あれ?
お、お前は……後期からの予備校の課題……!?
待ってくれ一体何をするつもりなんだその難易度と量が両方倍増した教材を私に叩きつけることで一体何をするつもりなんだ俺達前期じゃ上手くやれてたじゃないか!!頼む正気に戻ってくれ心優しかった前期の頃のお前に戻ってくれー!!!
ピィプ(絶命)
ふー危なかったそれにしても一体あいつは何をするつもりだったんだろうまさか私を殺そうとしていたわけじゃないと思うんだけどな
ボーダーランド遊園地を出て帰宅した時には既にサクラコの普段の就寝時間を過ぎていた。
遊園地という目に映るもの全てが新鮮な場所で起きた、新しい友達との出会いや突然のショーへの出演、そしてその最中で起きた予想外の事故といった様々な出来事は、彼女に充足感とともに疲労感も与えていた。
その疲労感は強烈な睡魔となってサクラコに襲いかかり、彼女は風呂に入って着替えを済ませた後すぐさま床に就き、5分も経たないうちに意識を手放した。
そして次に目覚めた時、サクラコの視界に見知らぬ天井が映り込んだ。
(ここは……?)
寝ぼけた頭で周囲の状況を確認する。目に映るのは自分の家のものではない壁紙、自分の部屋とは異なる形の部屋に加えて置いた覚えのない家具。それらの違和感が、今いる場所は自宅ではないということをはっきりと伝えていた。
さらに耳をすますと、何やら壁を隔てて話し声のようなものが聞こえてきた。聞こえてくるのは男性っぽい声と、女性のような声。サクラコはそれらの声にどこか聞き覚えがあるような気がした。
自分の意志とは関係なく、身体がベッドから起き上がり、声のする方向へ向かおうとする。ベッドは普段使っているものよりも小さいものだった。
どうやらそれなりに広い家らしく、他にもいくつかの部屋があるのが確認できた。声が聞こえてくるのはリビングと思われる場所からだったが、そこに辿り着く前に玄関が開く音がした。
リビングにいたのは、サクラコと同じくらいの背丈の女性だった。しかし、身体全体がノイズがかかったようにぼやけており、特に顔の辺りは表情も何も分からないほど酷くノイズがかかっていた。
しかし、不思議とその不気味な見た目に恐怖を感じることはなく、寧ろある種の懐かしさのようなものを感じた。
女性はサクラコに気付くと、ゆっくりと顔を向け、話し始めた。
「あら、おは■う。こう■て会う■は久し■りね。学校■は上手く■れてるかしら?」
女性はまるで自分の子に対するような優しい口調でサクラコに接する。声はところどころノイズがかかっていて上手く聞き取れなかったが、友好的な態度であることは察せられた。
「……あなたは、誰ですか?」
まるで自分を知っているかのような言い方に対し、思わず聞き返す。
「あら■ら……それに■■ては……あな■が一番よ■知っているんじゃないかしら?だってあなたは■■■■■■……■し■■なんだもの。」
話していくにつれノイズが悪化していき、肝心な部分は聞き取れなかったが、何故か聞き返す気は起きなかった。
「ふふっ。こう■て言うと……なんだか少■、気恥ず■■い気が■るわね。」
表情は分からないものの、女性が少しの間嬉しそうな声を出したのが分かった。
「あっ……■■を■■前に、言■なければなら■■ことがあったわね。……あの時、あなたを■■て■■■■■■て……ごめんなさい。私が■■■みたいに■■■たなら……あなたを■■たかもしれないのに……。」
女性の声色は後悔を帯びているように感じられた。サクラコは女性の言葉を聞くと、ほとんど無意識に言葉を紡ぐ。
「いいえ、あの時あなたは……■■■■は、精一杯私のために努力してくれました。それで十分です。誰のことも……恨んでなどおりません。」
無意識とはいえ自分の発した声であるはずなのに、ある一部分だけは自分が何を言ったのか分からなかった。そこだけがまるで切り取られたかのように自分の耳に入っていなかった。
「……そっか。あり■■う。そう言ってく■て。……実は、■■■■■とがあるの。きっとこれは■■■■■■■■■■■■だと思う。……■■■を、■■■■から■■■■て■■いの。あの日からずっと、■が■■■■■■■■■■みたいだから……。」
女性が何を言っているのかは何も分からない。それでも、やはり無意識のうちに言葉が出てくる。
「……はい。必ず、■■■■を■■■■てみせます。だから心配しないでください。」
サクラコが言葉を言い終えると、ノイズとともに空間が歪んでいき、やがて強烈な目眩が彼女を襲い、意識を手放した。
次に目が覚めた時、サクラコが目にしたのは見慣れた白い自室の天井だった。
(夢……だったのでしょうか……?)
