文芸部の2人   作:中落ちカルビ

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これにて文芸部の2人第一部完!とさせて頂きます。本作にお付き合い頂きありがとうございました。
重ねてのお礼になりますがお気に入りに評価、ありがとうございます!
ひと段落となりましたのでよかったら感想ください!

書き溜め出来次第第二部も書きたいとは思いますが一旦間を置いての投稿となると思います。
また後書きは長くなりましたので活動報告に書きました。もしお暇でしたら読んであげてください。






09:文芸部の2人

 

 一週間後。

 昼休みの文芸部室。

 私は愛する日常の風景の中に帰還していた。

 

 

「よいしょ……っと」

 

 

 先輩がダンボールに収められた本を幾つか手に持ち、トコトコと歩いて本棚に移す。小さい身体でちょこまかと動く姿は小動物的だ。

 

 何処かの誰かが廊下に大穴を開けた上に奇妙な生物、ナイトゴーントの死体を放置したせいで一週間も学校が休みになってしまった。

 お陰で先輩とたっぷり遊べた。なかなかいい仕事をしたね、誰だか知らないけど。

 

 

「よ………しょ……」

 

 

 私は机と本棚を往復する先輩の様子を頬杖つきながら見守る。

 手伝えって? 無論手伝おうとした。

 手伝おうとしたが先輩は……

 

『ボクが整理するから那由多は座ってて! 

 お菓子でも食べてくつろいでてよ!』

 

 とビスケットを机に置いてやる気満々で私にNOを突きつけてきたのだ。

 

 

「んっと……会報は……ここだね」

 

 

 そうやってぼんやりとしている私の頭の中によぎるのは一週間前の夜、屋上での事だ。

 

 私が若駒をダルマにするのを先輩はすぐ側で見守った。

 自分も手を汚すと言い張って、吐きそうになりながら若駒の目玉に指を突き入れてえぐった。

 その後2人で若駒を屋上のヘリまで引きずって落とし、虚空に消える姿を見守って、先輩はポロリと大粒の涙をこぼした。

 

 

 

 その涙が自分が汚れた事への悲しみなのか、田中晶を思い出しての悲しみなのか、私には分からなかった。

 

 

 

「えと……これは……こっちで……」

 

 

 

 先輩はその手を汚した。

 

 

 

 私はそれが悲しくて、悔しくて、申し訳なくて……そして何よりも先輩が私と同じ所に堕ちてくれた事が嬉しくて、頭がおかしくなりそうだった。

 

 でも同時に私は少し怖かった。

 私のために手を汚してくれた先輩を、逆に私が愛せなくなってしまうのではないのかと思ったのだ。

 私が好きなのは無垢で汚れない清らかな天使の先輩で、堕落した先輩に興味を失うのではないかと思ったのだ。

 

 私は殺しに何の感慨も抱かない破綻した異常者だ。

 だから情けない話だけど自分の感じている愛情や好感に自信を持てなかったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 まぁ完全に杞憂だったんだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 いやー昨夜は盛り上がりましたね、ええ。もう先輩の身体で触ってない所はないんじゃないかってぐらい楽しませていただきましたよ。先輩あんな声出せるんですね、めちゃくちゃエロかったです。私は認めます。先輩はロリだけど立派なレディでした。たまりませんわ。知ってます? 先輩耳激弱なんですよ。私の部屋に着いた後我慢できなくて後ろから覆い被さってさ、耳を噛んだら……ふにゃぁって力抜けちゃってさ。全体重こっちに預けて全然抵抗できなくなってるの。それでうなじにキスしたら『ひゃんっ』って鳴いて……可愛かったなぁ。ていうか全身敏感すぎるんだよな先輩。可愛いお臍くすぐるだけで鼻にかかった甘い声出しちゃってさ。胸とか軽く触るだけでもじもじしちゃってさ。耳噛んだらビクンッて身体跳ねさせてさ。でも声出すの恥ずかしいから人差し指噛んで我慢してるの。もう速攻で腕取ってキスしたね。舌捩じ込んで口の中全部蹂躙してやったよ。凌辱だよ。口内レイプだよ。30分くらいたって満足したから口離したら先輩もうトロンって惚けた顔しててさ。ぼーっと口開けたまま潤んだ目でこっち見上げてるの。思わずもう一回キスしちゃったよ。堪らねえ、堪らねえよ先輩。私の先輩マジ天使。いや先輩はもう天使じゃないんだった。私の先輩マジ堕天使。

