俺が買った『猿でも分かる魔法の使い方』が本物の魔導書だったので、とりあえず確率操作で無双します【リメイク】 作:パラレル・ゲーマー
【極秘】
文書管理番号:YTG-EDU-20XX-Newbie01
件名:新規所属者向けオリエンテーション資料 Ver. 3.5
『ヤタッピでもわかる! はじめてのティアー・システム!』
[映像開始]
軽快で、どこか気の抜けた明るいオープニングテーマ曲が流れる。
画面いっぱいに広がる青空に、丸っこいフォントで『ヤタッピでもわかる! はじめてのティアー・システム!』というタイトルロゴがぴょこんと表示される。
画面の右下から、デフォルメされた三本足の烏のマスコットキャラクター「ヤタッピ」が、ぴょこぴょこと効果音付きで現れた。
大きなつぶらな瞳をぱちくりさせ、元気いっぱいに翼を広げる。
「はーい、ヤタガラスに新しく仲間入りしたみーんな、こんにちはッピ! 僕、ヤタガラスの公式マスコットキャラクター『ヤタッピ』だッピ! よろしくねッピ!」
ヤタッピがぺこりとお辞儀をすると、頭の上の小さな葉っぱが可愛らしく揺れる。
「今日から君も、この日本を、そして世界を人知れず守るカッコイイヒーローの一員だッピ! だけど『因果律改変能力者』とか『脅威レベル』とか、なんだかむずかしい言葉がいっぱいで、頭がこんがらがっちゃってるお友達も多いんじゃないかなッピ?」
「でも大丈夫! この僕、ヤタッピが、そんな君たちのために、ヤタガラスで一番大事なルールのひとつ『ティアー・システム』について、世界一わっかりやす〜く解説してあげるッピ! この映像を見終わる頃には、君も立派なヤタガラスの一員として、自分の立ち位置がちゃーんと理解できるようになってるはずだッピ! それじゃあ早速いってみよーッピ!」
ヤタッピがくるりと一回転すると、背景がサイバー空間のようなスタイリッシュなデザインに切り替わる。
画面中央に巨大なピラミッド型の階層図が表示される。
「じゃーん! これがヤタガラスが使っている『因果律改変能力者・脅威レベル分類』、通称『ティアー・システム』の全体図だッピ! カッコイイッピ!」
「このピラミッドの一番下が『Tier 6』で、一番上が『Tier 0』。数字が小さくなるほど、すごーい力を持ってるってことだッピ! 簡単だッピね!」
「じゃあ、一番上のとんでもない人たちから、順番に見ていくッピよー!」
Tier 0:『規格外(アウト・オブ・スペック)』
画面が切り替わり、宇宙空間に浮かぶ地球を背景に、【Tier 0:『規格外』】という極太の明朝体のテロップが、荘厳な効果音と共に表示される。
「まずは頂点にして、もはや色々めちゃくちゃ! Tier 0『規格外』さんたちだッピ!」
画面に定義文がゆっくりとスクロール表示される。
定義:
この世界の「物理法則」や「因果律」そのものを、自らの「意志」の下に書き換える、あるいは無効化することのできる「概念干渉型」の能力者。
彼らはもはや個人ではなく、「歩く自然災害」あるいは「神」として分類される。
「うーん、むずかしい言葉で書いてあるッピね! ヤタッピがもっと簡単に説明してあげるッピ!」
ヤタッピが翼を広げると、背景にコミカルなアニメーションが流れ始める。
一人の人間が「今日から重力は上向きに働く!」と指をパチンと鳴らすと、周囲のリンゴや車が一斉に空へと浮かび上がっていく。
「Tier 0の人たちはね、いわばこの世界の『ルールブック』を自分で勝手に書き換えられちゃう人たちのことなんだッピ! 例えば『1+1=2』っていうルールを、『今日から1+1=田んぼの田!』って本気で思ったら、本当にそうなっちゃうかもしれない! みたいな感じだッピ! ちょっと違うッピかな?」
「物理法則とか、原因と結果の法則、つまり因果律とか、僕たちが当たり前だと思ってる世界のルールを『えいっ!』って変えられちゃう。だから彼らが本気を出したら、太陽が西から昇ったり、時間が逆再生されたり、世界があっという間に壊れちゃうかもしれない、とーっても危険で、とーってもすごい人たちなんだッピ! まさに『歩く自然災害』! 台風や地震が人の形をして歩いてるようなものだッピね。だから別名『神』とも呼ばれてるんだッピ!」
ヤタッピの表情が少しだけ真剣になる。
