原作知識持ち転生者が蜘蛛子にヤンデレられる話   作:蜘蛛子のヤンデレが見たい

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ルーキーランキングにいないなぁ……とか思っていたらなんか拙作が日間13→5位にいてビビっている作者です
UA数もお気に入りもバグみたいに増えてるしどうなってるんですかね
意外とハーメルンの蜘蛛履修者って多いのか?とかこのまま作者の好きに書いていいのか?とかちょっとだけ不安に思いながら続きを書いています
ものすごく行き当たりばったりで設定を練っているので、ここからは不定期投稿になるかもしれません
いやほんとここからの展開どうしよ……


ヤンデレ吸血っ娘の友達論

 

 神から逃げ切る究極のクソゲーRTAはっじまっるよー。「虚飾」で仮の肉体を作って蜘蛛子の目を盗んで脱走に成功したところでタイマースタート。こんなところにいられるか!俺は実家に帰らせてもらう!と言わんばかりの勢いでダッシュしていたところ、

 

「あら、あなた確かご主人様が連れてきた人よね?なんでこんなところ、に……え?若草君?」

「あーっと……おひさ?」

 

 吸血っ娘にエンカウントしました。

 さて、どうするか。まあどうするも何もこいつ蜘蛛子陣営だから逃げ一択なんだけどね。

 

「……じゃあな」

「待ちなさい」

 

 一瞬で足元凍らされたんですけど。これだからシステム内上位陣共は……

 

「ご主人様が随分と執心してたから誰かと思ったら、あなただったのね。ふふっ……ちょうどよかったわ。ずっと探してたのよ?あなたのこと」

「そうかよ。ちなみに理由を聞いても?」

 

 すっごい嫌な予感がするんだよなぁ……危機感知も今回はちゃんと仕事してるし。

 

「それはもちろん……私のものにするためよ!若草君!」

「そんなこったろうと思ったよチクショウ!」

 

 なんでどいつもこいつもこうなんだよ!オラッ!虚飾!

 

「ッ!?どんなステータスしてるのよ!」

「さあなあ!」

 

 虚飾の支配者は全てを偽り騙し切る。たとえ世界が相手であろうと。だから思う存分チートを行使できる。

 今の俺はステータスとスキルレベルを偽り、大幅に上昇させている状態だ。それこそあのソフィア相手に善戦できるくらいに。だがそれは代償を伴う行為だ。

 

(キッツ!これ絶対魂に負担かかってるって!)

 

 ステータスやスキルは魂に紐づいた力であり、それを一気に上乗せすれば当然それ相応の負担がかかる。システム的な転生のように無理矢理剥がすのもあれだが、無理矢理増やすのもアウトなのは「傲慢」の説明でも言われていたことだ。

 でもこうやってドーピングでもしないと敗北からのバッドエンドなんだよなぁ!

 

「てかなんだよ『私のものにする』って!今そういうのが流行ってんのか!?」

 

 蜘蛛子もあんなんだしDは……まあちょっとおかしいのは元からかもしれないけども。でも吸血っ娘までこうなってるのは予想外なんだが?

 

「流行っているかは知らないけど、欲しいものは力ずくで手に入れるものでしょう?」

 

 彼女の背丈よりも巨大な大剣を振り回し、浮遊する血液や氷属性の魔法を飛ばしながら、彼女は笑う。その笑みは獰猛で、妖艶で、可憐で、一瞬とはいえ見惚れてしまう程の美しさだった。……とか言ってる場合じゃねえ!

 

「俺なんかを手に入れてもメリットとかないと思うけどなぁ!」

 

 獄炎魔法で攻撃を文字通り焼き尽くしながら、空納に入れていた愛剣を振るい攻撃をいなす。逃げる隙がねえなこれ。

 

「メリットはあるわよ?『友達』が手に入るんだから」

「友達ぃ?」

「そうよ。私の初めての友達。絶対に逃さないんだから」

 

 先程までの笑みを消し静かにそう宣言する彼女の姿は、どこか前世の彼女を彷彿とさせた。……これ俺のせいだな。

 

 

 

 

 

 

 「友達」というものは私にとってどうやっても手に入らないものだった。まあそもそも私のことを「リホ子」なんて呼んでくるやつらと友達になりたいとは思わなかったけど。

 それでも、私が人との関わりに飢えていたのは確かだった。常に孤独だった私の胸の穴を埋めてくれる誰かが現れてくれればいいな、なんて思ったりもした。今思えば女々しい妄想だ。

 