 

 

「んしょ」

 

 

 いかんいかん、興奮のあまりトリップしていた。

 やっぱり先輩を手伝おう。

 このままでは妄想の中で先輩をレイプしてしまう。

 

 

「先輩、手伝いますよ」

 

「んっ大丈夫だよ。那由多は座ってて」

 

「いえいえ、私も暇ですから」

 

「……そうかい? じゃあお願いしようかな」

 

 

 私は先輩を手伝うために椅子から立ち上がり、彼女の小ぶりなお尻をスカート越しにサワサワと撫でた後柔らかな尻肉を味わうように揉んだ。

 

 

「うひゃぁっ!! な、なにをするのさ!!!!」

 

 

 先輩が飛び上がってお尻を押さえながらこちらを振り向く。

 いかんいかん、つい手が出てしまった。

 

 顔を真っ赤にして私を睨みつける先輩。プリティだ……。相変わらず何やっても可愛いだけで全然威圧感感じない。こんなんでよく高校生になるまで生きてこられたな…。

 

 

「いまお尻触ったよね?! 手伝うんじゃなかったの?!」

 

「事故ですよ、事故。不慮の事故です。手が滑っただけです。悲しい事故でしたね」

 

「故意の犯罪だよ! 痴漢だよ痴漢!」

 

「痴漢冤罪は良くないですよ先輩。私は最後まで諦めずに無実を信じて戦いますからね」

 

「冤罪じゃないよ! 事実の陳列だよ! ていうか自分で触っといてどうしてそんなに自信満々なのさ!?」

 

 

 私の迫真の弁明を聞いても先輩は全く顔色を変えず怒り顔のままだ。

 全く、先輩の方からちっちゃくて可愛いお尻をフリフリして誘っておいて……とんだ美人局だよ。

 

 

「大体これくらいの触れ合いは昨日の夜にたっぷりしたじゃないですか。

 今更ちょっとお尻触られたくらいでなんです。

 もっといやらしい事したでしょ?」

 

「だとしてもダメだよ! まだお昼だよ!? 

 それにここ学校でしょ!? 約束したじゃないか! 何考えてんのさ!」

 

 

 うーん、ちょっと劣勢か? 

 確かに私達の関係がバレないように学校ではエッチなことはしないって約束したからなぁ……でもなぁ……昨日の夜のこと思い出して若干スイッチ入ったんだよなぁ……先輩いじめたいなぁ……先輩可愛がりたいなぁ……。

 

 うん、ここは切り札をきるか。

 

 

「先輩、一週間前に学校入る前にした約束覚えてます?」

 

「約束? 学校でエッチなことしないってやつ以外で?」

 

「『走らない』『離れない』『言う事を聞く』」

 

「ああ、それね。そりゃ覚えてるけど……」

 

「破ったら何でも一つ言う事を聞くって言いましたよね?」

 

「うん、言ったね」

 

 

『それがどうしたの?』とキョトンとした顔をする先輩。

 

 

「先輩、私が帰れって何度も言ったのに帰りませんでしたよね? 言うこと聞きませんでしたよね?」

 

「うっ……それは……その」

 

 

 目が泳ぐ先輩。

 今日も今日とて先輩のお目目は絶好調。バタフライとクロールを切り替えながら泳ぎまくってる。

 

 

「い、いや、あれはさ……その……仕方なくない? 不可抗力だよ、うん。

 あそこでボクが帰ったら那由多はもうボクの前から消えるつもりだっただろう? 

 多分文芸部もやめてさ、下手したら2度とボクに会わないように学校にも来ないつもりだっただろう? 

 そんなの絶対嫌だったし、止むに止まれぬ命令違反だよ! 免責だよ!」

 

「特に違法でも危険行為でもないので免責は認められません。大人しく命令違反の罰則を受けてください」

 

「ほら! その後のボクの情熱的な告白を思い出してよ! 

 ボクに告白されて嬉しかったよね? 感動したよね?」

 

「めちゃくちゃ惚れ直しましたけど関係ありませんね」

 

「……エッチなこと言わないって言ってたよね?」

 

「それは前談の『言う事を聞く』にかかっていてその後の『何でも一つ言う事をきく』にはかかってません」

 

「うううぅぅ…………」

 

 

 私がジリジリと先輩に近付くと先輩もまたジリジリと後ろに下がっていく。そしてそのまま壁際に追い詰めて壁ドンして覆い被さる。

 

 

「そもそも私の物にして欲しいって言いましたよね? 

