リリエル達天使空挺隊が天界をパトロールしていたら突如ひび割れる天界の風景、そこに魔界第一王女、ナミエルが現れ……!?
劇場版リリエル外伝を意識してみました。楽しんでいただけたら幸いです。
その厄災は、突然訪れた。
「今よ、リリエル!」
「はい、ミリエラ!」
天界の一角、巡回を行っていたリリエル達天使空挺隊はごくまれに天界に紛れ込んでくる悪魔の退治を行っていた。悪魔と言っても下級、天使空挺隊によってすぐに倒されてしまった。
「よっと……私たちの敵じゃなかったわね!」
「はい!さすがミリエラです!」
「最後に倒したのはあんたじゃない。ったく……」
「おーい!リリエル!ミリエラ!早いよー!」
「リリエル様!ご無事ですか!!」
「アリエル!ノキエル!はい!ピンピンしてますよー!」
「ノキエル……あんたアタシの心配もしなさいよね。」
「ふん…ミリエラなら大丈夫だろう。」
「まーまー!悪魔も倒したんだったら早く帰ろー!」
迷い混んだ悪魔を倒し、緩んだ空気が天使空挺隊を包んでいる、そんな中
バキィッ!!!
「「「「!!!!」」」」
青く澄んだ空。雲一つない天界の空がまるでガラスのようにヒビ割れていく。そのヒビは空だけでなく周囲の丘や川にまで及び、赤く荒んだ世界に塗り変えられていく。
突風がリリエル達の頬を撫でる。いつもの清々しさを感じる風ではない。ねっとりとまとわりつく不浄の風。
ひび割れた空間から明らかに天界のものではない、邪悪な気配を漂わせた1つの影が出てくる。
「リリエル様、お下がりを!!」
「これは、まずいんじゃない…?」
「あれは……!?」
「そんな、なんであのお方が………!?!?」
空間と空間を繋げる、そんな馬鹿げた力を持つ者。
その姿をミリエラだけが、
元悪魔であるミリエラだけが知っていた。
「魔界第一王女、ナミエル!……さま……」
「はぁーい、ミリエラ♪久しぶりね、天界の空気は美味しいかしら?」
気軽に挨拶を返すナミエル。だが、軽薄な態度とは裏腹にとてつもない重圧がリリエル達に襲いかかる。
一瞬でも気を抜けば先に倒した悪魔と同じ姿となる、それほどの実力差。変わり果てた場に緊張が走る。
「なにしに、来たんですか。」
「あらぁ、そんなに気構えないでよリリエル。
私は気まぐれに散歩に来ただけよ。
ただ散歩先で古馴染と面白そうな子達に出会っただけ♪」
チャキッ
手に持った武器に力が入る。戦闘態勢は崩さない。今はその気がなくとも、もし気まぐれに攻撃をされればなす術なくやられるのだから。
「でもー………私の部下がやられたみたいだし?
ちょーっと遊んであげようかしら♪」
「!来ます!!散開して!!」
ナミエルが腕を振るう。それだけで先ほどまで
リリエル達がいた場所が削れ、ぽっかりと穴が空く。リリエル達4人はバラバラに空に逃げナミエルを囲み、最大限の警戒を見せる。
「ふふ♪頑張って耐えてみな、さいっ!」
「ぐっ!?」
初めに狙われたのはノキエル。拳を握ったナミエルは真正面からノキエルに突撃する。一見単純な動きだが、魔界トップの実力者が行えば神速の一撃となる。その速さに対応できなかったノキエルは剣の柄でその攻撃を受け止める。が、
「きゃああっ!!」
「ノキエル!!」
振り切ったナミエルの拳の重さに耐えきれずに岩盤へと飛ばされてしまう。強く叩きつけられたノキエルは岩盤に埋まり、ピクリとも動けなかった。
「よくもノキエルをっ!」
「待ってアリエルッ!一人で突っ込んじゃダメッ!!」
「はあああっ!!!」
ガキィンッ!!!
