フォービーストの指揮官の日常   作:デュエルしろよ

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22話

 青いマザーホエールにはこれまたマザーホエールと同じ光っている所が青くなっているラプチャーが大量に乗っていて、そのどれもが敵意が一切ないことにフォービーストは青いマザーホエール、ホエリーに乗っているラプチャーのコスプレをしているラプチリオンに教えてもらい感嘆の声をあげていた。

 

 凄いな、コミュニュケーションだけでラプチャーと仲良くなれたのか、しかも攻撃性も無くすことが出来たと。

 

「あぁ、言葉が違うだけで通じ合うことはできるんだ!昔は人間同士でも言語が違ったらしいしその延長に過ぎないのさ!」

 

 まさに対話は進化の礎で、ベヒモス大歓喜だな。

 

 そのベヒモスは目をキラキラさせてこっちとラプチリオン交互に見つめてくる、はいはい、しばらくラプチリオンからラプチャー語?やコミュニュケーションのとり方を聞いてな、その間にリリーバイスの頭探す為にホエリーの体を探索するけど大丈夫か?

 

「問題ないけど、意外にホエリーの中は複雑なんだ!ピノキオに案内してもらうからちょっと待っててくれないか!」

 

 そう言ってラプチリオンは近くで農作業をしていたラプチャーに人間の言葉でピノキオを連れてくるようにお願いして連れてくる間にささっと紙に飛んできた物が落ちずに残る箇所をマークして渡してきてくれた、凄く有能だねってラプチャー達に言われない?

 

「おぉ!この空の上にお客さんが来るなんて凄いね!オレはピノキオって言うんだ!お客さんはもてなすものだっておじさんに教わってるからちゃんと案内してあげるよ!」

 

 ピノキオと呼ばれる、ニケ?ラプチャー?人間?がラプチリオンをおじさんと慕っているだけあって同じような陽気さを醸し出しながら自己紹介をしてその陽気さのまま案内し始めてくれた。

 

 ホエリーの体表は一部分が農場になっており、自分達が育てている植物とはまた違う種類の植物を育てていることに驚いたり。

 

 内部は元が輸送に特化していることもあり、ラプチャー達の居住区になっており、何をしているかはわからないがワチャワチャと楽しそうに暮らしているのは何となくの雰囲気で伝わって来たりととても楽しんだ。

 

「ホエリー見学、楽しんでくれたかな〜?」

 

「とても大きい豪華客船に乗っている気分だったわ」

 

「た、楽しかった!」

 

「賢いわたしはこういう文化は残すべきだと思ったぞ」

 

 文化じゃないぞバハムート………工場見学とか水族館行った時の小さい子達の感想じゃないか?

 

 気のせいか小さく見えるレヴィ達のキノピオへの感想タイムを聞きながらラプチリオンから貰ったチェックポイントに丸をつける、この箇所が最後だったがリリーバイスの頭は見つからなかった、この紙に記された所以外に挟まっているのか?いや、チェックポイント以外の場所は到底物が引っかかる場所ではなかった。

 

「おぉ、指揮官も丁度終わった所か?」

 

 見つからないことに悩んでいるとベヒモスとラプチリオンが授業が終わったのかこちらに合流して来た。

 

 あぁ、丁度終わってレヴィ達はキノピオとお喋りしている所だ、それでラプチリオン、自分達がここに来るまでの間誰か人が乗ってたりしてなかったか?

 

 ホエリーにぶつかり軌道がズレた程度なら自分達の捜索範囲内のはず、それなのに無かったなら後は誰かが持って行ったとしか思えない。

 

「君達が来る前かい?うーん………あぁ!そう言えばナユタっていう昔ピノキオを助けてくれた人が定期的に様子を見に来てくれるんだけど、その人が居たよ!………そう言えばいつもならもうちょっと長居してくれるのに今回は帰るの早かったなぁ」

 

 知らない名前だけど持って行ったと仮定するならリリーバイスを知っていることになる、そうするとドロシー達と同年代ってことになるのか?ラプチリオン達に悪さをしていないから敵側だとは思えないが。

 

 何処に行ったかはわかるか?