 汚して欲しいって言いましたよね? 

 嘘だったんですか? あの情熱的な告白は」

 

「う、嘘じゃないけど……その……こんな明るいうちから学校でなんて……は、恥ずかしいし……」

 

「朝だろうが昼だろうが夜だろうが先輩は既に私の物なので何の問題もありませんね。

 私が私の物、所有物をいつどこでどんなふうに扱おうが私の自由、先輩はもう私の支配欲を解消する為の道具なんです。無限に欲望をぶつけられる対象で、触ると音の鳴る玩具なんです。

 出会い頭に押し倒されてぐちゃぐちゃにされても、ローター突っ込まれて授業中にスイッチ入れられても、全裸に首輪で街中お散歩されても、文句を言っちゃダメですし抵抗なんてもってのほかなんです。

 先輩には私に弄ばれる場所と時間を選ぶ権利なんてないんですよ」

 

「完全に陵辱ゲーのセリフだよぉ……」

 

 

 結構酷い事言ってるけど大丈夫。

 昨日分かったけど先輩は若干Mだ、むしろちょっと痛いくらい乱暴に責めた方が気持ちよさそうだったし『やめて』って言ったから止めると不満気な顔をするタイプ。

 ていうか今も私の物扱いされてちょっと喜んでるからね、先輩。だから何も問題ない。

 

 

「うぅ……もぅ……分かったよ……でもキスだけだからね?」

 

「仕方ありませんね、それで手を打ってあげます」

 

「なんで上から目線なのさぁ……もー……全くもー」

 

 

 やりましたねこれは。

 1発キスしちまえばこっちのもんですよ。背筋つーっとなぞったり耳穴くすぐったりお尻撫でたり、キスしながら先輩をその気にさせるなんて余裕なんですよね。

 

 我慢できなくさせて先輩からおねだりさせて……そうだ、この健気に絆創膏貼って隠してるキスマーク増やしたろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 とまぁ私がこれからの展望を妄想している時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はろ──! 刹那ちゃんに那由多ちゃんいる──!? …………てあら? お邪魔だった?」

 

 

 

 

 コンコンガチャガチャドーン。ノックの意味が完全にない動きで茶髪ポニテの少女、新聞部部長、千葉綾子が私達の愛の巣(文芸部)に乱入してきた。

 

 マジかよ……。ここまできてお預けなの? 先輩固まっちゃったよ。

 

 

「ええ、邪魔ですよ。マジで邪魔です。

 よくもまぁこれほど悪いタイミングで乱入できましたね」

 

「あはは、ごめんごめん! 許してちょうだい!」

 

「許して欲しいなら今すぐ回れ右して帰って欲しいですね。

 私も先輩もこれから忙しくなる予定なんで」

 

「こら! そんなこと言っちゃダメだよ那由多! 

 ……すいません千葉先輩……那由多は悪気はないんですけど、その……天然で失礼なので……」

 

 

 再起動した先輩に怒られてしまった。

 私は事実を口にしただけなのになんて理不尽なんだ。

 許されるのか? こんな不条理が。

 

 …………いや流石に失礼か……千葉部長普通にいい人だからな、謝っとこう。

 

 

「すいません千葉さん。先輩とのイチャラブを邪魔されて当たり散らしました」

 

「だいじょぶだいじょぶ! 那由多ちゃんがそういう子だって事はあたしも知ってるからさ! 気にしてないよ! 全然!」

 

「ありがとうございます千葉先輩…………それと理由はともかくちゃんと謝れてえらいね那由多」

 

 

 先輩が私の頭を撫でたそうに手を伸ばしたので屈んで受け入れる。

 はー……謝ってよかったー。

 

 

「……えと、それで私たちに何か御用ですか?」

 

「あー、えっとね……一週間前の夜の事、ていうか若駒の事って感じかな」

 

「え……千葉部長……若駒の事覚えてるんですか?」

 

「うん、あたしもいたからさ……一週間前、屋上の踊り場に」

 

 

 ああ成程、その件か。

 確かに千葉部長はあの時屋上の踊り場に隠れていた。

 ナイトゴーントは全て殺したし、危険もなさそうだから放っておいたのだ。

 でも何の用事だ? 若駒という最大の証拠が消えた以上、私達を殺人容疑で脅すとかは無理筋だと思うけど……。

 

 

「今日はね、お礼を言わせてほしくてきたんだ。

 ありがとね、みんなの仇をうってくれて」

 

