転生者山内春樹くん 作:裏桜
5月C日
櫛田から呼び出された。
いや、この書き方は違うか。
正確には呼び出す様に誘導したという方が正しいか。
俺がやったのは綾小路君からの情報を元に外村から教えて貰い作成した合成音声を教室内で垂れ流しただけ。
たったそれだけのことで可愛い女の子から呼び出される何て安いもんだな。まあ、本人からすれば綾小路君の口封じをしたのに別の人間が会話を盗聴していた可能性があり、自身が窮地に追い込まれていると思い込んでるかもしれないけど。
開幕、櫛田は俺に近づいてきた。綾小路君にしたことをされても困るので距離を取って会話を始める。
会話をして感じたのは焦りや怒り、負の感情。櫛田から見れば山内なんて馬鹿で間抜けな存在だから簡単に処理出来るだろうと高を括っていたのであろう。
でも実際は上手くいってない。だから苛ついている。
それが俺の想定通りの行動だと気付かずに。
けれど、痺れを切らして暴走されても困るのである程度焦らしてから俺は真面目モードで会話を始める。
今回の目的は櫛田に俺が敵ではないと認識させることだ。
真面目モードで語ることによって山内も猫を被っていたということを櫛田に誤認させる。
そして、櫛田と喋る上で重要視したのは素の姿を肯定すること。そのあけすけな言動や態度の方が好みだったり、教室での猫撫で声や作り笑いはキモいとかそんな感じのことを言った気がする。俺の言動に結構、驚かれていたが。
櫛田は極度にストレスを貯めてしまうこと、承認欲求の塊という弱点はあるがそれを補う交友関係の広さは強力な武器だ。
ぶっちゃけ素面や過去のことがバレることに何故ストレスを溜め込むのかが理解出来ない。バレた対象が生徒会長である兄北なら別だが、この時期の孤高(笑)の堀北やコミュ障ぼっちな綾小路君らは個人的な能力はあってもスクールカーストでは下位の人間なので、決定的な証拠さえなければ、堀北たちが幾ら真実を語ったとしても櫛田が否定してしまえばその真実は虚言で終わってしまう話だ。なので櫛田が取るべき選択は今まで通り交友関係を築き、他者の好感度を上げることが正解であり、堀北たちを退学させるために暗躍するという自ら弱点を増やすことは間違いなのだ。
早期の接触は櫛田の行動を把握、コントロールするためのものでもある。
櫛田のことを長々と書いてしまったが、後、俺が言ったのは神室と同じく愚痴を聴く関係と過去問の提示。それを他クラスに売ることへの指示、堀北をリーダーへと祀り上げることを話た。堀北のことは納得していないようだったがまあこれから何とかなるか。丁度いいのが観れるし。
その後、櫛田と一緒に堀北たちと合流。最終的に集まったのは昨日と同じメンバー。内容をざっくりと語るなら堀北が須藤たちに謝罪して赤点を回避するための協力を求め勉強会を再開させた、以上。
堀北には昨日の時点でボロカスに言い含めておいたので無事に妥協してくれて何よりだ。
須藤や池には事前に貸したPPの借金を減額することを条件に勉強会に参加する様に頼んでおいた。
自分が後で楽したいから育てたいと思っていたが、思いの外面倒くさすぎる。
5月D日
ひよりに過去問を渡す。
未来の綾小路君に負けないため、少しでも好感度を稼ぎたくて実質タダで渡してしまった。
一応、ドラゴンボーイの連絡先を手に入れて貰うように頼んでおいたがあくまで保険だ。出来ればひよりには裏で動いてるのは知られたくない。
5月E日
櫛田が部屋に来るようになった。決して好感度や親密度が上がったからではない。
メッセアプリや電話で愚痴を聴いていたのだが、適当に相槌を打っていたのがどうやら気に入らなかったらしい。敵ではないと言ったけど別に味方でもないんだけどな。まあ、直接聴くことによって有益な情報を得られる可能性があるのは悪くないかもしれない。ただ、二、三日に一回来訪するのは外聞的に困るので勘弁してほしい。
5月F日
南雲と会った。生徒会の手伝いをすれば何れ会うのは分かっていたが思ったよりも遅かった。堀北会長が会わないように裏で根回しをしていたのかもしれない。南雲から観て山内はこんな奴がどうして堀北会長から評価を得ているのか解らない様子。興味よりも疑問の方が強いならやりようはある。
今の南雲には絶対に勝てないので取り敢えず媚を売っておいた。
5月G日
テスト終了。クラスメイト全員赤点を回避した。原作みたくポイントで点数を買わなくて何よりだ。
今月で後やり残しているのは須藤が暴力沙汰を起こさないように見張るくらい。これに関してはぶっちゃけ須藤次第。喧嘩が起きた時の対処方法を教えてみたがあまり手応えを感じていない。嫌な予感がする。
5月H日
あーもう。原作通り過ぎて滅茶苦茶だよ。
須藤がやらかした。
他のキャラの視点を書いてみたかったけど、諸事情により現状断念。
他キャラの山内くんへの評価?はこんな感じ。
堀北。頭が悪い筈なのに兄北から一目置かれ、過去問やクラスメイトへの根回しをして結果を出していることに混乱している。使えることは分かっていても口撃を受けたのでなるべく頼りたくない。
綾小路。友達。人のことは言えないので自身が実力を発揮しなくても事前に問題を解決してくれるのでとても助かっている。
仮に山内から助けを求められたら友達として助けるつもりでいる。
櫛田。気に入らないけど、自分の素を肯定してくれたよくわからない奴。部屋に入り浸るのは嫌がらせと無償で食べ物が出されるから。