アナキンの親友になって色々あって旅に出た英雄の話 作:紅乃 晴@小説アカ
ハートフルな親子の絆を描きます!!
父と子と(1)
タトゥイーン。
双子の太陽が照りつける灼熱の砂漠。
かつてアナキン・スカイウォーカーが奴隷として少年時代を過ごし、ルーク・スカイウォーカーが育ったこの星へ、傷を癒すために戻っていたルークは、ヴェイダーとの死闘で負わされた傷を静養しながら、フォースとの対話を続けていた。
そう、続けていた。
「アッチィィイーーーッ!」
そんな砂漠のど真ん中。ダース・ヴェイダーは縄で簀巻きにされ、照り返すタトゥイーンの双子の太陽の下へ吊るされていた。
容赦なく降り注ぐ灼熱の陽光。
砂漠から照り返す熱気。
黒一色の生命維持装置を兼ねたアーマーは熱を吸収し、まるで巨大な鉄板のようになっていく。
その結果、ヴェイダーの体力は、凄まじい勢いで削られていた。
「え……え……な、何この状況」
簀巻きにされ、雑に建てられた柱の突き出た部分から縄で吊るされるヴェイダー。その縄を、何とも言えない真顔で握っているルーク。
あまりにも地獄絵図なその光景を前に、アナキンから連絡を受けてタトゥイーンへ様子を見に来た俺とパルパルは、ただ困惑するしかなかった。
「ピピピッ!ブブブブッ!」
スカイウォーカー家の長年の相棒であるR2-D2が、こちらへ必死に電子音を鳴らしてくる。
どう聞いても「何とかしてくれ!」と言っているようにしか聞こえない。
……事は少し前へ遡る。
ベスピンから脱出した後、ルークは無人となったラーズ家の水分農場へ戻ってきた。
焼け落ちた住居の跡地で、オーウェンとベルーを改めて丁重に弔い、この故郷で心身の傷を癒やしながら、フォースとの絆を深めるため修行を続けていた。
オビ=ワンの思い出が残る土地。
父の故郷であり、そして自分が育った場所。
この星で一度立ち止まり、自分自身を見つめ直そうとしていたのである。
そんなある日。
「帝国のシャトルがタトゥイーンへ降りたらしい」
そんな噂が流れた。ベスピンでの出来事がまだ記憶に新しいルークは当然警戒する。
ヴェイダーがまた自分を捕らえに来た。
そう考えても不思議ではなかった。
そこで周囲へフォースを利用した警戒網や簡単な罠を張り巡らせ、迎撃の準備を整えた。
そして……本当に、一人で護衛も付けずにやって来たヴェイダーが、見事に罠へ引っ掛かった。
結果。現在に至る。
「話をしたいと言われたけど、罠かと思って、とりあえず太陽の下で炙ろうかと」
ルークは悪びれる様子もなく答える。
「これ誰の教えが悪かったんじゃ?」
パルパルが無表情でヴェイダーを吊るしたらルークを指差しながら、思わず俺へ小声で尋ねてくる。
「マスター、お忘れかと思いますが、この子アイツの息子ですよ?」
「あぁ、うん、そうじゃったな」
納得した。その反応はあまりにも早かった。
その気になればフォースで縄を引きちぎることも、柱ごと吹き飛ばすこともできるヴェイダーもなぜか一切抵抗せず、甲冑内の蒸し風呂地獄を甘んじて受け入れている。
おそらく、息子へ危害を加えたくないという思いと、「これは自分への罰だ」とでも考えているのだろう。
一方のルークもルークである。アナキンの息子らしく、一度「やる」と決めたら途中で止まれない。その極端さは、父親にそっくりだった。
「アツゥゥゥ……ルーク……話を……」
「まだ信用できない」
「アツゥゥゥ……」
「もう少し反省してください」
「アツゥゥゥゥゥ……」
……ま、まるで会話になっていない。ヴェイダーこと、アナキンに一体どんな心境の変化があったのかはわからないけど、その言葉からは暗黒面や敵意はなく、ただルークと話したいという純粋な思いだけが滲み出ていた。その純粋な思いがわかるからこそ、この状況があまりにも悲惨さを加速させている。
「なぁログよ」
「なんですか、マスター」
「スカイウォーカー家って、昔からこうなの?」
思わず遠い目をする。アナキンと親友である俺から見てもアナキンの暴走ぶりには手を焼かされる事は多かった。
普段はオビ=ワンや、俺……。晩年だとパルパルも加えて色々はっちゃけるメンツのストッパー役を担っていたアナキンだが、そのストッパーがはっちゃけたときが1番やばい。
パルパルも俺も霊体のはずなのに何度か命の危機を感じることがあるようなことにも巻き込まれた。
「……まぁ、アナキンも似たようなものじゃったな」
「あぁ、やっぱり」
妙に納得してしまった。
結局、そのカオス極まりない状況に遭遇した俺とパルパルがルークを説得した結果、太陽蒸し風呂の刑に処され、甲冑の中でうわごとを呟いているヴェイダーを下ろすことには、どうにか成功するのだった。