シャーレの先生は化け物である   作:人肉の味を知りたいようで知りたくない

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『争いではなく話し合い』

 

『ちくしょう!!お前ら覚えてろよー!!!』

 

 

 そんなベタな捨て台詞を残して、カタカタヘルメット団の不良たちは、全速力で逃げ去っていった。

 

 シッテムの箱は、正確には言えば箱のAIであるアロナは敵の数、弱点や生徒達の戦闘スタイルと装甲、武器、フィールド、それら全てをモニターに映し出す事ができる。

 

 それを大いに使い先生は戦況を意のままに動かし、ヘルメット団との戦いに勝利した。

 

 資源が不足している状況でどうやって勝利したのかと言うと、『敵の指揮をしている者を制圧』。コレを実行し勝利した。

 

 

 

「ヘルメット団はお世辞にも頭がいい集団とは言えない、だからこそそれを指揮するリーダー必ずいる。そのリーダーを探し出して、一気に無力化にする……すると相手はどう動けばいいかわからなくなりパニック、あとは少し応戦すれば相手は勝手に逃げていく――ん、コレを考えた先生はすごい」

 

「いやいや、みんなが頑張って指示を聞いてくれたおかげだよ。私のことを信頼してくれてありがとう」

 

「ま、まあ?中々いい作戦だったんじゃない…?」

 

「セリカちゃんは素直じゃないですね〜」

 

「うへぇ……おじさん1人にヘイト役は流石に骨が折れたよー」

 

「それに関してはごめんね。でもホシノならきっと上手くやってくれる、そう信じてたんだ」

 

「お褒めに預かり光栄だね〜」

 

 

 

 もしもホシノが断っていたら、最悪先生は自分自身を囮にする気であったが、それはあえて言わないことにした。ひとまずコレでヘルメット団の追い払いには成功。

 

 

 そして一同は一度部屋に戻り、改めて自己紹介をすることに。

 

 

 

「それでは改めまして…私達はアビドス対策委員会です。私は委員会で書記とオペレーターを担当しています1年の奥空アヤネです!こちらは同じく1年の黒見セリカ」

 

「…どうも」

 

「此方が2年の砂狼シロコ先輩と」

 

「ん」

 

「同じく2年の十六夜ノノミ先輩です」

 

「よろしくお願いします。先生〜」

 

「そして此方が委員長の…3年の小鳥遊ホシノ先輩です」

 

「いやあ〜、よろしくね〜先生」

 

 

 アヤネ・セリカ・ノノミ・シロコ・ホシノ、以上の5名がアビドス対策委員会のメンバー達。先生は優しい顔を向けたまま自分も自己紹介を始まる。

 

 

「改めて、私はシャーレの先生。シャーレへのSOSを受けて飛んできたんだ、コレからもどうぞよろしくね」

 

 

 先生の自己紹介が終わり、アヤネが話を続ける。

 

 

 

「ご覧頂いた通り、我が校は現在危機にさらされています。そのためシャーレに支援を要請し、先生がいらしてくれたおかげで危機を乗り越える事が出来ました……先生がいなかったら、さっきのヘルメット団に学校を乗っ取られていたかもしれませんし、感謝してもしきれません」

 

「そんなに畏まらなくても大丈夫だよ、生徒を助けるのが私の役割だからね。それで質問なんだけど、対策委員会がどういったものなのか知りたいンダ、教えてくれる?」

 

「あ、そうですよね。ご説明いたします。対策委員会とは……このアビドスを甦らせるために有志が集った部活です」

 

「全校生徒で構成される、校内唯一の部活なのです! 全校生徒といっても、私たち五人だけなんですけどね」

 

 

 

 5人……だったの5人、改めて少ないなと思う先生であったが、同時に『今までずっと5人で耐えてきたのか…すごい子達だ』と関心を抱いていた。

 

 

 

「他の生徒たちは転校したり、退学したりして街を出て行った」

 

「住民がほとんど出ていっちゃったから、カタカタヘルメット団みたいな三流のチンピラに学校を襲われてる始末なの…現状、私たちだけじゃ学校を守り切るのが難しい。在校生としては恥ずかしい限りだけど……」

 

「ここまで守ってきたってだけでも凄すぎるくらいなんだし、もっと自信を持って、胸を張っていいと思うよ」

 

