多分続かないので短編です。
ポストアポカリプス!
主に核戦争などで地表の大破壊が行われ、
過去の文明の遺跡と鬱屈した生活圏が主体となる世界観の総称だ(諸説あり)。
私はそういった、終末後の世界の産まれだ。
黒い雨と光化学スモッグに覆われた空と大地、その中で懸命に生きている。
正確に言うと、発掘された【美戦士】生産プラント、その最終生産モデルの一機である。
製造番号C-1287-
お肌は撥水コートで、いつもの黒い雨をはじいてつやつやだ。ちょっとうれしい。
隣をついてくるのは犬型お供メカの『ガルム』。
製造番号C-1287-
対となり産み出され、ともに戦う仲間だ。
「ガルム、この先どのくらい歩けばいい?」
『……推定3㎞先に、複数の人間の感アリ。生活圏です』
「うげー」
同胞同士で仲良くできず、世界の終わりを導いた彼らは、
生産物である私たちに決してやさしくない。
つまり、人間は味方ではない。私と彼らは別種族、敵だ。
『ただし対象群は【美戦士】のパーツを所有、武装に利用。スカベンジャーです』
「ほんと最悪」
まして、次に対面する人間たちは、わたしの姉の躯を、死してなお兵器として利用する
『処理しますか?』
「姉さんたちの躯を好き勝手利用するのは、許さないよ」
『御意』
『「
声が重なり合い、戦闘システムが起動する。
ガルムの四肢と胴の外装が剥離して、宙に浮く。
そのパーツ群が私に張り付き、それらを私の装甲として身に纏う。
今回は【半重着】だ。
同じ【美戦士】どうしの戦いであれば、武装の威力に耐えられないため【完全重着】が必須だが、
スカベンジャーが用いる照準の甘い武器ならば、むしろ半重着の機動性を活かした方が効率が良い。
半重着プロセスを終え、無二の相棒との一体感が心地よい。
しかし、精神はクールなまま、むしろ姉たちを利用するスカベンジャーに対する怒りが渦巻く。
外装が外れ、一段階スリムになったガルムが進言する。
薄緑色に輝くレーザーブレードと一体になったガルムの真の四つ脚は、隠しきれない攻撃性を露わにしていた。
ガルムの本気の索敵、ほどなくサーチされる人間の集団と【美戦士】のパーツ、むき出しになった
「アイツら、姉さんの心臓をあんな無様なものにつないで……!」
『弊機のレーザーブレードでの接続切断を提案』
「受理!」
『戦術はいつもの強襲突撃でしょうか』
「うん。出会い頭で姉さんを取り戻す。その後に殲滅だね」
私とガルムは大地を蹴った。
----
殲滅はすぐに終わった。
手のひらから放たれるレーザーガンを致死性にセットし、敵頭部に照準して打つだけの簡単な作業。
私が手をかざすたびに一人ずつ頭部を失って倒れていく、
あるいはガルムの四肢によって細切れにされていく人間どもは、いっそ滑稽だった。
『敵性勢力の全滅を確認しました』
「お疲れ様、ガルム」
『疲れるほどの労働ではありません』
「……そうだね。じゃあ、姉さんを葬送します。ガルム、ブレード形態に」
『完全重着シークエンスを実行します』
『「完全重着」』
【完全重着】形態。あるいは【葬送モード】。
【美戦士】が、相対する【美戦士】を葬るための、礼装ともいえる完全装備。
ガルムの四肢が結合し一つの大きな剣となり、
筋肉、骨格部分が、半重着ではフォローされていなかった関節部分の装甲となる。
そして、頭部が獣の衣装を残した兜となり、その美しい、今は
「完全重着、完了」
大上段に、アルファ本人よりも大きな【ガルム・ブレード】を構え、葬送の一撃の解除コードを口にする。
「1287式
『レディ』
轟音も、オゾンが灼ける音もない。
ただ振り降ろされた【ガルム・ブレード】が、名も型番もわからぬ姉の
爆発。コアのエネルギーが、制御を失った。
ここに、一つの魂が自由を得たのだ。
「おやすみ、姉さん」
アルファがす、とブレードを降ろすと、ガルムの姿が再構成されていく。
役目を終えた【葬送モード】からの自動回帰だ。
すり、とガルムがアルファの足元に身を寄せる。
「大丈夫」
『葬送の後のその発言は、100%の確率で繰り返されています』
「……バレてるか」
『この身はアルファと分かたれぬものなれば』
「そっか。じゃあ、次を探そう。次に会うのが泣いてる姉さんか、生きてる姉さんか、わからないけど」
アルファとガルムの旅路は、続く。