT

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第51話「コラボのお誘い」

 赤ずきんちゃんネルへ大気圏突入の動画を投稿してから、まだそれほど時間は経っていなかった。

 

 地球へ来たこと。

 

 本来なら大気圏突入能力を持たない地球連邦軍のブルーガまで巻き込み、ダウトと二機でどうにか生還したこと。

 

 そして、立場の違う者同士でも協力して助け合うことは出来るのだと伝えた動画には、公開直後から大量の反応が集まっている。

 

 だが、ケンが今見ているのはコメント欄ではなかった。

 

「……もう来た。」

 

「何が?」

 

 隣にいたノンが覗き込む。

 

 ケンの端末には、ひとつの新着メッセージが表示されていた。

 

 送り主は――@kiショーちゃんネル。

 

『ほんまに地球来とるやん!』

 

『しかも大気圏から落ちてきとるやんけ!』

 

『ウチとのコラボの前に何しとんねん!』

 

「動画出してから、そんなに経ってないわよね?」

 

「うん。」

 

「この人ずっと見てたんじゃない?」

 

「さすがにそれはないと思うけど……。」

 

 そう言いつつ、ケンは笑いながら返信を打つ。

 

『俺だって普通にベルーガで降りる予定だったんですよ!』

 

 送信。

 

 しばらく待つつもりだった。

 

 だが、数秒もしないうちに既読が付き、そのまま新しいメッセージが飛んでくる。

 

『予定と結果違いすぎやろ!』

 

『ガンダムで大気圏突入って、ワテでもそんな体張らへんで!』

 

「また一人称変わってる。」

 

 ケンが思わず呟く。

 

 ノンも画面を見ながら苦笑した。

 

「本人も定まってないって言ってたでしょ。」

 

「分かってても気になるんだよ。」

 

「誰だ、こいつ。」

 

 後ろから声がした。

 

 振り返ると、連邦軍の制服に着替えたスコルが立っている。

 

 先ほどまで着ていたノーマルスーツとは違い、こうして制服姿になると、ようやく地球連邦軍人らしく見えた。

 

「@ki。」

 

「名前は今見えた。」

 

「地球の有名な配信者。」

 

「……また配信者か。」

 

 スコルが呆れた顔をする。

 

「お前ら、地球来て最初に会おうとしてる相手まで配信者なのかよ。」

 

「向こうから誘ってきたんだって。」

 

「だから余計分かんねぇ。」

 

 そこへ、さらにメッセージが届く。

 

『で、コラボの話どうするん?』

 

『ほんまに地球来たんならやろうや!』

 

 ケンの顔が明るくなった。

 

「やりたい。」

 

「即答ね。」

 

「だって地球の人の話を聞くために来たんだろ? 有名な配信者なら色んな人にも見てもらえるし。」

 

 ノンもそこは否定しなかった。

 

「それはそうね。」

 

「なら――」

 

「ちょっと待ってくだせぇ。」

 

 返信しようとしたケンを、グレアーが止めた。

 

 ブリッジ中央の航法卓からこちらへ歩いてくる。

 

「会うこと自体は反対しやせん。ただ、こっちの居場所を簡単に送るのは無しでやす。」

 

「ベルーガの場所?」

 

「そうでやす。」

 

 グレアーは周囲のモニターへ視線をやった。

 

 現在、ベルーガはゼネガルド地方でダウトとスコルを回収した後、再び沿岸部から離れ、ゼネガルド沖へ戻りつつある。

 

 ケンとスコルが着地したのはアフレン大陸西部の草原地帯。

 

 ベルーガ自体は大気圏突入後、陸上の監視網を避けるため、その西側の海上へ降下していた。

 

 そこからXF-Gフレームの反応を追い、二人を回収しに来たのだ。

 

「地球へ降りたばかりで、まだこっちの監視状況も掴み切れてやせん。坊主は指名手配中。ベルーガの素性も、あまり表へ出したくない。」

 

「俺も乗ってるしな。」

 

 スコルが自分で付け加える。

 

「それもありやす。」

 