「ちなみに国内にも、過去にTier 0相当と評価された予知能力者がいたんだッピ。『託宣の巫女』って呼ばれていて、ヤタガラスの記録にも残っている、とっても特別な人なんだッピよ」
「ただし、彼女は数年前から未来を語らなくなっていて、その理由は今も分かっていないッピ。ここはとっても大事だッピ。理由を知らないのに、勝手に理由を決めつけるのはダメだッピよ。詳しい情報は、この資料の開示範囲外だッピ!」
画面に「上位存在の詳細は、権限付与後の専用資料を参照してください」というテロップが表示される。
ヤタッピが少し寂しそうに俯くが、すぐに気を取り直して元気いっぱいに翼を広げる。
「まあまあ! とにかくTier 0は『世界のルールを変えちゃう神様レベル!』って覚えておけば、テストで100点満点だッピ! テストないけどねッピ!」
Tier 1:『国家戦略級(ナショナル・エース)』
画面が切り替わり、一人の武人が無数の軍隊を相手に立ち回っている水墨画風のアニメーションを背景に、【Tier 1:『国家戦略級』】というテロップが表示される。
「お次は神様じゃないけど、人間としては最強! Tier 1『国家戦略級』さんたちだッピ!」
定義:
「理」を書き換えることはできないが、その理の中で許された全ての力と技とを極め尽くした究極の「武人」あるいは「達人」。
一個人の戦闘能力は一つの軍隊に匹敵し、国家間のパワーバランスを単独で左右しうる存在。
「Tier 1の人たちは、Tier 0みたいに世界のルールを書き換えることはできないんだッピ。でもね、その決められたルールの中で許されてる全ての力と技を、もうこれ以上ない! ってくらい極めに極めちゃった人たちのことなんだッピ!」
背景のアニメーションがRPGのゲーム画面風に切り替わる。
一人のキャラクターのレベルが「Lv.999」になり、全てのステータスが「MAX」、スキルリストが全て埋まっている。
「ゲームで例えるなら、レベルカンストして、全ステータスMAX、全スキルをマスターした最強のプレイヤーみたいな感じだッピ! このゲームのルールは変えられないけど、このゲームの中では誰にも負けない! みたいな! まさに究極の『武人』であり『達人』ッピ!」
「その力は、もう一人で一個軍隊を相手にできるくらい強いんだ。だからこの人が一人いるかいないかで、国と国の力関係がガラッと変わっちゃうこともある。まさに国の切り札『ナショナル・エース』ってわけだッピ!」
ヤタッピがこっそりとした口調で囁く。
「こっそり言うと、国内外にもこのTier 1だって言われてる、とんでもない人たちがいるッピよ。あの人たち、本気で怒らせたら国が一つ消し飛ぶかもしれないから、絶対に近づいちゃダメだッピよ! ヤタッピとのお約束だッピ!」
画面に「※上位能力者の個人情報を私的に検索・照会する行為は禁止されています」という注意書きが表示される。
Tier 2:『特殊作戦級(スペシャル・オペレーション)』
画面が切り替わり、数人のエージェントがそれぞれの特殊能力を駆使して連携し、巨大な要塞を攻略しているスタイリッシュなアニメーションを背景に、【Tier 2:『特殊作戦級』】というテロップが表示される。
「どんどんいくッピ! 次は一人でも強いけど、チームだともっと強い! Tier 2『特殊作戦級』のみんなだッピ!」
定義:
Tier 1ほどの圧倒的な単独での戦闘能力は持たないが、極めて専門的で少しトリッキーな能力をもって、戦局を限定的な範囲において支配することのできるエリート兵士。
彼らはチームとして機能した時に真価を発揮する。
「Tier 2の人たちは、Tier 1みたいに一人で軍隊をボコボコにするみたいな派手な強さはないんだッピ。でも、その代わり、とーっても専門的で、ちょっと変わったトリッキーな能力を持っていることが多いんだッピ!」
アニメーションで、時間を数秒だけ止められる能力者、壁をすり抜けられる能力者、人の記憶を少しだけ書き換えられる能力者などが次々と紹介される。
「例えば『5秒だけ時間を止める』とか、『どんな壁でもすり抜ける』とか、『人の嘘を色で見分ける』とか! 一つ一つは戦いの勝敗を全部決めちゃうほどの力じゃないかもしれない。でもね、そういう能力を持った人たちがチームを組んだらどうなると思うッピ?」