「んなっ!?」
「あーら、大したパワーね……でも、真っ直ぐすぎよ?力が自慢なら、相手してあげるわっ!!」
大きく振りかぶった斧を叩きつける。岩をも叩き潰すその一撃を、ナミエルは片手で受け止める。
全力で振るった攻撃が通用しない、そのショックが一瞬の隙を生んでしまう。
「うわぁっ!!!」
握り締めた拳をアリエルへと叩き込む。間一髪斧を間に挟むことが出来たが、ナミエルの拳は止まらない。
ドドドドドドッ!!!という音と共に何発もの拳が斧ごとアリエルへと叩き込れ、遂には
バキィッ!
「お、斧が!?」
「隙だらけよっ!」
「しまっ、きゃあっ!!」
壊れた斧の中から拳が伸びる。遮るものがなくなった拳はアリエルへと直撃し、一発でダウンさせた。
「リリエルッ、合わせるわよ!!」
「はい、ミリエラ!!」
リリエル達も見ているだけではない。アリエルを攻撃した隙をつく、背後からの同時奇襲。
ミリエラは矢を、リリエルは自身のエネルギーを弾とし、頭と胴を狙った攻撃はナミエルにクリーンヒットして、
「あら、それだけ?」
いない。見ていないにも関わらず2人の攻撃はナミエルに当たる直前、闇の膜のようなものに止められていた。
「ちょっと攻撃が、甘いんじゃないっ!?」
「きゃぁぁ!!」
「リリエルッ!」
攻撃を防いだナミエルは自身から溢れる黒いエネルギーをそのままリリエルへとぶつけた。衝撃波を伴うエネルギーをリリエルは避けることが出来ず直撃してしまう。
「ミリ、エラ……」
「リリエルッ!!くそっ、ナミエル!!」
「ふふっ、そんな顔出来たのね、ミリエラ♪
いいお友達でも出来た?」
「お陰さまで、ねっ!!」
ナミエルのエネルギー弾とミリエラの矢の応酬が続く。
黒と白の光が瞬き、光の尾が流星のように2人を照らす。
ミリエラはナミエルが放つエネルギー波をひとつ、またひとつと相殺させる。が、それでも全てを撃ち落とすのは難しく、次第に流れ弾がかすることが増えてきた。
(このままじゃジリ貧ね……一か八かに掛けるしかないわねっ!!)
戦闘の刹那、思案したミリエラは光の弾幕をなんとかかわし、距離を取る。
そして、弓矢に力を集中させる。
「あら…なにか仕掛けるつもりね♪」
「余裕ぶっこいてなさい!!食らえ!!
『闇を晴らす一矢』!!!」
力を集中させた矢が強く光り、何倍もの力を込められた、文字通り闇をも晴らす光がナミエルへと襲いかかる。
「これはっ、!?」
「届きなさいっ!!!」
光の矢はナミエルを飲み込み、光の柱を立てる。
直撃、手応えを感じたミリエラは警戒を残しながらも深く息を吸い、体力の回復に努める。
「やったかしら………」
「ざーんねん♪」
「!?!?」
光の柱がかき消される。その中から出てきたナミエルは、無傷とはいかなかった。しかし大きな怪我はなく、少し焼き焦げた跡が残るだけだった。
「やるじゃないミリエラ。今のは痛かったわ………少しね。じゃあ次は……私の番ね♪」
「……あれ、私は……ナミエルと戦って……
そうだ、ミリエラ!?」
ナミエルの攻撃により気絶していたリリエル。目が覚め、辺りを見渡し、その視界に飛び込んできたのは
「あら、お目覚めかしら、リリエル?」
「……………………」
「ミリエラ!!!!」
不敵に笑うナミエルと、ナミエルに掴まれ、ボロボロになったミリエラの姿だった。
「ミリエラを……離してっ!!!」
体に鞭打ち、拳に力を込める。振り絞った一撃が、ナミエルの顔へと吸い込まれる、が。
「っと!へぇ……」
「このっ……!!んぐっ!!」
限界の一撃は届かず、体を半身にして避けられてしまう。必死に次の手を繰り出そうとするがその瞬間にナミエルの手が伸び、リリエルの首を締め上げてしまう。
「いい……いいわ、リリエル。私を憎み、苦悶する表情……♥️もっとよく見せて頂戴……♥️」
ナミエルはミリエラを投げ飛ばし、
うっとりとした表情でリリエルの顔を撫でる。
「ぅっ……!はなっ、してっ……!!」
(ノキエル、アリエル、ミリエラ……!!)
