第8章 4人の堕天使
オカルト研究部に一誠とアーシアが加わってから、しばらく経った。
部室には、以前にも増して多くの笑い声が響くようになっていた。
リアス。
朱乃。
木場。
ギャスパー。
白音。
一誠。
アーシア。
そして――黒歌。
そんなある日の放課後。
黒歌が突然、窓の外へ視線を向けた。
「・・・来たにゃ。」
「何が来たの?」
リアスが尋ねる。
「堕天使にゃ。」
黒歌は静かに答えた。
「4人いるにゃ」
「4人?」
木場が反応する。
黒歌は目を細める。
「レイナーレ」
「カラワーナ」
「ミッテルト」
そして・・・。
「ドーナシーク」
リアスの表情が険しくなる。
「グリゴリに所属する堕天使達・・・。」
「そうにゃ。」
黒歌は頷く。
「でも、まだ敵だと決まったわけじゃないにゃ。」
一誠が首を傾げる。
「どういうことだ?」
「未来視を使ってみるにゃ。」
黒歌が目を閉じる。
次の瞬間・・・。
世界が歪んだ。
第9章 黒歌が見た未来
黒歌の目の前に、いくつもの未来が映し出された。
レイナーレが戦っている。
カラワーナが仲間を守っている。
ミッテルトが叫んでいる。
そして・・・。
ドーナシークが、1人で立っていた。
「・・・。」
黒歌の表情が変わる。
その未来では、4人が敵として動いていた。
戦いが起こる。
そして、その中で・・・。
ドーナシークが仲間を守ろうとして倒れる。
「・・・ドーナシーク。」
黒歌は未来視を止めた。
「どうしたの?」
リアスが心配そうに尋ねる。
黒歌はしばらく黙っていた。
「・・・このまま何もしなければ」
黒歌は静かに言った。
「ドーナシークが死ぬ未来があるにゃ。」
部室が静まり返る。
「え・・・?」
アーシアが息を呑む。
レイナーレたちを知らない彼女でさえ、その言葉の重さを感じ取った。
一誠が拳を握る。
「じゃあ、助けに行こう!」
黒歌は一誠を見る。
「そうにゃ。」
「未来が分かってるなら、変えられるんだろ?」
「その通りにゃ。」
黒歌は頷いた。
「でも、私1人で未来を変えるんじゃないにゃ。」
リアスが黒歌を見る。
「私たち全員で変えるのね。」
「そうにゃ。」
黒歌は微笑んだ。
「未来は、皆の行動で変わるにゃ。」
第10章 堕天使との接触
その夜。
黒歌たちは4人の堕天使と接触した。
先頭に立っていたのは、レイナーレ。
落ち着いた雰囲気を持つ女性であり、グリゴリに所属する堕天使だった。
その後ろには3人。
レイナーレの部下であるカラワーナ。
大柄な体格を持ち、黒を基調とした服装をしている。
そして、金髪を2つに結んだミッテルト。
彼女は青い瞳を輝かせながら周囲を見回していた。
最後に立っているのが・・・。
紺色のコートを着たドーナシーク。
彼は敵対する可能性がある相手に対しても、礼儀正しい態度を崩さなかった。
「初めまして。」
ドーナシークが頭を下げる。
「私はドーナシーク。あなたが黒歌殿ですね。」
「そうにゃ。」
黒歌も頭を下げる。
「よろしくにゃ。」
「こちらこそ、よろしくお願します。」
ミッテルトが二人を見ている。
「なんか二人とも妙に礼儀正しいっすね!」
カラワーナがミッテルトを見る。
「お前が騒がしいだけだ。」
「ひどいっすよぉ~!」
レイナーレが苦笑する。
「ミッテルト、静かに。」
「はーい・・・。」
少ししょんぼりするミッテルト。
その様子を見て、一誠が笑う。
「なんか、思ってたより普通だな。」
「あなたね・・・。」
レイナーレが呆れる。
「私たちは堕天使よ?」
「でも、普通に話せるじゃん」
「・・・。」
レイナーレは黙る。
黒歌が笑った。
「一誠はこういう奴にゃ。」
第11章 未来を変える第一歩
黒歌は4人を見つめる。
「1つ、聞きたいにゃ」
レイナーレが尋ねる。
「何かしら?」
「あなたたちは、本当にこのまま敵として戦いたいのかにゃ?」
