赤より紅いヒーローアカデミア   作:幽界愉快

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なんとまだ戦闘シーンが続くのです。
もう少しだけお付き合いください。

今のところヒロアカ要素がないのは仕方ないこと、お許しください、えん。


【五話】吸血鬼は人の夢を見るか

隠岐奈(オキナ)はフランドールを貫いた。

 

───貫いた()()()()()()

 

光弾を撃った先は地面であり、どうやら狙いが()れてしまったらしい。

笑いながら、隠岐奈(オキナ)は再度魔力を込め、光弾を生成する。

 

「いやあ、すまんすまん。狙いが()れてしまったらしい。今度こそ……!」

 

続けて放たれる光弾。

その光弾もまた、フランドールに当たることなく左へ()れてしまった。

 

「…?あれ、おかしいな。なんで貴女…2()()()()()()……?」

 

隠岐奈(オキナ)は段々と思考が鈍る感覚を覚えた。

覚えた、と言っても、それが正確に頭で処理できているのかも不明である。

耳から頭へ情報を送る機関が無駄に敏感(びんかん)になっている気がするのか、フランドールの甲高い笑い声が脳内に響く。

 

「あは、あははははっ!やっと効果が出てきてくれたのね!」

 

「……っなにを、したの……!?」

 

「C₂H₆O、これはアルコールの分子式。まあ正確に言えばエタノールだけど……なんでもいいわ、そんなこと。」

 

フランドールは指を指す。指先は隠岐奈(オキナ)の足元には、投げられて割れた瓶の液体が既にほぼ無くなっている所を指していた。

無色透明の液体、そして先程のフランドールの発言。

溶ける頭で隠岐奈(オキナ)は理解した。

 

「アルコール気化による急性アルコール中毒ッ……!」

 

「ぴんぽーん!大正解よ、流石賢者。と言っても割と誰でも思い付くわ。」

 

隠岐奈(オキナ)は全て理解した。

あの無駄な突進攻撃も、物による無意味だと思った攻撃も。全て、全てこの症状が出るまでの時間稼ぎだと。

炎の攻撃はこの気化を早めるためのブラフだったのだ。

自覚した事でより一層悪化したのか、隠岐奈(オキナ)は吐き気に襲われる。

ぐわんぐわんと視界が揺れ、脳が揺れ、冷や汗をかき始める。

 

「アルコールは気化すると熱を奪うし、少し寒気がするからバレると思ったけど……貴女が夏の暖かい光を出してくれたお陰でなーんにも気付かなかったわ。」

 

フランドールは隠岐奈(オキナ)に正攻法で勝てるとは思っていない。季節の魔力を扱う時点で魔力量も、種族的にも圧倒的に負けているのだ。

正常な判断ができない隠岐奈(オキナ)に、もう魔力壁を持続することは出来なかった。

フランドールの指先から放たれる弾幕が肩にめり込む。

 

「ぐうッ……!!?」

 

「ふふ、あはは。あははは!やっとアンタの顔から余裕が消えたわね!」

 

形勢逆転だ。

悪魔の妹は口角を上げ、不気味に(わら)う。

レーヴァテインで隠岐奈(オキナ)の顔を勢いよく叩き、椅子から転げ落ちさせた。

 

「さあ、私の勝ちよ!さっさと働いてもらうわ!」

 

隠岐奈(オキナ)は無様に転げ落ちながら、フランドールの気質を読み解いた。

 

「(そうか、そうか…!此奴(こいつ)の狂気はただのイカれ具合じゃなかったんだ……!その狂気は圧倒的暴力と、その裏にある冒涜的知識量……!不利状況を(くつがえ)すための戦略を即時に立てる胆力(たんりょく)!)」

 

子供のように純粋な知識は、悪意を持てばあらゆるものが牙を持つ。

495年の間に積み重ねられた知は、少女に学的狂気を孕ませた。

 

「あーあ、降参だ。参ったよ、こりゃ私の見通しが甘かったわ。」

 

満足した。充分だ。

隠岐奈(オキナ)は揺らぐ視界で何とか椅子に寄りかかり、吐き気を抑えながら白旗をあげる。

油断していたのも事実である、だが、負ける道理は無かった。それを作り出した少女に敬意を込め、負けたのだ。

フランドールは自信を取り戻し、鼻で笑った。

 