今立っているのは自分だけだ。自分がなんとかしなくてはいけない。今この場でナミエルの相手を出来るのは自分だけなのだから。私がやらなきゃダメなんだ。
しかし、どれだけ想いが強くても、
力の差という現実は覆らない。
(もっと………もっと私に力があれば……!!)
「いい目ね……♥️強さが欲しい、もっと強さが欲しい、って、欲に満ちた目……♥️」
「んあっ!!」
「天使の力の受け渡しはここからやるみたいね?」
がしっ、と胸をわしづかみにされる。
優しさなど微塵もない、暴力的な手つき。
「じゃあ、悪魔の力の受け渡しはどこからやるか、知っているかしら?」
「なにをっ、んむっ!?」
ズキュゥゥゥゥゥゥン!!!
息が止まる。目の前にはナミエルの美しくも妖艶な顔。そして、
「んむぅぅぅぅ!!!」
唇が重なる。深紫の唇が淡い桃色の唇を貪り尽くす。どろ、どろ、と、唇を通してナニカが流し込まれる。黒く淀んだナニカは体の中に入り込み、心までも蹂躙する。既にボロボロのリリエルに抗う力は無く、ナニカはリリエルの体の、心の隅にまで浸透していった。
「んっ………ぷはっ。可愛い反応ね、リリエル♪さあ、あなたの心のままに、その力を解放しなさい!」
「げほっ、げほっ………ナミエル………私に……何を………!!」
「悪魔の力は口から移すもの…私の力をリリエル、あなたに送り込んだの♪天使に悪魔の力を送り込むとどうなると思う?………力に耐えられなかったものは、悪魔になるのよ♪」
ナミエルが妖艶に微笑む。自分の中で暴れ狂うものの正体を理解したが、それに抗う力は、既にリリエルには残されていなかった。
「ミリエ、ラ…アリエル、ノキエル……!うああああああっ!!!!!!」
リリエルを中心に光がほとばしる。
黒く、強い力を含んだ光が衝撃と共に放たれた。刹那、光が収まり、中から1つの影が姿を見せる。
その姿には天使の羽根は無く、悪魔の証明とも言える、2本の角と、リリエルを囲むように2本の尻尾が生えていた。
リリエル 堕天形態(フォールンフォーム)
「…………………………」
天真爛漫に輝く蒼き瞳から光は失われ、紅く濁る虚ろな目が世界を映す。太陽のように輝く金髪は純白に染まり、感情を一切失ったかのような無表情で世界を見下ろした。
「あら、完全には堕ちきってないのね………まあいいわ、時間の問題でしょう。ふふ、新しいおもちゃも手に入ったし、帰ろうかしら?」
「リリエルはてめえのおもちゃじゃねえよ。」
「!!!」
ビュン!!!
風が吹き、ナミエルの頬に一筋の傷が走る。気付けば周囲一面に黒い羽が舞い、その全てがナミエルを向いていた。
「……………久しぶりの顔ね。もう
2度と見たくなかったのだけれど。」
「こっちもてめえの顔なんて見たく
なかったけどな。私の弟子に手を出されたんだ。黙って帰すわけにはいかないなあ。」
「隠居したくせにでしゃばってこないで欲しいわね…ユリエル!!!」
「そっちこそ、お偉いさんがのこのこと天界まででしゃばってくるなよ、
ナミエル!!!」
ガァン!!!!!
