インデリブル・ハート - 嫌われ者の俺が皆を助けて記憶を失ったら、美少女生徒会長が恋人を名乗り始めました 作:夢見戸イル
それからは、作る予定の魔道具に関わる本を読み漁りながら、霧島の動きを探った。もし何か指示をされたら、その通りに動くつもりだった。
けれども霧島は、灯夜に何かをしろと言わなかった。1日に1回様子を見に来ては、魔道具に関して議論をする程度。
住んでいる家は別にあるのだろう。ベッドも使っていいと言われ、霧島本人は夜になるとどこかに消えて行くことも多かった。
相変わらず見る悪夢だけはどうにもならなかった。感情を閉じ込めていた蓋が壊れたからか、目が覚めるとどうにもならない感情が溢れ出してしまった。
信悟の存在が、想像以上に安心できていたのだと思い知らされた。誰もいない部屋で、眠ること自体が怖くなって、それならば本を読もうとしても眠くて集中できなかった。それなのに、布団に入ると眠れなくなって、それの繰り返しだった。
ふと病院でもらった薬のことを思い出して、灯夜は睡眠薬を飲み込んだ。そうすれば、頭はまとまらないのにいつの間にか眠っていた。
睡眠薬を飲んだ次の日には、新しい薬がまた1錠だけ机の上に置いてあった。いつの間にか楽に眠れてしまうあの感覚が忘れられなくて、毎日飲んでいるうちに手放せなくなってしまった。
「お薬が少なくなってきましたので、病院に貰いに行きましょうか」
ここに来て2週間が経った頃、霧島が灯夜にそう言った。
何か意図があるのかもしれない。そう思いつつも、睡眠薬が無いと困るのは事実だった。
だから灯夜は、拒否することなく頷いた。
久々の外の空気だった。夏の外は想像以上に暑くて、まとわりつく汗は気持ち悪くて、それなのにその不快さすら遠い昔に感じていたことのような気がして懐かしかった。
病院には何事もなく辿り着いた。診察が始まれば、いくつか質問をされた。とりあえず大丈夫だと答え、悪夢のことだけ伝えれば、それに関して更にいくつか質問をされた。
そして生活に関していくつかアドバイスをされ、次の予約までの睡眠薬を処方された。本当に、それだけだった。
その後薬局で貰った薬袋を眺めながら、この薬は使い切らないだろうなと灯夜は思った。
久々に外に出てリフレッシュできたからか、灯夜の頭の中には霧島の動きを待たずとも事件を解決できる方法が頭に浮かんでいた。
これで終わる。これで終わるはずなのだ。父親が犯した罪も、自分が犯した罪も。
そう思うと、やっとこの苦しみから解放される、そんな気がした。
それからは、霧島に見つからないように作戦を整えた。
日常的には盗聴されていない。それは何度か試して推測できたことだった。
念のため警戒は解かなかったけれども、スマートフォンの動作自体の監視が無い分、隠れて何かをするのは楽だった。
「霧島さん」
8月も後半に入る頃、灯夜は霧島に声をかけた。
「どうかしましたか?」
「学校に行く用事が出来たんだけど、部屋の鍵とかどうしたらいい?」
学校に行くそれらしい理由は、いくつか用意していた。けれども深くは聞かれないまま、霧島は灯夜にほほ笑んだ。
「そうですね。いつですか? ここからは少し離れていますし、よろしければ車で送っていきますよ」
霧島の提案を断る理由もなかった。
学校に行く理由があるのは、本当だった。それにこれからのことを考えると、鍵を借りない方が霧島に迷惑をかけなくていいとも思っていた。
それから一通りの準備を終え、灯夜は学校に向かった。灯夜が学校に着いて向かったのは生徒会室。
少し早く着いたと思っていたけれども、会う予定の相手は既に待っていた。
「あっ、えっと、お久しぶり、です……。お元気……、でしたか……?」