 そんな風に小中と一人だった私に友達と呼べる存在ができたのは、高校に入学してからだった。若草緋鞠。あの若葉姫色の恋人であり本人も陽キャ寄りの人当たりの良い性格をしている人物。それすなわち私が羨む「勝ち組」に属している彼は、何故か席も遠いはずの私に話しかけてきた。

 

『根岸ー、飯でも食おうぜー。……いやんな露骨に引くなよ。俺のことをどういうやつだと思ってんだよ』

 

 当たり前のように私に近づいてきて、そう言ってきた彼を思わず睨んでしまったのはしょうがないことだと思う。新しいいじめの一環かと思ったのだ。実際そんなことはなかったわけだが。

 

『なんでお前と関わるか?そうだな……()()()()()()()()()()()、か?まあ他意マシマシの自己満足だとでも思っててくれりゃあいいよ』

 

 私にここまでしてくれる理由を聞いた時、彼はこう言った。嘘だとしか思えなかった。そもそも彼は人気者だ。私みたいなスクールカースト底辺の人間に優しくしなくても、十分善人だと認識されているだろう。それでも彼が私に優しくしてくれるのは、偏に彼が()()()()()()だからだ。他者の評価なんて気にも留めず、自分が思う良いことを進んで行う善人を超えて聖人のような人。それが私の彼に対する印象だった。

 だからこそ、私は彼に対して少し遠慮をしていた。意識的に距離を取っていたと言い換えても良い。普段から他人に遠ざけられている私が、彼相手にだけは自分から離れようとしていた。私なんかに彼の時間を使わせる申し訳なくて、これ以上踏み込まれたら私の醜い本性まで暴かれてしまう気がして。

 

 そんなどことなく壁があったこの関係性が変わったのは、とある出来事がきっかけだった。

 

 その日、私が教室に入ろうとするとクラスメイトの誰か(誰なのかは本当に覚えていないのよね。興味もなかったから)が私の陰口を言っている声が聞こえた。

 

『なんで若草って最近リホ子と一緒にいるんだろうな』

『あー、最近よく二人でいるよな。なんでだろうな』

『あんなブサイクに構ってやる必要なんてないだろ』

 

 そのクラスメイトたちがこちらにチラリと視線をやったのが見えた。つまり彼らは私がこの場にいることを把握した上であんなことを言っているのだと悟った。

 彼らにとって、それは些細な嫌がらせのつもりだったのかもしれない。あるいは自分たちの友人(当然のように若草君はクラスの誰とも仲がよかった)が自分たちの嫌う人物に構っていることに対する「嫉妬」だったのかもしれない。

 

 だがそれは、結果的に彼に悪印象を抱かせる行為だった。

 

『おい、ちょっといいか?』

『っ!?わ、若草君?』

 

 彼は気付けば背後に立っていた。普段は見せない怒りの感情を顕にした彼は、そのまま教室へと踏み込んでいった。

 

『なあ、いいか?』

『っ若草!?』

『別に他人に対して悪印象を抱くことを否定するわけじゃねえけどよ。人を見た目だけで判断した挙げ句、それを本人に聞こえるようにわざわざ口にするのはどうなんだよ』

『それは……』

『後、俺の友達の陰口聞いてると気分が悪いんだよ。せめて聞こえないとこでやってもらえるか?』

『……っ!』

 

 旗色が悪くなり逃げ出していくクラスメイトたち。その後ろ姿を見送った彼は、私に向かって優しくこう言ってくれた。

 

『大丈夫か?根岸』

『あ、うん。平気。……言われ慣れてるし』

『慣れてるからって平気なわけじゃないだろ。先生にでも言うか?』

『それはいいかな。それより、さっき友達って……』

 

 その時の私の頭の中にはそのセリフが何度もリフレインしていた。こんな私に、友達。こんな醜い私に?

 

『あー……まあ俺が勝手に思ってるだけだけどな。迷惑だったか?』

『そんなことない!そんなことない、けど……私でいいの?』

『ん?どちらかというとお前だからいいって感じなんだが……』

 

 その言葉に、私が心の奥にせき止めていた思いが溢れ出した。

 

『だって私は醜いんだよ!見た目だけじゃない。心の在り方が醜いの。若草君が私に関わってくれるのは嬉しいのに、心の何処かであなたのことを羨んでる。この人は私より何倍も良い人なんだって思う度に、じゃあ私はなんでああいうふうにあれないんだって嫉妬してる。こんな私を友達にする意味なんて……』

 

