お兄ちゃんと妹がパロディギャルゲに転送されるイベントが発生中 作:ヌチャニドロ
何も思いつかないッス!
少なめッス!
ウス!
円卓にて巫女と呼ばれる私は、今は学校の養護教諭の役割を担っていた。
甘い香りが食欲をそそる。
今日は業務のあと、同僚の理科教師とスイーツパラダイスを楽しんでいた。
「ふふ…楽しんでる?すごく、ご機嫌な表情…」
彼女は容姿、性格…すべてが限りなく隠者に似ている。
「そ、そんなに顔出てていたかしら…」
「子供みたいな、表情…そんな顔、初めて見たわ…」
隠者はいつもと変わらない微笑みを浮かべている。
スイパラへ行く、という提案は彼女からのものだ。ここ最近、ずっと考え詰めている表情をしていたから心配してくれたらしい。
こちらでもあちらでも、やはり彼女は頼もしい。
ほわほわとしていながらも、内に知性を秘めている。
今の私の状況…何も事情を知らないとしても、何故か頼ってしまいたくなる。
「少し前まで、表情…すごく硬かったから…」
おそらく、私がこちらに来る前までの私のことを言っているのだろう。頭のなかにある情報は、そう言っている。
こちらの私も、夜の打倒に悩む私と同じように、何か孤独な悩みを抱えていたようだった。どうにも、実家がどうとか…しかし私が乗り移ってからは、もはや実家とは連絡は取っていない。
隠者が心配している私の問題は、もうどうでもいいと言ってもいいのだが…。人の好意は素直に受け取るべきだと思い、私はスイパラへ行かないか、という誘いに乗った。
「もう、どうでもいいと思ったの。私の悩みなど、些細なことだから。」
「そう…なんだかすっきりしたね…」
そう言って隠者はショートケーキを頬張った。
しかし…いつぶりだろうか、このような平穏な日常は。
兄さんには申し訳ないが、私は正直こちらの世界を楽しんでいる。
情報収集はしているけれど、あちらと異なり余裕がかなりある。
暫しの休息ね…そう思いながら私もスイーツを口へ運んだ。
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翌日、私は保健室にいた。
「先生、いますか?」
入口がガラガラと音を立てて開いてゆく。
「あら、こんにちは。クロエさん」
彼女はにこりと笑う。
保健室登校の黒江さん…一年の女生徒である。
彼女の容姿は、ダフネ…人形のあの子ととても似ている。
おそらくこちらにおける彼女の役割なのだろう。
というか…彼女のカバンにはデフォルメされたダフネの人形がぶら下がっていた。
初めて見たときはダフネ人形の表情がとても不機嫌そうで笑ってしまった。
「先生…なんだか機嫌が良さそうです」
「そう?貴方の方も少し調子が良さそうね」
クロエさんの表情は華やぐ。
「わかりますか?最近お父様の体調が良くて、人形作りの続きを教えてくだったんです…!」
彼女は頬を紅潮させながら話している。
クロエさんの家は人形作りの名家である。
クロエさんの父親は一時期病んでいて、その関係で彼女も学校へあまり登校できていなかった。
薬を飲んで、今は安定しているらしい。
「カラカラ…(私はあの薬信用していないぞ!あの診療所の治療は胡散臭い!!!)」
「「?」」
今、ダフネの人形が揺れた気が…風かしらね。
「あっ…!そうだ…先生、ここちょっとわからなくて…」
「どこかしら」
クロエさんは数学の参考書を開き、マーカーでひかれた個所を指さした。
ゆっくりと時間は過ぎて行くのだった。
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クロエさんが下校したあと、わたしはほぅ…とため息をついた。
こちらでの日常は、驚くほどに平穏で、満ち足りている。
しかし、何かが足りない…何かが…。
そうだ…兄さん…兄さん成分が足りていないんだわ…。
兄さんは今、ヒロインたちの攻略でてんやわんやしている。
というか、一度にヒロインを全て攻略しよう、なんて馬鹿げた提案をしたのはほかでもない私なのだけれど…。
それでもすこし平和ボケしたこの身体は、兄さんを求めている。
昔のように…子供の頃のように共に寄り添いたい。共に風を感じたい。
……でも、そうよね…
「教師と生徒って…流石に無しよね…?」
ダフネちゃん人形のなかには、クロエちゃんの妹が入っている。