 

「いつもふらっと立ち寄ってふらっと帰るからね、わからないかな」

 

 となると今度は人探しか、ドロシー達と知り合いで見つけたから持って行ったとかなら楽なんだが、そう上手くはいかないよな。

 

 さてはてどうしようかとシエンは悩んでいると異音が耳に届く、それはベヒモスやさっきまで工場見学の子供になっていたレヴィ達にも聞こえていたのか先程までの緩い雰囲気から一気に引き締めた真剣な空気に変わる。

 

 異音は段々大きくなり、それが何処から聞こえているか気づきそっちを見た時には。

 

 人1人丸ごと飲み込みほどの巨大な弾丸がシエンの目の前にまで迫っていた。

 

 バゴォンッ!

 

 弾丸が着弾したと思えるほどの轟音を鳴らしながらシエンの近くにいたベヒモスが巨大な弾丸の横っ腹を殴りつけて強引に軌道を変えて弾丸は雲の下へち落ちて行った。

 

「指揮官!さっきの弾丸ってよ」

 

 ベヒモスが心当たりしかないけど念の為違うと思いたい為にシエンに聞くがシエンもあんな巨大な弾丸を使う存在を他に知らない。

 

 ネオンだろうな、しかも確実に自分を狙っての狙撃、どういった経緯でそうなったかは知らないがカウンターズかネオン単独かはわからないが敵になったのは確かみたいだ。

 

「………マジか、どうすんだ?」

 

 どうするもこうするも逃げるしか無いだろうな、さっきの弾丸、ホエリーに当たらないよう計算された角度だった、しかも空に浮かんでいるホエリーにほぼ真横から弾丸が飛んで来たなら同程度の高度から撃ってるはずだ、そうするとここから見えるあの遠方の山ぐらいしか撃てる所はない。

 

「確かにあんなに遠いと近づく間に逃げられるわね」

 

 レヴィ達が自分を狙っていると分かってピノキオやラプチャー達の守りを解いてこっちに話しながら近くに集まってくる。

 

 そこに空気を切り裂く音が再び聞こえ、再び弾丸が飛んでくる。

 

 しかし冷静にジズが翼を大きく広げて片方の翼で弾丸を飲み込み、もう片方の翼から勢いそのままに弾丸が飛んで来た方向へと反射して無力化する。

 

 このままジズに防いでもらい続けてもらちがあかないのでホエリーが被害に遭っても困るし、自分を狙っているうちに一旦王国に戻るか。

 

 ラプチリオンとピノキオ、ラプチャー達に別れの挨拶をしてささっと5人揃ってホエリーから飛び降りてベヒモスとバハムートはジズの翼に入り、レヴィとシエンはジズに掴まって状況判断と支援に徹する。

 

 ギュオンッ!ギュオンッ!ギュオンッ!

 

 ホエリーという障害物が無くなったことでネオンは精密射撃が必要無くなったのか、先ほどの2倍以上の速度で連射してくる、しかもこちらの回避先すら予測したように弾丸が飛んでくる、自分とレヴィがいなければとっくに撃ち落とされてしまっているだろうほどに。

 

 この予測精度、射撃補助にラピがついてるな、てことはカウンターズは全員敵になったと思っていいなこれ。

 

「と、とりあえず茂みにでも隠れる?」

 

 茂みごと吹き飛ばしてくるだろうな………あそこの廃墟群に行こう、射線も切れるし、障害物が多すぎて流石に出鱈目に打てないだろう。

 

 廃墟群にジズ達はすんなり逃げ込んだ、射線を切り、一息つく。

 

 一呼吸の隙、油断。

 

 ラプチャーが相手なら、いやヘレティックが相手であってもこの隙をつける者はいないだろう。

 

 しかし相手はラプチャーでもヘレティックでもなく優秀なニケでありヨハンというエリート指揮官がいるインヘルトだった。

 

 バンッ!ズドンッ!ズドンッ!ズドンッ!