衝撃が世界を揺らす。天界と魔界の頂上決戦が行われる一方でまた一つ、天使達の戦いが始まっていた。
「リリエル………!!」
「……………………」
「………………ここは………?」
目を覚ますと、そこは先程まで戦っていた荒野ではなく、暗くよどみ、果てが見えない不思議な空間だった。
「私は…………、って、あれ!?」
体を動かそうとするも黒くベトベトとした何かに拘束され大きく動けず、手足の先をジタバタとさせるしか出来なかった。
「なにこれ………私、確かナミエルと………そうだ、皆は!?」
他の皆は無事なのか、私は今何処にいるのか、不安が募っていく私の目の前に四角く整った映像が映し出された。
「これは……?」
映像の中は荒野……先程までいた場所が映し出され、そこには、
「え………?」
傷つき、ボロボロになったミリエラ、ノキエル、アリエルとその前に立ち、今にも攻撃をしようとしている、白く染まった、私の姿だった。
「あなたが望んだんですよ?」
「っ、誰っ!!」
暗い闇からヌルリ、と姿が現れる。
「あなた、は……っ!」
「私はあなた………リリエル、あなた自身です。」
闇から現れたのは私そっくりの顔をした白い私。2つの角と尻尾を持ち、まるで悪魔のような姿をしている、映像で見た姿と同じ私だった。
「あなたが望んだんですよ。力を、
強い力をって。だから私は生まれた。」
「私が望んだのは!!皆を守る力をっ……こんなっ、こんな、壊すための力じゃないですっ!!!」
「だけど力が欲しかったんですよね?」
「それは……でも、こんなのは、違うっ……!」
「あなたが力を欲しがった結果がこれです。」
『キャアア!!!』
「ミリエラッ!!やめてっ、やめてっ!!!」
自分の体が友達を傷つける。自分が望んだせいで仲間が傷ついていく。私の心はミリエラ達が傷つく度にピシリ、ピシリと音を立て、ひび割れていった。
「こんなこと、望んでない………っ!!」
「いいえ、あなたが望んだ結果がこれです。あなたのせいでミリエラ達は苦しみ、傷つくことになったのです。あなたはこの結果を望んでいたのです。だから、壊しましょう。何もかも。ミリエラも、ノキエルも、アリエルも。あなたは壊すことしか出来ない。あなたは私。私はあなた。あなたはただ、私に身を委ねればいいんです。」
拘束がより一層強まる。思考にもやがかかり、上手く考えられない。こんなに辛いのなら、いっそこのまま、意識を手放して………
『バカ言ってんじゃないわよ………!』
「ミリ……エラ……?」
もやがかった頭に声が響く。
『なに涙流してんのよ……やりたくないんでしょ!こんなこと望んでないんでしょ!!!
…………なら、助けてって言いなさいよ!!!』
画面の向こうと目線が合う。強く、まばゆい目が私を見抜く。
『私たち、友達でしょうが!!!』
輝く意志が画面を覆い尽くす。抵抗が弱まり、体が少しだけ動く。私の心に、火が灯る。
リリエルの動きが止まる。両目から涙を流し、似合わない顔をしている友達から言葉が紡がれる。
「タス……ケテ……」
「当たり前よ!!!ノキエル、アリエル!!!」
「これの出番ですね。」
「リリエル、今助けるよ!!!」
助けに応じるべく3人は懐から勲章のようなアイテムを取り出す。
そのアイテムはユリエルからもたらされたもの。話はリリエルが悪魔へと堕ちた瞬間に戻る。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
「リリエル……!!」
「嫌な予感がしたと思ったら……
お前たち、何があったんだ!?」
「ユリエル様………実は……」
「なんだと、ナミエルが!?それで
リリエルがあんな姿になったのか……あのバカ弟子……」
「リリエル様は悪くありません!!