「さあ、教えてもらうわよ。アイツ(レミリア)の言ってた別次元への渡り方をね!」

 

「その前に少し休ませてくれない?気持ち悪い……。」

 

「……トイレなら部屋を出て1階の隣の隣よ。」

 

「どこよそれぇ……。」

 

弱々しく嘆きながらも、少女が示す場所へ向かうことにした。

 

閑話休題(少女御手洗中)

 

 

「さて、えーと、そうでした!貴女達別の世界に行きたいんだって?」

 

少しスッキリしたのか車椅子にもたれかかりながら呆気なく(たず)ねる。

散らばった部屋を後にして、皆大図書館に集まった。

パチュリーは珍しいものを見るかのように隠岐奈(オキナ)を見つめる。

 

「ええ、そうだけれど……、まさか賢者が住人を結界から出すの?」

 

「私が出すと言うより、貴女達が自分で結界を渡るのよ。裏道があるの。」

 

「ふふ、驚いたね。まさか我が妹にこんなポンプがあったなんて。」

 

フランドールは疲れたと言わんばかりに机に身体を預け、聞く耳持たずだ。

ここから先はレミリア達と隠岐奈(オキナ)が何とかしてくれると思っているのだろう。実質その通りだが。

フランドールの役目はもうほぼ終わった。後は本の虫が上手い具合に整えるだろう。

 

「お前たちは()()()()をご存知かな。」

 

「そんなに文献が無いからなんとも。」

 

「そうね、どこから話そうか。そもそも夢ってのは根源的に全ての世界に繋がっているのだよ。だからざっくり言えば、夢を介してどこにでも行けるし、何にでも成れる。それを管理する管理者も居るがね。」

 

この辺の仕組みについては月へ直接出向いた巫女達(博麗や守矢の巫女)魔法使い(霧雨魔理沙)竹林の兎(鈴仙・優曇華院・イナバ)が既に体験している。

隠岐奈(オキナ)は語る。

夢の世界を介して世界を渡り、望むままの行先へ行くと良い、と。あくまで彼女は教えただけであり、実行したのはレミリア達。自己責任であると。

 

「こういうのなんて言うか知ってる?教唆(きょうさ)って言うのよ。ちゃんと罪があるんだけどね。」

 

「おお、怖い怖い。まあ、その罪を定めるのも我々の役目。揉み消してしまえば早いものさ。」

 

「正直ね。でもまあ、方向性は掴めたんじゃない?ねえ、パチェ。」

 

レミリアが笑いながらパチュリーを見る。

だが、パチュリーは既に自分の世界に入っているのかブツブツと難しい言葉を整理するために発しながら、図面に(つづ)り始めていた。

こうなると彼女は当分戻ってこない。レミリアは肩をすかしながら隠岐奈(オキナ)へ面を戻す。

 

「ま、なんにせよ助かったわ。フランの友達も見れた事だし。貴女はもう用済み。お引き取りしてくださる?」

 

「酷いなぁ、まだ酔いが覚めてないっていうのに。」

 

「夜風は気持ちいいわよ。」

 

「生憎月は肴にならんのでね。」

 

そう言いながら、ガタンと音が鳴らしながら後戸を開く。

中から師を慕う2人の声が騒がしくかつ狂おしい程に聞こえてきていた。

 

「それじゃあ、お暇させてもらおうかな。今日をどう活かすかはお前達次第だよ。」

 

「もう二度と来なくて良いわ。」

 

フランドールは力無くしっしっ、と手を払いながら告げる。

隠岐奈(オキナ)は満更でも無さそうにしながら、その姿を戸の奥へと消していった。

 

パチュリーは夢の世界についての文献を片っ端から集めては読み漁り、積んでは次の本へ手を出していく。

レミリアとフランは邪魔しちゃ悪いと思い、各々の夜を過ごすのだった。




少し短めで切りました。

東方の設定は色々弄りやすいので便利です。
ええ、もちろん壊さない程度の改変は二次創作の華ですからね。

単純なので高評価や感想をもらえると励みになります。
ほんのちょっぴりの誤字脱字なら修正しません。著しく影響があれば腰を上げます、おそらく。
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