異世界召喚されたのに、最初の試練が"笑ってはいけない"だった件 作:老眼はじまりました
白い空間に、再び機械声が響く。
《では、次の問題です》
全員が身構える。
特にアリーナは、
「うぅ! 次は絶対当てるんだからっ!」
ペンを握る手に力が入っていた。
すると、突然機械声が……
《ここで、一つルールを修正します》
「えっ? 修正?」
声が続ける。
《全員正解はもはや無理なので、次からは――》
「急に諦めた!?」
「いや、現実的判断ではあるけど……」
エステルが突っ込み、ヨシュアが冷静に補足する。
《ランダムで選ばれた四名の者のみが、解答するものとします》
一瞬の沈黙の後、全員が理解する。
「よ、よかったぁ……!」
「これで被害が減るね!」
ロロナが胸を撫で下ろし、ルルアも安心して喜ぶ。
「えぇー? 別に全員でもいいのにー」
「あんたが一番足引っ張ってるでしょっ!!」
呑気なアリーナに、マーニャが即突っ込む。
「ランダムということは……つまり、学力ガチャ開始じゃな?」
マギルゥがニヤリと笑う。
「嫌な言い方だけど、間違ってないわね」
ベルベットがぼそり。
「あの姉妹は当たりじゃな」
「……見るな」
「えぇー! 私は当たりじゃないからっ!」
そんなやり取りが続く中、
スクリーンにルーレットが表示された。
「うわぁ……無駄に豪華なエフェクト」
「本当にランダムなのかな」
エステルとセラが不安がる。
そして、カラカラとルーレットが回り始める。
そして、選ばれたのは……
⇒アリーナ。
「いきなり来たぁーー!!!」
⇒ルルア。
「ええぇーー!?」
⇒エステル。
「終わった……」
⇒ライトニング。
「……私か」
「なんで安心枠が一人しかいないのぉ!?」
「ふふんっ!」
「「「お前じゃないっ!!」」」
胸を張るアリーナに、全員が一斉に突っ込む。
「ライトニングさんだけが頼りだよー」
「……無駄にハードルを上げるな」
願うエステルに、ライトニングがそっけなく返す。
そんな中、機械声が――
《ちなみに、一人でも間違ったら、選ばれたメンバー全員にペナルティです》
「「「ええぇーー!!?」」」
大ブーイング。
「何それ、聞いてないよー!!」
「ある意味、さっきよりも無理ゲーじゃん!!」
「お姉ちゃんだけが正解しても、全然意味なかったね」
「……」
「どうしよう……! お母さんー!」
ルルアが半泣き。
「お願いです。どうか簡単な問題で……!」
ロロナが必死に祈っていた。
そして、試練が再開される。
《それでは問題です》
4人、ごくりと息を吞む。
《――の前に》
「「「おいーー!!!」」」
全員突っこむ。
「なんじゃ、そのタメはっ!!」
「無駄に焦らすわね……」
マギルゥ達の突っ込みに構わず、モーグリが説明を始めた。
『これから出す問題は、みんなが住んでる世界によって、多少言葉やルールが違うクポ!
でも、同じ常識問題だから、意味さえあってれば正解にするクポ!』
「ええと……」
「よくわかんないけど、少しは難易度が下がったのかな?」
そして、機械声が続いた。
《問題。( )に当てはまる言葉を書きなさい》
今度こそ、息を吞む。
《魔物・モンスターが街を襲ってきた場合、住民はまず( )を優先する。》
「あぁ、なるほど! さっきのはこういう意味だったのね」
「穴埋めじゃな。まあ、どの世界でも同じということなのじゃろう」
マーニャ達が納得する中、四人は必死に考える。
「え、ええと……」
「これなら、何とかなるなる……?」
「うんっ、これなら大丈夫!」
「その自信が逆に怖いんだが」
すらすら書く者に、ギリギリまで悩む者。
そして、四人が答えを書き終える。
『それじゃあ、答えをオープンだクポ!』
モーグリの声と同時に、スクリーンに答えが表示される。
アリーナ【逃げること】
ルルア【避難】
ライトニング【避難】
エステル【非難】
……。
…。
「「「最後ぉーー!!!」」」
一斉に吹き出す。
「非難って何よ……!」
ベルベットが笑いを堪えきれない。
「モンスターが来てるのに、説教してる場合じゃないでしょ!」
マーニャも吹き出す。
「エステル……」
ヨシュアが頭を抱える。
「えっ? なんで? 違うの?」
キョトンとするエステル。
「字が違うんだって」
「えっ?」
スクリーンを見て、他の答えを確認。
「あっ……ああぁーー!! ま、間違ってたぁー!!」
エステルが気付いて、頭を抱える。
「ふっふふっ……! 魔物が来てるのに、『なんで来たんだっ!! 危険な行為は許されないぞ!!』とか言ってたら面白いかも」
セラが腹を抱えて笑う。
「いやいや、確かに非難したくなる気持ちは分かるがのぉ」
マギルゥも大笑いする。
「あははははっ!! エステル面白ーい!!」
「いや、笑ってる場合じゃないよっ! 私達、蹴られるからねっ!」
「いやあぁーー!! お母さんー、助けてぇー!!」
「……最悪だ」
みんなの悲鳴を無視して、
『それじゃあ、ペナルティだクポ!』
モーグリの声と共に、案の定、謎の人型キックボクサーが召喚され……
バシィィン!! バシィィン!! バシィィン!! バシィィン!!
「ぎゃあぁーー!!!」
「はううぅーー!!」
「いったぁぁーーー!!!」
「ぐっ……!!」
見事なフォームで……蹴る。蹴る。蹴る。蹴る。
四人が崩れ落ちる。
「よ、四連続いった!?」
セラが驚愕。
「ルルアちゃん! 大丈夫!?」
「全然大丈夫じゃないぃ……!」
ルルアがロロナに泣きつく。
「わ、私なんか三回目だからねっ!」
「自業自得でしょ」
アリーナに冷たいマーニャ。
「エステル……少しは落ち着いてよ。ちゃんと考えれば分かる問題だからね」
「うぅ……ヨシュアが冷たいぃ……」
ガックリうなだれるエステル。
そんな地獄のような空気の中――
『それじゃ、次の問題にいくクポ!』
「「「鬼ぃー!!」」」
そして、スクリーンではルーレットが回り始めた。