 

 最初のハランの弾丸がジズのシエンを持っている方の手を撃ち抜き、手を離れたシエンをレッドフードの弾丸が致命傷になる位置を避けて3箇所に当たり、レヴィ達から離される。

 

 イッてぇッ!?だけど体を貫通してないってことはゴム弾、最初のネオン達の攻撃で殺しに来てると見せかけて実際は自分の捕獲が目的ってことかッ!

 

 自分が捕獲対象ならレヴィ達は?………!。

 

 シエンは痛みに耐えながらジズに着弾し貫通して勢いが死んで落ちてゆく弾丸を見る、そこには切ったわけでもないのに綺麗に真っ二つに割れている弾丸があった。

 

 聞いたことある発砲音に特殊な弾丸、エデンも敵になっていることを理解させられた。

 

「指揮官ッ!!」

 

 レヴィがダークマターを伸ばして自分を助けようとする。

 

 しかし、それだと間に合わない、ハランのウイルスがレヴィ達を食い荒らして取り返しのつかないことになる。

 

 あぁ………だからインヘルトもカウンターズも相手したくないんだこちらが負ける可能性のある僅かな隙間を綺麗に抜けてくるのだから。

 

 ジズッ!!命令だッ!逃げろッ!

 

 ゴム弾とはいえスナイパーライフルの攻撃を受けて意識が朦朧とする中何とかジズに命令する。

 

「―――!?―――!!」

 

 何を言っているかもうわからないがレヴィがこれでもかと大声を出して自分を助けようと暴れるのをジズは必死に抑え込みジズは自分ごと翼に収納して先ほどまでレヴィ達がいた空間には何も無くなった。

 

 それを確認したシエンは意識を手放した。

 

―――

 

 ここはどこでっしゃろ?

 

 目が覚めるとそこは異世界!?………なんてことはなくインヘルトとカウンターズが薄暗い部屋の中で出迎えてくれているので知らない場所だがここは異世界でないことはわかる。

 

「初めましてミラーと言います」

 

 見慣れない顔が2人居ると思ったら、あっちから自己紹介をしてくれた、まさかミラーから接触というかこんな直接的な干渉をしてくるとは思わなかったな。

 

「こっちが薔花です」

 

「よろしく」

 

 薔花、確かミラーの手足となって働いているとインディビリア聞いていたがどっちかっていうとパートナーみたいな雰囲気に見えるな、まぁそう見えるだけかもしれないが。

 

 目の前にいるインヘルトやカウンターズみたいにな。

 

 ミラーに騙されて自分を拉致するなんておまぬけはしないと考えると、ミラーがレヴィ達と同様にダークマターを纏っていることから何となくどういう手を使ったかわかる。

 

 見た目が目のやり場に困るのにやってることも困るな。

 

「フフ、やっぱりわかりますか?インヘルトとカウンターズは洗脳させてもらいました」

 

 ってことはたとえ自分がここから逃げ出せたり、極論自害したりしてもアークとエデンは最高戦力をミラーに握られてるわけか、アークで丸ごと記憶消去すれば洗脳そのものは解けるだろうが使い物にならなくなるのは明白。

 

 だがそれなら、何故レヴィではなく自分を攫ったんだ?唯一洗脳が解ける存在だ、いやそもそも攫うなんてしなければレヴィを始末出来たかもしれないだろあの瞬間。

 

「『かも』と自分で言っているではありませんか不確実をやめただけですよ、それにあなたを攫ったのにはちゃんと理由があります」

 

 何だ?

 

 そう答えを促すとミラーはもじもじと体をくねらして恥ずかしそうにする………本当、前から思ってたがレヴィ達もそうなんだが何故いくらでも服のデザイン弄れるのにみんな際どくするんだ?ミラーに関してはバニー衣装風で胸の大事な所が見えないギリギリのチキンレースしていて困る。

 

 ムニュっとしている箇所を見ないように視界をミラーから外していると意を決したのかミラーは高らかに宣言してきた。

 

「わたしのお婿さんになってもらいます!」

 

 ………えぇ?

