あべこべ貞操逆転世界のミステリアス清楚系お兄さんの性癖がやばかった話   作:フェルナンデス

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歓迎バーベキュー

 

 

大学生活にも、少しずつ慣れてきた頃だった。

 

今日はゼミの歓迎バーベキュー。内心、朝から緊張している。

 

…こういうの、苦手なんだよな。

 

大勢で集まって、初対面の人と次々に話す。それだけでもう気が重い。

 

私は昔からこうだ。人見知りで、自分から話しかけるより、話しかけられるのを待つことのほうが多い。

東京に行けば自分を変えられると思っていたが、なかなか難しいようだ。

 

「蒼空、やっぱりこの服変じゃない?なんか子供っぽいような感じがするんだけど…」

 

田辺は気合十分だった。昨日の夜から、何のシャツが一番かっこよく見えるか相談の電話をかけてきたくらいだ。こうして今も、納得してない様子だった。

 

「…いいんじゃない?無難だと思うよ?」

 

田辺は安心したように「ありがとう!」と言うが、私にファッションを聞かれても困る。

そもそも、今日着ている服だって自分で選んだわけではない。

 

——陰キャをなめるな。

 

昨夜、何を着ればいいか分からなくて楓さんに相談したら、何も言わずクローゼットを開けて、迷いなく一枚出してきた。

 

「これ」

 

それだけだった。

田辺に「いいじゃん」と言ってもらえても、それは楓さんのセンスであって、私の手柄ではない。

 

会場は、大学の農場実習地に隣接する河川敷だった。教授は思いのほか気さくな人で、先輩たちもみんなフレンドリーだった。賑やかな雰囲気で、男子学生の数も多く、しかもレベルの高い子が多かった。

 

「山本さんって、どこ出身?」

 

近くにいた先輩に聞かれて、慌てて答える。

 

「!え、えーと、長野です!」

 

「へー!スキーとかできそう!」

 

「スキー?いやいや、全然、全然です!」

 

「そ、そうなんだ……」

 

それで、会話が止まった。

 

終わった……。

 

何か続けるべきだったんだろうか。長野の観光地の話とか。でも聞かれていないのに自分から喋るのって変じゃないか?

結局何も言えなかった。

少し離れた場所では、なんと田辺が別の男子学生と話していた。

 

「岡野くん、福岡なんだ!」

 

「そうだよー」

 

「え、もしかして博多弁しゃべれる?」

 

「しゃべれるよ?っていうか、普通に素でそっちのほうが出るけん、どっちかっていうとこっちのほうが楽かも」

 

「やばい、めっちゃかわいい!」

 

「何がやばいとか、よく分からんっちゃけど……なんか照れる(笑)」

 

周りが笑って、一気に場が盛り上がった。

あっという間に輪ができている。聞いているだけで、テンポの良さが伝わってきた。

 

…え?田辺、実は普通に陽キャ…?

 

よく考えたら、ずっとそうだった気がする。私が勝手に「友達」だと思って油断していただけで、田辺は最初から普通に社交的な人間だったのかもしれない。

 

ということは、陰キャは私だけ?

 

そのうち、田辺は近くの男子と連絡先を交換していた。

仲間外れにされているわけじゃない。ただ、なんとなく、置いていかれた気がした。

 

「一年生はどこから通学してるの?実家?一人暮らし?」

 

先輩の一人が言った。

 

「僕は実家からです。家から通えって親がうるさくて」

 

「私は寮です」

 

一年生が順番ずつ答えていく。

 

「山本さんは?」

 

「!え、えーと、本当は一人暮らしの予定だったんですけど、手違いで、今は親戚の家から通っています」

 

私は少し迷いながら答えた。

すると、途端に全員が食いついた。

 

「え?親戚?」 「東京に?」 「女?男?」 「何歳?」 

 

質問が一気に飛んできた。私を中心とした話題で今日一番の盛り上りに少し動揺するが、落ち着いて答えた。

 

「…母方の親戚のお兄さんの家です。歳は28歳で…」

 

更に大騒ぎになった。田辺が、ぽつりと呟く。

 

「いいなぁ…」

 

「え?何が?」

 

「だって、絶対良い男の人じゃん…」

 

周りもなぜか賛同している。

 

「じゃあ料理とか作ってくれるの?」

 

「え?…うん、作ってくれる」

 

「やば!めっちゃ結婚したい。紹介して!」

 

田辺だけでなく、他の女子までそう言い始めた。

 

——客観的に聞くと、確かに、楓さんってすごいのかもしれない。

 

誰かが、ふと聞いた。

 

「そのお兄さん、彼女とかいるの?」

 

答えようとして、止まった。

知らない。そういえば、知らない。

仕事のことは知っている。年齢も知っている。料理が上手なことも知っている。

 

でも、付き合っている人がいるのか?休日は何をしているのか?