 そこまで言って思わず口を塞いだ。なんでこんなことを言ってしまったんだろう。もう優しくしてもらえなくなるかもししれないのに。……違う。私は知ってるんだ。彼がこんな言葉を否定してくれることを。「根岸は醜くなんてない」なんて甘い言葉をかけてくれることを期待してるんだ。本当に救いようのないやつだ、私という人間は。

 

『意味はある』

『……え?』

『ここは意味なんてなくてもいいんだよ、みたいなこと言う場面なんだろうけどな。意味はあるんだよ。少なくとも俺目線じゃな。その点で言えば俺の方が醜いか?一方的に利用してやろうとしてるんだからな。だからそんなに自分を卑下するなよ。下には下がいるぜ?』

 

 下には下がいる。若草緋鞠という人間は私より醜い。少なくとも彼自身はそう考えているらしい。それも心の底から。意味がわからなかった。それでも、一つだけわかったことがある。

 

『……じゃあ私たち、醜い仲間だね』

『そうだな。いいじゃねえか、醜悪だって。それを自覚して変わろうと思えば人は変われるってもんだ。まあ俺は生き残るためならこの在り方を変える気はないけどな

 

 本当に、彼は私にはもったいないくらいの友人だ。期待を超えて私に優しい、都合のいい言葉をかけてくれる。それを期待すること自体を肯定してくれる。感謝してもし切れない。

 

『ありがとう。若草君』

『「ありがとう」?……いや、気にすんな。こっちの都合で勝手にやってるだけだしな。いやほんとに打算しかないからそれで感謝されてもな……

『じゃあ、これからも私の友達でいてくれる?』

『ああ、もちろん。お互い助け合えるような関係でいようぜ』

 

 よし。()()()()()()。彼はこれからも私の友達だ。何があっても、何処に行っても、醜い私の大事な友達なんだ。きっと嫉妬もするし、羨みもし続けるのだろうけど、そんな私の全てを肯定してくれた彼相手に遠慮なんてしてやるもんか。絶対に離したくない。転生しても私のそばにいてほしい。あなたが欲しい。全てを曝け出せる、大好きなあなたのことが。だから……

 

「私の友達(もの)にしてあげる!」

「もうちょい穏便に頼みたいんだが!?」

 

 度重なる攻撃が全ていなされる。あっちの攻撃もこっちに届いていないけど、それはきっと彼に私を傷つける意思があまりないから。本当に優しいわね。この世界じゃ甘すぎるくらいよ。

 

「ご主人様もあなたのことを捕まえたがってたけど、私だってあなたが欲しいのよ?」

「そりゃどうも!絶世の美女二人に言い寄られるとか幸運だよほんと!」

 

 そうね。今の私は美女と言っても過言じゃないくらいの美貌を手に入れたわ。それで心まで美しくなったとは思えないけど、そんなこと関係ないわよね?

 

「なら私に魅了されてくれると助かるのだけど」

「割と魅了自体はされてるよ!いやマジで美人だなおい!」

 

 嬉しいことを言ってくれるじゃない。といっても本命の魔眼の方は効いてる気配がないのよね。今もしてる意味のわからない動きといい、どんなステータスとスキルをしてるのかしら。私とやり合える相手なんてそういないわよ?

 

「っ!」

 

 攻撃をしたわけでもないのに、彼が突然その場から飛び退く。するとその一瞬後に何もない空間から無数の糸が彼に向かって伸びた。

 やっぱり来たわね。

 

「二体一は無理ゲーだろ」

「だったら諦めて」

「そうね。流石にご主人様相手じゃ勝ち目なんてないわよ?」

 

 私がご主人様と呼んでいる、というか呼ばされているのは、かつて彼の恋人だった若葉姫色の転生した姿である白。この世界の中の存在が相手であれば負けることなどない絶対の強者。

 

「空間固定にデバフモリモリか……流石にこれは勝ち目が薄いな」

「だからそう言ってるじゃない。いい加減諦めたらどう?」

「ソフィア」

 

 ご主人様が彼から目を逸らさないまま私のことを呼んだ。

 

「なにかしら?」

「若草君は私のもの。手を出さないで」

「それは聞けない相談ね。私だって彼の友達なんだから。全てをご主人様に明け渡すわけにはいかないわ」

「駄目。全部私のもの」

 

 本当に執着心がすごいわね。いえ、これに関しては私も人のことを言えないかしら?まあでもこの交渉はまた後ですればいいわね。今はとりあえず彼を捕らえないと。

 

「弾幕ごっこしてんじゃねえんだぞ!」

 