生徒会室にいたのは紬だけ。生徒会の集まりの日ではないから、目的がない限り誰もいないのは当然のことだった。
灯夜はスマートフォンが入った鞄を壁側に置き、紬のところへ向かった。これで、仮に聞かれたとしても、会話の内容まではわからないだろう。
「休みの日なのに、わざわざ来てくれてありがと。あの日の事件のこと、色々教えて。記憶、どうしても戻したくて」
「……! はい……! 新城先輩に頼ってもらえて、私、嬉しいです……!」
そう言って嬉しそうに笑う紬が、灯夜は少しだけ心配になる。
たった1度助けただけの素行が悪かったはずの先輩に、どうしてここまで一生懸命になれるのか灯夜は理解できなかった。
けれども、それを利用しようとしているのが今の自分だった。しかも紬は今までの言動から、灯夜が記憶を戻すことを望んでくれているのも明らかだった。
だから灯夜は紬を呼び出し、事件の詳細を確認した。
1番知りたかったのは、大地たちが捕まっていた別荘の場所と間取り。けれどもそれを直接聞けば自分の行先がバレる可能性もあったから、全てを知りたいフリをして確認していく。
「ありがと。知りたいことは、だいたい確認できた」
灯夜がそう言えば、紬は少しだけ寂しそうな顔で灯夜を見た。
「記憶、戻るといいですね」
「……うん」
それだけ言って立ち上がろうとして、灯夜は1人の顔が浮かんで止めた。これからやろうとしている作戦のことを考えると、どうしても1人の顔がチラついた。
その存在を消したくて、灯夜は紬に尋ねる。
「後1つだけ、知りたいことがある」
「なん……、ですか……? 私にわかることなら……」
「俺と律花って、記憶を失う前、本当に付き合ってた?」
灯夜の問いに、紬は動揺しながら目を伏せた。けれども、律花との関係は
「お願い。教えて。別に宵原さんから聞いたって、律花には言わないから。色んな人から本当に付き合ってたのって言われるから、もうなんとなく察してるし。同じ生徒会なら、隠れて付き合ってたとしてもクラスメイトより気付きやすいかなって」
「……少なくとも私の前で、新城先輩と朝比奈先輩が下の名前で呼び合ってる姿は、見たこと無かったです……。それに……、私が1年生の頃は……、その……。朝比奈先輩も、新城先輩のこと、誤解してましたし……」
その言葉に、灯夜は病室での律花の言葉を思い出す。
付き合いたてだから、名前を呼び合うのは慣れてない。律花はそう言ったけれども、それならば宵原さんはそのやり取りを聞いているはずだ。けれどもそうでないということは、そういうことなのだろう。
けれども、自分の開発した魔道具だけは利用できると思った。だから自分が記憶を失った事を利用して、恋人のフリをして自分に魔道具の開発を……、
そこまで考えても、どうしても思い出すのは、自分が危険な目にあったあと、目を真っ赤に腫らして泣く律花の姿だった。
もし利用しているだけなら、あそこまで泣くだろうか。導き出した結論が正しいのだと信じたいのに、綺麗にはまったはずのパズルのピースが未だにぐらぐらと揺れて落ち着かない。
そんな灯夜の手を、隣にいた紬がそっと包む。
「やっぱり、嘘はダメ、ですよね……」
そう言いながら、紬は灯夜の包んだ手を、ぎゅっと握った。
「あの……! 私、は、ちゃんと、出会った時から、新城先輩が良い人だってわかってて……! だから……、その……」
紬から向けられた熱の籠った目が怖くなって、灯夜は思わず手を引っ込めた。
1度助けただけにしては不釣り合いすぎる重い想いに、灯夜の頭は混乱する。
「別にそういうの関係なく、あんな風に擦り寄ってくるの、男としてはラッキー程度に思ってたし」
「えっと、新城先輩……?」
