原作知識持ち転生者が蜘蛛子にヤンデレられる話 作:蜘蛛子のヤンデレが見たい
……って書くだけ書いて終わりにしようとしたら1500近いUAとかルーキーランキング3位とかたくさんの感想とか思ったより反応が来たのでもう少し続くかもしれません
「私」にとって、
始めは「若葉姫色」が付き合っていた人物だからだと思っていた。こんな私のことを好きだと言ってくれて、告白までしてくれた人だから、と。
でも違った。私の前世は若葉姫色ではなく一匹の蜘蛛だったし、彼と付き合っていた経験も植え付けられた記憶によるものだと知った。全ては偽りの記憶だと。
それでもこの高鳴る鼓動が収まることはなかった。何故なのかと悩む私にその答えを示してくれたのは、他ならぬ全ての元凶であるDだった。
「せっかくです。彼があなたにどんな言葉をかけてくれていたのか、その記憶を呼び覚ましてあげましょう」
その瞬間、理解した。彼が私にしてくれたことも、私のこの感情の名前も。
『先生の言う通りだ。こいつをわざわざ殺すことはねえよ。……お前も別に悪いやつじゃないしな。そうだろ?』
『ほーら、よく食えよ、蜘蛛子。せっかくここで飼えるようになったしな。これからは俺が世話してやるよ』
『……一応俺って命の恩人だよな?だからその、なんだ。いつか恩返しに来てくれたら……って言ってもわからんか。ははっ、何言ってんだろうな俺』
『あのクソ邪神Dめ……!何が楽しくて「ヤンキーに絡まれる彼女を武力で救い出す」的なシチュエーションをリアルに再現しなくちゃいけねえんだよ……!ボッコボコにされたんだが?全身クソ痛いんだが?……お前はあんなクソみたいな邪神になるなよ、蜘蛛子。少なくとももうちょい俺に優しい神になってくれ』
『やっぱ「蜘蛛ですが」の世界で付き合うなら蜘蛛子だよなぁ……そうじゃなくてもせめて身内判定に入れてほしい……いやマジでエルロー大迷宮の生まれでもいいから蜘蛛子と知り合いたい。でもこれDに言ったら絶対叶えてくれないしな……』
『ヘルプミ蜘蛛子!神は信用ならんしこうなったら蜘蛛頼みだ!頼むからあっちで俺を助けてくれ!どうせDは面白がって変なことしてくるだろうし、マトモな味方がお前ぐらいしかいねえ!ほんとに頼む!なんでもするから!……せめてこの思いが一欠片くらい蜘蛛子に届いてくれればなあ……まあ無理か』
『そんなに好きですか?その蜘蛛のことが』
『好きだよ。これでも最推しだしな。そうじゃなくても、ある程度世話してたら愛着くらい湧く』
『愛着、ですか。これからそれを利用しようとしているというのに、面白い話ですね』
『別にいいだろ。まああれだ。好きな人に助けに来てほしい、みたいなシンデレラ的発想だとでも思っててくれりゃあいいよ』
私の魂に刻まれていた、恐らくはDによって封印されていた記憶が蘇る。笑って私に語りかけてくれた彼の姿が、ありありと思い出せる。
「……若草君」
「思い出せましたか?」
「D、これはどういうこと?説明して」
今思い返せば、彼の言動は明らかにおかしかった。私が転生して明確な自我を持つことや、Dさえ予想外と言っていた私の神化まで予測していた、否知っていたような口ぶりだった。そこには何か理由があるはずだ。
「私も細かいことは聞きませんでしたが、彼はこの世界の未来についてよく知っていたようですよ。それこそあなたが私の身代わりとして転生するところから、こうして神に至るまで。だからこそあなたの世話を買って出ていたようですし。本人は媚を売っておくと言っていましたね」
媚びを売る。つまり彼にとって私はそうするだけの価値がある存在だということだ。それが嬉しい。例え打算から行われたものであっても、この恩を返せることが。
彼が私を好きだと言ってくれた。それが嬉しい。ただの蜘蛛だった私に、心の底からそう言ってくれたことがわかるから。
彼が助けてほしいと言って私を求めてくれた。それが嬉しい。あなたが私にしてくれたことを返せるから。
私があなたを助けてあげる。だから、
打算を持って、誰かに助けてほしいから助ける。それはあなたがしたことだ。なら、私もそうしよう。育ての親たるあなたに習おう。冷静に、打算的に、あなたを私のものにするために、あなたを助けよう。
「ふふふ、いいですね。面白くなってきました」
「……言っておくけど、若草君はあなたにも渡さないから」
「構いません。あなたが彼に向ける狂おしい程の情愛。それを眺めているのも面白そうですから」
ならいい。Dが動かないならどうとでもなる。どうとでもする。だって、私は彼が期待をかけてくれた存在だから。その期待には応えなければ。立ちふさがる障害くらい、簡単に乗り越えてやらなければ。
私は「蜘蛛子」だ。魔物になっても、神に至っても、その彼が与えてくれた名前だけは忘れない。
ならば蜘蛛らしく、獲物は蜘蛛の巣に捕らえてしまっておこう。大事なものを取られないように、大事な人を逃さないように。
だって、あなたは一生私の
吾輩は人である。名前は転生を繰り返したせいでなんか色々ある。……とかふざけてる場合じゃないな。ここどこだ?