「時間を止めて敵の動きを封じてる間に、壁をすり抜けて背後に回り込んで、嘘を見分ける力で敵のボスが隠してる弱点を聞き出す! みたいな超カッコイイ連携プレイができちゃうんだッピ! まさに『特殊作戦』をこなすためのエリート兵士たちなんだッピね!」
ヤタッピがビシッと敬礼のポーズを決める。
「ヤタガラスにも、このTier 2のすごい先輩たちがたくさんいるッピよ! 解析、潜入、制圧、交渉、結界処理、医療支援。みんなそれぞれの得意分野を持っていて、チームになると本当に頼もしいんだッピ!」
「君もいつかは、このTier 2を目指して頑張ってほしいッピ!」
Tier 3:『戦術級(タクティカル)』
画面が切り替わり、ヤタガラスのオフィスで大勢の職員たちが忙しなく働いている実写風の映像を背景に、【Tier 3:『戦術級』】というテロップが表示される。
「さあ、お次はこのヤタガラスを支える一番大事な人たち! Tier 3『戦術級』の皆さんだッピ!」
定義:
一般兵士やエージェントとして採用される、標準的で最も数の多い能力者たち。
彼らの能力は、小規模な戦闘の勝敗を左右することはできるが、それ以上の戦略的な影響を及ぼすことはない。
「Tier 3は、ヤタガラスに所属するエージェントの中で一番人数の多い標準的なランクだッピ! 君も最初は、きっとこのTier 3からスタートすることになると思うッピよ!」
「彼らの力は、国と国の戦争を止めたりはできないけど、街で起きた小さな事件を解決したり、悪い能力者を捕まえたりするには十分すぎるくらい強いんだ。まさに現場の最前線で戦う頼れる兵士たち! それがTier 3なんだッピ!」
映像に、予知能力で犯人の逃走経路を予測するエージェント、身体能力強化で暴走する車を止めるエージェントなどが映し出される。
「ちなみにこの映像を見ている君の先輩『K』さんも、最初は総合評価でこのTier 3って判定されてたんだッピ! でも彼の予知能力は限定的だけど、分野によってはTier 2に匹敵するって橘副課長も言ってたッピ! つまりTier 3だからって、がっかりすることはないんだッピ! 自分の得意な分野をとことん磨き上げれば、上のランクの人たちとも互角以上に戦えるようになるんだッピよ!」
Tier 4:『潜在的脅威(ポテンシャル・リスク)』
画面が切り替わり、街中で少年がスプーンを曲げてドヤ顔をしていたり、少女が自分の髪の色をコロコロ変えて遊んでいたりする、微笑ましいような、少し不安になるような映像が流れる。
背景には【Tier 4:『潜在的脅威』】という少しだけ不穏なテロップが表示される。
「さて、ここからはまだヤタガラスに所属していない、一般社会にいる能力者の人たちの話だッピ! まずは一番人数が多くて、一番ヤタガラスのお兄さんたちが頭を悩ませてるTier 4『潜在的脅威』の人たちだッピ!」
定義:
自らの力に目覚めてしまった無数の「素人」能力者たち。
彼らの力は実に微弱で、少し不安定である。
だが、その数と予測不可能性とにおいて、ヤタガラスにとっては最も頭の痛い管理対象。
該当者:
スプーンを曲げるだけの少年。
自分の髪の色を変えることのできる少女。
天気をほんの少しだけ晴れに傾けることのできる主婦など。
「Tier 4はね、何かのきっかけで急に不思議な力に目覚めちゃった、ごく普通の人たちのことだッピ。まさに能力者としての『素人』さんだッピね!」
「その力は、スプーンをちょっと曲げるとか、髪の色を変えるとか、本当にささやかなものが多いんだ。でも問題は、その人たちが自分の力をどう使えばいいか、全く分かってないことなんだッピ! 力のオンとオフの仕方も知らないから、暴走して周りに迷惑をかけちゃうこともある。先日Kさんが助けた、物の重さを増幅させてしまったアスカちゃんも、最初はこのTier 4だったんだッピ」
ヤタッピの表情が少しだけ困り顔になる。
「それに、とにかく人数が多いんだッピ! テレビで超能力ブームとか陰陽師ブームとかが起きると、それを見て『自分にもできるかも!』って思っちゃう人がいっぱい出てきちゃうんだッピよ。そのせいで僕たちヤタガラスは、毎日毎日、新しいTier 4の人を見つけ出して、保護して、説明してって、てんてこ舞いなんだッピ! まさに一番頭の痛い管理対象、それがTier 4なんだッピ」
Tier 5:『原石(アンカット・ジェム)』
画面が切り替わり、ダイヤモンドの原石がキラキラと輝く映像を背景に、【Tier 5:『原石』】という希望に満ちたテロップが表示される。