「えっ、何? 宵原さん、1度助けたぐらいで俺のこと好きになっちゃった感じ? だからここまでしてくれるわけ? それならさ、その大きな胸ぐらい揉ませてよ」
咄嗟に溢れ出た感情は、宵原さんに嫌われなきゃいけないということだった。そして嫌われるような人間として思い浮かんだのは、律花が嫌悪感を露わにしたクラスメイトのことで、気付けばそんなことを口走っていた。
けれども、それもいいかと灯夜は思う。嫌われることが自分の正当な評価で、今の評価は不釣り合いなはずで、大人しい宵原さんならこれで自分のことを嫌ってくれる……、そう思っていた。
けれども紬は少し頬を赤らめながら、潤んだ目で灯夜を見つめ、灯夜の手首を両手で掴んで自分の方へ近付けた。
「新城先輩なら……、いいですよ……?」
「は……?」
今にも手に胸が触れそうなその距離に、灯夜は慌てて手を引っ込める。
「馬鹿じゃないの? もっと自分を大切に……」
「やっぱり……、新城先輩は優しいですね」
そう言って少し寂しそうに笑う紬に、灯夜はわけがわからなくなってその場から逃げ出そうとした。
もう必要な情報は聞けたはず。だからここにいる必要はない。そう思って、鞄を持って外に出ようと扉を開けた。
「あ」
扉を開けた先にいたのは、律花と明希だった。明希が気まずそうに灯夜から目をそらす。
「ごめんなさい……。私、朝比奈先輩からも馬鹿兄の話聞いてて……。馬鹿兄から宵原先輩に連絡来たって聞いて、その、馬鹿兄に逃げられる前に朝比奈先輩と話して欲しくて……」
そう言いながら、明希はチラリと律花を見た。律花は、明らかに動揺しながら、灯夜を見ていた。
「気付いてた、の……?」
「そ、それは……」
「嘘を付いてごめんなさい!」
そう言って、律花は頭を下げた。
まだどこかで信じていたのかもしれない。自分と律花が恋人同士だったことを。嘘だとはっきり告げた律花の言葉に、灯夜の心はチクチクと痛んだ。
けれども、これでよかったのだと必死に自分に言い聞かせる。
「……よく、そんな嘘を付けたよね」
「本当にごめんなさい! 灯夜のことが好きだったから、病室で怯える灯夜を見て、安心させたくて咄嗟に嘘をついてしまったの……。それでね、本当に安心してくれた灯夜を見て、恋人という関係なら一番近くで灯夜を支えられると思ったわ。……でも、余計傷つけてしまったわよね。家を出て行ったのも、もしかして……」
「違う……」
律花の言葉を、灯夜は咄嗟に否定をした。
灯夜にとって、律花のその言葉は、ずっと聞きたかった言葉だった。自分のことをちゃんと好きで、恋人だと嘘を付いたのだと。
けれども、今聞きたい言葉ではなかった。せっかく作り上げたパズルが完全に崩れてしまうから。
「違う。別にそれ知ったからじゃない。最初から迷惑だった。いつもいつもベタベタしてきて、全然1人にさせてくれなくて。ずっとずっと、鬱陶しかった」
本当は嘘。ずっと嬉しかった。いつも律花が傍にいてくれて、ずっと支えになっていた。
けれども今はダメなのだ。自分のことを好きだと困るのだ。律花が自分に優しくしたのは自分を利用するためで、本当は自分ことなんて嫌いではないと、辻褄が合わなくなってしまうのだ。
「律花のこと、ずっとずっと、大嫌いだった。だから……! だから……!」
自分の言った最低な言葉に怒って欲しかった。辛いときに支えてくれたのは事実で、しかも事件の元凶は自分で、それなのにこんな酷いことを言うなんて我儘で最低だって。
けれども、律花の目に怒りはなかった。怒りではなく、見たくなかった傷付いた目をしていた。
「嘘、よね……? 灯夜、言ってくれたじゃない。一緒にいる時間が救われてたって……。だから、私、ちゃんと灯夜の救いになれてるって、私……」
