シャーレの先生は化け物である   作:人肉の味を知りたいようで知りたくない

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アビドス編開始です。

評価に色が……ありがとうございます!!


『砂漠の生徒達』

 

 

 

 

 アビドス高等学園

 

 学園都市キヴォトスの砂漠地帯に隣接した地域にある学園。

 

 昔は生徒達が数多く在籍していて、自治区自体の人口も素晴らしい物であったが、数十年前に起きた大規模な砂嵐によって今現在は学区の環境が激変、今では完全に衰退しきっている場所。

 

 そのアビドス学園からシャーレに一通のメールが届いた。

 

 

 

 

 

 

『連邦捜査部の先生へ。こんにちは。私はアビドス高等学校の奥空アヤネと申します。

 

 

今回どうしても先生にお願いしたいことがありまして、こうしてお手紙を書きました。

 

 

単刀直入に言いますと、今、私たちの学校は追い詰められています。

 

 

それも、地域の暴力組織によってです。

 

 

こうなってしまった事情はかなり複雑なのですが…。

 

 

どうやら、私たちの校舎が狙われているようです。今はどうにか食い止めていますが、そろそろ弾薬などの補給が底を尽いてしまいます…。

 

 

このままでは、暴力組織に学校を占拠されてしまいそうな状況です。それで、今回先生にお願いできればと思いました。先生、どうか私たちの力になっていただけませんか?』

 

 

 

 

 生徒からのSOS、先生はすぐさま準備を整えアビドスへと向かうことにした。生徒の助けとならば東西南北何処へでも行く、それが先生としての仕事であり役目だ。

 

 

 

『―先生、そこをまっすぐ行った場所に目的地であるアビドス学園があります!』

 

「ありがとうアロナ、君がいなかったらどうなってたか」

 

『スーパーAIですから!えっへへ』

 

 

 

 アロナのナビゲートの元、先生はアビドスの住宅他を歩いていく。人の気配が少しもしないその場所を歩きながら、先生はアビドスの生徒達について考える。

 

 過酷な環境の中で、地域の暴力組織に狙われ、弾薬も底を尽きかけながらも、必死に自分たちの学校を、居場所を守ろうとしている健気な生徒達。

 

 

 

 

(居場所…か)

 

 

 

 先生はその言葉を、胸の奥で静かに反芻した。

 

 世界は違えど、その言葉が持つ重みは、喰種として血塗られた生存競争を生きてきた彼の心を、強く、深く締め付けた。

 

 生まれながらにして人間に紛れ、忌み嫌われ、常に駆逐の恐怖に怯えながら生きるしかなかった喰種にとって、『安心して普通の生活ができる居場所』がどれほど尊く、どれほど命がけで守るべきものだったか。それを失う恐怖と、それを脅かす理不尽な世界の悪意を、先生は誰よりも身に染みて知っている。

 

 

(生きるために、居場所を守るために、泥水をすすり、手を血に染めて戦うしかなかった。……けれど、あの子たちは違う)

 

 

 彼女たちは怪物ではない。ただの、まだこれからの未来がある、うら若き普通の学生たちだ。生徒達が居場所が無くなり途方に暮れるのは……何がなんでも阻止しなければならない。

 

 

(今回の救援を得て関係性を深めていき、一緒にアビドスをどう復興していくのか、学園を昔のようにするにはどうするのかを話し合う。……その為にもまずは、みんなと仲良くならないと――よし、やるぞ!)

 

 

 先生は気合いを入れ直し、少しスピードを上げて歩き続けていると、アビドス学園の校舎が見えてきた。そしてついにアビドス学園の門の前に到着。

 

 

 

 

 

『先生、アビドス学園到着です!』

 

「お疲れ様、また何かあったら呼ぶね」

 

『はい!いつでも頼ってくださいね、先生!』

 

 

 

 シッテムの箱の電源を落とし手に持ちながら門を潜ろうとしたその直後、足音が聞こえ誰かがやってきた。

 

 

「ん、止まって」

 

「君は……あーいや、先に私からだね。私は連邦捜査部『SCHALE』の先生、SOSのメールを受け取ってここへやってきたんだ」

 

「先生……!本当に来てくれたんだ…よかった」

 

「勝手に入っちゃってごめん、けど…とりあえず銃は下ろして欲しいな」

 

「ん、ごめんなさい。最近襲撃の頻度が高くなってて、用心深くなってた。私は砂狼シロコ、アビドス学園の2年生、ドローンでここに入ってくる先生の顔つきが他のみんなと一緒に見てた」

 

「よろしくねシロコ、他の生徒達は教室に?」

 

「みんな部室に揃ってる、ちょうど会議が始まる前だったから、案内するね」

 

「ありがとうシロコ」

 

 

