第一回少女の名前を決める会はっじまっるよ〜。
駐屯地01そこにフォービーストとカウンターズ、エデンからセシルもやってきて駐屯地01の野原にテーブルを広げて青空教室ならぬ青空会議を始めようとシエンは黒板をバンバンと叩きながらのんびりとしていた皆んなを集合させる。
『会議をするのは良いが一ついいか?』
何だ?聞きたいことがあるなら次から挙手で頼むよ。
カウンターズの指揮官は急にどうしたコイツという気持ちを抑えながらそれよりも気になることがあるため素直に言うことを聞いて挙手する。
『あれは………なんだ?』
カウンターズの指揮官は挙手した手をそのまま気になっている方向に指差す、その先にはラピとカウンターズの指揮官の子供である少女が遊んでいた。
それを見たシエンはお前マジかと言う表情で。
なんだ今更認知しないとか言うつもりか?流石に怒るぞ?
『違う!あの子じゃなくてリバーレリオのことだ!』
ビシ、ビシィ!と先程よりさらに指をピーんと伸ばして少女と一緒におままごとをしているリバーレリオを指差して何でここに居るんだと言ってくる。
あぁそっちね、クイーンに地上に来てほしいから膜を解除して欲しいと王国にお願いしに来たんだ、その時には既に名前を決める会の為に駐屯地01に行こうとしてたからその後でなら話しを聞くと言ったら了承してくれてな、こうやってついて来たってわけだ。
「ついて来たって敵同士じゃないの!?」
アニスが驚きながらリバーレリオを警戒するが、まぁまぁとシエンはカウンターズとリバーレリオの間に入って警戒を解いてもらえるように説明する。
別段インディビリアは何度も挑んできたが他のヘレティックは二、三回戦ったら話し合いが出来るぐらいの関係にはなっていたぞ?お互い基本不干渉だから争うことないし、なぁ、リバーレリオ。
リバーレリオは少女とのおままごとを中断させられて少女と共に不機嫌になるが、必要な会話だと理解してか、文句を言わずベヒモスとおままごとを交代してカウンターズの前へとフヨフヨと浮かびながら気怠そうにやってくる。
「えぇ、直系では無いことは気に入らないけど、ジズとバハムートが居なければ基本静かに会話してくれるから1番仲が良かったまであるわ」
居る時は?
「1番仲が悪いまであるわね、流石にうるさすぎるわ」
てな感じだ、大丈夫だろ?
「何処にも安心する要素まりませんでしたよ?」
「えぇ、気に入らなければ潰すと言っているようなものね」
ネオンもラピも心配症だね、クイーンのこととなると今回の膜破壊みたいなことするけどそれ以外はかなり落ち着いて居るんだけど………安全って証明する方法あるか?
「態々証明する必要もないと思うけど………しないとうるさそうね」
リバーレリオはカウンターズの方を見て、特にアニスとネオンを見てうるさそうと再度口にして、ゆっくりと自分の首に手を水平に持っていき。
スパッと手刀で首を落とした。
「これでどう?………どうしたの?」
首だけになったリバーレリオはいつも通り気怠そうにしながらアークの動画配信サイトのコンテンツのアレのように何も問題もなさそうに喋っている。
「ゆっくりリバーレリオだ!!」
少女がぼかした表現を直接言っちゃったが元がラピだからなのかクイーンの素質があるからなのかわからないがよく血が流れてなく断面が機械的であるとはいえ、ほぼ生首が喋っている状況にそう言えるな。
もうちょっと………なんかなかった?
