俺たちゃ翔陽天空騎士隊~第二次サマイルナ大戦空戦記   作:クワ

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敵侵入飛行騎隊迎撃

高度(こうど)は」

 高度計は五〇〇を指し示している。

 

 隊長騎から増魔石が切り離され落下していくのが見えた。

 

「魔力、自己に切り替え」

 

 増魔石の魔力供給(まりょくきょうきゅう)スイッチを切り、海自身の魔力をホウキに喰わす。

 ホウキは少しばかり息継(いきつ)いだが、瞬時に勢いを取り戻した。

 

「増魔石廃棄」

 左手でホウキの先端を抑え、右手でスイッチを引く。

 増魔石が固定金具から外れ、ヒュンと落下していった。

 

「三上・秋川落とすぞ」

 萩野からの力のこもった通信が入ると、隊長騎はゆっくりと騎首を右に傾け旋回を始めた。

 

「速度を上げるぞ」

 スロットルを徐々に解放してゆく。

 

 ホウキの発動機の消費エネルギーが増し、それと同時に海は体の魔動力の放出が増えたのをわずかなだるさとして感じた。

 

 ホウキというのは実際のそれではなく、形が似ているからそう言われている。

 ホウキが飛行する原理は、後ろの部分に魔力を噴出(ふんしゅつ)する発動機が付いており、その魔力を噴出するエネルギーによって空を飛んでいる。

 

 そのホウキの先頭は、くの字の形をした板がT字状についていて、その板の左右に魔宝石(まほうせき)がはめ込んである。

 魔宝石からは魔力を使用して氷・炎・雷・闇・光などの魔弾(まだん)がかわるがわる発射され、それで敵を攻撃する。

 

 なぜかわるがわるかというと、爆撃騎・戦闘騎などすべてに魔障壁(ましょうへき)というバリアが付いており、その魔法属性(まほうぞくせい)弱点などが瞬時に判別できないために色々な属性の弾を放つことにより判別がわりとしている。

 

(新型の青電(せいでん)での初戦闘だな)

 青電はホウキの騎種(きしゅ)だ。

 

「海、来たな」

 三上が軽い口調で声をかけてきた。

 

 長い髪が風にあおられている。

「ハンナのために頑張らんとなぁ」

 ハンナというのは三上の恋人らしい。

 

「この戦争が終わったら、二人で店、開くんだ」

「三上、それ何回目だよ」

 うんざりする口調で返すも、三上は意に介す事無くのろけている。

 

「このロケットはお揃いでな、お互いの写真を入れてるんだよ」

 三上は、首からかけてあるロケットをぎゅっと握りしめ、それを服の中にしまった。

 萩野騎に導かれ、高度を取りつつ雷撃隊の背面にスルリと騎をねじ込み、指で引き金の位置を確認する。

 

 振り返ると後方に味方の隊が続いているのが見えた。

「後方に敵護衛戦闘騎(てきごえいせんとうき)なし」

 そうつぶやき攻撃の下知(げち)を待つ。

 

 隊長が右手で合図を出すと同時に鷹が獲物を狩るように襲い掛かった。

 

 雷撃隊の複座から魔銃の弾丸が嵐の雨ように吹き付けられてくる。

 風除け・弾除けの魔障壁が周囲に貼られているとはいえ、当たる時は当たる。

 

 敵弾に当たらないよう祈りつつ、海は最後尾(さいこうび)の一騎を標準器(ひょうじゅんき)の中に(とら)える。

 

 そして騎体が揺れ標準がブレないようゆっくりと引き金を引いた。

 

 ヒュンヒュンヒュンと乾いた音とともに青・赤・黄・白・黒の色を帯びた鮮やかな魔弾が発射され、その曳航(えいこう)操縦手(そうじゅうしゅ)の背中に吸い込まれていった。

 

 その背中が徐々に深紅(しんく)に染まり、ガクッと体制を崩すとそのままゆっくりと沈みはじめる。

 

 体制を整え次の敵に標準を合わせる。

 その間にも次々と敵騎が僚騎により落とされていくのが視界の隅に入り込む。

 

「早いな」

 他に負けまいと焦りを感じつつ引き金を引く。

 

 体制を保てなくなった敵騎はグルグルと回転しながら落下していく。

 複座(ふくざ)の射撃手の絶望的な顔が視界に入る。

 

(すまないな、悪く思わないでくれ)

 そう祈りつつ次の敵をさがす。

 

「敵は?」

 すでにあらかた落としたらしく周囲は味方騎しか見当たらない。

 

「終わったな」

 一時的とはいえ、ふっと安ど感が沸き上がってくる。

「三上どうだった」

「四騎だ」

 今にも飛び跳ねそうな位はずんだ声で返答をしてきた。

「お前はどうだ」

「二騎」

「そうか、まだ次があるさ」

 

 三上はバツが悪そうに慰めの言葉を海に届けた。

「そうだな」

(コイツはこういう妙に優しいところがあるので、かなり男女関わりなく人気があるヤツだったりするんだよな)

 

「二人とも、高度を上げるぞ」

 油断していた二人を憂慮(ゆうりょ)してなのか、急に荻野の厳しい声が飛んできた。

 

 高度計を見ると二五〇を示している。

(まだ敵が来ないわけじゃないからな)

 気を取り直し、海は荻野に続き高度をとりはじめた。

 

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