サトル、ポケモンマスターへの道   作:時田総司(いぶさん)

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17話目 サトルとレドームシ

 

「進化しないままで強くなれる方法、知りたい?」

 

「なっ……!?」

 

 エレナの思いもよらない発言に、サトルは両手を半分握りながら中途半端に上げていた。そして脳内シナプスを全力で走らせた。

 

(進化しないまま……だと? それはつまりセクシーがピッピのまま……通常、ポケモンは進化した方がステータスも上がる。それなのに、セクシーがありのままで……? スバラシイ! 絶対そのままの方が良いに決まっている……何故ならカワイイから。もし進化してカワイくなくなったらそれはもうセクシーではない。そう、セクシーはカワイイからこそセクシーであり続けられるのだ……だから、絶対進化しないままの方が……)

 

「どう……かしら……?」

 

 サトルが余りにも両眼を俊敏に動かしていたので、エレナはたじろいでしまった。

 

「是非教えてください!!!!」

 

 サトルは更に、右手を高々と上げ、大声で返事した。

 

「あはは……分かったわ、それなら私と勝負よ!!」

 

「!?」

 

「行っておいで、レドームシ!」

 

「……あれは(レベル30か……見たところ、虫タイプ。それなら!)」

 

 サトルは腰のモンスタボールに手を掛けた。

 

「いけぇ! 火炎龍!!」

「ガァアー!」

 

 サトルは更に親指で唇を擦り、したり顔でエレナに話し掛ける。

 

「フッ……エレナさん。見たところ手持ちはそのレドームシ? だけですね。それなら相性有利な炎・飛行タイプで攻めれば俺の勝ちだ!」

 

(アイツ……『持ってる』)

 

 ここで腕を組んで戦況を見守っていたスミレが目を光らせた。

 

「火炎龍! 火炎放射!!」

「ガァア――!!!!」

 

 渦を巻いた炎が、レドームシに襲い掛かる!

 

 が――、

 

「! 何!?」

 

 相手へのダメージは思いの外少なかった。

 

「レドームシ! 光の壁!!」

「レー!」

 

 エレナの指示を皮切りに、透明でなおかつ色のある壁が、レドームシの前に発現した。

 

「くっ……(これで火炎龍の攻撃はもっと通らなくなっていく……待てよ? さては『とくぼう』が高いポケモンだったのか……それなら)火炎龍! 空を飛ぶ!!」

 

 火炎龍はアラベスクタウンの木々の間、その上空に舞った。

 

「それなら……レドームシ! リフレクター!!」

 

「あぁっ……!(これで特殊も物理も通りが悪くなった……どうする?)」

 

『火炎龍の空を飛ぶ攻撃!』

「ガァアー!!」

 

(物理防御が低いことに懸ける……!)

 

 サトルは両手を握る思いでダメージが入るのを願った。

 

 

 しかし――

 

「あぁ!?」

 

 またしても、火炎龍の攻撃はほとんど通らなかった。

 

「サトル……相手は最終進化前よ……」

 

 腕を組んだままのスミレが呟いた。

 

「えぇ、スミレ? 何だって!?」

 

「ホントにサバイバル知識以外はちゃんちゃらのようね……エレナさん、教えてあげて」

 

 頭を抱えていたスミレが、エレナに発言を促した。

 

「はぁーい、スミレさん。それじゃあサトル君に教えてあげましょう。レドームシは進化前のポケモンなの。そして、進化前のポケモンに持たせることで効果を発揮するアイテムが『進化のきせき』! これを持たせると、『ぼうぎょ』と『とくぼう』のステータスが1.5倍になるのよ。じゃあレドームシ、念力!」

 

「レー」

 

 空間が歪み、ぐにゃぐにゃに曲がってしまった。その歪みが、火炎龍に襲い掛かる!!

 

「あぁ! 火炎龍!!」

 

 

 ――、

 

「結局、念力と混乱ダメージで競り負けちゃったなー。相性が良くても、守りのステータスを1.5倍にされて、さらに壁張られたら、全然攻撃通らないよぉ」

 

 サトルがガックシと肩を落としていた。

 

「そういうコト。『進化のきせき』強力でしょ?」

 

「強すぎます……エレナさん」

「ふふ……ホントは私に勝てばあげる予定だったけど、これ、あげるね」

「え!? これは……」

 

 

『進化のきせきを手に入れた!!』

 

 

「良いの!? エレナさん!」

「良いわ良いわ、せっかくこの森の中まで来てくれたんだから……記念に」

 

「やったー!」

 

 サトルは両手を上げて喜んでいた。

 

「いやぁー。これでセクシーを強くできるな。良かった良かった」

「災い転じて福となすって感じね」

 

 サトルとスミレはアラベスクタウンから発とうとしていた。

 

「そうだな。当初の目的のキノコ採集もできたし、あのベロバーにも感謝だな」

「あのねぇ! アイツはマジでアンタの邪魔がしたかっただけだからね(ホント……お人好しなんだから……)」

 

 2人はワイワイと話しながら次の町へと歩く。




読んでいただきありがとうございました!

ルミナスメイズの森を抜け、アラベスクタウンで出会ったエレナさんから教わったのは、進化前ポケモンの救世主アイテム「しんかのきせき」でした!

「セクシーを進化させずに可愛いままで戦わせたい」というサトルの下心(?)が、まさかの「輝石ピッピ爆誕」というガチ戦術に直結する奇跡。
相性完全有利の火炎龍でも突破できないレドームシの鉄壁っぷりに、サトルも耐久型の恐ろしさを身をもって知ったようです。

これでセクシーの耐久力は実質ピクシー以上……!?

皆さんが対戦やストーリーで愛用していた「しんかのきせき」持ちポケモン(ポリゴン2、サニーゴ、ピッピなど)の思い出など、ぜひ感想で教えてください!
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