 

 突然のプロポーズに流石にシエンもどうするか巡らせていた思考が止まる。

 

 ただ続け様に理由をミラーが喋るだすと突然のプロポーズによる胸のドキドキは冷めていった。

 

「シエンのダークマターの血と心臓からなる遺伝子はどうなるのでしょう!元の人間のままなのでしょうかそれとも新しい遺伝子へと変化しているのでしょうか!?そこからクイーンであるわたしとの間に産まれる子供はどんな優秀な子になるのでしょうか!ならなかった場合はシエンの遺伝子情報を書き換えて優秀な子が産まれるまで何度も何度も実験を繰り返しましょうね!」

 

 ………うん、性格とか見た目じゃなく性能で人選ぶ人初めて見たかも、もちろんスペックで選ぶ人はいるだろうけど遺伝子レベルで選ぶって中々に狂気だね、子作りとかじゃなくて実験って言ってるし………やってることが遺伝子組み換えとか人工交配とかの家畜とかに対してすることだよ、人間として見てないよこれ。

 

 というかそれならもっと面白いのがそこにいるだろ。

 

 そう言ってシエンはカウンターズの指揮官を顎先で指す、血そのものに特殊な効能があるカウンターズの指揮官の方が確実に遺伝子から特殊だろうし本人も種馬だからどうせ放置してても相手増やしていくだろうし1人増えても問題ないだろうし。

 

「もちろんカウンターズの指揮官とも作りますよ?」

 

 うーん、ダメだこりゃ種馬の逆だね、カウンターズの指揮官と相性バッチリじゃない?女性関係、男性関係、両方終わっている所に産まれる子供が不幸で仕方ないが。

 

 魅力的な見た目であるミラーだが流石に完全な敵と致すほどシエンは性欲に溢れているわけでは無いので逃げようとするが、攫っておいて拘束してないはずもなく手足はガッチリとダークマターで動けなくされていた。

 

「フフ、大人しくしてください!大丈夫です!お婿さんですから生まれてくる子が優秀なら気持ちいいことしかしませんよ!」

 

 ダメだったらこれ最悪男性を表す部分だけ残すとか言いそうで大丈夫な感じ全然しないのだが………。

 

 ジワジワとにじり寄ってくるミラーに対してシエンは座らされてる椅子を転ばないように軽く両足のつま先で軽く蹴って滑らして距離を取り時間を稼ごうとミラーが気になるであろう別の話しを出す。

 

 洗脳しようとして出来なかっただろ。

 

 ピタッと足をミラーは止めて興味深そうに見てたシエンの下半身から顔をあげてシエンの顔を今度は興味深そうに見つめる、そのまま動かないあたり話しを聞く気があるみたいだ。

 

 ミラーの動きに対してシエンは変に話しを引き延ばそうとせず簡潔に簡素に話す、変に間延びさせて時間を稼ごうとすれば何かを待っていると思われる、あくまで致すことへの抵抗として時間を稼ごうとしていると思わせないといけない。

 

 洗脳出来ない理由は二つある。

 

 まず一つ目がミラーのダークマターの支配権がレヴィより低いためレヴィのダークマターで血と心臓を構成されている自分を支配出来ないようになっている、これはミラーが期待している遺伝子単位で肉体が変化している証拠でもあるためそっちにも嬉しい情報だろう。

 

 二つ目、そもそも指揮官である自分の情報がアークやエデンに抜かれると不味いってほどの情報も隠して無いが念の為プロテクターのような、どっちかって言うと情報を守るからファイアウォールか、それをレヴィとセイレーンに施してもらっている、だからレヴィとセイレーン、どちらも了承しない限り自分の記憶は覗けないし弄れない。

 

「おおよそ予想通りですね、セイレーンが関与しているとは思いませんでしたが………まぁ合意の上での性行為が1番でしたが無理矢理というのもまた一興ですね!」

 

 やだこの子、性に対する寛容さが凄い、こっちは無理矢理は嫌なのですが!?