「そこで頷くなよ。」

 

 ケンは少し考え、端末を見直した。

 

「じゃあ、俺達だけどこかに会いに行く?」

 

「それも難しいんじゃない?」

 

 ノンが言う。

 

「今のダウトで長距離を飛ばせるかも確認出来てないし、そもそも地球上を勝手に動き回ったら目立つわ。」

 

「……そっか。」

 

「なら、まず聞いてみればいいでやしょう。」

 

 グレアーが端末を指した。

 

「ベルーガごと行ける場所があるかどうか。」

 

「大型艦だよ?」

 

「だから聞くんでやす。」

 

「普通ないと思うけどな。」

 

 スコルのもっともな一言に、ケンも頷きながらメッセージを打つ。

 

『コラボはしたいです!』

 

『ただ、俺達ベルーガっていう大型艦で動いてるんですけど、艦ごと行っても大丈夫な場所ってあります?』

 

 送信。

 

 今度こそ少しは時間が掛かる。

 

 そう思った。

 

『あるで!』

 

「あるんだ……。」

 

 ケンが呆気に取られる。

 

 続けて。

 

『ウチんとこ来たらええ!』

 

『ベルーガ隠せる場所もあるで!』

 

「……。」

 

 今度はノンまで黙った。

 

 スコルが端末を覗き込み、眉を寄せる。

 

「大型艦を隠せる場所持ってる配信者って何者だよ。」

 

「俺も今それ思った。」

 

「この人、本当にただの配信者なの?」

 

「俺に聞かれても。」

 

 ケン自身、@kiについて知っているのは、有名な地球の配信者であることと、妙な喋り方をすること。そして以前、赤ずきんちゃんネルのLiveへ突然現れてコラボを持ち掛けてきたことくらいだ。

 

 間もなく、位置情報が送られてきた。

 

『ここや!』

 

『海側からそのまま来れるで!』

 

 グレアーが座標データをベルーガの航法卓へ転送する。

 

 地球全体の地図が表示され、現在地であるアフレン大陸西岸から、大西洋を挟んだ向こう側へ視点が移っていった。

 

 目的地を示す光点が止まった場所を見て、グレアーが小さく声を漏らす。

 

「……アルメア大陸北部でやすか。」

 

「アルメア?」

 

 ケンが聞き返す。

 

 今度はグレアーが一から長々説明するのではなく、地図を操作しながら必要なところだけ口にした。

 

「地球連邦の主要加盟国の一つでやす。かなり大きな国で、自由と民主主義を掲げてる。色んな人種や文化の人間が暮らしてる国でやすよ。」

 

「地球じゃかなり有名な国よ。」

 

 ノンも補足する。

 

「私でも当然知ってるわ。」

 

「そりゃ地球育ちだしな。」

 

「何よその言い方。」

 

「いや別に。」

 

 グレアーは目的地周辺を拡大した。

 

 北部。

 

 大都市圏から離れ、森林や湖の多い一帯。

 

 海側からも比較的接近しやすい。

 

 だが、座標を確認していたグレアーの表情が、少しだけ変わった。

 

「……この辺り、昔は連邦の研究施設があった場所でやすね。」

 

「研究施設?」

 

 ノンがモニターを見る。

 

「えぇ。ただ、あそこはもう随分前に閉鎖されてるはずでやす。」

 

「そこなら俺も聞いたことある。」

 

 スコルが横から地図を確認する。

 

「稼働してる基地施設は、もうねぇはずだ。」

 

「本当に?」

 

「あぁ。少なくとも今の軍じゃ、あの辺を重要拠点として扱ってるなんて話は聞かねぇ。」

 

 スコルはアルメア北部を指先で示した。

 

「今は宇宙がこの有様だろ。それにユーロフィアの紛争にも戦力取られてる。」

 

 ユーロフィア。

 

 地球の別地域で続く紛争。

 

 それに加え、現在はコロニー国家連合との緊張が月周辺で急速に高まっている。

 

「アルメアそのものは連邦でも重要な国だけど、北部のあの辺は今じゃ後方だ。」

 

