「暗いわね......」
とセレステが言った。
扉の先は、前回とは違って真っ暗闇だった。互いの顔がやっと見えるくらい。
「でも、多分火を点けちゃダメな気がする」
「どうして?」
と火を点けて、と頼もうかと思っていたセレステが聞いた。
「なんか、空気が重いわ。比喩的表現じゃなくてね」
「確かに息が上がるのが速い気はする」
2人で話しながら暗闇の中をひたすらに歩く。
「出口が見えた!!」
メイベルが声をあげた。一か所だけ光っている場所がある。きっとそこが出口だろう、と2人で向かう。
「ここに、『暗闇を恐れぬものに先へ進む権利を与えよう』って書いてあるわね」
扉の横にある立て看板に書かれた文字をセレステが読んだ。
「やっぱり罠だった!危なかった......」
「次は......」
とセレステが扉を開いたが、
「何もない??」
とメイベルが首を傾げた。扉の先は真っ白な部屋だった。
「扉も開いてるわね」
部屋にある扉へ近づいていく。
流石に何も仕掛けが無いなんてことは無いだろう、と2人とも思ったが、扉しかない。
「取り敢えずそこしか行く場所が無いし、行ってみましょうか」
扉の先をしばらく歩いていたが、
「あれ?」
とメイベルが声をあげた。
「戻って来たわね」
2人は先ほどの何もない部屋まで戻ってきてしまっていたのだ。
「つまりこの部屋の仕掛けは迷路ってことね」
そう。扉の先には、天井にまで高さのある壁で造られた、迷路があった。
「確かに王道ながら一番良い警備ね」
セレステが言った。だが警備を褒めている場合ではない。
警備をかいくぐって、守りに行かなければいけないのだ。
「......燃やしちゃ駄目?」
しばらく黙った後、メイベルが言った。
さすがにパワープレイでは?とセレステは思ったが、それ以外にいい方法が思い浮かばなかったので、
「やってみる?」
と言った。
「その、セレステは、平気?」
メイベルが何を尋ねているのか分からなったが、すぐに火にトラウマのある自分を気遣っているのだ、とセレステは気が付いた。
「あー。分かんない」
「じゃあ、枯らしてみる?」
メイベルが続けて提案する。
「これ壁じゃない?木じゃないと思うけど」
「あ、じゃあ水をかけたら溶けたりしない?土製の壁かも」
「やってみましょう!『水よ』!!」
とセレステが壁に水をかけると、壁はドロドロに溶けてしまった。
「成功ね!!」
2人で手分けして迷路を溶かし、泥の上を歩いて扉へ向かう。
次の部屋にはドラゴンがいた。ただし、そのドラゴンは横たわっていた。
「次は......ドラゴンと戦うはずだったみたいね」
「倒されてるのは嬉しいニュースだけど、倒されてるってことは誰かがここを突破したってことよね」
「最悪の展開ね」
とセレステが言った。
この時点で秘宝を盗ろうと―もしくは壊そうと―する犯人がいるということは確定し、すでに先へ進まれてしまったことが分かった。
「じゃあ、迷路は頑張って抜けたのかしら?」
だって迷路は綺麗な状態だったものね、とメイベルが言い、
「私達の方が頭脳派だってことが分かったわね」
とセレステが笑った。
「起き上がる前に、急いで行きましょう」
とセレステが小声で言い、メイベルも静かに頷いた。
「次は......『一方が魔力を与えると、もう一方は中へ入ることができよう』ですって」
部屋の真ん中に置かれた立札をセレステが読み上げる。
そして扉には魔法陣が刻まれていた。
「じゃあ、犯人は2人?」
犯人Aが今、中にいて、犯人Bはもうここから逃げてしまったのだろうか、とセレステは考えた。
「セレステ。ここまでの仕掛け、誰が設置したと思う?」
と、メイベルが突然聞いた。
急な話題転換に驚きながらも、セレステは
「先生たち......かしら?」
と答えた。
「私もそう思う。自分が仕掛けたのなら、構造を知っているのだから1人でも通れたかもしれないわ。しれないっていうか、ほぼ確実に、犯人は1人だと思う」
メイベルは犯人が教師で、かつ単独犯だと考えているようだ。
