白翼の機械人形になった転生者は海賊(人助け)をしながら、世界を見守る。 作:キング・クリムゾン!!
超音速で離脱したレオン・ユイは、マリンフォードの喧騒から離れた裏手の湾内、半壊した海軍の軍事倉庫の屋上に静かに降り立っていた。
バチバチ、と漆黒に変貌した体のあちこちから、今なお過負荷による紅い火花が散っている。
『ゼロシステム・Ω、強制休止プロセス完了。……機体温度、正常値へ下降開始。……生体マトリクスの修復率:42%。当面の戦闘行動に支障はありません』
「……フン。バギーの魂の叫びに、メモリーがこれほど干渉するとはな。私の演算回路も、まだまだ非効率なを抱えている」
レオンは乱れた呼吸を整え、ゆっくりと己のその両手を見つめた。
炭化したように漆黒に染まった装甲、そして四枚の羽から漏れ出す紫色の瘴気は、未だ元の純白には戻っていない。だが、その瞳だけは、狂気の赤から、元の静謐なエメラルドグリーンへと完全に修復されていた。
「レオンのアニキ!!! 無事だったんですか!!!」
その時、倉庫の影からひょっこりと顔を出したのは、あの地獄のインペルダウンをルフィと共に突破し、バギーを熱狂的に崇拝する脱獄囚たちの一団だった。彼らは上空へと離脱したレオンを必死に追いかけてきたのだ。
「お前たちは……インペルダウンの脱獄囚か」
「バギー船長が『アイツを放っておくな、死んじまう!』って、血を吐きながら俺たちを向かわせたんだ! 兄貴、体は大丈夫なのか!?」
囚人たちの言葉に、レオンの胸の奥の回路が、ほんのわずかに熱を帯びる。
「……バギーの奴、相変わらず余計な情を消費する男だ。私は『白き死神』だぞ。そう簡単に死ぬわけがない」
レオンは二挺のツインバスターライフルを腰に戻し、軽く足元を蹴って空中へと浮遊した。
その頃、マリンフォードの中央広場では、ルフィ率いる脱獄囚の混成軍と白ひげ海賊団が、海軍の包囲網を次々と突き破っていた。
「どけェーーーーーー!!! エースは俺が助けるんだァ!!!」
ルフィの拳が、襲いかかる海軍中将たちの防壁を粉砕する。
レオンがクロコダイルを退け、さらに一時的にとはいえ海軍元帥センゴクとガープの足を止めたことで、処刑台への最短ルートは、今まさにルフィのために開かれていた。
「ルフィ、前だけを見て走れ!!! 後ろの海兵は、ワシらが引き受ける!!!」
海侠のジンベエが、凄まじい拳圧の『魚人空手』で迫り来る海軍のバズーカ部隊を文字通り一網打尽にしていく。
「ヒーハー!!! 麦わらボーイ、あなたの後ろにはヴァターシたちがついているわよぅ!!!」
イワンコフが巨大な顔面を揺らし、驚異的な瞬発力で戦場を撹乱する。
さらに、先ほどレオンに一撃で沈められたはずのクロコダイルも、執念の自然系の再生能力で泥臭く立ち上がり、なぜか海軍の処刑執行人の刃を砂嵐で防ぎ、エースの処刑を裏から阻止するという奇妙な行動に出始めていた。
戦場は、レオンのゼロシステムですら予測し得なかった「ルフィを中心とした混沌の肯定(バグの連鎖)」によって、確実にエース救出へと傾きつつあった。
上空からその戦況を冷徹に見つめていたレオンは、背中の四枚の漆黒の羽を鋭く一閃させた。
「ルフィの生存確率、およびエース救出の成功率:現在68%まで上昇。……だが、海軍の本命(三大将)が未だ五体満足で健在だ。私が露払いを継続する」
キィィィィィィィィン!
再びウイングゼロフレームの駆動音が、大気を震わせる。
その漆黒の「堕天使」の姿が戦場の上空に再び現れた瞬間、十万の海軍兵たちの間に、一気に張り詰めた戦慄が走った。
「また来たぞ……! ロジャーの船の、あの白い悪魔だ!!!」
「総員、構えろ!!! 撃てェ!!!」
「無駄なエネルギー消費だ」
レオンは空中で反転。ビームサーベルの柄へと手を伸ばす。
そのエメラルドグリーンの瞳は、戦場の最奥で、ルフィの行く手を阻まんと立ち塞がる「青雉」「黄猿」「赤犬」の三大将、そして処刑台の上で静かに拳を握りしめる「海軍の英雄」ガープの姿を、再びその視界へとロックオンした。
「新時代のシステム構築のために――これより、海軍本部の最高戦力三大将を強制デリートする」
漆黒の翼を羽ばたかせ、死神は再び、狂乱の戦場へと真っ逆さまに急降下していく。
次回:第二十一話 『立ちはだかる最高戦力、漆黒の斬撃』