 スコルは少し考え。

 

「軍人からすりゃ、田舎ってイメージの方が強ぇな。」

 

「じゃあ隠れるには向いてる?」

 

 ケンが聞く。

 

「人目が少ないって意味ならな。ただし。」

 

 スコルは@kiから送られてきた座標を見る。

 

「大型艦を隠せる施設がまだ残ってるかどうかは知らねぇ。」

 

「そこは行ってみるしかないでやすね。」

 

 グレアーが航路を引き始める。

 

 ゼネガルド沖から、そのまま大西洋へ。

 

 南西へ進めば、サウスメリア大陸。

 

 そこには地球連邦中央府と連邦統合軍総司令部が置かれたブラゼリグ中央特別区がある。

 

 今のベルーガが、最も近寄りたくない地域の一つだった。

 

「南へは寄らない方がいいでやす。」

 

 グレアーが航路を北西へ曲げる。

 

「サウスメリア側は連邦中枢に近過ぎやす。海上監視も当然厳しい。」

 

「じゃあ、このまま大西洋を渡る?」

 

「そうなりやす。」

 

 モニターに表示された航路は、アフレン大陸西岸から大西洋へ出て、そのまま大きく北西へ伸びている。

 

「陸地の上を飛ぶより、海上を使った方がマシでやしょう。民間航路や軍の哨戒区域を避けて、出来るだけ低空で進みやす。」

 

「どれくらい掛かる?」

 

「見つからないことを優先するなら、数日は見といた方がいいでやしょうね。」

 

 ケンが窓の外へ視線を向けた。

 

 遠くに見えていたゼネガルド地方の陸地は、すでに少しずつ小さくなっている。

 

 その先に広がるのは、大西洋。

 

「数日ずっと海か……。」

 

「嫌なの?」

 

 ノンが聞く。

 

「逆。」

 

 ケンは少し笑った。

 

「楽しみ。」

 

「観光じゃないのよ。」

 

「分かってるって。でも地球の海をちゃんと見るの初めてだし。」

 

 スコルが呆れたように息を吐く。

 

「海なんか見て何が面白いんだよ。」

 

「地球生まれには分かんないんだよ。」

 

「またそれか。」

 

「ずるいよな、スコル。」

 

「何がだよ。」

 

「生まれた時から地球あるじゃん。」

 

「地球で生まれたんだから当たり前だろ!」

 

 ノンが二人のやり取りを横目で見ながら、小さく笑った。

 

     ◇

 

 目的地が決まったところで、ケンは格納庫へ向かった。

 

 数日前まで宇宙を飛んでいたベルーガの格納庫には、今も大気圏突入の名残が残っている。

 

 その中心。

 

 固定アームに支えられたダウトの姿を見て、ケンは思わず足を止めた。

 

 動画では外部カメラの映像を見ていた。

 

 だが、こうして間近で見ると、改めて酷い。

 

 白い装甲は各所が焼け、黒く変色している。表面が剥がれて下地が露出した場所もあり、応急材で塞がれた部分だけが不自然に新しい。

 

「来たか、坊主。」

 

 機体脇から、おやっさんが姿を見せる。

 

「おやっさん、ダウトは?」

 

「応急処置だけしといたぜ。」

 

「もう動けるの?」

 

「そこだけ聞くんじゃねぇ。」

 

 おやっさんは工具を腰へ戻しながら、ダウトを見上げた。

 

「焼けた配線は繋ぎ直した。死んだセンサーも使えるもんに替えた。姿勢制御も最低限は戻してある。」

 

「じゃあ――」

 

「動けるだけだ。」

 

 先回りされ、ケンは口を閉じる。

 

「外装はこんなだ。熱で傷んでる箇所も多いし、完全に調整し直すには時間も部品も足りねぇ。」

 

「でも飛べる?」

 

「短時間ならな。」

 

「よかった。」

 

「だから無茶するなって話をしてんだよ。」

 

「してないよ。」

 

「お前の『してない』は信用出来ねぇ。」

 

「ひどい。」

 

「大気圏突入した奴が言うな。」

 