「どうして?」
「これまで起こったことを考えてみてよ」
「確か最初は図書館が荒らされて......」
深夜、図書館の禁書棚と魔法学校の歴史の本棚が荒らされた。
物音に気付いた司書の先生が本棚の方へ近づき、犯行が発覚した。
「犯人が2人なら、片方が見張り役になっておけたと思わない?」
「そうね。1人だったから、司書の先生に見つかったってことになるわ」
誰かに犯行を目撃されるというリスクを背負いながらも、本棚で何かを探していたのだろうか。
「その後もそう。2人で行ったにしては、ちょっと連携が取れていなさすぎる」
「まとめると、犯人はこれを仕掛けた先生ってこと?」
「そうなるわね」
「うーん。これは魔法具っぽいけど......」
と、扉に刻まれた魔法陣を見ながらセレステが言った。
「さっきのドラゴンはヘルモント先生っぽいから、魔法薬教師の担当場所っぽいわね」
ヘルモント先生ならドラゴンを置きそうだ、とセレステも同意した。
「迷路はグリネール先生かしら?よく、観察することが大事だ、って言ってるから」
とメイベルが続けて言う。
「最初のは、どっちかっていうと魔術かしら?となるとここは魔法具の先生が担当ってことになるわね。ということは、やっぱりレクラース先生じゃない」
「セレステ、ダウストラ先生は一昨年まで魔法具の先生だったのよ?候補に入れるべきじゃない?」
魔法具学教師のランベートには犯行は行えなかった。
つまり、怪しいのはもう一人の魔法具学教師の、レクラースとなる。
しかし、メイベルは魔術学教師のダウストラにだってできたはず、と言った。
そしてメイベルは、犯人はレクラースでないと言っていた。
それを統合すると、
「なるほど。つまり、犯人はダウストラ先生であると、メイベルは思ってるのね」
犯人はカドロ・ダウストラであるということになる。
「うん。で、多分ここの仕掛けがラスト。この先で待ってるはず」
やけに自身気にメイベルが言った。セレステはその言葉に突っかかりを覚えた。
「待ってるの?もう奪ったのではなくて?」
時間がたっぷりあるのに、奪って逃げないの?と首を傾げた。
「だって、この会話、全部聞こえてるはずよ」
メイベルがさらりと言った。
セレステが驚いたように扉を見る。
確かにこの扉で声が遮断されているとは思えない。
「じゃあ、早く行くしかないわね。どっちが行くの?」
「私が行くわ」
即答だった。メイベルなら自分が行くと言うだろう、とセレステは思っていたので驚きはしなかった。
もちろん、友人を危険な場所に送りたくはないが。
「分かった。絶対に守り抜いてね。秘宝も、貴女の命も」
「約束するわ。じゃあお願い!!」
セレステが扉に魔力を流す。メイベルは開いた扉を通り、最後の部屋へ向かった。
「待ちくたびれましたよ」
部屋の中には、やはり、カドロ・ダウストラの姿があった。
彼の手には“秘宝”が握られていた。
「わざわざ待ってくれてありがとう」
「てっきりレクラースを犯人だと思っていると思ったのですが、騙せませんでしたか」
「確かに最初はそう思ってた。今年から教師になったし。でもね、クィリナス・クィレルはただの新任じゃ無かった。元々はマグル学の教授だったけど、アルバニアに行って、闇の魔術に対する防衛術教師としてホグワーツに帰ってきたのよ」
「それは何の話だ?」
聞いたことのない人名と地名に、ダウストラが眉をひそめた。
「フィクションの話」
「お前はそんなものを信用するのか?」
とダウストラは嘲笑うようにいった。
「参考にしただけよ。アルバニアで例のあの人に出会ったことで、クィレルは心が変わってしまった。それが貴方にも言えるんじゃないか、って思ったの。一つ聞かせて。貴方が魔術学教師として帰ってくるまでの間、どこで何をしていたの?」
ダウストラは笑顔を止め、
「それを話すわけにはいかないな」
と言った。
「あら。ここで私を倒そうと思ってるんだったら、言っても構わないんじゃない?死人に口なしだもの」
ダウストラがニヤリと笑った。