「・・・。」
レイナーレは答えなかった。
カラワーナも黙っている。
ミッテルトは困ったようにレイナーレを見る。
ドーナシークだけが静かに答えた。
「私は、必要のない戦いなら避けたいと思っています。」
黒歌は頷く。
「やっぱりにゃ。」
レイナーレが眉をひそめる。
「何が『やっぱり』なの?」
「未来を見たからにゃ。」
「・・・!」
レイナーレの表情が変わる。
「あなたは未来が見えるの?」
「見えるにゃ。」
「なら・・・、私たちがどうなるかも見えるの?」
黒歌は少し考える。
「いくつもの可能性が見えるにゃ。」
そして、ドーナシークを見る。
「このままなら、ドーナシークが命を落とす未来もあるにゃ。」
「・・・私が?」
ドーナシークは驚いた。
黒歌は頷く。
「でも」
その言葉に力を込める。
「それは決定事項じゃないにゃ。」
リアスが1歩前へ出る。
「私たちが行動を変えれば、未来も変わるわ。」
レイナーレはリアスを見る。
「・・・本当に?」
「ええ。」
リアスは答える。
「黒歌は、過去にも未来を変えているわ。」
「そうにゃ。」
黒歌が頷く。
「だから、今回も変えるにゃ。」
第12章 避けられた悲劇
しかし・・・。
未来は簡単には変わらなかった。
数日後・・・。
4人の堕天使と悪魔たちの間で、衝突が起きていた。
黒歌の未来視に映っていた状況と、ほとんど同じだった。
「攻撃が来るにゃ!」
黒歌が叫ぶ。
「全員、予定通り動くにゃ!」
リアスが頷く。
「分かったわ!」
朱乃と木場がそれぞれの位置につく。
一誠とアーシアも仲間と共に行動する。
そして・・・。
ドーナシークの前に、黒歌が立った。
「ここは私が!」
「違うにゃ。」
黒歌は首を振る。
「1人で戦わないにゃ。」
ドーナシークが目を見開く。
「しかし・・・。」
「未来を変えるには、みんなで動くにゃ。」
その言葉と同時に、リアスたちが集まる。
「その通りよ。」
リアスが言った。
「ここにいる全員で対処するわ。」
ドーナシークはしばらく黙り・・・。
「・・・なるほど。」
小さく笑った。
「それなら、私も皆さんを信じましょう。」
そして・・・。
未来が変わった。
黒歌が見ていた未来では、ドーナシークが1人で仲間を守ろうとしていた。
しかし今は違う。
レイナーレがドーナシークを援護する。
カラワーナがミッテルトを守る。
リアスたちも協力する。
一誠も前へ出る。
誰も1人にならない。
そして・・・。
ドーナシークは生き残った。
黒歌の未来視に映っていた悲劇は、起こらなかった。
「・・・変わったにゃ。」
黒歌が呟く。
「何が?」
リアスが尋ねる。
「前に見えた未来には、ここに、ドーナシークはいなかったにゃ。
それが、皆の行動で未来が変わったにゃ。」
第13章 4人の決断
戦いが終わった後。
レイナーレは静かにドーナシークを見る。
「・・・生きている。」
「はい。」
ドーナシークは笑う。
「どうやら、まだ天へ召される予定ではなかったようですね。」
ミッテルトが勢いよく駆け寄る。
「よかったっすよぉ~!」
「ミッテルト・・・。」
「本当に心配したんすからね!」
カラワーナも胸を撫で下ろす。
「・・・無事で何よりだ。」
レイナーレは黒歌を見る。
「あなたのおかげね。」
「違うにゃ。」
黒歌は首を横に振った。
「みんなが自分で行動したからにゃ。」
リアスも頷く。
「黒歌が未来を教えてくれた。」
「でも、未来を変えたのは私たち全員よ。」
レイナーレはしばらく黙っていた。
そして・・・。
「なら・・・。」
彼女はリアスを見る。
「私たちも、この未来を選ぶわ。」
「この未来?」
「ええ。」
レイナーレは答える。
「私たちは、グリゴリに所属している堕天使。」
「でも、それだけが私たちの生き方じゃない。」
カラワーナが続ける。
「私も同意する。」