 

何も、知らなかった。

夕暮れの帰り道、田辺は楽しそうに、男子とのLINEを眺めていた。私はその少し後ろを歩きながら、さっきの質問のことを、ずっと考えていた。

 

 

────────────────────────────

 

 

帰宅すると、リビングに明かりがついていた。

 

「おかえり」

 

楓さんは、いつも通りキッチンに立っていた。夕飯の支度をしながら、こちらをちらりと見る。

 

「どうだった、バーベキュー」

 

「……まあ、それなりに」

 

「そう」

 

それだけ言って、楓さんはまた鍋に向き直った。それ以上は聞かなかった。

夕食の間も、私はあまり喋れなかった。箸を動かしながら、さっきの質問がずっと頭の隅にある。

 

——彼女、いるのか。

 

「……あの」

 

「何」

 

「楓さんって、お付き合いしている人、いるんですか?」

 

自分でも驚くくらい、唐突な言い方だった。

 

楓さんは一瞬、目を細めた。疑問に思っているような、でも特に驚いていないような、いつもの顔だった。

 

「いない。蒼空は?彼氏、できた?」

 

「え!?……いや、全然」

 

「イケジョなのに」

 

「っ…そういうの、関係ないです」

 

「そう」

 

楓さんは特に気にした様子もなく、味噌汁の椀を持ち上げた。

しばらく、食事の音だけが続いた。

 

「蒼空」

 

「はい」

 

「来週、暇?」

 

また突然だった。

 

「え?……特に予定はないですけど」

 

「温泉、行こう。一泊二日で」

 

「え?温泉、ですか?」

 

突然すぎる提案に面食らった。

 

「そう。気分転換、必要そうだったから」

 

見抜かれていたんだろうか。今日のことを、何も話していないのに。

楓さんはもう視線を手元に戻していて、それ以上何も言わなかった。

私は「……はい」とだけ答えて、また箸を動かした。

 

…一泊二日。

 

しばらくしてから、じわじわとそれが沁みてきた。

日帰りじゃない。楓さんと、二人きりで、一泊。

べつに、おかしいことじゃない。親戚なんだし。気分転換に誘ってくれただけだし。

 

——でも、二人きりで。

 

「……楓さん」

 

「何」

 

「他に誰か、来るんですか?」

 

「来ない」

 

「……そう、ですよね」

 

「嫌だった?」

 

「ち、違います!そういうわけじゃなくて」

 

楓さんは、また小さく笑った。

私は残りの味噌汁を、一気に飲み干した。

 

 

────────────────────────────

 

 

食器を洗いながら、僕は今日の蒼空の顔を思い出していた。

帰ってきたときの、あの少し沈んだ目。

「それなりに」という、明らかに噓くさい答え。

うまくいかなかったんだろう、というのは、聞かなくても分かった。

 

付き合ってる人がいるか、と聞いてきたのは意外だったけれど、理由は何となく想像がついた。今日、誰かに同じことを聞かれたのだろう。

いない、と答えたのは本当のことだ。

 

そして温泉を提案したのも、特に深い意図があったわけじゃない。

 

——まあ、深い意図が、全くないとも言いきれないけれど。

 

蛇口を閉めて、タオルで手を拭く。

温泉の予約確認メールを開いた。

 

「混浴露天風呂」

 

その文字を見て、小さく目を細める。

蒼空はまだ気付いていない。

それでいい。

 

——あとは、当日までのお楽しみだ。

 

 





男性の性的消費を問題視する団体「マンニスト」が存在します。
マンニストたちは、社会に根強く残る男性の性的対象化に反対しています。
特に批判の対象となっているのが、公共の場に設置された裸夫像です。
芸術作品として各地に存在する裸夫像ですが、マンニストたちは
「男性の身体を鑑賞物として扱っている」
「男性の尊厳を軽視している」
「女性優位社会における性的消費の象徴だ」
と主張しています。
毎年のように撤去運動や抗議活動が行われていますが、一方で「芸術作品に罪はない」
「文化遺産を守るべきだ」
という反対意見も根強く、社会的な論争となっています。
なお、若い男性の間では
「別に気にしたことない」
という意見も多く、世代間で温度差があるとされています。

また彼らは、
·男性グラビア雑誌
·男性アイドル写真集
·アダルトビデオ
·男性向け水着コンテスト
などを、「男性の身体を商品化している」として
批判しています。特に女性向け映像産業については、
「経済的な理由から出演を選ばざるを得ない男性もいる」
「女性社会による構造的搾取である」
と主張し、規制強化を求めています。
しかし一方で反発もあります。
業界関係者や出演者からは
「本人の意思で仕事を選んでいる」
「規制されると生活できなくなる」
「仕事を奪うことこそ差別だ」
という意見も根強く存在します。
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