 言い返せない。

 

 ケンはダウトへ近付き、焼けた装甲の隙間から覗くフレームを見る。

 

「フレームは大丈夫?」

 

「あぁ。」

 

 その問いに、おやっさんの表情だけが少し真面目になった。

 

「そこが一番妙なくらいにな。」

 

「妙?」

 

「外装は見ての通りだ。それなのにXF-Gフレーム自体は、大気圏突入の熱にも荷重にもほとんど負けてねぇ。」

 

 おやっさんはフレームへ手を置く。

 

「やっぱりこいつ、本来は単独での大気圏突入まで想定して設計されてたんだろうな。」

 

「……。」

 

 ケンは、あの時のことを思い出す。

 

 何も分からなかった自分とは違い。

 

 ダウトは。

 

 まるで、どうすれば生き残れるのか知っていた。

 

「すごいな……。」

 

「すごいで済ませんな。」

 

「はい。」

 

「それと。」

 

 おやっさんが格納庫の隅へ顎を向けた。

 

 そこには。

 

 ブルーガだったものが置かれていた。

 

 左脚は着地の衝撃で完全に折れ、装甲は広範囲に焼け落ちている。推進器は死に、関節もまともに動かない。

 

 たまたま一緒に来ていたスコルが、少し離れたところから自分の機体を見つめた。

 

「……俺のは?」

 

 おやっさんが答える。

 

「鉄屑。」

 

「もうちょっと言い方ねぇのか。」

 

「ねぇ。」

 

「即答かよ。」

 

「大気圏突入能力のない機体で大気圏入って、左脚へし折って着地してんだぞ。」

 

 おやっさんはブルーガを見ながら鼻を鳴らす。

 

「お前が生きてる方が奇跡だ。」

 

「……それは俺も分かってる。」

 

 スコルの声から、少しだけ勢いが消える。

 

 ケンが横から言った。

 

「ダウトに感謝してよ。」

 

「してる。」

 

「俺にも。」

 

「それは考えとく。」

 

「なんで?」

 

「最後ほとんどガンダムが勝手に動いてただろ。」

 

「そこ言う?」

 

「事実だろ。」

 

 ケンが不満そうな顔をすると、スコルが僅かに笑った。

 

     ◇

 

 格納庫を出た後。

 

 スコルの今後についても、改めて話し合うことになった。

 

 会議室にはケン、ノン、グレアー、スコル。

 

 そして少し離れた位置にジーナが立っている。

 

 スコルは時々そちらを気にしていた。

 

「そんな警戒しなくても。」

 

 ケンが言う。

 

「誰のせいだと思ってんだ。」

 

「メイド長?」

 

「お前もだよ。」

 

「俺何もしてないじゃん。」

 

「面白がってんだろ。」

 

「ちょっとだけ。」

 

「ほらな。」

 

 ノンが二人を止める。

 

「それより、スコル。」

 

「分かってる。」

 

 スコルは椅子へ深く腰を掛け直した。

 

「俺がこれからどうするかだろ。」

 

 少し前。

 

 彼はまだ決められないと言った。

 

 その後、赤ずきんちゃんネルを見て。

 

 ケン達がこれまで何をしてきたのかを知った。

 

 大気圏突入の動画を公開することにも同意した。

 

 それでも。

 

「先に言っとくけど、俺はまだお前らの仲間になったつもりはねぇぞ。」

 

「別に無理にそう思わなくていいわ。」

 

 ノンはあっさり答えた。

 

 その反応に、逆にスコルが少し拍子抜けする。

 

「……そうかよ。」

 

「その代わり、どうしたいのかは聞かせて。」

 

「あぁ。」

 

 スコルはしばらく言葉を探した。

 

「今すぐ軍へ戻るつもりはねぇ。」

 

 グレアーが黙って聞く。

 

「戻ったところで、俺自身まだ何を報告すりゃいいのか分からねぇしな。」

 

「それで?」

 

「しばらく見せてもらう。」

 

 スコルはケン達を見る。

 

「お前らが本当に戦争を止めようとしてるのか。」

 