ミッテルトも大きく手を挙げる。
「うちも賛成っす!」
そして・・・。
ドーナシークが静かに微笑んだ。
「私もです。」
リアスは目を丸くする。
「それって・・・。」
レイナーレが頷く。
「このオカルト研究部に、私たちも協力させてもらえないかしら?」
第14章 新しい仲間たち
旧校舎。
オカルト研究部の部室。
リアスは皆を見渡した。
「今日から、この4人にも協力してもらうことになったわ。
協力に当たり、彼女たちは今後、私たちと敵対しないことを約束してくれたわ。」
一誠が嬉しそうにする。
「おお!」
レイナーレ。
カラワーナ。
ミッテルト。
ドーナシーク。
4人が並ぶ。
レイナーレは静かに一礼する。
「よろしくお願いするわ。」
カラワーナも続く。
「これから世話になる。」
ミッテルトは元気よく手を挙げる。
「うちもよろしくっす!」
最後にドーナシーク。
「皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。」
一誠が笑顔で答える。
「よろしくな!」
アーシアも笑う。
「よろしくお願いします。」
木場も頷く。
「仲間が増えて、ますます賑やかになりそうだね。」
ギャスパーは少し緊張しながら頭を下げる。
「よ、よろしくお願いします・・・。」
白音はミッテルトを見る。
「元気だね。」
「そうっすか?」
「うん」
「じゃあ、白音ちゃんも元気にするっすよ!」
「・・・?」
白音が首を傾げる。
黒歌が笑った。
「面白い仲間が増えたにゃ。」
第15章 それぞれの居場所
それから数日。
4人は少しずつ部室に馴染んでいった。
レイナーレはリアスや朱乃と話すことが増えた。
「あなた、本当に未来が見えるのね。」
「そうにゃ。」
「怖くないの?」
「怖いにゃ。」
黒歌は素直に答える。
「でも、未来が怖いからって何もしないのは違うにゃ。」
レイナーレは微笑む。
「・・・あなたらしいわね。」
一方。
カラワーナは木場と訓練について話していた。
「君は剣を使うのか。」
「はい。」
「ならば、いつか手合わせしてみたいものだ」
「僕も楽しみにしています。」
ミッテルトは一誠やギャスパーと話している。
「うち、こういう部活って初めてなんすよ!」
「僕も・・・。」
ギャスパーが頷く。
「じゃあ仲間っすね!」
「そ、そうですね・・・。」
ミッテルトが嬉しそうに笑う。
「これからよろしくっすよぉ~!」
そしてドーナシークは、アーシアと話していた。
「アーシアさん。」
「はい?」
「あなたは、とても優しい方ですね。」
「そんな・・・。」
アーシアが照れる。
「でも、その優しさは強さでもあります。」
ドーナシークは微笑む。
「どうか、その心を大切にしてください。」
「・・・はい。」
アーシアは嬉しそうに頷いた。
第16章 黒歌の教え
ある日の放課後。
黒歌は皆を部室に集めた。
「みんなに伝えておきたいことがあるにゃ」
リアスたちが黒歌を見る。
「未来についてにゃ。」
黒歌は言った。
「私は未来を見ることができるにゃ。」
「でも・・・。」
黒歌は首を横に振る。
「未来を決めることはできないにゃ。」
レイナーレが頷く。
「今回、それを実感したわ。」
「そうにゃ。」
黒歌は続ける。
「未来で誰かが傷つくことが分かったなら・・・。」
一誠が答える。
「その未来にならないように行動する。」
「正解にゃ。」
リアスも続ける。
「一人で解決しようとせず、仲間に伝える。」
「正解にゃ。」
朱乃が言う。
「危険そのものを避ける方法を考える。」
「それも正解にゃ。」
そしてドーナシークが言った。
「もし、それでも避けられないなら・・・」
黒歌が微笑む。
「みんなで立ち向かうにゃ。」
一誠が拳を握る。
「おう!」
レイナーレも頷いた。
「私も、その考えには賛成よ。」
カラワーナも。