一見ただの部屋だ。ガラス製の水差しやら籠に盛られた果物やら、生活感のある誰かしら人が住んでいる家の一室って印象を受ける。……ここが俺にとって何の見覚えもない部屋だって点を除けば、だが。
「誘拐からの監禁コースか?そんなことされる謂れはないんだがな……」
ここに来る前の記憶がおぼろげなせいで、どういう過程を踏んでこの状況に至ったのかがよくわからない。まあとりあえず今は、
「ぶっ壊して脱走するか」
十中八九俺の家相手に優位に立ちたい他の貴族主導の犯行だろうし、そんなやつが用意できる程度の戦力相手ならどうにかなる。てなわけで大地魔法ドーン。
「……は?」
壁に傷一つない……だと?……もう一回試すか。
「……魔法無効とか壁に付与されてたりすんのか?」
属性を変えたり威力を上げたりと色々試してはみたものの、全くもって壁がぶち壊れる兆しが見えない。なにこれどうなってんの?
「てか鑑定してみればいいじゃん。材質くらいはわかるだろ」
蜘蛛子も散々お世話になった鑑定様なら何かしらの糸口が掴めるかもしれない。スキルレベルは七だけどまあ多少の情報くらいは……
《鑑定不能》
「……は?」
本日二回目の「は?」である。え?マジでどういうこと?システム外の物質使われてんの?んなもん用意できるやつなんてこの世界じゃポティマスかDか……
『蜘蛛子ちゃんだけだよね』
そうそうそれこそ蜘蛛子しか……いや待てなんだ今の。
『ちくわ大明神』
いやそっちに寄せるなよ。てかこれなんだ?脳内に直接響いてる感じなんだけど。
『ファミチキください』
いやだからネタに走るな。お決まりのやつとはいえツッコミ疲れるわ。
……さて、一旦冷静になるか。この声にこのノリ、あなた白織さんですよね?
『まあそうだけどさ。せっかくなんだし蜘蛛子って呼んでよ。その名前Dにもらったやつだからなんか嫌だし』
そうですか。まあさもありなんって感じの理由だな。
『後敬語も禁止ね。前世で私に話してくれた感じでいいから』
……バレテーラ。いやあの時の記憶あんの?俺わりと変なこと口走ってた気しかしないんだけど。
『あるよ。若草君のことはずっと見てたし、全部覚えてる』
マジかー……なんか恥ずいな。
『大丈夫だって。恥ずかしいところも全部愛してあげるから』
そっすか……
いやなんだこれ。俺さっきから何されてんの?念話のスキルなんて取ってないのに頭の中に声が聞こえるし、しかも口調がめっちゃフランクだし、心を読まれてるっぽいし、なんか明らかに重めの感情を向けられてるし、何よりそれらの異常に対して
『あは♡もう気付いたんだ。流石は人族最強ってところかな?』
人族最強は言い過ぎじゃねってのは置いといて、やっぱ弄られてるんすね。なにそれ知らん怖……てかなんでそんなことを?