私が、お守りせねばならなかったのに……!」
「ノキエルのせいじゃないよ!!
あたしだって、全然敵わなかった…」
「………私の矢も効いていなかった……やっぱり、ナミエル様に勝つなんて……」
パァン!!!
「「「!?!?」」」
柏手の澄んだ音が響く。音の発生源、ユリエルの手のひらをぎょっとした目で見る。
「落ち着け。確かにナミエルは強い。お前たちが勝つのは不可能だろう。
だがお前たちは生きてここに立っている。……よく生き延びた。後は私に任せろ。」
「ユリエル様……」
「だがリリエルのあの姿……おそらく悪魔の力を埋め込まれたんだろう。私が知ってるやつは堕天使になりやがったが……リリエルは無理やり堕とされている。きっかけがあれば戻ってこれるはずだ。」
「きっかけとは………」
「リリエルの意識を叩き起こすような衝撃だ。バカ弟子の頬をぶん殴ってやれ。」
「いぃ!?そんな暴力的な……」
「………いいわ、それ。私があのバカの頬をぶん殴ってやるわ……!!!」
「間違った道を正すのも騎士の役目………リリエル様、お覚悟を!」
「あれ、アタシがおかしい感じ!?」
「よし、やる気十分なお前たちにプレゼントをやろう。」
ヒョイッ
「うわっ!?…投げないでくださいよユリエル様……これは?」
「ざっくり言うと強化アイテムだ。
天使が上級天使の試練を受け合格した時に貰えるものだが……引退する時に何個かくすねてきた。」
「何してるんですかユリエル様……」
「いいんだよ細かいことは。それで、これはお前たちのようなひよっこが使うような道具ではない。使ったらどんな反動がくるか私にも分からん。それでも、使うか?」
「「「もちろん!!!」」」
「………いい返事だ。リリエルは良い友達に恵まれたな。……リリエルを頼んだぞ。私は古馴染のバカに挨拶してくる。」
「「「はいっ!!!」」」
~~~~~~~~~~~~~~~~~
『強く念じろ。そうすればアイテムは想いに応えてくれる。』
「想い………」
「そんなの、皆一緒だよ!!」
「リリエル様……!!」
「そうね、私たちは」
「「「リリエルを、
強く願う。その瞬間、アイテムが強く輝きだした。
「これはっ……!?」
光がミリエラたちを包む。まばゆい光に目をくらませるが、光はミリエラたちを害することなく、逆に体に馴染むように力となって吸い込まれていく。
光を吸収しきり、目を開ける。
曇り淀った空に一筋の光が差し、
天使の梯子がミリエラ達を照らす。
真に天使と成った3人を。
「この力なら!」
ミリエラ 真・天使形態
「リリエル様を!!」
ノキエル 真・天使形態
「救ってあげるから!!!」
アリエル 真・天使形態
3人の真なる天使と堕ちた天使が対面する。3人の想いは1つ。
「「「あなたを…………救う!!!」」」
一方その頃
ガァン!!!キィン!!!ドゴォォン!!!!!