「そうだな。では先にお前を倒そう!『焼き尽くせ』!!」
炎がメイベルに迫りくる。
「火には火を!『燃やし尽くせ』!『光よ 肥大させよ』!」
ダウストラの出した炎より一回り大きな炎が現れる。火と火がぶつかりあい、熱気が部屋に立ち込める。
「『洗い流せ』」
ダウストラの出した水が上から火に勢いよくかかる。
「『月よ のしかかれ』」
メイベルは水に向かって唱えた。水をダウストラの上にのしかからせようという計画だ。
「おっと。私の手には今、これがある。そのことを考えるんだな」
“秘宝”を見せられ、メイベルは一瞬気を取られてしまった。
「『風の刃』!!」
風が斬撃のように飛んでくる。
メイベルの髪が切断される。真っ白な床に、銀色の髪が一房ばかり落ちた。
「この魔法はとっておきでね。我が親愛なるお師匠様から教わったのさ」
そう言いながら、ダウストラは風の刃をさらに増やしてメイベルに向かって放つ。
メイベルは刃から逃げることなく、その場に立ったままだった。いくつもの風がメイベルに迫る。
切り裂かれる、と誰もが思うほどの距離になった時、メイベルが笑いながら手を前に出した。
「『光よ 鏡となって反射せよ』!!」
目の前に光の鏡が現れる。風の刃が鏡に当たると、全てダウストラの元へ跳ね返って飛んで行った。
ダウストラは思いがけない反撃に対処できず、無数の切り傷ができた。ダウストラの体勢が大きく崩れる。
ここからは私の番、とメイベルが気合を入れたその時、
「流石だウィステリア。だが、ここからは私に任せてもらおうか。『絡めとれ』」
と、後ろから水が飛んでいき、ダウストラの手を縛った。
ダウストラの手から秘宝が離れる。秘宝は宙に浮かび上がる。
「『水よ 包み込め』!!」
と、また別の声が後ろから響き、 “秘宝”はすかさず水で包み込まれて、傷1つない姿でメイベルの元へ渡された。
「レクラース......」
と、ダウストラが自らの腕を縛り上げたレクラースを睨みつけた。
「どうして先生が!?それに、セレステまで!?」
メイベルも叫んだ。後ろからやって来たのはレクラースと、先ほど扉の前でわかれたセレステだった。
レクラースはメイベルの問いには答えず、
「ネアセリニは手筈通りに。ウィステリアは形勢を整えろ」
と指示を出した。
「分かりました」
とメイベルは取り敢えず指示に従うことにした。
「どうしてお前がここに......」
驚いたようにレクラースを睨みつける。
「魔法具学教授を舐めないでもらいたい。『凍り付け』」
腕を縛っていた水が凍っていく。
「こんなもの......!!」
ダウストラが手から火を出して氷を溶かし、枷を壊す。
「秘宝は私のもの。さあ、返してもらおう。『流れ込め』!」
ダウストラはレクラースに目もくれず、秘宝を持つメイベルへ向かって水を放った。
「『風よ 包み込め 盾となれ』!!」
セレステが出した風の盾は水の流れを見事に防いだ。
すかさずメイベルが、
「『水よ 縛れ』」
とダウストラが出した水を操ってダウストラの全身を縛り上げる。
そこに重ねるようにレクラースが
「『眠れ』」
と魔法を放ち、ダウストラは倒れた。
「先生、おかげで助かりました!!」
とメイベルがレクラースを見る。
「君の戦いぶりを見るに、私は必要なかったみたいだが」
「いえ、おかげでダウストラが動揺して、隙が生まれましたし。で、どうして2人がここに?」
「あんな仕掛けは私には通用しない」
レクラースはそれ以上言うつもりはないようだ。
「メイベルが部屋に入ってしばらくしてから、先生がやって来たの」
セレステが、メイベルが去った後のことを話し始めた。
突然扉が開き、セレステは声を上げかけたが、相手がレクラース先生だと気づき、声をあげずにすんだ。
レクラースは無言でローブのポケットから魔法具を2つ取り出し、片方をセレステに差し出した。
セレステはこの魔法具を以前校長室で見た事があったので、安全だと分かった。なので、差し出されるがままに受け取った。
「アリスとマリーに会いましたか?」