「1番効率が良いじゃない、面倒は嫌いよ」
………まぁ少女のトラウマとかにはならなそうだし良いか。
『良くない良くない!敵意が無いことはわかったから戻してくれ!!』
―――
リバーレリオの頭を戻して、会議を始めようとする前にふと気になったのでセシルに聞く。
何でセシルが来たんだ?ヨハンが来たり、皆んなで来ても良かったのに。
「偶には留守番する側をやって貰おうと思いまして、後ヨハンにこんなおちゃらけ会議は出来るとは思えませんし」
こめかみにシワを寄せてイライラしながらセシルは愚痴を溢すかのようにそんなことを言う。
ヨハン達が訓練で留守中にやられたんだっけかそりゃこうなるか、ヨハンがいるとひたすら緩い会議なのに正論パンチばかりかましそうなのもわかるしセシルだけ来たのは良かったかもしれない。
「まぁ、偶にはなんて思ってこっち来たら元凶がいるとは思いませんでしたが………ハァ」
リバーレリオを見ながらセシルは心底自分の貧乏クジを引く不運っぷりにため息をつく、それでもこうやって生きているのだから悪運はあるのかもしれないが。
それを見たシエンは、というかこの場に居た皆んなは触らぬセシルに祟りなしとこれ以上余計なことを聞くのはやめた。
―――
今度こそ会議を始めるが議論に議論を重ねても一向に答えはでなかった。
まず初めはやはり実質的な親になるラピとカウンターズの指揮官が名前をつけようとなったのだが。
「レッドフードはどうかしら」
「いや!!」
『流石にそれはやめようかラピ………生きてるし、それよりもオンリーワンはどうだ?』
「いや!!」
討伐対象じゃないんだからもうちょっとなんか女の子らしい名前にしなよ………。
この2人はダメだとなりじゃあそれぞれ名前を出して行こうととりあえず1人づつ言うことに。
「アレキサンダーだろ!」
「いや!!」
ベヒモス、イカついよ。
「べ、ベリーはどう?」
「うーーーーん、いや!」
ジズのはちょっと良いと思ったのかな?
「インテリで決まりだ」
「絶対いや!」
バハムートは良くその単語知ってたな偉いぞ。
「ラピの子供なんだしララとかは?」
「いや!!」
レヴィさんや落ち込まないで、今思いついた感だしたけど2日前から考えてたもんね………。
「スターはどうよ!」
「いや!」
アニスはアイドルの英才教育しようとしてる?
「火力は「いや!!」
それはそうなるよネオン。
「寿限無寿限無、五劫のすりきれ、海砂利水魚の、水行末・雲来末・風来末、食う寝るところに住むところ、やぶらこうじのぶらこうじ、パイポ・パイポ・パイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコナの、長久命ちょうきゅうめいの長助はどうです?」
「???」
名前かどうかわかんなくなってるじゃん、揶揄うのやめたげなセシル。
「ミニクイーン」
「いや!」
前から思ってたけど面の皮厚いよねリバーレリオ、普通に参加してくるじゃん。
結局その後もあれやこれやと名前を上げていくがどれもお気に召さないのか全部の名前に少女はイヤと返した。
うーん、なかなかに難航しているな。
「こんだけ候補あげても響いてないってことは自分の中で欲しい名前決まっているんじゃない?」
レヴィにそう言われ、確かにそうかもとシエンは思う、童話とかの映画をよく見てたしもしかして気に入っているキャラがいるのかもしれない。
シエンは少女を呼んで、自分の膝に座らせる、鍛えた硬い足のせいで少女は座り心地が悪そうだがそれでも嫌がって降りたりはしなかった。
こんな名前が良いとかあるかい?
元気よくなりたいキャラの名前をあげると思ったが、元気とは程遠く暗く真剣な声音で首を横に振りながら答える。
「ううん、まだつけちゃダメなの、選んでないから」
???………そんなつけたい名前があるのか?
「ううん、違う」
子供特有のチグハグな話し、ってわけでは無さそうだな、もしかしてクイーンか?
「うん」
全体に少しだけ暗い雰囲気が漂う、子供ではあるが、クイーンとしての使命か何かが少女の中にあるというなら、かなり重い運命を背負ってしまっていると察してしまうからだ。
ただここにはクイーンより上だと自負する獣達がいる。
「クイーンはマリアン居るんだし良いだろ気にしなくて」
「そもそも今居るクイーンが人類滅亡願ってるのに真面目に言うこと聞く必要ないわよね」
「う、うん、面倒なのはわたし達…は嫌だから……クラウン達に任せてさ!好きにして良いんだよ」
「貴様はまだ賢くないのだ、賢い奴らに任せとけば良いのさ、わたしとかわたしとかにな」
フォービーストの言葉に少女は暗かった表情をパァっと明るくして椅子になっているシエンの顔を覗く、それに対してシエンは深く頷いて質問する。
名前は決まったかい?
もちろん、それはクイーンの持つ使命ではなくただ少女の欲しい名前を聞いた質問だった。
「ベル!ベルが良い!!」
ベル?ベルって言うと美女と野獣のお姫様の名前だな、いったいどうしてその名前が良いってなったんだ?
