機動戦士ガンダム:残響   作:片蔵清優

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■第6巻 第4章 「固定された亡霊」

■アマテラス・ブリーフィングルーム

 

静かだった。

 

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誰も口を開かない。

 

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モニターには、

外縁宙域の機影。

 

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白銀。

 

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そして、

消えかけた赤。

 

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■ブライト・ノア

 

腕を組んだまま、

モニターを見つめている。

 

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その向かい。

 

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■アムロ・レイ

 

椅子へ腰掛けていた。

 

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そして。

 

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■シャア・アズナブル

 

壁にもたれたまま、

静かに立っている。

 

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異様な光景だった。

 

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死んだはずの男達が、

当たり前のようにそこにいる。

 

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■ミライ

 

小さく息を吐く。

 

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「……本当に戻ってきたのね」

 

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■アムロ

 

少しだけ笑う。

 

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「久しぶりだな」

 

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それだけだった。

 

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だが。

 

それで十分だった。

 

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ミライも、

小さく笑う。

 

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「ええ」

 

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短い沈黙。

 

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■ブライト

 

「説明してもらうぞ」

 

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視線はモニターから動かない。

 

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「何が起きている」

 

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「そして、

あれは何だ」

 

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アムロとシャアが、

一瞬だけ視線を交わす。

 

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先に口を開いたのは、

シャアだった。

 

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■シャア

 

「ラプラスが動いた」

 

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■ジョブ・ジョン

 

「動いた?」

 

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■アムロ

 

「ああ」

 

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「世界の方が、

俺達を見始めた」

 

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部屋が静まる。

 

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■ブライト

 

「だからお前達はここにいる」

 

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■シャア

 

小さく頷く。

 

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「結果としてはな」

 

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■ミライ

 

「結果として……?」

 

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■アムロ

 

少し考える。

 

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「俺にも上手く説明出来ない」

 

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短い沈黙。

 

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「ただ」

 

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「消えなかった」

 

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誰も言葉を返さない。

 

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■ジョブ

 

「じゃあ、

あいつらは」

 

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モニターを見る。

 

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ノーネーム。

 

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オブリヴィオン。

 

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■シャア

 

目を細める。

 

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「あれも同じだ」

 

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■ジョブ

 

「同じ?」

 

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■アムロ

 

「ああ」

 

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「消えなかったものだ」

 

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短い沈黙。

 

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■シャア

 

「あれは我々ではない」

 

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■ブライト

 

「違うのか」

 

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■シャア

 

「似ているだけだ」

 

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モニターの中。

 

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白銀が揺れる。

 

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赤が滲む。

 

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■シャア

 

「だが」

 

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少し間。

 

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「あまり気分の良いものではないな」

 

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■ジョブ

 

「そりゃそうだろ……」

 

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■ブライト

 

「倒せるのか」

 

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■アムロ

 

静かに答える。

 

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「倒すしかない」

 

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部屋の空気が冷える。

 

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■ブライト

 

「世界そのものが敵か」

 

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■シャア

 

小さく笑う。

 

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「今更だろう」

 

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誰も否定しない。

 

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その時。

 

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扉が開く。

 

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■レイジ

 

「……話、

終わったか?」

 

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全員の視線が向く。

 

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その瞬間。

 

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モニター波形が大きく乱れた。

 

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■オペレーター

 

「敵性反応増大!」

 

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「こちらを観測しています!!」

 

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アムロが立ち上がる。

 

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シャアも振り返る。

 

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二人は、

ほぼ同時に同じ結論へ辿り着いた。

 

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■アムロ

 

「来るぞ」

 

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■シャア

 

「ああ」

 

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赤い瞳が細くなる。

 

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「あれは、

もう見ている」

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