「…え」
「「「「「「えぇぇぇぇぇぇ~!!!!?」」」」」」
彼のその発言に、不良生徒もリンも驚きを隠せなかった。
「そ、それマジっすか!?」
「あぁ、マジだ。」
「こ…断ったら、どうなるんですか?」
「別にどうもしない。ただ、俺が敵に回るかもってだけだ。」
「…アタシら、その…不良ッスけど、良いんですか?」
「良いぜ。寧ろ大歓迎だ。」
その応答の結果、彼も決して冗談で言っている訳では無いのだと悟った不良生徒達は顔を見合わせた。
(…なあ、どうする?従ってみるか?)
(えぇ~、アタシ嫌だよ、なんか怖いし…)
(怖いってアンタ…アイツ敵に回す方が怖いだろ…)
(…ウチは、案外悪くないかなって思ってるんだけど…)
彼女達が口々に意見を言い合う一方で…
「ちょっと、先生!!何を考えてるんですか!?」
「分かんねえか?アイツらをシャーレに入れようとしてる。」
「それは分かっています!!そうでは無くて、どうして彼女達を入れようとしたのかって聞いてるんですよ!!」
リンは、今日一番の大声でマッドレックスに詰め寄っていた。
「というか、あの不良達全員をシャーレに入部させる気ですか!?」
「あぁ。」
「…まさかとは思いますが…"災厄の狐"も?」
「何言ってんだ、『そ、そうですよね、流石に彼女は…』
入れるに決まってんだろ『先生!?』」
リンも、彼のその滅茶苦茶とすら言える思い付きには流石に理解が追い付いていない様であった。
(会長、恨みますよ…何でこんな人を推薦したんですか…)
それを察したのか、マッドレックスも口を開いた。
「『どうして』だったか…。俺はな、アイツらが何となく放っておけねぇんだよ。」
「放っておけない…ですか…。」
「あぁ、昔の俺みたいでな。それに、アイツらは中々見所がある奴らだぜ。」
「はぁ…。しかし…」
リンも、彼の考えに一応は納得した様であったが、まだ賛成はしかねるといった様子であった。
「それに、『シャーレに目的は無い、何をするも自由だ。』って言ったのはお前らだろ?生徒会長とやらが何で俺を推薦したのかは知らねぇが、だったら俺は俺のやりたい様にやる。手始めに、アイツらを率いる。それが俺のやりたい事って訳よ。」
それを聞いたリンは、少し考えこんだ。
(確かに、彼女達を纏め上げるという意味では、この方法が良いのかもしれません。とはいえ、自由にやらせるのはリスクが高いのも事実…。)
そして…
「…分かりました。但し、私からも2つ程条件が有ります。」
「何だ?」
「一つは、私をシャーレに加入させる事。もう一つは、先生含むシャーレの方々には我々連邦生徒会の業務の手伝いをして頂く事です。」
「…嫌だ、と言ったら?」
「あの不良生徒達の身柄は、矯正局と
「…お前に出来んのか?」
この問いには、リンも少し答えるのを躊躇った。実際、彼らの一斉蜂起を鎮圧することは、今の連邦生徒会では困難である事も十分に理解していたからだ。
「…やってやりますよ。」
しかし、彼女はそう答えた。
(まさか私が、こんな無謀な事を言うとは…。先生の影響ですかね。)
一方で、内心ではこの様に考えていた。率直に言えば、この発言は根拠の無いハッタリでしか無かった。これまでの彼女なら、こんな無謀な発言はしなかったであろう。しかし、マッドレックスとまだ短いながらも交流を重ねた事が、彼女に僅かながら心境の変化を与えていたのかもしれない。
「…良いぜ。その条件、呑んでやろうじゃねぇか。」
マッドレックスも、感心した様子でそう答えた。そして、不良生徒達に向き直り、叫んだ。
「という訳だ。テメェら、俺について来い!」
「「「「「うぉおおおおお!!」」」」」
それに応える様に、不良生徒達も歓声を挙げた。
「それから…」
マッドレックスはそう言うと、リンを自分の方に引き寄せた。
「このリンが、シャーレのNo.2だ!コイツの言う事もちゃんと聞いとけよ!」
「「「「「えぇ~」」」」」
その言葉に、不良生徒達からは落胆したような声が聞こえてきた。
「そりゃあ無いですよ〜」
「アタシ、連邦生徒会の使いっ走りとかは御免だぜ」
「先生には従いますけど、そこの行政官サマには嫌だ〜」
そして、不良生徒達は口々に不満を述べた。
「先生!?また勝手に…」
リンも困惑した様にそう言う。実際、彼女も不良生徒達を見張る目的で条件を提示したのだが、あくまで一部員としての扱いだと思っていた。その意味では、これ程の好待遇は寧ろ予想外だったのだ。
マッドレックスは、リンの呟きには答えずに、再び不良生徒達に対して口を開いた。
「…コイツを選んだのは、別に偉いからじゃねぇよ。コイツは、唯一俺に真っ向から言い返した。その"魂"がある奴だから、俺の右腕になってもらおうって訳よ。」
その言葉を聞いたリンは、意を決したように不良生徒達に向き直り、大声で叫んだ。
「…黙りなさい!!」
この叫びに、不満を口にしていた不良生徒達も驚いて無言になった。
「貴方達、あの"災厄の狐"の次は先生に取り入ろうって心算なのかもしれませんが、そうはいきませんよ!もしも貴方達が連邦生徒会と敵対する様なら、私は容赦無く処罰します!それを心に刻んで下さい!例え先生でも、遠慮しませんからね!」
「…あぁ、分かったよ。」
マッドレックスは、それを聞いて感心した様にそう呟いた。
「…分かりました!」
一人の不良生徒がそう言うと、他の生徒からも声が上がった。
「行政官…いえ、姐さん!感動しました!」
「アタシ、貴方に着いていきます!」
「さっきは
「「「姉御!姉御!姉御!」」」
「…これ、どうしましょう?」
「さぁな。お前が面倒見てやれよ。」
またまた予想を裏切られ、困惑するリンにマッドレックスも呆れたようにそう呟く。
かくして、シャーレはそのスタートを切った。この組織が後のキヴォトスに大きな影響を与える事になるのだが、それはまた別の話…。
この作品におけるリンちゃんは、シャーレ及びマッドレックスのブレーキ役的立ち位置(止められるとは言っていない)です。イメージとしては、宇宙戦隊キュウレンジャーのラプター283やBLEACHの伊勢七緒がちょっと混じってます。