 

「大丈夫ですよ、先ほども言いましたが気持ちいいことしかしませんから!」

 

 再びにじり寄って来たので先ほどの繰り返しで再び床を蹴って椅子を後ろに下げる。

 

 それに対してミラーは流石にしつこいとムッとする。

 

「いい加減諦めたらどうですか?シエン自身は気持ちよくなるだけ何も損などしないではないですか」

 

 ………カウンターズの指揮官も似たような考えしてんだろうなどうしてあんな良い奴なのにそこだけ終わっているんだ本当に。

 

 生憎とお互い同意は必須事項だ、それに複数人と関係を持つならそれに対しても合意が居ると思うぞ………合意したならセーフって言うのもあんまよろしくなさそうだがな。

 

「同意ってフォービーストを連れて来たら良いのですか?連れて来れたとしても同意などしないでしょう?だから攫ったのですから」

 

 まぁそう言わず、聞いてみなきゃわからないだろ?呼んでやるよ。

 

「まるでいつでも呼び出せるみたいに言いますね」

 

 そうだが?

 

「え?………!?」

 

 シエンの体を何かが突き破った。

 

―――

 

 レヴィアタン。

 

 ジズ。

 

 ベヒモス。

 

 バハムート。

 

 別段名付けた当時は何も意識してなかった。

 

 ただただ強い名前にしたくてバハムートが偶々持っていたゲームの攻略本に書かれていた名前からとっただけ、それだけだ。

 

 しかしそのファイナルなファンタジーのゲームの攻略本では強い生物は強力な敵モンスターとしてだけでなく仲間にすることも出来た。

 

 そのゲームでは強力な獣を使役することを一時的に呼び出して力を行使することからこう呼ばれていた。

 

 召喚獣。

 

―――

 

 レヴィは酷くイラついていた。

 

 指揮官を助けられずジズと共に逃げるしか出来ず。

 

 そして指揮官にこれを使わせてしまったことに1番の怒りを感じていた。

 

 指揮官に流れる血は確かにわたしのダークマターだしかしジズとベヒモスのダークマターを一定の比率で配合することでジズの次元とベヒモスの追跡の能力だけ抜き出し、そこにダークマターを繋げなくても移動することを可能にした。

 

 だけど量産は出来ず、使えば今の指揮官みたいに出る場所とスペースが噛み合わず保存している容器を突き破ってしまうことになるから指揮官以外に使うことはなかった。

 

 レヴィはすぐさま心臓から張り裂けているシエンの体を治し始め、瞬く間にシエンは元の状態に戻る。

 

「指揮官………大丈夫?」

 

「あぁ、大丈夫死ぬほど痛いけどな」

 

 その言葉にレヴィは酷く悲しくなるが指揮官はポンポンとレヴィの頭を撫でて慰める。

 

「でもこんな頼りになる仲間が呼べたんだ仕方ないな!」

 

 そんなことはない、レヴィはそう思う。

 

 わたしがもっと警戒していれば、わたしがもっと強ければ、わたしがわたしがとたらればを考えてしまう。

 

 だけどこんなことを考えても仕方ないとも思う。

 

 わたしは結局1人じゃ強くなくて1人じゃ何でも出来ない。

 

 だから指揮官の拘束を外し手を引っ張って立ち上がらせる。

 

 そして指揮官とそのまま手を繋ぎながらベヒモス達と綺麗に横並びになる。

 

 対して相手も驚きはしたものの戦力はまだ上だと思っているのかインヘルトとカウンターズと共に同じように綺麗に横並びになって相対する。

 

「ジズ、『アレ』を出してくれないか?」

 

「う、うん!」

 

 ジズは指揮官からあるものを要求されてとても喜びながら羽を広げてボトッと取り出して指揮官に渡す。

 

「おぉ!それ使うのかやりぃ!」

 

「賢いわたしのフルインテリを見せれるのだな」

 

 ジズが取り出したのは本だった。

 

 分厚くどっしりとしているわけではなく、頑張れば片手で開そうなサイズの革の表紙で出来た本だった。

 

 この本が日の目を見ることは一生無いと思っていた。

 

 ある意味敵対する相手に対して最大の敬意を表しているとも言えるだろう。

 

 フォービーストの奥の奥の手なのだから。

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