低ランクの冒険者でも最上級のダンジョンに挑むのは自由です。
作者:

原作:ソードワールド1.0
タグ:R-15 オリ主 残酷な描写
王都オランの孤児院で育った十五歳の少年、ロック。

両親も財産も後ろ盾もない彼は、身一つで金を稼ぐために狩人の技を学び、若くして一人前のハンターとなった。

器用で両手利き。

剣にも魔法にも盗賊技術にも才能を示し、冒険者訓練所では上級職から始めるよう勧められる。

だがロックは、それを断った。

彼が目指すのは、強い戦士でも高位の魔術師でもない。

罠を見抜き、

鍵を開け、

魔法装置を解析し、

未知の迷宮から生きて帰ることのできる、最高の迷宮探索者だった。

そのためロックは、あえて最低ランクのシーフから冒険者としての第一歩を踏み出す。

最初に選んだ依頼は、誰も受けたがらない王都地下水道の掃除。

安い。

汚い。

臭い。

冒険者らしい華やかさなど、どこにもない雑用だった。

しかし、王都オランの地下水道は、古代王国期の遺構を利用して造られている。

基本を疎かにしないロックは、掃除をしながら壁、水流、風、鼠の足跡を調べ、不自然な空間を発見する。

その先にあったのは、

誰にも発見されていない古代王国の実験施設。

入口を守るのは、魔法の武器と防具で強化された二体の竜牙兵。

まともに戦えば、最低ランクの新人など一瞬で殺される。

だが竜牙兵は、警戒区画へ入らなければ襲ってこなかった。

ならば入らなければいい。

ロックは毎日地下水道へ通い、

掃除を終え、

誰も見ていないことを確かめ、

安全な場所から石礫を撃ち込み、

帰る前に入口へ魔法の【ロック】をかける。

一日で倒せないなら、一週間かける。

正面から勝てないなら、勝てる方法を見つける。

英雄的な突撃など必要ない。

戦いを始めた時には、すでに勝っていればいい。

最低ランクの新人冒険者が、

誰にも知られないまま、

最高ランクの未発見ダンジョンを攻略していく。

これは、才能を不当に評価されない少年の物語ではない。

才能を正しく評価されながら、

実績ゼロの最低地点から、

地道な知恵と執念で積み上がっていく少年の物語である。
  第1話 最低ランクの仕事
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