魔法具を受け取ったセレステはすぐに口を開いた。
ここに来たのなら、アリスとマリーに会って話を聞いたのだろう、と考えていた。
「いや、コンスタンシアにもアッシュフォードにも会ってはいないが?」
「だったら、どうしてここに?」
「部屋に侵入されたら通知が来るようにこっそりと仕掛けておいた。ダウストラが犯人だということは分かっている。ウィステリアは?どうせ君と2人でここに来たんだろう?」
「はい。でも、1人しか中に入れないように仕掛けがされていて、この先の部屋に......」
レクラースが扉に刻まれた魔法陣を見る。
「これで仕掛けと言うのか。こんなもの、仕掛けと呼ぶに値しないな。部屋に入った後、私はダウストラを攻撃しよう。すると、あいつの手から秘宝が落ちる。ネアセリニ、君にそれを受け止めてもらいたい。できるな?」
「はい」
「そして秘宝を守り抜け。では行くぞ」
と言うとレクラースは魔法陣に向かって手をかざした。そしてすぐに放した。
しばらく経つと、誰も魔力を込めていないのに、魔法陣が輝きだした。
レクラースが扉を開くと、鏡が風の刃を反射しているところだった。
続いてセレステも扉を通った。
魔法陣は発動しなかった。
「じゃあ、先生は1人でここに来たんですか?」
「そうだが?」
「アリスとマリーに校長先生を呼びに行ってもらったんですけど......」
レクラース先生とすれ違ったりしなかったのだろうか、とメイベルは思った。
「そのうち校長もここへ来るだろう。その前に髪を回収しておきなさい」
と言ってレクラースは床に落ちているメイベルの銀色の髪を指さした。
「え、何でですか?」
「髪も魔力を持っているので、貴重な魔法材料となる。回収しないなら私が使おう」
「回収します!!」
悪い笑みを湛えたレクラースを見て、メイベルは慌てて髪を拾った。
「この部屋に、もう用は無い。スペンシア校長が来る前にこちらから迎えに行くとしよう」
レクラースがダウストラを風で浮かせる。
そして部屋を後にした。
学校の廊下に出ると、そこには校長が立っていた。
「まあ!!」
と、4人を見て驚く。
「校長、事の次第は私が話します」
「とはいえ、2人にも来てもらわねば。どうやら怪我は無いようですね。では、今すぐ校長室へ来てください」
「ダウストラは?」
とレクラースが問うと、
「私達が預かります」
と校長の後ろからランベートとブロイスがやって来た。
「決して逃がさないように。頼みましたよ」
2人は校長の言葉に頷き、ダウストラを風で浮かせて受け取った。
4人は真夜中の冷たい廊下を歩いていく。
校長室に付き、メイベルとセレステは座るように促された。
そして、レクラースがことのあらましを説明した。
「とはいえ私が部屋に入ったのは途中からでしたから、ここからはウィステリアに説明を任せる」
と言って、メイベルを見る。
「あ、はい。部屋に入ったら、ダウストラ......先生がいて、」
「もう教師ではありませんよ」
「......ダウストラがいたんです。レクラースを疑ってると思ったのにって言われて、で、火を出してきました。私は、火には火で対抗しました。その時、ダウストラが秘宝を見せてきて、それに気を取られて風の刃で髪を切られてしまって。で、光魔法で反射させたところで2人が来ました」
「ダウストラは他に何か言っていましたか?」
「そういえば、風の刃は我が親愛なるお師匠様から教わったって言ってました。あと、教師じゃなかった間の事を聞いたら、話すわけにはいかない、って」
「それはいかにも怪しいわね」
とセレステが相槌を打つ。
「そうですね。風の刃と言えば思い当たる節がありますが、そこは後日、本人にはかせましょうか」
「秘宝に気を取られるとは、緊張感が無いな」
とレクラースがメイベルに言った。
「まさか秘宝が鍵だとは思わなかったので、動揺してしまって」
そう。禁じられた部屋にあった、ダウストラが狙っていた“秘宝”とは、古びた1つの鍵だった。
あまり秘宝らしくは無い。
「これ、どこの鍵なんですか?」