『なんで?そんなの、若草君が私のものだからだけど。私のものをどうしようと私の勝手でしょ?』
なんか知らない間に俺が蜘蛛子のものになっていた件について。というか私のものってどういう……
『こういうことだよ?』
「だからどういうことだy……は?」
蜘蛛子が何かをしたのと同時に、俺の中にある力が抜けていくのがわかった。これまで俺が生き残るために鍛え上げてきた戦闘における技法、魔法の構築方法、努力してレベルを上げてきたスキル、その全てが消えていくのをはっきりと感じる。
「やめろ!蜘蛛子!」
『やめない』
「やめて、やめてくれ……」
思わずそう叫ぶも、蜘蛛子は無慈悲にそう返す。怖い。怖い怖いこわい。この過酷な世界で生き延びるための力を失ったことが、強大な存在相手にほんの僅かでも抵抗する術を失ったことが、微かな安心感を得るための支柱すら失ったことが。
恐怖感が全身を包み、身動きが取れなくなる。何にも阻まれていないはずなのに、息をすることすらできなくなる。絶望、悲観、諦観、そんな負の感情に脳内が埋め尽くされる。終わった。詰んだ。こんなザマじゃ最低限の自衛すらできない。それはこの世界では死を意味して……
「そんなことないよ」
「ぁ……」
気付けば俺の目の前に一人の女性が現れていた。真っ白なその少女は凍りついたように動かせなかった俺を体を優しく抱きしめ、温もりと安らぎを与えてくれた。
「あなたのことは私が守ってあげる。だから安心して?私が強いのはよく知ってるでしょ?」
「……ああ」
「なら、私の元にいれば安心できるよね?」
そうだ。蜘蛛子は強い。なら、彼女と一緒にいれば俺は安心できる。
「ほら、こっち見て」
「んん……ぁあ……♡」
蜘蛛子の虹彩を複数持つ目が怪しく光り輝好きく。その光をぼんやり眺め好きているだけで、心がポカポ好きカしてくる。このままこのぬるま湯のよう好きな温かさに浸っていたい。
だって俺は蜘蛛子のことが好きですきでスキでスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキ
「くもこぉ……すきぃ……!」
「うん。私も好きだよ。だからずっと一緒。ね?」
くもこといっしょ。うれしい。あんしん。だいすき。
「ん……ねむい……」
「じゃあちょっと寝ようか。ほら」
べっどがでてきた。くもこはすごい。ふかふか。もふもふ。きもちいい。
「えへへ……くもこといっしょ。うれしい」
「私も嬉しいよ。じゃあ、
ふー……っぶな。何あの可愛い生き物。私の理性が鋼じゃなかったら今頃襲ってたぞ!この罪作りな男め!まあそうなるように仕向けたのは私なんだけどな!
彼を誘か、ゲフンゲフン、丁重に魔族領までお連れした私が次にやろうとしたのは、彼の心の完全な掌握。
実はあの首輪さえあれば彼の魂に干渉してボタニカという人間を私の操り人形にするくらい簡単にできる。そのくらい高性能なものなのだ。なにせ神たる私のお手製だからね。
でもそれは違うと思った。私が本当に求めているのは、彼が自分から私を求めてくれること。自分からは何もできない弱々しい生き物のように、ただただ私に全てを委ねてくれるようになることだったから。
だけど彼はそんなことはしない。最低限自分の手綱は自分で握る、そんな性格だ。だから誘導することにした。といっても外道魔法を参考にちょっとだけ魂に干渉して、自分の力が消えていくことに対する「恐怖」を増大させたり、そんな状態から自分を救ってくれた私に「魅了」されてくれるようにしたりする程度のものだけど。
それでも効果は十二分にあったようだ。彼は普段の冷静さを忘れて幼子のように私に縋りつき、私といることに安心感を覚えてくれた。一度こうなってしまえば後は簡単だ。記憶を消した上で何度か同じようなことをして、彼にとって私は好きで好きでたまらない存在だと刷り込ませる。そうすれば私に依存する可愛い人間ちゃんがいっちょあがりってね。
ふふっ、いっぱい可愛がってあげるから。あなたが私にしてくれたようにね。
若草緋鞠/ボタニカ・プラネト
打算で誰かを助けるということを蜘蛛子に教え込んでしまった人
その代償は己の身で受けることとなる
蜘蛛子
彼がこう呼んでくれたから、彼女の名前はこれからも「蜘蛛子」のまま
人が小動物を見る目と、神がか弱い人を見る目は、何が違うのだろうか
面白いと思ってくれたら高評価・感想よろしくお願いします!
皆さんの行動が作者のモチベを救います
……ところで皆さん、蜘蛛子以外のキャラのヤンデレに需要ってありますかね?
そっちにまで手を出すとタイトル詐欺になりそうですけど
蜘蛛子以外のヤンデレは
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大丈夫だ、問題ない
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(タイトル詐欺になるので)駄目です
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そんなこと悩んでないで書け