お気を付けください。
クオリティは低いのであしからず
序盤だけは真面目です。
2001年12月25日、日本帝国が主導するオルタネイティヴIVの打ち切りに伴い、アメリカ合衆国が主導するオルタネイティヴVが発動された。
それから二年の時が過ぎた。
オルタネイティヴV、それは人類の存亡をかけた一大反抗作戦のことだ。
BETA大戦が始まってから三十余年、BETAとの全世界を巻き込んだ戦争の戦局は、明星作戦とアイスバーグ作戦(佐渡島ハイヴ攻略作戦)を除き一度たりとも好転しはしなかった。
そんなBETA大戦はいよいよ人類を追い込み、遂には地球の放棄を容認せざるを得なくなった。
その名を「バビロン作戦」という。
それに先立ち、十数万人を移民船団に乗せて遠く5.9光年離れた蛇遣い座バーナード星系へと送り出す。
地球と似た環境の惑星へと到着させ、人類の歴史と種の存続を彼らに託し、取り残された十数億人の人々は最後の戦いに挑む。
彼らは信じている。その航海が無事に終焉を迎え、新たなる大地に立つ日が訪れることを
彼らは信じている。その戦いが人類の勝利を導き、必ずや。必ずや母なる地球を取り戻すことを。
だから、彼らは微かな光を見つめ永遠に歌い継ぐのだ。遥かなる
2004年2月18日
移民船団旗艦「マルドゥーク」のGS機関が起動し、全ての移民船団は重力勾配航法に入った。
そのとき、移民船団旗艦「マルドゥーク」から最期の通信があった。
それは航法開始直前の発信であった。
そこには、
----
人類の勝利と地球の再興を祈る。
遙か宇宙の深淵を越え、互いの捷報を伝え合わんことを
----
とあった。
これ以降の通信が移民船団に届く時期は、わからない。
重力勾配航法に入ると、機関の周期により、数か月後から数年後までの幅があるからだ。
だが、最も確実なのは、船団が目的地たる蛇遣い座バーナード星系に到達するその時、つまり地球時間において約六十年後のことである。
テイラー大将は、通信を送ることはしなかった。
今送信する必要はないからだ。
彼は、54年後の返信で十分だと考えていた。地球から考えれば、54年後に返信を送れば到着する時にはちょうど移民船団側で受信されるだろう。
彼としては、別れは既に告げてあったのだ。
彼は溢した。
「互いの捷報か、分の悪い賭けに乗せられた側の最後の強がりといったところだな」と。
その次の瞬間、テイラー大将は次のように送った。
----
北米防衛宇宙司令部より国連統合参謀会議へ
「マルドゥークはバビロンの鍵を得たり」
----
と。
オペレーターは返した。
了解、「マルドゥークはバビロンの鍵を得たり」、繰り返す。「マルドゥークはバビロンの鍵を得たり」と
テイラー大将は呼びかける。
「諸君、いよいよだ。人類は間もなく勝利し、この地球は再興する。60年後ではなく、数年以内に、だ。」と。
更にこう続けた。
「54年後、彼らに送り届けてやらねばならん。この美しき地球の姿を、緑あふれるユーラシアの大地を」
オペレーターが伝言を伝えに来た。
「司令、国連統合参謀会議より返電。『バビロンの扉は開かれり』、以上です。」と。
テイラー大将は声高に宣言した。
「諸君!!!現時刻を以て『バビロン作戦』を発動する!」と。
バビロン作戦が開始された。
最初に行われたのは、ユーラシア再外縁部のハイヴに対する軌道爆撃と大規模面制圧、さらには艦隊による艦砲射撃である。
さらに、ユーラシア内陸部のハイヴへの小規模軌道爆撃も実行された。
これにより、光線属種の排除や
そして、2004年2月22日、遂にG弾での攻撃が実行された。
H01からH20、そしてH23からH26の全てのハイヴへ攻撃が実行された。
そして、この結果、大規模な重力偏差と電磁パルスが発生する....
