機動戦士ガンダム:残響   作:片蔵清優

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■第6巻 前書き

ここまで『機動戦士ガンダム:残響』を読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。

第6巻です。

ここまで来ました。

……いや。

ここまで来てしまいました。

第5巻までを読んでくださった方なら、もうお気づきかもしれません。

この物語は少しずつ、

「失われたものを追いかける物語」

から、

「失われたものが、こちら側へ戻ってくる物語」

へと変わり始めています。

⸻

残響とは何なのか。

記憶なのか。

思念なのか。

記録なのか。

それとも——

そこに確かに生きていた人間そのものなのか。

⸻

もし。

死んだはずの人間が、
誰かの記憶の中だけではなく。

声を持ち。

身体を持ち。

再び目の前へ現れたなら。

それを、

「帰ってきた」

と呼んでいいのでしょうか。

⸻

そして。

もう一つ。

この巻では、
ずっとこの作品の奥底に流れていたものが、
少しずつ表へ出てきます。

アムロ。

シャア。

ブライト。

セイラ。

そして、
レイジ。

それぞれ違う時代を生き。

違うものを失い。

違う答えを選んできた人達。

けれど。

彼らの残した感情は、
決して綺麗には消えてくれませんでした。

⸻

人間は忘れる。

でも。

忘れたからといって、
無かったことにはならない。

悲しみも。

後悔も。

怒りも。

愛情も。

誰かを救えなかった記憶も。

その全てが残っている。

だからこそ、

この物語ではそれを、

「残響」

と呼んでいます。

⸻

第6巻。

ここから少し、
世界の見え方が変わります。

距離。

時間。

生と死。

現実と記憶。

これまで当たり前だった境界が、
少しずつ意味を失っていきます。

ですが。

どれだけ世界が揺らいでも。

この作品で描きたいものは変わりません。

人です。

迷って。

間違えて。

失って。

それでも誰かへ手を伸ばす。

そんな人達の物語です。

⸻

そして今回。

長い長い宇宙世紀を歩いてきた、

二人の男にも。

もう一度、
歩いてもらいます。

……まあ。

本人達からすれば、

「勝手に呼び戻すな」

と言いたいでしょうが。

そこは作者権限ということで。

諦めてもらいましょう。

⸻

それでは。

『機動戦士ガンダム:残響』

第6巻。

ここから先は、

“帰ってきた者達”と、

“帰れなかった者達”と、

そして——

これから未来へ向かう者達の物語です。

最後まで、
お付き合いいただければ幸いです。

片蔵清優


第6巻『深蒼接続』
■第6巻 プロローグ前 ■観測補助記録


これまで確認された戦争記録の流れを整理する。

 

一年戦争において、

地球連邦とジオン公国の戦闘は

人類圏そのものを変質させた。

 

その後。

 

グリプス戦役では、

ティターンズとエゥーゴの対立が激化。

 

さらに第一次ネオ・ジオン抗争により、

ハマーン・カーン率いる勢力が台頭。

 

続く第二次ネオ・ジオン抗争では、

シャア・アズナブルによる

地球寒冷化作戦が発生した。

 

そしてラプラス事変。

 

“宇宙世紀の根幹”

 

に関わる情報が解放され、

歴史構造そのものへ干渉が始まった。

 

これら全ての戦争記録は、

現在の未接続領域異常と

深く結びついていると推測される。

 

⸻

 

U.C.0112。

 

ブライト・ノア帰還以降、

未接続領域における構造変動は

新段階へ移行した。

 

⸻

 

従来確認されていた:

 

・観測干渉

・記録重複

・残響投影

 

に加え、

 

現実側そのものへの侵食が確認されている。

 

⸻

 

特に:

 

「存在固定化」

 

現象は深刻。

 

⸻

 

これまで、

残響存在と判断されていた対象:

 

・コルヴス・クロウ

・シャル・ルージュ

 

等に、

 

物理的実在性が発生し始めている。

 

⸻

 

これは単なる具現化ではない。

 

⸻

 

“現実側が、

 彼らを存在として受理し始めた”

 

事を意味する。

 

⸻

 

同時に:

 

戦争記録群の異常再接続が確認された。

 

⸻

 

一年戦争。

 

グリプス戦役。

 

第一次ネオ・ジオン抗争。

 

第二次ネオ・ジオン抗争。

 

ラプラス事変。

 

⸻

 

複数時代の観測情報が、

単一時間軸上へ流入を開始。

 

⸻

 

一部領域では:

 

「存在しない艦隊反応」

「既に失われた機体反応」

「死亡済み人物の観測記録」

 

等も確認されている。

 

⸻

 

現在、

ラプラス・コアは:

 

“戦争残響構造核”

 

として、

大規模因果補正を継続中。

 

⸻

 

だが。

 

ブライト・ノアの

現実側再受理により、

 

“世界初期化”

 

は失敗したと推測される。

 

⸻

 

その結果。

 

構造全域において:

 

「滅亡フェーズ」

 

への移行兆候が発生。

 

⸻

 

現在確認される主症状:

 

・現実侵食

・観測崩壊

・同期遅延

・記録混線

・存在固定化

・因果誤差拡大

 

⸻

 

特にアマテラスでは:

 

時間認識誤差。

 

乗員間視認差異。

 

通信同期不全。

 

空間位置ズレ。

 

などが頻発。

 

⸻

 

同艦は既に、

通常艦艇ではなく:

 

「現実避難座標」

 

へ変質しつつある。

 

⸻

 

なお。

 

レイジ・イルマは現在:

 

「修正されない側」

 

として認識されている。

 

⸻

 

彼のみが、

複数因果矛盾下においても

接続維持可能。

 

⸻

 

理由は未解明。

 

⸻

 

ただし。

 

彼は救世主ではない。

 

⸻

 

未定義のまま、

他者と接続し続ける存在である。

 

⸻

 

そして現在。

 

世界は静かに、

次段階へ進み始めている。

 

⸻

 

“帰還”は完了した。

 

⸻

 

だが。

 

その代償として。

 

⸻

 

戦争そのものが、

再び現実へ近づき始めている。

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