「……お礼を言われるような事はしていません。

 私は身勝手に自分の恨みを晴らしただけです」

 

 

 千葉部長のお礼を受けて遠い目をする先輩を見て私は少しため息が出そうになる。

 折角少し落ち着いてきたのに……。

 

 

「………………」

 

 

 田中晶。

 死者に嫉妬するなんて良くない事だろうが……私は彼女が羨ましい。

 彼女との思い出は宝石のように光り輝き、今後どんな事をしてもその思い出は色褪せない。

 

『貴方の一生の後悔として添い遂げるよ』

 

 なんて名前の歌の歌詞だっただろうか? 田中晶は先輩の中で永遠になった。きっともう先輩は彼女の事を忘れられないだろう。生前以上の輝きを放ちながら、一生彼女の心の中に、失った思い出として住み続けるのだ。

 

 

「まぁとにかくありがとうね。

 あたしも若駒ぶっ殺してやろうと包丁探して持ってきたけどさ、あんな化け物に守られてちゃ無理だっただろうし……。

 あたしの手で復讐出来なかったのは消された部員達に申し訳ないし心残りだけど、あそこに割って入るほどの勇気はなかったよ」

 

「……そう……ですか」

 

 

 まぁこれについては消された部員はあまり関係ないんじゃないかな? 復讐は残された人がスッキリ前を向くためにやる物だからね。今は亡き新聞部員達もそれで千葉部長が納得してるんなら文句ないと思う。

 

 ていうかそれ以前にこれ以上先輩を刺激するのをやめてほしい。やっと落ち着いてきたのにまた一週間前の伏せた暗い目に逆戻りだ。

 

 

「…………」

 

 

 きっと今先輩は自分が手を汚した事を田中晶がどう思うかとか復讐を望んでいたのかとか考えちゃってる。

 これで先輩が殺したかったから殺したって納得できるならいいんだけど……残念ながら先輩はそういう割り切りがすぐにできるタイプではない。

 

 

「えーと……まま! 暗い話はここまでにしてさ! コレみてよ! 号外だよ! 感想プリーズ!」

 

 

 そんな先輩の様子を見て自分がミスったのに気付いたのか、千葉部長は紙切れを一枚取り出してビシリと私達に突きつける。

 

 先輩はその紙をぼんやりと見つめ、目を見開き、顔を紅潮させ、ワナワナと唇を震わして…………

 

 

 

 

 

「な、な、な、なにこれぇぇぇ!!!」

 

 

 

 

 

 絶叫した。

 

 

「何コレ! 何コレ! 何コレ!? なんで!? どうして!?」

 

「ふふーん、シャッターチャンスは逃さないってわけよ! 

 ちなみにお姫様抱っこの写真はSNSに上がってたのを許可とってもらってきた!」

 

 

 ほー、よく撮れてるなぁ、なんて私は呑気にその紙を見る。

 千葉部長が手に持つ紙、神寄高校生徒新聞号外には

 

『ついにあのカップルがゴールイン!!!』

『ところ構わずイチャイチャする2人!』

『満月に照らされてのキスシーンを激写!!!』

 

 なんて文字が踊っている。

 更に私が先輩をお姫様抱っこでマックに運んでいる写真や私達が屋上でキスしてる写真が高画質で載っていた。

 

 

「掲載停止だよ! 即時回収だよ! 偏向報道だよ! ていうか『ついにあのカップルがゴールイン』ってなにさ!?」

 

「自覚なかったの? 部長連中と一年生の間で伝説になってるよ、刹那ちゃんと那由多ちゃんは」

 

「な、なんでぇ!?」

 

「刹那ちゃん部活動紹介でやった事忘れたの?

 新入生全員の前であんな雌顔晒してさぁ……その後那由多ちゃん速攻で文芸部入ったし、両思いなのバレバレだよ」

 

「ぅ……うううぅぅぅう」

 

「放課後いつも一緒にいるのに普段は距離置いてるからさ、みんなヤキモキしてたんだよー」

 

 

 はへー、そんなふうになってたんだ。

 興味ないから知らなかったよ。

 

 

「うんうん、刹那ちゃんも元気になったし! もう大丈夫だね! あたしはもう行くよ! 

 因みにもう昇降口にも各階の掲示板にも貼ってるしホームページにもデータ上げたからあたしを止めても無駄だよ! 

