白翼の機械人形になった転生者は海賊(人助け)をしながら、世界を見守る。 作:キング・クリムゾン!!
「我が手で……お前たち兄弟の処刑を執行する……!!! 『正義の裁き』を受けよ!!!」
黄金の巨大な『大仏』と化した海軍元帥センゴクの右拳が、凄まじい覇気と衝撃波を纏って処刑台の頂上へと振り下ろされる。処刑台の木組みが悲鳴を上げ、足場が一瞬で崩壊を始めた。
「鍵が……! 鍵が届かねェ!!!」
ルフィが必死に手を伸ばすも、センゴクの圧迫感と衝撃波に阻まれる。処刑台が崩れ落ちる極限の0.1秒。
キィィィィィィィィン――――――――――!!!!!!!!
頭上から響き渡ったのは、戦場を幾度も震撼させてきた、あの高周波の機械駆動音だった。
「――『システム、ウイングバインダーを展開』」
上空から音速で舞い降りたレオン・ユイが、ルフィとエースの頭上へと割り込む。四枚の漆黒の羽を扇状に展開し、ナノラミネート装甲の全構造を噛み合わせることで、センゴクの黄金の巨拳から放たれた『衝撃波』を真っ向から受け止めた。
ドゴォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!
「ぬ、おっ……!? またお前か、レオン……!!」
センゴクの仏の顔が、驚愕に歪む。
「ぐ……っ! システム、アース処理限界……! ルフィ、今だ!!!」
レオンの漆黒の装甲から激しい火花と紫の瘴気が撒き散らされる。そのわずかな「時間」を、ルフィは見逃さなかった。変装していたMr.3が身を挺して作成した蝋の鍵が、エースの手枷へと差し込まれる。
カチャリ。
重厚な金属音が、崩れ去る処刑台の喧騒の中に、確かに響き渡った。
「……ルフィ」
「エースーーーーーー!!!!」
崩壊し、真っ逆さまに落下していく処刑台の瓦礫の中。
解き放たれたポートガス・D・エースの全身から、爆発的な『炎』が吹き荒れた。
「『火拳』!!!!」
ズガァァァァァァァァァァァン!!!!!!!!
巨大な炎の柱が空を突き破り、処刑台を押し潰そうとしていた海軍の追撃部隊を一網打尽に焼き尽くす。
渦巻く焔の向こうから、炎を纏った男がゆっくりと舞い降り、着地した。
処刑台は崩壊した。
しかし、その中央には、しっかりと肩を並べるルフィと、解き放たれたエースの姿があった。
「お前に助けられるとは……夢にも思わなかったぜ、ルフィ」
エースが不敵に笑い、帽子を深くかぶり直す。
「ししし! ジンベエも、みんなも、レオンも! みんなで助けに来たんだぞ!!」
オリス広場を埋め尽くす白ひげ海賊団から、地鳴りのような歓声が巻き起こった。
「エースが解き放たれたぞォォォォォォォ!!!」
「うおおおおおおお!! 成功だ! エースを取り戻したぞォォォ!!!」
「……ふぅ。ミッション、コンプリート」
上空で羽を休め、ゆっくりと着地したレオンは、ガチガチと過熱したウイングゼロフレームの排熱ベントを開いた。
『データ更新……。ポートガス・D・エースの生存および拘束解除を確認。……ロジャーの血脈の生存確率:99.4%へ急上昇。……当ミッションにおける主目的を達しました』
「レオン!! お前、本当にありがとな!!」
ルフィが駆け寄ってきて、レオンの漆黒の腕をバシバシと叩く。
「……触るな、ルフィ。現在の俺の身体の表面温度は400度を超えている。生身の人間なら一瞬で火傷するぞ」
冷淡に言い放つレオンだったが、そのエメラルドグリーンの瞳には、どこか満足げな色が宿っていた。
エースがゆっくりと歩み寄り、レオンの漆黒の姿と背中の羽を凝視した。
「お前が……海賊王の船にいたっていうレオン・ユイか。あいつのことは親父に聞いたことがある……。なぜ、俺のためにここまで」
「……お前のためではない」
レオンはツインバスターライフルを背中にマウントし、冷徹に答えた。
「俺は、ロジャーとの約束を果たしただけだ。ロジャーの血脈という貴重なリソースが、海軍の独善によって消去されるのを阻止する。……それがゼロシステムの弾き出した、最大の『効率』だ」
「フッ……。相変わらず可愛くねェ言い方をする奴だな」
エースはニヤリと笑うと、拳を固く握りしめて前を見据えた。
「だが、感謝するぜ。レオン、ルフィ……! 全員で、ここを脱出するぞ!!!」
エースの解き放たれた焔が、戦場の闇を明るく照らし出す。
白き翼から堕天使へと変貌した死神の介入により、頂上決戦の歴史は、誰も予想し得なかった「奇跡の脱出劇」へと大きく動き始めるのだった。
次回:第二十四話 『退路を拓く黒き翼、そして“赤犬”の執念』