「でも、そんな大変な毎日の中でも、僕たちには希望があるッピ! それがこのTier 5『原石』の皆さんだッピ!」
定義:
まだ能力が覚醒してはいないが、内に因果律への適性を秘めているとセンサーによって判定された一般市民。
彼らは全ての組織にとって最も貴重な資源であり、スカウトの対象である。
該当者:
全世界の人口のおよそ0.01パーセント。
「Tier 5は、まだ力には目覚めてないけど、『この子、将来すごくなるぞ!』っていう才能を秘めている人たちのことだッピ! ヤタガラスが開発した特殊なセンサーを使うと、そういう才能を持ってる人が、ぼんやりと光って見えるんだッピよ!」
「彼らはまさに、磨かれる前のダイヤモンド『アンカット・ジェム』! 僕たちヤタガラスみたいな組織にとっては、一番大事な宝物であり、未来のエース候補なんだッピ! だから僕たちはいつも、このTier 5の人たちを探して、ヤタガラスにスカウトしてるんだッピよ!」
ヤタッピが虫取り網を持って、キラキラ光る人型のシルエットを追いかけるコミカルなアニメーションが流れる。
「全世界の人口の0.01パーセント! 1万人に1人の逸材だッピ! もしかしたら、この映像を見ている君も、スカウトされる前はこのTier 5だったのかもしれないッピね!」
Tier 6:『可能性(ポテンシャル)』
画面がゆっくりと切り替わる。
そこに映し出されたのは、特別なものではない。
駅の雑踏、学校の教室、オフィスの風景、公園で遊ぶ家族。
ごくありふれた日本の日常風景だった。
BGMも止まり、静寂が訪れる。
そして画面の中央に静かに【Tier 6:『可能性』】というテロップが表示される。
「そして最後。ティアー・システムの一番土台となる、一番大事な人たち。それがTier 6『可能性』の皆さんだッピ」
対象:
Tier 5以上のいかなる力の兆候も見られない、全ての“普通”の人間たち。
ヤタッピの声が、いつものような元気いっぱいのものではなく、どこか穏やかで、そして敬意に満ちたものに変わる。
「Tier 6は、僕たちが『普通』と呼んでいる、全ての人たちのことだッピ。この映像を見ている君が昨日までそうだった、たくさんの人たち。彼らは因果律を直接捻じ曲げる力は持っていない。でもね」
定義:
彼らは因果律を直接操作する力は持たないが、彼らこそがこの世界そのものを形作り、物語を紡ぎ出す本当の主役である。
「この世界を本当に作っているのは、彼らなんだッピ」
日常風景の映像の上に、定義文が一行ずつ静かに表示されていく。
彼らの「信仰」が、聖女を生み出す。
彼らの「願い」が、英雄を支える。
彼らの「日常」が、神々をこの大地に繋ぎ止める。
彼らの「声援」が、観客として神々の戦いを意味のあるショーへと昇華させる。
「Kさんが『予知者K』としてあれだけ注目されるようになったのも、たくさんの人たちがその言葉を見て、信じて、騒いで、社会に影響を与えたからなんだッピ。僕たちがどれだけすごい力を持っていても、それを見てくれる人、信じてくれる人、応援してくれる人がいなければ、それはただの自己満足で終わっちゃうんだ」
そして彼らの中には、明日、新たなるTier 5として覚醒する“原石”が眠っている。
「そう。彼らこそが、この星の全ての奇跡の源泉であり、無限の可能性そのものなのであるッピ」
映像がゆっくりとフェードアウトしていく。
静寂の後、再びオープニングの軽快なテーマ曲が流れ始める。
「はーい! というわけで、ティアー・システム、どうだったッピかな? なんとなく分かってくれたッピか?」
「君がどのTierにいるとしても、一つだけ忘れないでほしいッピ! それは、君がこの世界を構成する、かけがえのない一員だっていうことだッピ!」
「僕たちヤタガラスは、そんな君の成長を全力でサポートするッピ! 分からないことがあったら、いつでも先輩たちに聞くんだッピよ! それじゃあ、ヤタッピのティアー・システム講座はこれでおしまい!」
「また会おうねッピ! バイバーイ!」
ヤタッピが満面の笑顔で翼を振る。
画面が暗転し、最後に「制作・著作 ヤタガラス」というテロップが表示されて、映像は終了する。
[映像終了]
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