そこまで言って、そして律花はハッとして顔をあげた。そして、困ったように笑いながら、灯夜に手を伸ばした。
「やっぱり、まだ責任感じてる……? それなら……」
これだけ言ったのに、まだ自分を信じるような目を向けてくる律花が、灯夜は怖くなる。
「俺に触れ……」
思わず手を振り払いそうになり、あの日のことを思い出して思わず腕を押さえつけた。
それと同時に改めて自覚してしまう。感情的に手をあげてしまう自分は、新城零一と同じ血が流れているのだと。
だから離れなければいけない。今すぐに。
灯夜は律花の手をそっと避けて、律花から目を逸らした。
「俺に触らないで。お願いだから、もう俺に関わらないで。迷惑だから。ほんと、迷惑だから」
それだけ言って、逃げ出すように部屋を出た。
灯夜が出て行った扉を、律花はただ呆然と見ていた。
最初から迷惑だった。ずっと大嫌いだった。そう言った灯夜の言葉と、今まで見てきた灯夜の言動との矛盾が、律花の頭を混乱させた。
嘘を付いて恋人のフリをしたことに怒ったのであればまだ理解できた。そこだけはずっと律花の中でも引っかかっていたから。
それでも、ずっと苦しんできた灯夜に何もしないことのほうが律花は許せなかった。バレたらバレた時に考えよう。素直に謝って、改めて自分の気持ちを伝えればいい。その程度に考えていた。
そして、その引っかかり自体も最近は薄れていた。灯夜から一緒に過ごす時間そのものが救いだと言われたことが律花の自信になっていた。
けれども違ったのだろうか。自分の言動は全部迷惑だったのだろうか。
灯夜は他人のことに一生懸命になれる優しい人。他人のことまで自分で背負い過ぎてしまう、優しすぎる人。
だからこそ、少しだけ不安になってしまう。本当はずっと迷惑だったけれども、優しいから言えなかっただけ。
恋人じゃなかったとわかったから、やっと言えた本音だったのかもしれない。
言葉だけを捉えるならそう考えるのが自然なはずだった。けれども、迷惑だと言ったときに灯夜が見せた表情が、今までにくれた言葉が、そんなはずないと灯夜が今言った言葉を全て否定してしまう。
「ごめんなさい」
と、最初に口を開いたのは紬だった。
「わ、私のせい、ですよね。私が余計なこと……」
紬が泣きそうな顔で、恐る恐る律花を見た。そんな紬に、律花は首を振る。
「紬ちゃんのせいじゃないわ。私こそごめんなさい。紬ちゃんの気持ち、全然気付いてなかった。私も灯夜のこと、好きだったのは事実よ。でも、嘘を付いて恋人のフリをしているの、見ていて気持ちいいものではなかったわよね」
「そんなこと……! いえ、本当はちょっとズルいと思ってました。だから早く記憶思い出して、本当のことを知ってほしいって……。でも、私、新城先輩にあんな顔させたいわけじゃなかった……」
そう言いながら、紬は困ったように笑った。
「ちゃんと分かってたんです。朝比奈先輩と恋人同士になってから、新城先輩、幸せそうな顔をするようになったって。私が余計なこと言ったから、あんな傷付いたような顔してたのかなって……。だから、私……」
「紬ちゃんの言葉は関係ないと思うの。だって灯夜、私の家を飛び出す前も言ってたから。俺を責めてって。怒って欲しいって。そしてさっきみたいに、触るなって怯えながら言ったの。だから、今も責任感じ過ぎちゃってるのかなって、思いたいけど……。迷惑だって、大嫌いだって言われてしまったわ」
思わず言ってしまった不安に、明希が真剣な目をして律花を見た。
「馬鹿兄が朝日奈先輩のこと迷惑なんて、絶対思ってないと思います。父と母が離婚したときのこと、一度先輩には話しましたよね。馬鹿兄は昔から、誰かを守るために平気で酷いことを言う人なんです」