「お兄ちゃんとお姉ちゃん達が最初に読んでくれた絵本だから!」
は?可愛いで死ぬんだが。
―――
少女が生まれて、クラウン王国をレヴィが戻した後、真っ先に向かったのは城の書庫だった。
フォービーストは少女のために絵本を読み聞かせしてあげようとしたのだが、幾ら探しても城の書庫には絵本どころか童話の類いもなく、床一面に本をばら撒いて探しても結局絵本は見つからなかった。
無いなら無いで別の遊びでもしたら良いのに、そんな風に思う少女とは裏腹にフォービーストはクラウン国民全員集めて王国周辺のバハムート用にチェックしていた本が保管されてた廃墟へと手分けして探しにすら行った。
時間が経ち夕暮れ時になろうとしたあたりでドタドタと大人数の不規則な足音が近づいて来たのが聞こえて来た、そのドタドタの勢いは止まらずそのまま少女に居る部屋の扉も勢いよく開けて雪崩れのように倒れながら部屋へと皆んな入って来た。
雪崩れの様に倒れ込む先頭、シエンの手にはボロボロだがなんとか原型を保った美女と野獣の絵本があった。
きっと、どの絵本を読んでもどんな絵本を読んでも、少女はその絵本に出てくるキャラクターの名前を欲しがっただろう、それほどまでに本の内容そのものより、皆んなが笑いながら1人1人読み上げてくれたことに少女は嬉しさを覚えた。
絵本だから1ページづつだとあまり読み上げられないからと一行づつにしたせいで全然テンポは悪いし。
言い方も全然違うからお話しの内容はまったく入ってこないし。
読み上げた後、キャラの態度が気に入らないのか余計な一言を入れて来たりするし。
でも少女は楽しかった。
そしてそれはしっかりと思い出となって、少女の。
ベルの存在を形作る一つとなった。
―――
名前が決まったベルはとても嬉しそうにしながら嬉しさを動きに変えて駐屯地01で皆んなと鬼ごっこに興じていた、シエンはそれを離れた所で見つめていたが正面へと向き直りフヨフヨと浮かぶリバーレリオとカウンターズの指揮官、セシルに呼んでもらったヨハンと共に真面目な方の会議を始める。
クイーンに降りて来てもらうかどうかの会議、はっじまっるよ〜。
『真面目な会議とは?』
真面目だからこそリラックスしてやらないと、ヨハンもそんな怖い顔してこっちを睨まないで笑顔笑顔。
「そうは行くか、こっちの不手際をカバーしてくれたことは感謝するが、だからと言ってこんなふざけた会議するとはならんだろ」
状況ちゃんとわかってんじゃん、カバーをして現在降ろすも降ろさないの主導権は自分達が握っているんだ、よく考えて発言してくれよ君〜。
ヨハンはこめかみにシワを寄せながら、シエンの頭をチョップして調子に乗るのを止める。
「いつもなら勝手に行動するのに態々会議を開いてるあたり、自分でも決めあぐねてるいるんだろ?」
バレてーら、ならちゃっちゃか本題いきますかヨハンは降ろす、降ろさないどっちが良いと思う。
「降ろさない一択だろう、クイーンが現状どれほどの強さか特異性を持っているか判明していないのだからな」
だそうだがカウンターズの指揮官は?
『オレは降ろす一択だと思う、こちら側が今以上の戦力があるとはオレには思えない、最高戦力が存在する今、叩くべきだと思う』
ヨハンもカウンターズの指揮官もそれぞれ真反対の意見が出て来て会議をしてよかったとシエンは思う、シエンが勝手に行動せず決めきれないのはこの二つの不明瞭が存在するからだ。
一つクイーンの実力。
二つこちら側の戦力。
一つ目のクイーンの実力、これは一応シンデレラが応戦したことあるのを聞いたことあるが、ラプチャーを生み出しているクイーンなら幾らでも戦力が増強出来てしまうため、やはり現状では未知数と言えるだろう。
二つ目のこちら側の戦力、こっちは単純に連携不足、と言うよりはどいつもこいつも隠しダネを保有し過ぎている、危なくなってから出すのは理解出来るが戦力が不明瞭なせいで攻めに転じることが出来ないのは確かだ。
敵も味方も未知数、現状が最高だと思うことも出来るがこの先さらにこちらの戦力は伸びるかもしれない、逆に現状が最悪で放置すればするほどこちらが手出し出来なくなるほどの戦力にクイーンはなっているかもしれない。
どちらにも考えることが出来る状況にヨハンとカウンターズの指揮官が議論重ねているのを横目にシエンはリバーレリオに聞いてみる。
リバーレリオは降ろしてどうしたいんだ?