 真っ白な糸が、真っ赤な血液が、真っ黒な闇が、真っ青な氷が、全てまとめて彼の元に殺到する。その全てを回避ないし相殺することなんてできるはずもなく、彼はあっけなくご主人様の糸によって捕らえられた。

 

「離して……はくれなそうだな」

「逃がすと思ったの?」

「……どうやって逃げたかは知らないけど、もう絶対逃さないから」

 

 こうなってしまえば後は私たちのどちらのものになるかの違いだけね。これに関してはご主人様が相手だろうと譲る気はないけど……

 

「それでご主人様?さっきの話の続きをしましょうか」

「……たまに貸すから、それでいい?」

「まあひとまずはそれでいいわ。別に全てが欲しいってわけじゃ……え?」

 

 今私がご主人様に意識を向けたのは一瞬だった。そうでなくともご主人様なら常に監視しておくくらいのことはしていたはず。なら、なんで()()()()()()()()()()()()

 

「……いない?なんで、なんでなんでなんでッ!」

 

 同じく彼の失踪に気付いたご主人様が慟哭する。ここまで声を張り上げてるところは初めて見たわね。……なんて言ってる場合じゃないわね。

 

「……ソフィア」

「わかってるわ。二度目はない。そうでしょう?」

「多分知らないスキルを持ってる。鑑定は?」

「したわよ。でも弾かれたわ」

 

 明らかに普通の人族にしては異常な動きをしてるから、鑑定してみたのよね。まあ、何故か「秘密です」って文章しか見えなかったけど。少なくとも普通の挙動じゃないわね。

 

「私はメラゾフィスに声をかけるけど、ご主人様は?」

「……一人でいい」

 

 まあこれは個人的な話だし、アリエルさんたちを巻き込む理由もないわよね。

 

「そうもいかないんだよねー」

 

 あら、噂をすればってやつかしら。にしてもなんでここにアリエルさんと……黒、だったかしら。二人がいるのかしら。

 

「どうしたの?」

「いやー、白ちゃんから聞いてたその若草君?って子のことなんだけどさ。放っておくとまずそうなんだよね」

「アリエルさんたちがそう言うなら、何か理由があるのよね?」

 

 この二人は私たちの前世に直接的な関わりはないはず。ならなんで……

 

「なんかその子システムに介入できるっぽいんだよね。エネルギーが減っちゃってるってギュリエが」

「……恐らくはDから何かしらのスキルを与えられている。このまま放置するのは私としても困るのだ」

「……つまり、なるべく早めに若草君を捕まえないとアリエルさん的にもまずいってことでいいかしら」

「そゆこと。だからまあついでにはなるけど、手伝うよ。白ちゃんたちの恋人探し」

 

 

 

 

 

 

「あっぶなー……『盲愛』と『不正』のコンボで転移の隙を確保できたはいいけど、これ絶対魂に負担かかるやつだよな……でも使わなきゃ確実に死んでたし……まあ人族領まで逃げればなんとかなるだろ。後はいい感じに身を隠しつつ原作の流れを見守る形でいくか」

 

 

 

 

 

 

「ふむ、オカの魂にシステム外からの干渉が見られるな。先程聞いた事象と合わせると恐らくは白がその転生者を狙ったか……理由まではまだわからんが、何か使えるかもしれんな。こちらも少し動いてみるか」

 




若草君
自分が原作知識ありきの媚び売りという悪いことをしているという自覚はある
そこが生前吸血っ娘にクリーンヒットした
そろそろ全部お前の言動のせいだって気付け


吸血っ娘
自分の醜さを含めて肯定されたので開き直っているところがある
ちなみに若草に向ける感情は恋愛ではなく友愛で、メラゾフィスとは別カテゴリ


称号・Dの寵愛
実は魂を保護する効果を持つ
なおその実態はシステムによる肩代わりであるため、彼が無茶をしすぎると最悪世界が滅ぶ






面白いと思ってくれたら今回も高評価・感想を……特に感想をくださいお願いします
後この後の展開が全然思いつかないのでちょっとアンケート取ります
そちらも回答お願いします
ちなみに下に行くほど書くのが遅くなる可能性が高いです
って書いた直後にIFルート書き上がったんでよほど作者の筆が乗る+アンケートで他選択肢が上位になるでもしない限り明日の投稿はDルートになります

次回の「ヤン蜘蛛」は……?

  • とりあえず鬼くんもヤンデレにしよう
  • 展開とか無視したIFルート
  • 勇者組を出そう
  • 魔王もヤンデレにしてみよう
  • 原作をぶっ壊してみよう(ストーリー重視)
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