とメイベルが校長に聞く。
「それは、この学校を設立した人の部屋の鍵です」
「その部屋の中に、何か重要なものが?」
セレステが聞く。鍵が守られていたのなら、部屋が重要なのだろうか。
「魔力を増大させる方法について書かれた本だとか、新しい呪文が無数に書かれた本だとか、色々と」
「ダウストラの狙いはやはりその本だったのでしょうか?」
メイベルが聞く。
「でも彼が本を読んだとしても、きっと習得は出来なかったでしょうね。習得できるかどうかはその人次第ですから。学校の設立者と同じ程度の魔力は、流石に持っていないでしょう」
「では、またこの鍵を隠すんですか?」
「いいえ。貴女達にあげるわ」
予想外の答えに2人は驚く。
「え!?本、読んでいいんですか?」
「貴女達なら正しく使ってくれそうですし。それにあの部屋、無駄に広くて管理が大変で......」
と校長はため息を吐いた。
「そんなに広いんですか?」
「ええ。寮の個室6つ分ぐらいかしら?お茶会とか勉強会とかできると思うわよ」
「素敵ですね!!」
「部屋の管理を押し付けます代わりに、1人1つずつ頼みを聞いてさしあげましょう。年度末に聞きますから、それまでに考えておくように」
太っ腹である。
「ありがとうございます!!」
「では、早く寮に帰るように」
「先生、これを返すのを忘れていました。おかげさまで助かりました」
と言ってセレステはレクラースに魔法具を返し、部屋を出た。
「レクラース、風の刃といえば誰か、予想はついていますね?」
「おそらくはミュンスタンでしょう。クリーガーにも話を聞くべきでは?」
レクラースは、ミュンスタン家次期当主のクリーガーの名を出す。
「それでアントニアまで話が行ったらどうするのですか。こちらは気づいていないふりをすべきです。今、敵対していると明らかにするのは、あまりよくないでしょう」
「分かりました。では引き続きクリーガーの監視を行います」
「頼みましたよ、レクラース」
2人は頷きあった。
「「メイベル!セレステ!」」
寮に戻ると、アリスとマリーが立っていた。
「ただいま!!」
「校長先生への報告、ありがとうね」
とセレステが2人に言う。
「2人とも、怪我はない?」
マリーが心配そうに言う。
「私は大丈夫なんだけど、メイベルが髪を切られちゃって」
「まあ!!」
「放っておけば伸びるから気にしないで!」
とメイベルは笑顔で言った。
「それで、秘宝って何だったの?」
アリスが聞く。メイベルとセレステは顔を見合わせた。
「それは秘密。今日は遅いから早く寝ましょう?」
「教えてくれないの?」
「秘められた宝なんだから、そう言いふらすものじゃないでしょう?」
と、セレステがアリスに答える。
「確かに。でも、守れたのよね?」
「ええ、勿論!!今は私が持っているわ」
とメイベルが言うと、
「つまり、秘宝は持ち運べるほどのサイズってことね......」
とアリスが考え始めた。
「アリス、秘宝について考えるのもいいけど、早く寝ないと」
「そうだね」
2人が寮を後にしようとしたところで、メイベルは2人はニクスアンジェンテなのにゲルミナレスの寮にいることに気が付いた。
「あれ、そういえば2人とも、なんでうちの寮にいるの?」
「校長先生が、こっちで待っていれば戻ってくる2人に会えるでしょうから、って入れてくれたの」
「ニクスとはまた違った雰囲気で素敵ね」
「ありがとう!私もそっちにお邪魔したいわ!」
「それはまたいつかね。じゃあいい夢を、アリス、マリー」
セレステが別れの言葉を言う。
「いい夢を!!」
部屋に着くなりメイベルは
「よし、早く寝ましょう!!」
と言った。
「切り替えが早いわね」
仕掛けを突破して、戦って、秘宝を貰って......と普通でないことばかり起きた夜だった。
「だって、眠いんだもの!!」
それでもメイベルにとっては今夜もただの夜と何も変わらないのだろう。
「でも、シャワーは浴びるんでしょう?」
「そりゃあ死活問題だもの」
メイベルはセレステの言葉に笑顔で頷いた。