はずだった。
だが、香月博士がかつて発表したそのレポートの結果を裏切るように、作戦は人類の思い通りに進んだ。
米軍と国連軍の戦術機甲部隊がG弾によりオリジナルハイヴの
そして、2004年2月24日未明
人類は遂に国際戦略目標H01の破壊に成功した。当然、その最奥にあった「あ号標的」も撃破された。
さらに、2月26日までにすべてのハイヴの反応炉が破壊された。
当然、国連軍も、米軍も、帝国軍も、大東亜連合軍も、欧州連合軍も、アフリカ連合軍も、ソ連軍も大損害を被ったが、結果として全てのハイヴの反応炉が破壊され、バビロン作戦は成功した。
さて、香月レポートには何があったか、
それは、実に荒唐無稽なものだった。
重力偏差と電磁パルスによって低軌道衛星は墜落するだの、地球低軌道に電波を阻む層が作られて長距離通信ができなくなるだの、海水がユーラシアになだれ込むだの、地球の大気がユーラシア中央部になだれ込んで地球から人類が住めなくなるだのというものだった。
これらの内容は、結果的にはすべて「香月博士の荒唐無稽な妄想である」とされ、「オルタネイティヴIVの失敗で多少ムキになっていたのではないか」という評価をされることになった。
こうして、バビロン作戦は成功し、バビロン災害と呼ばれる地球規模の大災害も起きることはなく、人類は、少なくとも地球内において人類は救われたのであった。
本来、バビロン作戦で、地球規模の大災害が起きるはずだった。
少なくとも香月レポートによればだが。
たとえば、大規模な重力偏差と電磁パルスが発生するため、低軌道衛星も低軌道艦隊もすべて地球へ墜落するという事象に加え、
そのために電波が妨害されて中長距離通信に加え衛星経由の通信も不可能になるというものだ。
ほかにも、ユーラシア周辺に重力が偏った影響で大気はカシュガルを中心にユーラシア周辺に吸い寄せられてしまい「大減圧」という災害が起こり、その後には海もカシュガルを中心に吸い寄せられ、波高1400mにも及ぶ巨大津波が発生しユーラシアは水没し、おまけに太平洋や大西洋の大部分は塩の砂漠へと変化してしまうというものだ。
その主な原因とされたのは、
地球の重心が13kmほど移動してしまったことだとされたが、
実際にはそのようなことは起きなかった。
ともかく、バビロン作戦は終わった。完全に成功した。
BETAは地球上から殲滅されたのだ。
そして、地球人類は復興を遂げ、他の惑星のBETAに対抗する手段を手に入れた。
アメリカが圧倒的な影響力を確保してリーダーシップを取り2035年に月の再確保に動いた。
そして、たった20年後の2055年には月面のBETAはすべていなくなり、人類は再びG元素をたんまり手に入れた。
そして、火星やその奥の小惑星帯への探査にも力を入れた。
そして、2058年2月、移民船団旗艦「マルドゥーク」へ向けて送信が行われた。
「バビロン作戦は成功せり。ユーラシアは復興された。ユーラシアに緑が戻り、あの忌々しき異星起源種どもは殲滅された。諸君の幸運を祈る。以上」
結論から言えば、目的地だった惑星にはBETAはいなかった。さらに、緑があった。
だが、バーナード星系再外縁部の惑星には、あの忌々しいBETAどもがいた。だが、奴らはついぞ襲ってくることはなかった。数十年経っても、何百年経ってもだ。
地球人類も、移民した人類も、どっちも救われたのであった。
世界に残ったのは、アメリカという一つの超大国だけだった。他はアメリカほど強くなかったのである。
BETAの被害を受けていなかった大陸は、アフリカ、オーストラリア、南極、南北アメリカ大陸だけであり、アメリカは圧倒的な力で世界を支配し、今度こそ人類を太陽系の覇者にしようと試みていた...
終
短編なので続編はありません。