「……………はぁ~~~~…疲れた。私帰るから。」
「はぁ!?………はいそうですか。と、帰らせると思ってるのか?」
「別に。あんたと戦いに来たわけじゃないし。それならもっとちゃんと準備してくるし……まあリリエルの面白い所も見られて私は満足だから。あんたはあっちを何とかしないといけないんじゃないの?」
「………だったらリリエルを元に戻していけ。そしたら見逃してやるよ。」
「私が?嫌よそんなの。ていうか戻し方とか知らないし。あんたらでどうにかしてちょうだい。じゃあねー♪」
「なっ、待ちやがれっ!!………
ちっ、本当に逃げやがった………」
ナミエルとユリエル、天界魔界トップレベルの戦闘は辛くもナミエルの撤退により幕を閉じた。
「あの愉快犯が、どこまで本気なんだか……まあいい。あとはバカ弟子の問題だけだ。
…………戻ってこいよ、リリエル。」
「ううっ…………うぁぁぁぁぁぁ!!!」
3人から迸る光を嫌がるかのように暴れだすリリエル。無作為に放たれるレーザーが3人を襲う。
「それはもう、食らいません!!」
瞬閃、幾合にも瞬いた斬撃が、襲い来るレーザーを全て霧散させる。
真・天使形態により目覚めたノキエルの力は『守護』。友達思いの彼女に相応しい、絶対に守ると言う誓いの表れ。
真・天使形態に目覚めたことにより3人は自分の起源に沿った能力を手に入れていた。ノキエルによる絶対守護。神速の斬撃によりあらゆる攻撃を塵とする超攻撃的な防御はあらゆるものを斬り伏せる騎士の誓い。
「皆、いっくよーー!!」
アリエルに目覚めた力は『活性』。
活発な彼女が望んだのは『皆が笑顔でいられる世界』。彼女のファンサービスは世界を照らし誰もに活力を与える。
アリエルから放たれる暖かい光がノキエルとミリエラ、リリエルを包む。その光は聖なるものの力を強め、邪なるものの力を弱める。光がリリエルを包んだ瞬間、レーザーの勢いが急激に弱まり、リリエルへの道が開く。
「リリエルーーーー!!!!」
ミリエラの起源は『誘惑』。悪魔として人間を魅了し、堕落させることこそが生業だった。だがそれは昔の話。友を想う心が、リリエル達と過ごし、募った思いがミリエラの起源を変化させていた。悪魔の力から、天使の力へ。
『昇天』
その力の本質は浄化。あらゆる不浄のものを清め、元の姿へと還すもの。
輝く想いが込められた一矢が今、リリエルへと放たれる。
「…………!!!!」
あれはまずい。本能的に自分と相反するものだと感じたリリエルに巣食うモノは反撃を選択する。自分の中にあるエネルギーを全て放出し、エネルギー弾として放つ。ノキエルの斬撃もアリエルの活性も、ミリエラの一矢も全てを飲み込み壊し尽くす。そんな破壊の意思を込めたエネルギー弾は、
ポフッ
「………は?」
『これ以上、私の体で好き勝手はさせません!!』
リリエル本人の妨害により霧散した。
「ぅぅぅぅぁぁぁぁぁ!!!!!!」
防御不能、回避不能。リリエルに巣食うモノが抗う手段はもう残されていなかった。
「うぎゃああああああああああ!!!!!!!!」
光の矢が直撃し、『昇天』の力がリリエルの体を駆け巡る。リリエルの体を元ある姿に、異物であるモノを浄化していく。
「やった!?」
「リリエル様――!!!」
「これで……!?」
『昇天』の一撃を食らったのだ。魔に類するモノならただではすまない、はずだった。
「ゔぅぅぅ…………ぐぁぁぁぁぁ!!!!この程度でっ、ワタシがっっっ!!!」
白い髪に深紅の瞳。堕天形態、顕在。リリエルの力と半端に混ざったせいか、ダメージを受け苦悶の表情に顔を歪ませながらもミリエラたちを睨み付け、エネルギーを溜め始める。
「くっ!!」
(さっきの一撃で私の力もほとんど底をついてる、どうする……!?)