「話してみようと思っているわ、ラプチャーと人間は手を取り合うことが出来るんじゃないかって」
フヨフヨ浮かびながらリバーレリオは楽しそうに皆んなと遊んでいるベルを微笑ましく眺めながらそう答える。
………説得出来そうか?
「わからないわ、でもチャンスを頂戴」
そう言うリバーレリオの顔は覚悟を決めた表情を浮かべていた、きっとそれは説得出来なかった場合、クイーンと真っ向から対立しなければならないことへの覚悟なのだろう。
その覚悟を見て、シエンは覚悟に答えることにした、だけどそれはクイーンの降下を許したわけではない。
ヨハン、ハーレム野郎、この会議の答えを出す前にやることが出来たぞ。
『なんだやることって?』
何をするつもりだこいつとヨハンとカウンターズの指揮官はお互い向き合って、再びシエンに視線を送る、それをどこ吹く風と言わんばかりに気にせずレヴィを呼んで、シエンはヨハン達に今からすることを告げる。
こっちからクイーンに会いに行く!
―――
クイーンの視界を塞ぐように大気圏に存在するダークマターの膜、そこに地上から人1人分の太さのダークマターが棒状に伸びて地上と膜を繋げる。
繋がったことでレヴィとリバーレリオはダークマターを通って大気圏まで一気に移動してクイーンを視認出来る所までやって来た。
「あぁ、お母様!」
「まだ宇宙ステーションしか見えないでしょ………って嘘でしょ」
宇宙ステーション外部にクイーンは居た、宇宙ステーションの先端、そこに何本何百本何千本と管が繋がり船の船首像の様に静かに鎮座し、宇宙ステーションと一体化していた。
明らかに戦闘用に改造を施しているであろうその姿はとても話し合いをしてくれるタイプには見えなかった。
「話しって通じるのよね?」
「納得するかはさておいて通じはするわ」
「なら………一応行くしかないわね」
レヴィは話しが出来る距離へと近づく為にダークマターをさらに伸ばしてクイーンから少しだけ離れた所へとワープする。
ワープの先にはもちろんクイーンが待っていて、目線が同じ高さになったことでクイーンが自分達の何倍も大きい存在だと否が応でもわかる。
リバーレリオはお母様であるクイーンにまずは挨拶をしようと口を開こうとしたが。
声になる前にレーザーがリバーレリオへと照射される。
レヴィは警戒していたこともあって、レーザーがリバーレリオの頭を消し飛ばす前にダークマターで強引にリバーレリオを動かして回避させる。
「話し通じるんじゃなかったの!」
「お母様!戦いに来たんじゃないの!話し合いに―――」
リバーレリオがすぐさま敵意が無いことを普段の彼女から想像が出来ない声量で宣言するがそんなことなど知ったことでは無いと言わんばかりにレーザーを続けざまに打ち続けくる。
何度も敵意が無いことをリバーレリオは叫び続けるが無慈悲に無遠慮にレーザーはリバーレリオへと浴びせ続けられる。
その圧倒的なレーザーの弾幕は幾らなんでもレヴィ1人で捌き切れるものではなく、リバーレリオに撤退するよう伝える。
「流石にまずい!逃げるわよリバーレリオ!こっちに来て!」
レヴィのワープはダークマターが繋がって居なければ成立しない、レーザーを回避する過程でリバーレリオはダークマターの足元を離れ中に浮いている状態であった。
リバーレリオも流石に話が通じない、否、話しをする気の無いお母様に失望しながらレヴィの言う通りレヴィの近くへと向かい無事にダークマターへと触れる。
すぐさまレヴィはワープしようとするが。
ダークマターを生み出す張本人であるクイーンはレヴィのダークマターの動かし方を瞬時に理解し。
レーザーで移動先のダークマターを消し飛ばした。
「マズッ!?」
レヴィとリバーレリオは宇宙に放り出された。
―――
リバーレリオはお母様、クイーンに対して失望をする所か怒りを感じ始めていた。
一生懸命、生んでくれたお母様の為にリリーバイスの頭を送ったり、ボディを探したり、降りて来てもらう為に膜だってフォービーストと明確に敵対するかもしれないのを承知のうえでやった。