 じゃあね!!!!」

 

 

 そう言って千葉部長は羞恥からプルプル細かく震える先輩を置いてドタバタと部室から出て行った。

 

 ……いい空気吸ってるなぁあの人……いい人認定取り下げた方がいいか?

 

 

 

 

 

 いや待てよ? 

 

 

 

 

 

 

「先輩」

 

「うぅぅ……なに? 那由多」

 

 

 私は先輩を逃さないように彼女の小さい肩をガッシリと掴む。

 

 

「先輩、学校でエッチな事しないって約束、何でしたんでしたっけ?」

 

「え? ……そりゃみんなにバレないようにだよ。

 その……ボク達女の子同士だからね、へんな目で見られたりするでしょ? 

 ……ていうかちょっと痛いよ」

 

「すいません、興奮しました」

 

「う、うん……えーと、それで……それがどうかしたの?」

 

 

 小首をかしげる先輩。

 クリクリのおめめがかわいいね。

 

 

「バレちゃいましたね? みんなに」

 

「…………あ」

 

 

 食べちゃいたいね。

 

 

「いや、いやいやいや! 別にそれだけが学校でしない理由ってわけじゃないからね?!」

 

「そもそも学校は勉強しに来るところだからね!? 

 そこでエッチな事をするのはバレるバレない抜きにしてよくないと思うよ!?」

 

「ていうか那由多は僕の事責めるだけでボクには触らせてくれないよね!? 

 ズルだよズル! 横暴だよ! ちょっとは休ませてよ! 昨日なんて最後の方意識朦朧として死ぬかと思ったよ!? 心臓バクバクで殆ど息できてなかったからね!?」

 

 

 私は胸に手を当て腕を突っ張り必死に抵抗する先輩に無慈悲に告げた。

 

 

「夜のバトルはターン制のRPGバトルじゃないってそれ一番言われてますからね。しょうがないですよ」

 

「不公平すぎる! ルール改定を要求するよ! 再プログラムすべきだよ! 攻撃ターンはプレイヤー間で公平に分配すべきだ!」

 

 

 顔を真っ赤にして先輩が叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 うん、これでいいんだよ。私達は、これでいいんだ。

 罪を忘れて、罰を遠ざけて、2人重なり楽しく踊る。

 

 

「ま、まって! たんま! たんまっだって!」

 

「無言で近づいてこない……んっ」

 

「……ふぁ……やぁっ……待って……」

 

 

 人を殺した罪禍は巡る。いつか誰かが私達の罪を裁こうとするのだろう。罪に相応しい罰を下そうとするだろう。

 

 私はそれを許さない、絶対に、許さない。

 

 

「だめっ……だめだってぇ……せえふく……シワになっちゃうからぁ……」

 

 

 踏み躙ってやる。

 その正義を、その道義を、その人道を。

 傲慢に、無慈悲に、徹底的に、全て踏み躙ってやる。

 決定的な破滅が訪れるその時まで、揺るがない破綻が去来するその時まで、私は全力で踏み躙り続けてやる。

 

 先輩の為などと言い訳はしない、只々私自身のエゴの為に、私は罪を重ねよう。

 

 

「……ぷぁ……はっ……ぁ……」

 

 

 たとえどんな悲しみが、苦しみが、痛みが待ち受けていようとも私は諦めない。何を犠牲したとしても、何度でも立ち上がり必ずやり遂げる。

 

 私が……。

 

 

 

 

 

「なゆたぁ」

 

 

 

 

 

 私が先輩を、守ってみせる。

 

 

 

 




九重刹那
所属クラス:2-C
所属部活動:文芸部
身長:139.8cm 体重:40.2kg
好きなもの:お話、清水那由多、たくさん食べる人
嫌いなもの:怒鳴る人
趣味:カラオケ、ぬいぐるみ集め、お絵描き
夢:清水那由多のお嫁さん
備考
 あんまりいない小さな小さな少女。
 銀髪青目で顔面偏差値がかなり高い。APP18
 文芸部の交渉担当。格ゲーの持ちキャラはポチョムキン。
 若駒を殺した事は整理がついたが入学以来の友人を失った事はまだ振り切れていない。
 屋上での告白を夜中に思い出しては布団の中でジタバタしている。
 那由多のボディタッチの多さに驚いているが求められている事が嬉しくて満更でもない。
 週末は那由多の家に泊まっており、歯ブラシやパジャマにぬいぐるみ等着々と私物を増やしている。
 後ろから抱きしめられて耳元で囁かれるのが好き。
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