「わ、私もそう思います! その、ずっと見てたから、わかります……。新城先輩は、新城先輩に嫌なこと言う人には逆に、怒らないで受け入れるんです……。だから……」
2人の言葉に、律花は小さく息を吐いて、顔を上げた。
「そうね。お父さんも言ってたわ。灯夜は今、灯夜のお父さんと会ったから混乱してるだけなんだって。今まで生きてた環境のせいで、私たちの気持ちを素直に受け入れられなくて拒絶することもあるんだって。だから、焦っちゃいけないって。そう、信じるしかないわね」
「記憶を思い出したいって望んだことも、やっぱりお父さんと会っちゃったからなのでしょうか……」
「そうかもしれないわね。霧島さんの所で好きな魔道具の本を沢山読んで気は紛れてるはずって聞いてたから安心してたけど、そんなことなかったのかしら」
「そう、かもしれません。だって聞かれたのは事件のことばっかり……」
そこまで言って、紬は恐る恐る律花と明希を見た。
「本当に、記憶を思い出したいから私に話を聞いたのでしょうか」
「えっ……?」
「だって、聞かれたの新城先輩のことじゃないんです……。事件のことばかりだったんです……。新城先輩は一緒に動けていなかったことも伝えました。もし記憶を思い出すために新城先輩自身のことを知りたいのなら、他のことを聞くとは思いませんか? 例えば、私を助けた日のこと、とか……」
「まさか警察でも解決仕切れてない事件を自分一人でどうにかしようとしてるってことは……。馬鹿兄には前科があるから、否定、できないですね……」
明希の言葉に、律花は胸騒ぎが止まらなくなった。
灯夜があの事件に責任を感じているのは明らかだった。それだけじゃない。攫われ危険な目にあったはずの灯夜は、それを良かったこととして事件のヒントを得られたのだと笑顔で話そうとした。
そんな異常な姿を見ているからこそ、1人で事件を解決しようとしてもおかしくない、そう思ってしまうのだ。
「やっぱり、待ってるだけなんてできないわ」
律花はそう言って、灯夜が出て行った先を見た。
「お父さんに言われたの。無理に何かをしようとしても、逆に拒絶されちゃうって。だから焦らずに待つことも大事なんだって。でも、その間に灯夜に何かあったら……? 私、絶対後悔する。だから……」
律花は大きく深呼吸する。
感情のまま飛び出しても、灯夜が見つかるわけがないことは分かっていた。そもそも灯夜が何かしようとしているのなら、考えなしに追いかけたら逆に灯夜を危険な目に合わせてしまうかもしれない。そのことは、身をもって知っていた。
だから律花は、今すぐ飛び出したい衝動を押さえつけながら、冷静に思考を働かせる。
「今回のこと、お父さんと霧島さんに1度相談してみましょう。2人の方が事情は知ってるはずよ。お父さんに連絡取って……。霧島さんも学校に来ていないか聞いてみましょう」
そう言って、律花は紬を見た。
「紬ちゃん、今日まだ時間ある? 灯夜から聞かれたことを話してほしいの。私じゃ聞こえてないこともあるから」
律花が紬にそう言えば、紬は明らかに動揺して律花を見た。
「ひえっ!? で、でも、いいんですか……? 私……」
「いいに決まってるじゃない! 勘違いがあったらよくないわ! 今度こそ、灯夜を絶対に危険な目に合わせないようにしなきゃ! とりあえず職員室に行きましょう!」
そう言って、律花は職員室に向かって飛び出した。
そんな律花の背中を、紬は暫く見つめていた。
「……私も見てるだけじゃなくて、あんなふうに動けていたら、何か変わったのかな」
そう呟いて、紬は小さく深呼吸をした。そして顔をあげて、律花の背中を追いかけた。