「一人で背負う必要はない。」
ミッテルトも手を挙げる。
「うちも覚えたっす!」
黒歌は嬉しそうに笑った。
「これでいいにゃ。」
第17章 変わった未来
その夜、黒歌は一人で窓辺に立っていた。
リアスが隣へやって来る。
「黒歌。」
「何にゃ?」
「未来は・・・変わった?」
黒歌は目を閉じる。
そして未来視を使った。
以前とは違う光景が見える。
一誠。
アーシア。
朱乃。
木場。
ギャスパー。
白音。
レイナーレ。
カラワーナ。
ミッテルト。
そして・・・。
ドーナシーク。
皆が同じ部屋で笑っている。
「・・・変わったにゃ。」
黒歌は静かに笑った。
「ドーナシークが生きてるにゃ。」
リアスも微笑む。
「そう。」
「前の未来では、ここにドーナシークはいなかった。」
黒歌は空を見る。
「でも今はいるにゃ。」
「それは、あなたが救ったから?」
黒歌は首を横に振った。
「違うにゃ。」
そして部室の中を見る。
「みんなが未来を変えたからにゃ。」
リアスは頷いた。
「そうね。」
第18章 四人の新しい物語
翌日。
オカルト研究部。
以前よりも、ずっと賑やかになった部室。
一誠とミッテルトが言い争い。
「だから俺の方が強いって!」
「何言ってるんすか! うちだって強いっすよ!」
「なら勝負だ!」
「望むところっす!」
「2人とも落ち着け。」
カラワーナが止める。
その隣でギャスパーが苦笑している。
レイナーレは朱乃と紅茶を飲み。
ドーナシークは木場と静かに話している。
アーシアと白音は楽しそうにその光景を眺めている。
リアスは部室全体を見渡す。
そして・・・。
黒歌を見る。
「ねえ、黒歌。」
「何にゃ?」
「これが、あなたの言っていた『変わった未来』なのね。」
黒歌は笑った。
「そうにゃ。」
「どう?」
「最高にゃ。」
リアスも笑う。
黒歌は窓の外を見る。
未来は見える。
けれど・・・。
もう未来に怯えることはない。
なぜなら。
未来は決まっていない。
一歩を変えれば。
一言を変えれば。
誰かに手を差し伸べれば。
仲間と一緒に立ち向かえば。
未来は変わる。
かつて失われるはずだった命も。
別れてしまうはずだった仲間も。
そして・・・。
生まれるはずのなかった絆も。
全てが変わっていく。
黒歌は微笑んだ。
「これからも、未来を変えていくにゃ。」
リアスが頷く。
「ええ。」
一誠が振り返る。
「何の話だ?」
黒歌は笑った。
「秘密にゃ。」
「ええーっ!」
部室に笑い声が響く。
こうして・・・。
オカルト研究部には、新たな4人の仲間が加わった。
グリゴリ所属の堕天使・・・レイナーレ。
その部下・・・カラワーナ。
ミッテルト。
そして、仲間を守る紳士的な堕天使・・・ドーナシーク。
本来なら交わることのなかった者たち。
本来なら敵になるはずだった者たち。
そして・・・。
本来なら失われるはずだった未来。
それら全てを、黒歌たちは変えた。
しかし・・・。
黒歌は知っている。
これは、終わりではない。
むしろ・・・。
ここからが本当の始まりなのだ。
「さて・・・。」
黒歌は楽しそうに笑う。
「次は、どんな未来にするにゃ?」
その問いに答える者は、まだいなかった。
なぜなら・・・。
未来はまだ、決まっていないのだから。
感想や、誤字脱字の報告などお待ちしています!
次回「ライザーとの出会い、そして、レーティングゲームのための特訓」
黒歌が色々な世界に行き、強者から姿と力を(言霊として)借りる展開を書こうと思います。どちらで見たいですか?
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前日譚
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倒れた後に、目覚めた小猫(白音)に話す