「ミリエラ!私の力を!」
「アタシのも使って!!派手にやっちゃってよ!!」
「ノキエル、アリエル!!これは、力が……!!」
ノキエルとアリエルの力がミリエラへ送られ、2人の力が体中を廻る。溢れ出した力がミリエラを覆い、三色の光となってミリエラの体が爛々と輝き出す。
「2人とも、ありがとう!!!……………リリエル!!!」
2人の力も織り込んだ弓矢がエネルギー体となって巨大化する。ミリエラの数倍の大きさにまで膨大した3人のエネルギーが今、三光の矢となって放たれた。
「帰ってきなさい、バカリリエルーーーー!!!」
「いやだっ、こんなところでっ、消えたくなっ━━━━━」
先とは比べ物にならない『昇天』の力がリリエルを撃ち抜く。
瞬間、光は爆発し、柱となって天を貫いた。
「はあっ…………はあっ…………リリエル!!!」
光が収まった場にいたのは、翼をピクリとも動かさず、地面へと落下するリリエルだった。
……………あれ
「………………ル」
私、なにして……………………
「……………エル」
ポタッ
………?暖かい………これは………?
「……エル!…………リエル!!」
そうだ、私は…………!!!
「みんな!!!!!」
ゴツンッ!!!!
「「キャアッ!!??」」
「いったぁぁぁぁ!!!!」
「ふぇ!?はれぇ!?!?」
「うわっ、いたそー………」
「リリエル様!!!!ご無事ですか!!!」
「アリエル、ノキエル、ミリエラ…!…………ミリエラ?」
「リリエル………寝起き様に私に頭突きするなんていい度胸じゃないの!」
「へ?あ、待って、今のってミリエラ!?ごめんわざとじゃなくて、その……」
「問答無用!歯食いしばりなさい!!」
「ひゃっ!?」
手を振り上げるミリエラ。慌てて衝撃に耐えようとする私に訪れたのは
ぎゅううううう
「………へ?」
「………心配、したじゃないの……っ!!」
温かく、優しい抱擁だった。
「ミリエラ、泣いて……?」
「うるっさいこっち見んな!」
「ミリエラ一番心配してたもんね~もちろん私たちもね!」
「リリエル様の従者として当然のことです。お体は大丈夫ですか?」
「体、あれ、全然動かないや………」
「無理もないよ、すっごい暴れてたし。私たちの必殺技も食らってたもんね。」
そう言われ、今までの出来事を思い出す。私が行った、してしまった出来事を。
「そうだ、私………!!皆を、傷つけて」
「謝らないで!!!」
「……ミリエラ?」
「あれはナミエルが原因なんだから。そもそもナミエルやあんたを止められなかったあたしたちの力不足だっての。」
「そうだよ、リリエルが気に病むことないって!!」
「リリエル様には笑顔がお似合いです。どうかお気になさらず。」
「っ、でも!」
「そうだぞリリエル。」
「っ、ユリエル様!?来てたんですか!?」
「まあな。目を覚まして良かったぞ…優しいお前のことだ。仲間を傷つけたことを悔やんでいるんだろ。
……これだけは言っておく。お前は悪くない。強くなりたいと願う想いは悪いことじゃない。その想いを正しく持ち続けることが大事なんだ。お前の願いは何も間違っていない。
だから、強くなれ。パワーやエネルギーだけの話じゃない。心もだ。自分が心から願う想いを実現するために、誰にも屈しない強さを、自分の力で手に入れるんだ。
……あーくそ、こういうのは苦手なんだ!!おまえら!!あとで上手くフォローしてやれ!!」
「不器用な人ですね……」
「そんなん必要ないっしょ?」
「~~~~っ、はいっ!!!」
「それはそれとして、勲章は回収する。」
「「「えっ!?」」」
「今回は特別に貸し出しただけだ。水物の力は自分を溺れさせる。………なに、お前達なら正式に使えるようになるさ。励めよ。」
「「「………はい!!!」」」
「それから………リリエル。」
「っ、はい!」
「お前の体だがおそらく悪魔の力が残っている。残った悪魔の力だが、どうにかする当てがある。
『鏡の城』を知っているか?」
今回はにごリリWebオンリー『友達と作る世界2』に参加させていただきありがとうございました!
ずっと練っていた小説をお出しできて良かったです!
今後も小話をポロポロと書いていきたいので今後ともよろしくお願いいたしますm(__)m