わかれとは言わない、ただ話しを聞くぐらい………してほしかった。
一緒に宇宙に放り出されたレヴィがわたしが何処かに行ってしまわないようにダークマターを紐状にして自身の手とわたしの手を結びつける。
わたしのことなんてほっとけば、問題なく逃げれただろうに、シエンと一緒でお人好しね。
だけど、そうだからこそ、わたしは今、失望ではなく怒りの方が強くなっているのかもしれないわ、わたしだけでなく彼女まで問答無用で殺そうとして来ているから。
リバーレリオは飛べないレヴィの代わりにダークマターの紐を引っ張ってクイーンからのレーザー攻撃を回避して、切り離されたダークマターへと向かう。
だが、当然それを阻止しようとリバーレリオを撃ち落とそうとレーザーをリバーレリオに集中させるがレヴィが最小限のダークマターでレーザの勢いを殺してリバーレリオが躱す隙を作り出す。
そのお陰でリバーレリオ達はダークマターに到達しワープしようとするが。
再びクイーンのレーザーによって移動先のダークマターを消し飛ばされた。
その瞬間。
リバーレリオはキレた。
「いい加減にして!お母様!」
リバーレリオは何故こんな奴に忠実に従っていたのか自分自身でも不思議でしょうがなくなっていた、それは元からの忠誠心もあったがヘレティックとしてクイーンの命令には従わないといけない性質があるからだ。
それがキレたことでシンデレラが侵食を克服したようにリバーレリオもクイーンの命令から完全に解放されることとなった。
リバーレリオはレヴィを引っ張っている方の手とは逆の手で袖に仕込んであったペットボトルをレヴィに放り投げる。
ペットボトル、それはシエンが用意したもしもの時のとっておきだった、ペットボトルの中身はダークマター、しかしただのダークマターではない。
ジズの四次元ダークマターだ、ジズのダークマターはジズから切り離されると本来はその性質を失うが、レヴィが手伝うことで性質を維持して保管出来る。
流石に収納はジズを経由しなければならないが中身の解放はレヴィでも可能だ。
リバーレリオはペットボトルを使うことは無いと思っていた、これを使うということは明確にお母様と敵対することを意味し、そんなことなどあり得ないと思っていたからだ。
しかしペットボトルはリバーレリオの手を離れ、レヴィに渡った。
レヴィはリバーレリオが完全にこっち側についたことを喜びながら念の為確認する。
「良いのね!」
「えぇ!お母様………いえ、クイーンはわたしの敵よ!!」
ペットボトルの、ジズのダークマターの中が解放される。
6億6,000万m³、重量に直すと6億6,000万トンの水が宇宙空間に爆発するように広がっていき、すぐさま水はリバーレリオの手の平の上に収縮していく。
リバーレリオの能力である水を操る力は、本来少量であればあるほど高精度で、大量になればなるほど精度が下がる性質がある、だからこそ地上で6億6,000万トンの水を操る場合津波のようにして相手にぶつけるなどの大雑把な使い方しか出来ない。
だが、ここは宇宙空間、重力の影響も空気抵抗など一切計算不要の空間。
リバーレリオの手の平の上には野球ボールサイズの水の球体が浮かんでいた。
6億6,000万トン、全てが圧縮されている。
「クイーン………次会う時は他人よ」
圧縮された水はレーザーですらなく、線となってクイーンの顔面を貫きそのまま宇宙ステーションまで伸びていき。
クイーンと宇宙ステーション、全てを真っ二つに切断した。
「さ、さすが直系っていうだけあって強いわね1人でクイーンを倒しちゃうなんて」
「いえ、倒してないわ、きっとすぐくっついて元に戻るわ、今のうちに逃げるわよ」
「………あれで死なないなんてタフね」
ならさっさと逃げようと今度こそリバーレリオとレヴィはダークマターを経由して地上までワープした。
リバーレリオは逃げる直前、クイーンを見る。
敵となった相手、だけど自分を生んで生きる意味を与えてくれていたのも確かで、だから思いは届かないとわかっていながらリバーレリオは口にする。
「生んでくれてありがとう、お母様」