普段であれば、夢で見た内容など起きて数分もすれば大半は忘れているものだ。しかし、今日見た夢については、自分が目覚めた部屋にあった家具の配置や家の構造、そして聞き取れた範囲だけではあるが、謎の女性が話していた内容まで全て事細かく覚えていた。
あの謎の女性は誰だったのか。自分は何を約束したのか。どうしてあの夢に限ってここまで事細かに内容を覚えているのか……。
様々な疑問が頭の中を巡ったが、それらに対する解答はいくら考えても出てくることはなかった。
(そういえば、リアンさんから救護騎士団のもとでワニに噛まれた部分を診てもらうように言われていたのでした……。)
解答の出ない疑問は朝食や歯磨きといった朝のルーティン、そして今日の予定といった目先のやらなければならないことによって埋もれていく。結局、記憶に残りこそしたものの、サクラコがこれ以上夢について考えることはなかった。
────
遊園地から帰った私は、補習授業部の皆に出迎えられることとなった。どうやら私がいない間に自分達で他の場所の掃除も進めていたらしく、朝は空だったプールの水槽にも水が張られていた。
些か不安ではあったものの、皆が少しずつ打ち解けていっているのが感じられて安心した。
色々なことが起きた1日だったからか、セイアへの連絡も頭から抜けており、自分の部屋に入るやいなやそのまま爆睡してしまった。
「…………れ…………生………。」
遠くで声が聞こえるような気がする。でもそんなことよりも今は眠いし、気にする必要は──
「起きてくれ!先生!」
"うわあっ!?"
耳元で誰かの叫び声が聞こえ、驚きのあまり飛び起きる。顔を上げると、そこにはこちらを見下ろしているセイアがいた。
「ふぅ……ようやく目を覚ましたか。夢の中ですら眠っているとは、よほど遊園地を満喫してきたみたいだね。」
"セ、セイア……!?いや、これは、その……。"
「責めているわけじゃないから安心してくれたまえ。たとえ君があれ以降の連絡をすっかり忘れていたとしても、こうして夢に入り込めば解決することではあるからな。」
"……はい。すみませんでした……。"
心をチクチクと刺されるような感覚がする。完全に自分の方に非があるので何も言い返せない。
「まあそれはさておき、本題に入ろうか。あれ以降に何か分かったことはあったかい?」
"あ、うん。まずはあの人の名前が分かったよ。といっても、私が直接聞いたわけじゃなくて、生徒達が言っていたのを聞いただけなんだけど……。"
「ふむ……?自分からは名乗らなかったのか?」
"実は一応最初に会った時に名前は聞いたんだけど、その時は『近いうちにまた会うことになる』みたいなことを言うだけで答えてくれなくって。遊園地で会った時はシンプルに予想外の場所で見かけたせいで驚いて聞きそびれちゃった。"
「そうか……名前はなんて言うんだ?」
"生徒達からは『リアン』って呼ばれてたよ。あと、サクラコ以外に自警団の子達もいたけど、かなり親しげな様子だった。"
「リアンか……。今のところ何も起きてはいないようだが、先生と初めて会った時の言葉といい、どうにも掌の上に乗せられているような嫌な感じがするな。偶然を装ってはいるが、まるで最初から必然であったかのような……。」
"彼がどこまで私や生徒達のことを知っているのかは分からないけど……セイアの予知夢のことまでは知らないんじゃないかな?そもそも、君が生きているということも知っているかどうか分からないし……。"
「……シスターフッドの情報収集能力は想像を絶するほどだ。私の生死について真実を知っている可能性は決して低くない。サクラコは口が固い方ではあるが、もしリアンと親交を深めているうちに私についての情報を漏洩させてしまっているとしたら──」
"セイア。"
言葉を遮り、私の思うところを率直に伝える。きっとこれは伝えなければならないことだろうから。