 セミロングの銀髪、水色の瞳だが瞳孔の色が左右で違う(白と黒)オッドアイを持つ非常にミステリアスな雰囲気を醸し出している美少女、砂狼シロコの案内の元先生は他のアビドス生徒達がいる部室まで歩いてゆく。

 

 部室前まで案内され、シロコが部室の扉を開く。中にいたのは4人の生徒。

 

 

「あっ、シロコ先輩!やってきた怪しい奴…ってすぐそばにいる!?」

 

 

 猫耳ポニーテールの生徒、黒見セリカが指を先生に向けて指しながら叫ぶ。

 

 

「ん、この人はシャーレの先生、救援のメールを読んで来てくれたみたい」

 

「えっ…!?本当に!?」

 

「わあ!漸く申請が通ったんですねェ⭐︎これで安心です♪」

 

「よかった…!ちゃんと届いていて…!」

 

 

 ゆるふわ系な女子十六夜ノノミ、救援のメールを送り出した張本人である眼鏡っ娘の奥空アヤネ、そして先ほどのセリカの3人はお互いに抱き合い喜び合う。

 

 

「補給物資は今この場にないんだけど、明日の朝にはたくさんの物資が届くと思うんだ。中身は弾薬に食料が入ってあるからね」

 

「食料まで…!ありがとうございます!」

 

「コレでしばらくは安心して暮らせる!」

 

「私、ホシノ先輩起こしてくるね!」

 

 

 

 笑顔のままセリカは教室の扉を開け、飛び出すように出ていった。

 

 怪しい人と思われたことに関しては全く気にしておらず、生徒達の笑顔の事で先生は頭がいっぱい。生徒の喜びこそ、今の彼にとってはご馳走なのだ。

 

 

 

少ししてからガチャ、と音を立てて二人入ってくる、1人はセリカ、もう1人は彼女が『ホシノ先輩』と呼んだ相手だった。

 

 

「ふわぁ…まだ起きる時間じゃないのに〜〜」

 

「んもーう!いい加減起きなさいってば! せっかく先生がきてくれたのに!」

 

「むにゃむにゃ…先生〜?」

 

 

 生徒の中でも特に小さな背丈で桃色の長い髪を持つ生徒、小鳥遊ホシノ。右目は金、左は蒼、その両目が開き、先生と目が合った―――その次の瞬間。

 

 

 

『―!』

 

 

 

 ホシノの目がしっかりと開き、先生も目を開き彼女をじっと見る……その表情はお互いに驚きの表情だった。

 

 

(―この子は、強い。この中でも…いや、今まで見てきた生徒達の中でもダントツに強い…あの目は疑い、もしくは品定の目だ……かなり警戒されちゃってるな)

 

(ただの大人……ただの大人のはずなのに、どうしてこんなにも胸騒ぎが…? 今まで会ってきた大人達とは比べ物にならないくらいには…異質………警戒、しておかないと)

 

 

 先生はホシノの隠れざる能力の高さに驚き、ホシノは先生から感じる異質さを警戒していた。先生から感じる異質さはおそらく先生の中にある喰種の物。

 

 

「―うへぇ、小鳥遊ホシノだよ〜。よろしくね〜先生」

 

「うん、よろしくねホシノ」

 

 

 周りに諭されないようにと、偽の顔を作りお互いにその顔を見せ合う。その後ノノミやセリカ、アヤネも先生に自己紹介を済ませ、先生はコレからの動きについて話をしようとした……しかしその直後に響く銃声と爆音。

 

 

「ッ!!噂をすれば…!!」

 

「今の銃声は……うへぇ、またかぁ」

 

「わぁ!?窓ガラスが!!」

 

「アイツらー…!!」

 

「ん、先生は伏せてて」

 

「う、うん…(流石にいきなりはびっくりしたなぁ)」

 

「カタカタヘルメット団です!武装して此方の学校に侵入しようとしてきます!!」

 

 

 

 カタカタヘルメット団、突然の襲撃……よくよく考えなくとも、話にあった暴力組織とはそのヘルメット団のことだろう。

 

 

「また性懲りも無く…!どうせ物資が入るのなら、今ここでいつもみたいに…!」

 

「―少し、待って欲しい」

 

「先生…?待つって?」

 

「確かに明日には大量の物資がここに届く、でも今はそれがない状態…つまりは万全じゃない。所持している弾だって少ないはず」

 

「……ん、それはそのとおり、でも」

 

「大丈夫、私に策があるんだ」

 

 

 

 喰種と言う種族の身体能力ならば、武装をしている集団に対しても有利に立てる。だが一度見せて仕舞えば人ではないと疑われる可能性ある……ので、先生はたとえ相手がヘルメット団や不良達であろうと力は使わない。

 

―――その代わり。

 

 

 

『―私の出番ですね、先生!!』

 

頼りにしているよ、アロナ――みんな、どうか私の話を聞いて欲しい」

 

 

 

 彼にとって一番頼れる存在の力を借りて、彼は戦うのだ。

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