「動画で言ってることと、実際にやってることが同じなのか。」

 

「それを自分で見て決める。」

 

 ケンが少し嬉しそうな顔をする。

 

「じゃあ一緒に来るんだ。」

 

「そういうことになるな。」

 

「スコルさん、よろしく。」

 

「だから都合いい時だけさん付けんな。」

 

「歓迎してるのに。」

 

「普段から付けろ。」

 

「それは嫌。」

 

「じゃあ付けんな!」

 

 ノンが吹き出す。

 

 グレアーも小さく笑ったが、すぐに表情を戻した。

 

「ただし、こちらも全部自由にとはいきやせん。」

 

「分かってる。」

 

 スコルが答える。

 

「監視付きだろ。」

 

「話が早くて助かりやす。」

 

「で、誰が――」

 

 言いながら。

 

 スコルの視線がジーナへ向く。

 

 ジーナは何も言わず、静かに微笑んだ。

 

「……他の奴じゃ駄目か?」

 

「駄目です。」

 

「まだ何も言ってねぇ!」

 

「お嬢様の安全に関わりますので。」

 

「俺、何もしねぇって言ってんだろ!」

 

「信用していないわけではございません。」

 

「じゃあ何だよ。」

 

「念のためです。」

 

「それが信用してねぇってことだろ……。」

 

 スコルが肩を落とす。

 

 ケンが笑いを堪えながら言った。

 

「よかったね、スコルさん。」

 

「何がだよ!」

 

     ◇

 

 ベルーガがゼネガルド沖を離れたのは、その日のうちだった。

 

 アフレン大陸の陸地は少しずつ遠ざかり。

 

 やがて。

 

 窓の向こうを埋めるのは、海だけになる。

 

 大西洋。

 

 ベルーガは高度を抑え、人の多い沿岸部から離れた海域を選びながら、北西へ進んでいた。

 

 主要な船舶航路を避け。

 

 連邦軍の哨戒区域も外す。

 

 速度より。

 

 見つからないことを優先した航行。

 

 目的地まで、数日。

 

 ケンは窓の前に立ち、飽きる様子もなく海を眺めていた。

 

 波が続いている。

 

 どこまでも。

 

 コロニーの人工湖とは、まるで違う。

 

「……でかいな。」

 

「さっきからそればっかり。」

 

 隣にいたノンが笑う。

 

「だって終わり見えないんだよ。」

 

「海なんだから。」

 

「知識では知ってたけど。」

 

 ケンは窓越しに水平線を見つめた。

 

「実際に見ると全然違う。」

 

「まあ、それは分かるけど。」

 

 ノンも少しだけ海を見る。

 

 その後ろから。

 

「何時間見てんだよ。」

 

 スコルが呆れた声を出す。

 

「飽きねぇのか?」

 

「飽きない。」

 

「ただの水だぞ。」

 

「スコルには分かんない。」

 

「だから何で俺が悪いみたいになるんだよ。」

 

「地球生まれだから。」

 

「知らねぇよ!」

 

 ケンが笑う。

 

 ノンもつられて笑った。

 

 窓の向こう。

 

 大西洋の先。

 

 アルメア大陸北部。

 

 そこには。

 

 ケン達を待つ一人の配信者と。

 

 大型艦ベルーガすら隠せるという、奇妙な場所がある。

 

 かつて連邦の研究施設が存在し。

 

 今は後方の田舎と呼ばれる地域。

 

 その場所が。

 

 これから地球で動くケン達にとって、最初の拠点になろうとしていた。




ダウト応急処置

【挿絵表示】



『機動戦士ガンダムDoubT』の世界は基本的にアナザーワールドですが、地球の大陸配置や地図そのものは現実とほぼ同じです。

地名については、
アルメア=現在のアメリカ周辺、
ユーロフィア=ヨーロッパ、
サウスメリア=南米、
アフレン大陸=アフリカ大陸、
くらいのイメージで読んでいただければと思います。

ちなみに地球連邦の本拠地は……かなりジャブローを意識しています。
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