"前会った時に、予知夢の中の私は疑心暗鬼の渦の中に巻き込まれてしまったって言ってたよね。でも、もしかすると今は──君自身がその渦に飲み込まれつつあるんじゃないかな?もちろん、私は君じゃないから、完全に君の持つ不安を理解することは出来ないし、下手に君の考えに対してあれこれと言うことは出来ない。でも、だからと言ってただ関係があるだけの他の人まで疑っていたら、それこそ君の言ってた通りの結末になってしまう気がするんだ。"
私の言葉を聞いたセイアはしばし考え込む仕草を見せる。私の言っていることはただ問題を先延ばしにしているだけだとも言えるが、だからと言って焦ってどうにかなる話でもないことは事実だ。はたして、今のセイアに届いたのだろうか。
「……そう、だな。すまない、少し……頭を冷やす必要がありそうだ。……ナギサに疑心暗鬼になりすぎるなと伝えておきながら、肝心の私自身がこの様とは、情けない話だな。」
"ナギサにもこの話をしているの?"
「ああ。元々補習授業部はトリニティの裏切り者と思われる怪しい生徒達をまとめて退学にするためにナギサが設立したものだったんだが……流石にそんなことが露呈すればナギサの権威が失墜しかねないし、何より無実の生徒が理不尽に退学させられるのは私としても度し難いことであるからね。だからナギサにリアンの存在を伝えてそちらに警戒するよう言ったんだが、シスターフッドの下にいるのもあってか、上手く情報が集められていないようだ。」
"しれっととんでもないことを言ってた気がするんだけど、補習授業部ってそんな目的のために作られたものだったの……?"
「元々はね。まあ、それはそれとして成績の悪い生徒が集められているのは事実だし、結局補習授業部自体は存続するらしいが……。」
"それはまあ……うん、否定出来ないね……。"
補習授業部に所属している生徒の顔を思い浮かべ、思わず苦笑いが浮かんでしまった。成績を言い訳にされるとどう足掻いても正論パンチを食らうしかないのが辛いところだ。
「とにかく、ナギサからもヒフミを通じてもうじき補習授業部の退学の取り消しについて知らされるはずだ。心得ておいてくれたまえ。それでは、今日は君も疲れているようだし、この辺でお暇させてもらうとしようか。おやすみ、先生。」
"うん。またね、セイア。"
セイアに別れを告げ、再び眠りに落ちる。その最中、考えを少し巡らせる。
リアンがしばしば見ている端末機についてや、サクラコが遊園地でワニに噛まれた時のリアンの行動、そして遠くからワニを貫いたリアンの攻撃などが頭に浮かぶ。
あの端末機についてはまだよく分からないが、思えば何か行動をする前には必ずあれを見ていたような気がする。ワニに噛まれたサクラコを助けた時も、あの端末機を見てから動いていた。それに、初めてシャーレで出会った時だってそうだった。それを考えると、あの端末機はリアンの行動の何らかの指針になっている可能性は高いと見ていいだろう。
しかし、それよりも問題となるのはリアンの人間離れした戦闘能力だろう。目にも止まらぬ速度でメカワニの顎を切り裂いたことや、槍を投げただけでメカワニごと地面に大穴を空けたことから考えても分かるとおり、その戦闘能力はキヴォトス人すら遥かに上回っている。ヒナやホシノなどの生徒であっても、正面から戦って勝てる確率は極めて低いだろう。もしこの先リアンと敵対した時に、何か対抗策を考えておかなければならない。
端末機のこともセイアに伝えた方が良かったかと思いつつも、今更呼び戻すことも出来ないため、そのまま再び眠りに就いた。
9月になってからなんか余計忙しくなりました。クソッタレめ。
アンケートの結果今まで通りの方が良いという方が多かったため、今まで通りの書式でいかせていただきます。回答してくださった皆様ありがとうございました。
書式はどっちの方が良いですか?
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会話文は詰める
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今まで通り全部改行する