「そう褒めれると……なんだか照れちゃいますね〜」

 

 

 

 顔を少し赤くして照れるノノミ、そんなノノミに釣られるように他の生徒達(ホシノ以外)も照れる。するとここで先生がある質問をする。

 

 

 

「みんな、コレは提案なんだけど。今さっき私たちでヘルメット団を追い払ったわけだけど、アレで諦めるような子達じゃないと思うんだ」

 

「それはそうなのよね〜」

 

「そこで考えたんだ。私はなんとかして彼女達がここアビドス学園に対して攻撃してくるのを止めたい――だからあの子達のアジトにって話をしてこようと思うんだ」

 

「は、はあぁっ!? 話し合いぃ!?」

 

 

 

 セリカがひっくり返った声を上げ、アヤネも眼鏡を落としそうになるほど目を見開いた。

 

 

 

「先生、冗談だよね〜? あの子たち、お世辞にも言葉が通じるタイプじゃないよ? それこそ銃を持たずに乗り込んだら、今度こそハチの巣にされちゃうよ?」

 

「ん。ホシノの言う通り。あの一味に理屈は通じない。暴力には、より大きな暴力をぶつけるのが一番早い」

 

「わお、思考がバイオレンス…」

 

 

 

 命を奪い合う世界ではないキヴォトスだからこそ、彼女たちは「武力による解決」に躊躇がない。それが最も手っ取り早いからだ。

 

 

 けれど、先生は知っている。

 

 

 暴力が暴力を生み、その果てに何が残るのかを。かつて自分がいた世界で、嫌というほどそれを見て、自身もその渦中で怪物の手を血に染めてきたのだから。

 

 

「私は平和主義でね、なるべく争いは避けたいんだ。それに私は先生だからね、あの子達も私の生徒で守るべき存在なんだ……だからこそ、だからこそ私は」

 

 

 

 先生は胸を張り、はっきりとした態度で告げた。

 

 

 

「この機に乗じて、あの子達をスカウトしたいんだ」

 

「スカウト…………ってまさか、あいつらを雇う気!?」

 

「正解」

 

「成程、確かにただ壊滅させるよりかは手駒にして動かした方がいい…ん、先生さえてる」

 

「いや、手駒とかじゃ無くてね? あくまでも正規雇用のアルバイトみたいな感じだよ、正直今のシャーレには私しかいないからね(厳密にはアロナがいるけど)」

 

「そもそも話し合いまで行けるの? 最悪の場合……」

 

「そこは安心して……ふふん、なんとこの私のタブレット、シッテムの箱には…強力なバリア機能が付いているんだ!このバリアがあれば私が怪我をする心配はなし!」

 

 

 実際は喰種という種族の頑丈さ故に銃弾やナイフで傷がつく事がないというだけなのだが、ここはシッテムの箱のバリア機能ということでなんとか誤魔化せた。

 

 

「それにここで私が彼女らを上手く味方にできたら、もうアビドスが襲われる心配はない。……どうかな、私としては物資も減らず怪我もしないいい方法だとは思うんだけど」

 

 

 

 シロコ達は少し考えた後、それぞれ口を開く。

 

 

「私は先生の意見に従う、さっきもそれで助かったから」

 

「今ある物資のことを考えたら…私もその方がいいと思います」

 

「私も賛成です」

 

「私は、アビドスにもう襲ってこないって約束をしてくれるんなら…」

 

「おじさんはみんなの意見に賛成かな……でも先生、話し合いならちゃんと私たちも連れて行ってね? いくら怪我はしないと言っても、危険は危険だから」

 

「ありがとうみんな」

 

「ヘルメット団の前哨基地はここから30kmくらいにあります、今から出発されますか?」

 

「善は急げ、でもさっき動いたばかりだから、少し休憩してから行こっか」

 

 

 

 争いを好まず話し合いで、なるべく平和的に解決をしようとする先生に対し、シロコ達は『とてつもなく優しい先生』として彼のことを見ていた。

 

 

 だがホシノだけは、優しい先生というだけではなく、『平和ボケをしている、甘い大人』と言う目でも見ていた。

 

 

 先生はもう十分すぎるほど争いを繰り返してきた……その為、もう争いを起こしくない。その一心で今回のヘルメット団の一件も、片付けようとしていた。

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