映画レビュー:「トモーロス 予告編 with メイキング」(PATLABOR EZY) 作:鍾馗.
原作:PATLABOR EZY
タグ:PATLABOR EZY PATLABOR 機動警察 パトレイバー
これを使用することで「特撮無しで本物の怪獣映画ができる」と監督がメガフォンを取った「山津神」シリーズの最新作映画はトラブルに見舞われ、撮り直しを余儀なくされた。
しかし、監督は、というかスポンサーは転んでもタダでは起きなかった。その結実とは。
※電子レンジは使用しないで下さい
「トモーロス 戦国の犬たち」の鍾馗.さんのレビュー
本作は往年の特撮時代劇映画「山津神」シリーズの、50年ぶりに制作された最新作……の予告編と映画本編のメイキングで構成されたドキュメンタリーである。
特撮物や怪獣物のクライマックスシーンと言えばセット等の破壊を伴うのが常であり、その為に本来は一発勝負なのだが、本編となる「トモーロス 戦国の犬たち」(以下本編)はクライマックスシーン撮影中の事故により撮り直しとなっており、クランクアップが大幅に遅延している。映画史に残る椿事ではないだろうか。
当然ながらセットの再建は元より、事故で損傷した撮影用レイバーの修理等で撮影費用は膨れあがるのだが、徳大寺厚監督がスポンサーにその無心をするにあたって、事故時の映像を中心にプレゼンテーション用として制作された映像が、本作の基になっている。
監督が主張する「特撮無しで本物の怪獣映画ができる」を立証した、レイバーが闊歩し、躍動するその迫力ある映像を見たスポンサー達は、追加予算を承認したという。
ただし、このスポンサー達も無条件で承認した訳ではなく、このプレゼン用映像を使って番組宣伝を行う事が条件として出され、さらに映像の追加や編集を経て、最終的に単品の映画として上映されることになったといういわく付きが本作だ。要するに、金は出すけど補填はしろという訳である。
しかしながら、スポンサー達がこの異例の条件を考え付いたのも納得である。なにしろ本物の事故とそこからの救出の映像なのだ。それも撮影用機材でプロが映画に使うつもりで撮影した。国〇救助隊のような、戦闘シーンとはまた違う迫力があり、売れると踏んだのだろう。もちろん事故による死傷者がいなかったという大前提はあるだろうが。
本編は山津神や敵役の土蜘蛛に扮したレイバーを使用して撮影しており、万が一に備えて警視庁警備部特殊車両2課第二小隊が警備にあたっていたのであるが、その万が一が起こってしまい、第二小隊が即座に救出作業を行っている。
第二小隊は往年の名機AV-98 イングラムを装備しており、バージョンアップを行って型番をAV-98Plusと変えつつ、「見るものに与える心理的影響を考慮して設計された」その外観も健在ではあるが、さすがに30年前の機体である事から「特車2課のポンコツの方」などと揶揄われる事もあるようだが、素人目線ながら、救出作業はなかなかの手際である。30年前にいわゆる「黒いレイバー事件」を解決する活躍をみせつつも、「その通った跡にはぺんぺん草も生えない」とも併せて評された、毀誉褒貶の激しい当時の第二小隊(さすがに現在のメンバーは変わっていると思われる)の噂を知っている方はビックリするのではないだろうか。
本作はその性質上、警視庁の許諾と協賛を得ており、イングラムのカメラの映像も一部で使用されている。さすがに警察の方々の顔は分からないように編集されていて、声も吹き替えになっているが、台詞自体は基本的に変えていないとのことである。
本作のCMで「発砲を許可する」との声と共に、シリーズのヒーローである山津神が、ヒーロー然としたイングラムに銃を向けられるというシーンを見た方も多いであろうが、つまり、それも実際に現場で行われた事である訳だ。なかなかに貴重な映像と言えるだろう。
なお、救助作業でどうしてそのようなシチュエーションが発生したのかについては、各自で本作を視聴してご確認願いたい。救助作業を行う方々は、不測の事態でも色んなものを活用するものだと膝を打ったものだ。
そして、肝心の本編については予告編のみであるが、なかなかにハードボイルドな雰囲気で、激しい戦闘が繰り広げられている。偶然であろうが、警備をしていたイングラムの兄弟機と言えるARL-99 ヘルダイバーが出演しており、戦〇自衛隊を彷彿させる内容のようである。
昨今のドローン兵器の躍進に対して、高性能光学センサーと大口径機関砲を装備し、旋回速度を始めとする各種機動性にも優れる本機は自走式対空機関砲の代用が可能であり、その為に本来の空挺運用だけでなく多くの任務が期待されている機体である。それ故全機がイングラム同様に改修を経て未だ現役であることから、本作中の機体は当然レプリカなのであろうが、これが細部まで非常によくできている。
ちなみに、土蜘蛛役のレイバーは、米軍の現役装備から外れた多脚式軍用レイバーEX-13 タランチュラの非武装(当たり前である)の払い下げ品とのことだ。
ただ、このような現代要素を持ち込んだ本作は、旧作の雰囲気を愛する熱心な山津神ファンからの受けは良くないようである。しかし、山津神と軍用人型レイバーが並び立つというのはある意味夢の共演と言え、個人的にはこの新しい境地を切り開くであろう本編に期待したい。
総じて本作は、本編を待つ山津神ファンにも、レイバーマニアにも、必見の作品と言えるだろう。
「PATLABOR EZY File.1」、神レベルで分かり易くキャラが立ちまくっている初代特車隊メンバーと比較されちゃうせいで色々な評判がありますが、自分は好きです。映画見て、その場で劇場販売のBD購入を決断して、これまで何度も視聴しちゃう位には。